21世紀の洋ランの育て方と咲かせ方

カトレヤとコチョウランを咲かせたい人に

第二部
今月のラン、チェンジ、洋ランレシピ、洋ラン病院、洋ラン大学院




目次

I 今月のラン 各種の蘭の様
今月のラン
各月のラン

1 
2 
3  各属
4 

それぞれリンク先の別のページにあります

II 序章
III チェンジ
IV 洋ランの世話のレシピ

方法の特徴

V 洋ラン病院
VI 洋ラン大学院



I 今月のラン 各種の蘭のようす

今月のラン
各月のラン

それぞれリンク先の別のページにあります



II 序章

1 初めに−「ランは枯れる、咲かない」を解消

ランは「枯れる」か「咲かない」と思われています。花の咲いている洋ランを買ってきても花が終わると枯れてしまうのが当たり前と考えられています。これまで言われている色々な方法では、大抵の人が、枯れるか、咲かないかになっているのが実情です。
ここでは、そのような悩みを解決する方法を紹介します。これまでには無い方法ですが、これまでの方法ではうまくいかないという人に試してもらいたいと思います。
また、温室がないと本格的に育てるのは無理ではないかとか、種類や時期に依って世話が色々異なりどうしてよいか分からない、という悩みの人が多いと思います。ここでは、温室設備が不要で、遮光シートもなるべく使わず(チェンジ!)に育てます。大半の種類を、同じ植え方、同じ置き場所、同じ水やり(チェンジ!)で育てるのが原則です。

(1)蘭が枯れてしまう−根腐れしにくい植え方を

根腐れの減る植え方があります(チェンジ!)。根腐れの原因は何かを考えてそれを除く植え方をすれば、根腐れは減らせます。植え方を従来通りで、水やりを控えて根腐れを防ごうとすると、苗が衰弱して、枯れたり、咲かなくなったりしやすいです。
透明ポット、底板敷き、発泡スチロール角棒芯入り、バーク中粒、鉢底横穴開け(「薄着」にチェンジ!)だけで、ほぼすべての種類・大きさの洋ランを、単一の方法で育てることができます。

(2)花が咲かない−根腐れを解決したら、咲かせるに集中できる、苗も鉢も大きく、日射と高温を利用、夏に水をたっぷり

枯れない育て方と、咲かせる育て方にはギャップがあります。ともあれ、大抵の場合、入手した時より株が小さくなっていることが咲かない原因のもとです。充実した大株を作るのが咲かせるための王道です。そこで、「枯れない植え方・育て方」に慣れたら、「咲かせる植え方・育て方」へと発展させます。
一方、洋ランは、「開花株を楽しんだら、後は咲かない」と思われています。観賞する株と咲かせる株にもギャップがあります。将来花を咲かせる可能性の高い株はどんな物か、咲きやすい種類は何かを考えて入手(チェンジ!)し、根腐れしにくい植え方で鉢を少し大きく(チェンジ!)して世話すると、割に容易にもう一度花を楽しめます。その延長で、ランの花が咲くまでには色々なプロセスがあるので、それらを知って実現すると、何回も咲かせられるようになります。初めてから名人までの4段階を知って、段階ごとに開花を楽しみましょう(チェンジ!)。
色々と性質の異なる種類を並行して咲かせようと思ってもなかなかうまく行きません。咲きやすい種類から難しい種類へと、低温・強光種、ミニ洋ラン、中温・中光種、高温単茎種へと4段階(群)で順番に進める(チェンジ!)と大抵の種類を咲かせられるようになるでしょう。

(3)温室がない−自生地と同じに、日光・高温・雨を活用

温室が安定した住まいだとすれば、屋外と部屋で育てるのは、遊牧民のような生活です。洋ラン栽培と言うと、まず、遮光とか、水やり、冬の防寒を考えますが、自生地では、全て、木漏れ日の下などで、雨ざらしで、熱帯地方でも寒いときは0℃近くまで冷えて、育っています。セッコクや風蘭や春蘭も同じで、洋ランの普及・小型種にはかなりこれらの血が入っています。しかし、これまで、置き場所について本格的に議論されることはありませんでしたが、とても重要です。四季の恵みを利用すれば、手軽に楽しめます。花を咲かせるには、日除けや水やり抑制ではなく、日光・高温・雨を活用することが大事です(チェンジ!)。
7.14改訂

2 洋ラン栽培から洋ラン育てへ−衣食住−子育てより難しいランはなく、料理より難しい作業はない

7.22追記

洋ランは丈夫、野生のように元気に育てましょう

洋ランは、特別な、弱くて、手間のかかる植物と思われています。しかし、
野生のランは大半が森林の中で樹木に着生して、木漏れ日を浴び、雨ざらしで育っています。我が国のセッコクやフウランと同じです。洋ランの栽培の標準とされているのは、植木鉢に植えられ、温室の中で、決まった遮光率と、定期的な水やりで育てる方法です。しかし、寒い時期を除けば、セッコクやフウランと同じように、木漏れ日・雨ざらしで育つのです。ここで、鉢植えだけが、野生と異なっているので、「根を薄着」になるように、植えます。

子育てより難しい洋ランはなく、料理より難しい作業はなく、小児病より難しい病気もない

洋ラン栽培には色々な世話があると考えがちですが、基本は、植え方、水やり、置き場所、であることが分かります。つまり、衣食住なのです。そこで、園芸として特別の目で見ないで、自分が生活したり子育てをすると思って世話をすれば、面倒な約束を覚えないでもうまくいきます。

日ごろの世話は子育てのように、節目の作業は料理のように

子育てが本の通りでできると考えている人はいないと思います。洋ランも、マニュアル通りでなく苗の様子を良く見て、変化に合わせて世話をすれば、育ちます。透明ポット植えは、植え込み材料や根を見ながら育てるのに不可欠です。遮光シートを掛けて日除けをし、水やりを控えていては、花は良く咲きません。原産地のように、着生ランは根を土と鉢に閉じ込めずに薄着にし、日除けの代わりに木漏れ日を利用するのが自然です。
洋ランの世話は細かく分けても10種類くらいしかありません。料理のようにレシピに従ってやれば難しいことはありません。難しく複雑な方法はうまくいきませんが、易しくて単純な方法ならうまくいきます。
7.19追記

の基本(植え方水やり置き場所

以下の3つで、大抵のランは、根腐れしたり枯れたりせず、育つようになります。春は生長開始で植え替え・昇温、夏は伸長で降温・日除け・肥料と水、秋は充実で日当たり・昇温、冬は開花で夜の昇温がポイントです。

衣:根を薄着にし、様子が分かるよう透明ポットに植える
食:水やりは、食事と違って、規則正しくする必要は無く、ランは乾燥に強いので毎日やる必要も有りません。夏は週2−3回(2は枯らさない、3は咲かせる)、春と秋は週1−2回(1は枯らさない、2は咲かせる)、冬は週1回位やるとよいです。少なくても少し生長が鈍るだけです。春夏、夏秋の切り替えは真夏日(最高温度が30℃)の初めと終わり、梅雨入りと秋分頃。
肥料は植え替え後の置き肥だけ。種類ごとにいつはやるなと細かい指示がされていますが、守らなくても少し花が減る位です。
住:春と秋は温度を高く保って生長を促進する、夏は温度を抑えて夏バテを防ぐ、冬は夜間温度を高く保ってやる、という3つに分けると良いと思います。春と秋は木漏れ日、夏は木陰、早春と晩秋は日向、冬は日当たりのよい部屋です。春夏、夏秋の切り替えは真夏日(最高温度が30℃)の初めと終わり、梅雨入りと秋分頃。

物事は何事も易しいことから始め、順に高度にしていけばればうまくいきます。もう少し詳しく説明すると

植え方については、透明ポットへの鉢換え、芯入りへの衣替え、多芯入りへの植え替え、の順に慣れていきましょう
水やりについては、梅雨から初秋までの期間が、最も根腐れしにくく、生長のために水やりが必要なので、易しい期間です。その時期まで持ちこたえ、その後は水やりを調節することを学びましょう。シンビジウムは根腐れしにくく、吸水量が多いので、常に水切れさせない水やりとなり、別扱いです。それ以外については、初めのうちは、透明ポットの鉢の中を見て、半分ほど乾くのを確かめて水やりすれば安心です。慣れてきたら夏は1、2日おきまたは週2回、春と秋は3-4日おきまたは週3回、冬は、1週間水をやらないと植え込み材料が乾いて撥水性になるので、週1回とします。肥料は、長期間持つ化成肥料の粒を植え替え後しばらくたって置き肥すれば終わりです。

置き場所については、早春と晩秋が日向で良いので一番単純です。晩春から晩秋まで(真夏を除いて)は、木漏れ日でよく、日焼けの心配が少ないので次いで易しい時期です。梅雨明けから9月一杯くらいは、直射日光では日焼けするので害が出やすいですが、日光と高温をどのくらい利用できるかが開花を左右する大事な時期です。一方、雨ざらしについては最高気温五30℃を超す梅雨時から9月一杯までは、雨ざらしにした方が、水が十分で旺盛に生長し・水不足に依る日焼けを予防でき、害虫を抑えられるので、良く、一番気楽な期間です。ただし、水はけの悪い植え方は禁物なので、「薄着」植えにし、ミズゴケ植えは根の強い種類以外は、雨ざらしでは根腐れしやすいので、バーク植えに統一すると安全です。
棚上・遮光ネットから、地上・木漏れ日へ変えると、高温期には昼ばかりでなく夜の温度が下がるので、夏負け防止や、夜の生長に役立ちます。

洋ラン小学校から洋ラン大学へ

ここでは育てるのではなく、自分が勉強するつもりです。易しい種類の小学校から、難しい種類の大学へ向かって、順に進めることによって、誰でも殆どの種類を咲かせられるようになるでしょう。

電子教科書と洋ラン合格ノート

大人が以前に使っていた教科書で学び直すとか、学校の教科書が電子化されるとか、東大合格性のノートは美しいなどと言われています。
HPで生の記録の日記が延々とあって、最後まで見たけれど知りたいことは載っていなかった、ということが良くありますが、ここでは、体系的に整理した知識を載せて「電子教科書」「洋ラン合格生のノート」になるようにしたいと思います(7.21)。

3 このホームページの目標

このホームページでは以下のことを目標にしています。
家庭で、温室なしで育てる、遮光シートも殆ど使わない
普通に手に入り特殊な性質でない、15の属の洋ランを対象にする
特別な手間や、煩雑な作業なしに、易しくできる世話をする
どの種類も同じような世話で良い
毎年花が咲く
そのために、低温・強光種、ミニ洋ラン、中温・中光種、高温・単茎種の4段階(群)に分けて、その順に挑戦していきます。
15の属とは普及している種類を、学問的とは別な基準で仮に次のように分けました。その内で、園芸店やホームセンターで開花株の売られているような普及種を対象にしています。
5大属:シンビジウム、デンドロビウム、カトレヤ、コチョウラン、パフィオペディルム、
新5属:オンシジウム、エピデンドラム、ジゴペタラム、セロジネ、バンダ、
続5属:デンファレ、アスコフィネティア、デンドロキラム、グラマトフィラム、キンギアナム(フォーミディブル)
高山種で夏の暑さに弱い、ミルトニア、リカステ、マスデバリア、オドントグロッサム、ソフロニチスは除いています。
本は、種類ごとに出される位ですが、ここでは、共通点の方を大事にしています。
洋ラン園でないと手に入らない種類や、品評会に出せるような立派な花を咲かせること(道楽の領域)は、含まれていません。

4 枯れない育て方から咲かせる育て方へ

洋ラン栽培の悩みは、枯れる、と咲かない、で代表されます。
このHPの前半で目標とする、枯れないについては、主に、植え方と水やりの方法が課題になります。基本的には、洋ラン栽培を始めて間もないころを想定しているので、種類に依らず、易しい方法が望ましいです。また、1年を通じて過湿と過乾を防ぐと、同じ注意を払うことができれば良いのです。
これに対して、後半で目標とする咲かせる、では、日光・高温・水(肥料)をどう利用するかが、課題になります。複茎種の脇芽を大きくするとか、単茎種の新根・新葉をどんどん出させる、という目標は余り種類に依りませんが、開花期と生長・休眠期、冬に必要な最低気温、植え替えの適期、日射量など、種類によって異なる性質を知って、それに合わせることが追加で必要になります。グループ内でも産地などに依って異なることを知らなければなりません。色々なことを適期に行う、季節によって注意する点が異なるという要素が加わります。
「枯れないけど咲かない」から脱却するにはこのようなことが必要になります。
7.31追加

5 初めての洋ランから洋ラン名人まで(洋ラン小学校から洋ラン大学)

洋ランを育てる共通の目的は花を咲かせることでしょう。しかし、殆どの人は、開花株の花を楽しむだけです。また、本には、名人級の人の咲かせ方のことしか載っていません。花の咲き方にもいくつかの段階があることが分かります。それに合わせたやり方をすると、初心者の段階から花を楽しむことができます。
(1)開花株を入手して楽しむ(根付き切り花とでも言えるでしょうか、初めての洋ラン・小学校)
(2)苗が弱らないうちにもう一度だけ花が咲く(おみやげ花と呼ぶことにします、洋ラン入門・中学)
(3)大きい親株を入手したのでしばらくその勢いで花が付く(親株の名残花と呼ぶことにします、初級・高校)
(4)入手時と同じかそれ以上に株を充実させ毎年花が咲く(毎年咲き、大輪・群開・株立ちへ、名人・大学)、です。
花が咲いたと喜んでいるうちに咲かなくなってしまうことが大半ですが、それは、途中の段階にとどまっているからです。このHPでは、それぞれの段階を区別して、それに必要なことを明らかにして、誰でも名人になれるようにすることを目標にしています。
本には最大公約数的なやり方一通りだけが書かれていますが、初心者から経験者まで、やり方は変わる方が自然です。

6 これまでのやり方で枯れたり、咲かなかったら、チェンジ!

本に書かれている通りにやっても枯れて困っている人が多いと思います。また、本に依って食い違っていたり、種類や時期に依ってとても複雑に異なることが要求されていて実行不可能なこともあります。経験者には適していても、初心者には合っていない方法もあります。このHPでは、初めての人向きの育て方が易しくなる方法少し慣れてきた時の花を楽しめる方法、名人を目指すための課題、と言った段階にそれぞれふさわしい方法を提案します。

7 年間の世話・季節の世話・毎月の世話/主な作業・置き場所・開花日記

洋ランの栽培書などでは大抵種類と12か月に分けて世話の仕方が説明されていますが、年間の世話は、主な作業とその他に分けて、またもっと大きなまとまり、季節の節目での切り替えを基本に考えると良いと思います。
年間の大きなまとまりは、室内と屋外で育てる場合は、特に夏は高温を抑え、日焼けを抑えて夏バテさせない、それ以外の季節は基本的にできるだけ高温と日当たりに気をつけるのが良いと思います。季節では夏と春・秋の境目は昼の最高温度により決まり、最高温度30℃の真夏日の始まり・梅雨入り時と終わり・秋分が目安になります。また、屋外と屋内の切り替えは、普通は最低気温15,10,5℃(高温・中温・低温性種)を境にしていますが、昼の日射と高温を利用し、家を狭くさせないために、春は、晩秋は、10,11,12月一杯に取り込むことができます。最後に具体的な毎月やもっと細かい時期に分けた作業を整理します。

開花日記

色々な種類がいつ咲くかは、どのランを育てるか選ぶときや、世話をするのに役立ちます。月ごとにどんな種類の蕾が出て、どんな種類の花が咲くかの例を書きました。花が咲きやすいのは、シンビジウム、デンドロビウム、アスコフィネテキア、エピデンドラム、コチョウランなど、花が比較的長持ちする(または咲き続ける)のは、コチョウランを筆頭にシンビジウム、エピデンドラム、オンシジウム、年に複数回咲くのは駿河蘭などです。





III チェンジ



1 なぜ、これまでと違う方法にするのでしょうか
 これまでの方法は危険がいっぱい

これまでの方法は、慣れない人には危険が多く、コツをつかむ前に大半の人が枯らしてしまいます。
苗の入手
低温開花期に、花を見て入手:生長期までに枯れたり、次の花が咲きません
開花したての小さな株が売られている:温室でないと次に咲きにくいです
水やり
鉢の表面を見ながらの水やり:往々にして中が湿っているため、コツをつかむまでは根腐れが避けられません、鉢任せでは手がかかります
種類・季節・人により異なる水やり間隔:処方箋ではないので絶対視する必要はありません
鉢底から流れるまで水やり:一度乾いた鉢は水が素通りしています
植え方
植え替え:慣れないうちは枯れる最大の原因です
透明でない鉢に植える:湿っていても、根腐れしていても分かりません
スリットのない鉢に植える:上は乾いても下が湿っています
小さめの鉢に植える:枯れたり、生長不振で花が咲かなかったりします
バンダのバスケット植え:毎日水やりできないと大抵枯れてしまいます
ミズゴケは固く:貴重な資源を使いすぎで、地球に良くありません

7.5cmポット、夏、水やりから3日、左から、鹿沼土、バーク中粒芯入り穴開け、穴開け、穴なし、
中を見ないと湿っているのが分かりません、また、穴がないと底近くは水が溜まっています。
置き場所・遮光・防寒など
種類ごとに小刻みな段階の遮光率:殆ど実行不可能です、遮光しすぎで花が咲かないことがあります
種類ごとに異なる冬の最低温度:ひとまとめの世話ができません
最低温度で鉢を出し入れ:貴重な日光の恵みを活かせません
雨除け:高温期の雨ざらし、夏負け予防・生長旺盛・開花促進・害虫駆除、を利用していません
世話全般・肥料・農薬その他
毎月決められた世話:気候は年に依り変わります、変化の少ない月もあります
易しい種類も難しい種類もそれぞれの方法:複雑で、実行不能で、あぶはちとらずになりやすいです
頻繁に液肥、秋には肥料分を残さない:手間が大変です、肥料分が溜まると危険です
定期的に殺虫剤・殺菌剤を撒く:冬の室内では人が吸います
初心者や、ランにそれほど手を掛けられない人には、それに合った方法の方が無難です→チェンジ
これまでの洋ランの栽培法は英国・米国が基本と思われます。ロンドンやニューヨークは樺太・宗谷と緯度が同じです
むしろ東洋蘭や和蘭の育て方の方が、日本の風土に合い、陰湿はいらず、根腐れが起きません。


2 チェンジ



3.2 チェンジ:21世紀の栽培法へ

一覧はリンク先にあります

(1)枯れない方法(これまでの教科書通りでは、やはり枯れる、難しい、複雑で大変という人に)
蘭の世話は、植え方・置き場所・水やりが三大ポイントです
@植え方:3段階で:(i)初めは透明ポット(ペットボトル、透明コップで代用可)に鉢替えだけ
(植え替えは最も危険)
 

左:透明ポット(ペットボトル、透明コップ可)に鉢替えして中の乾きを見ながら水やり 右:透明コップ植え、底近くに横穴開け

(ii)少し慣れたら芯入りに衣替え・鉢緩め

  
 左:中芯入れ 中:一回り大きい透明ポットに衣替え 右:隙間にミズゴケを入れて裸の根を包む、底近くに横穴開け

(iii)本格植え替え:根腐れはこうして防ぐ:ほぼ全種、透明ポット・鉢底敷・角棒芯・中粒バーク・横穴開け植え(根を薄着に)で大丈夫

 

透明ポット(ペットボトル、透明コップ可)に鉢替えして中の乾きを見ながら水やり
  
発泡スチロール芯を入れた様子(見やすくするため植えていません)

 

 根の間にスチロール角棒芯を多数入れて植え換え、植え込み材料の塊をなくし、根を1本づつ薄い層で包む積りで
植え込み材料は薄い壁状になり、根は「薄着」で、植え込み材料の表面積は広く、空気が根に届きやすい
根腐れの心配から解放されます。

 
鉢底にスチロール板を敷いて、排水を良くする 鉢底近くに横穴をあけて中を上から下まで均一に乾かす
 
芯入り植えは、種類や苗・鉢の大きさに依らず、バーク中粒またはミズゴケだけで育てられる

(iv)バンダも簡単:ウレタン芯・ミズゴケ層・塩ビ網包みの巻き寿司植え(薄着)・吊り鉢

 
根腐れしやすいバンダの根も、「薄着」で快適、裸でないので乾燥しすぎない、他のランと同じような水やりで済みます。

(v)シンビは根が強いので普通でOK


シンビは根が強いので不透明広鉢(スリット入りが安心)

植え替えの時期など
新根より古根のことを考えて、植え替え後なるべく早く水やり

A置き場所:
温室・遮光シートの代わりに自生地と同じ屋外・(地上)木漏れ日

これまでは、温室・遮光シートが暗黙の標準です
(i)ここでは温室なしが標準です、遮光に頼るのは生長に必要な日光と高温を忘れがちです
(ii)場所を固定して種類と月ごとに遮光率を変えるより、季節に合わせて日向・木漏れ日・木陰を移動する方が育てやすいです
 
春・初夏:日が強く真上・真西から照るので、日焼けに注意が必要です
真夏:木や夏草の陰に置いたカトレヤ 真夏は地上近くに置くと乾きが少なく水やりが楽で苗も疲れません
秋:日が低いのでシンビジウムの葉陰に置いたミニカトレヤ、日が弱いので大半の種類は日向で大丈夫です
  

B水やり:
(i)鉢の表面でなく透明鉢の中を見て水やり、
(ii)底から流れるだけでなく、中が完全に濡れるまで(バークでは真夏は水がたまるまで)

  
左:透明容器で中の乾きを確かめるので、過湿になりません 右:高温期はシャワーで中が濡れるまで、どの種類も定期的に一斉に

(iii)食事とは違い、夏は週2-3回(2は枯れない、3は咲かせる)、春秋は1-2回、冬は1回でOK


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(2)咲かせる方法−枯れないだけでは咲きません

枯れない方法から咲かせる方法へチェンジ
枯れないようにできたら、安心して咲かせる段階へ進めます
根腐れ知らずで、鉢を大きく、日光・高温・水やりを十分にして咲かせる
苗選び
大きな親株ほど良く咲きます
植え方
鉢の大きさ、最低7.5cm、これまでより大きく
芯入り横穴開けで乾きを早く均等にして、水やり間隔を短く
置き場所
屋外への出し入れ時期は最低温度だけでなく、日射の活用を考えて
冬の最低温度を15℃に保てれば、春のスタートが早く、開花がぐんと増える
水やり
夏は根腐れしにくくぐんぐん大きくなるので、積極的に水やり、新根に土寄せ
その他の世話
シンビの芽欠き
置き肥、植え替え後の支柱立て、夏の土寄せ
咲かせる
易しい種類から順番に:@シンビ・デンドロ、Aミニ洋ラン、Bオンシ・カトレヤなど、Cコチョウラン・バンダ
出来上がりから遡る:@咲いた花を楽しむ、A二番花付き株、B脇芽付き株、C新しく脇芽を育てる

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(3)環境に優しく、手間を減らして

植え方
ほぼ全種・全ての大きさを、バーク中粒の同じ植え方で
 

右:径12cm透明ポット、左からバーク中粒芯入り2段穴開け・乾きは大粒と大差なし、大粒2段穴開け、大粒穴なし、同時水やりの左の7.5cm径と大差なし

シンビは鹿沼土、バンダは巻き寿司植えで、他と同じ水やり間隔
ミズゴケは柔らかく少なめに

置き場所
温室(と遮光シート)は不要、日向・木漏れ日・木陰
夏等の雨ざらしで害虫退治・夏負け防止・開花促進・水やり減らし
高温期は木陰で乾きすぎを抑え、頻繁な水やりは不要
水やり
水やりは夏は週2-3回、春秋は週1-2回、冬は週1回、一斉にシャワーで頭から(調節は植え方でします)
年間の世話
毎月から、年間の世話へ真夏とそれ以外:夏は降温・水多め、他は保温・昇温・水少なめ
毎月から、四季の世話へ最低気温から生長期の最高気温へ:夏日、真夏日、猛暑日
春は日向(日焼け注意)、初夏は木漏れ日、真夏は木陰、秋は葉陰・日向
毎月から二至二分・日の高さへ:冬・春(春分)・梅雨(夏至)・梅雨明け猛暑(猛暑日)・秋雨(秋分)・初霜(冬至)等の区切り
その他の世話
丈夫な種類を無農薬栽培で
液肥なし、肥料は年1回の置き肥だけ
鉢増し・土寄せ





IV 洋ランの世話のレシピ

初めに

洋ランの栽培書は大抵種類ごとに分かれ、中は12カ月に分けて作業を述べていることが多いです。その結果、基本的、共通のことがおろそかになっています。ここでは、種類に依らずに、初めての人に適した、基本的な作業から紹介していきます。易しくて、種類に依らないことを、余り手間をかけずにやっていくだけで、これまで言われていた難しさがうそのように、良く育って咲くようになります。必要なのは種類に依らない植え方、適切な置き場所、定期的な水遣りだけです。

目次

初めて/小学校
苗の選び方ー大型種・大株が楽で咲く
透明容器への鉢替え−根腐れが減り、水やりが楽に
芯入りへの衣替え−根腐れが減る
水やり−鉢の中を見ながら、高温期と低温期の間隔
新芽を育てる/中学校
ミズゴケ植えをやめる−根腐れが減り、部屋の害虫・カビ臭が減り、自然保護
透明容器・やや大鉢・芯入り・バーク中粒の標準の植え方−根腐れが減り良く育つ
鉢増し−大きくなり咲きやすくなる
高温期の木漏れ日栽培−遮光不要で大きくなり夏越しが楽で咲きやすくなる
高温期の雨ざらし−大きくなり、害虫が減り無農薬
低温期の日向・保温栽培
バンダの巻寿司植え−他の種類と水やりが同じで、咲きやすく
大株作り−蕾を着ける/高校
土増し−大きくなる
初霜前まで屋外に−日射を有効に使い、部屋を占有しない
蕾を咲かせる/大学
冬の高温栽培−根腐れから解放され花が咲きやすく
内容はそれぞれリンク先にあります





2 方法の特徴
植え方・置き場所・水やりだけ


まず枯れない育て方、次に咲かせる育て方へ

(1)枯れなくて、自然で、簡単な育て方(初めての洋ラン)

@植え方
透明鉢に鉢替えすると水やりが安心になります。
少し慣れたら芯入りに衣替えすれば根腐れは激減します。

を野生に近づけ、育児と料理の要領で
衣:植え方:根を薄着に:根腐れが減る全種向きの多芯入りバーク透明ポット植え
食:水やり:夏週2-3回、春秋週1-2回、冬週1回、中を見て湿るまで
住:置き場所:木漏れ日、木陰、日向:温室・遮光ネットなし、夏は降温・水多く、他は昇温・水やり注意



(2)咲かせる育て方、手間いらず、環境に優しい育て方

咲かせる育て方:大株・やや大鉢・木漏れ日・高温・たっぷり水やり・雨ざらし
丈夫さで四群分け色々な種類を順に同じような世話でマスター
上達までの四段階:初めて(小学校)から名人(大学)まで、いつでもどんどん開花
病虫害:予防と早期発見、無農薬
省資源、手間いらず:温室不要、ミズゴケ・バークは少なく、種類・大きさに依らず同じ植え方、水やりは一斉に
年間・季節・毎月の世話:主な世話=水やり・植え替え・置き場所/最低気温より最高気温に注目、気候変化と苗の生長サイクルに合わせて


(3)洋ランの標準栽培法

誰でも、大半の種類が、同じ方法で、易しく手間いらずで育てられ、枯れにくく、咲きやすい方法

(4)洋ラン15属、和蘭・東洋蘭5属の育て方と咲かせ方

初めて・小学校では開花株を入手して楽しみ枯らさないようにします
入門・中学校では、入手した株に付いていた花茎や脇芽で二番花を楽しみます
初級・高校では、親株の力を利用して新しく脇芽や花茎を育てて、お土産花を楽しみます
中級・大学では、入手時以上に育てて毎年咲かせます
名人・大学院では、咲きにくい種類を咲かせるコツ



第1部 4段階・4群に分けて順に咲かせていく方法

前半:枯れない育て方−植え方と水やりが重点−
1 初めての洋ラン(洋ラン小学校)

@段階別目標:枯らさない、洋ランに慣れる
A群別目標:シンビ・デンドロを咲かせる

初めに
低学年
(1)段階別育て方・咲かせ方:枯れにくい植え方と水やり
ランはなぜ枯れるのでしょうか
開花株を楽しむ
(2)チェンジ−これまでのやり方で枯れたり腐ったら
@苗の入手を低温の冬−早春から高温の晩春−夏へ
Aプラスチック鉢・素焼き鉢から、透明ポット・ペットボトル・透明コップへの鉢換え
Bポットの横穴開け
C鉢の表面を見ての水やりから、鉢の中を見ての水やりへ
(3)群別咲かせ方:初めはシンビジウム、デンドロビウムから
洋ランの咲かせ方−種類別攻略法(1)入門向きのシンビ、デンドロ(強光・低温種)小学校
(4)洋ランの世話のレシピ
苗の選び方と入手時期
透明鉢(ペットボトルや透明コップで代用可)への鉢換え・横穴開け
洋ランの置き場所−温室なし、遮光シートなしで元気に育つ、引越、作業暦
洋ランの遮光−木陰、物陰の利用
洋ランの雨除け
洋ランの水やり−易しくて失敗がない
高学年・飛び級
(1)チェンジ−枯らさないために
植え替えはせずに、芯入りへの衣換えへ
洋ランの植え換え−根腐れを減らす、透明鉢替え、芯入り衣替え、多芯入り植え替え(根を薄着に
透明ポット・底板敷・多芯入りバーク植え・底横穴開けだけで何でも育つ
(2)洋ランの世話のレシピ
洋ランの衣換え・鉢増し
洋ランの植え換え−根腐れを減らす、透明鉢替え、芯入り衣替え、多芯入り植え替え(根を薄着に
(3)飛び級−入門(中学)
初めてのミニコチョウラン(室内)
洋ランの観察−鉢の湿りや芽や根を見て名人に
まとめ−根腐れから解放

2 洋ラン入門(洋ラン中学)

@段階別目標:もう一度花を楽しむ、色々な種類を育てる、
A群別目標:ミニ洋ランを咲かせる
初めに−目標:開花株に二番花を咲かせること

(1)段階別育て方:二番花を楽しむ
A洋ランはもう一度咲く開花可能な株を選ぶ
(2)チェンジ−これまでのやり方で枯れたり腐ったら
小さすぎる鉢をやめる
植え込み材料はバークだけでできる
遮光シートから木漏れ日の利用へ
植え替えから多芯入り植え替えへ
ミズゴケはやわらかく
(3)群別咲かせ方:ミニ洋ランは育てやすく咲きやすい
A易しくて咲きやすいミニ洋ラン、カトレヤ、コチョウランなど、中学
ミニカトレヤ、ミニコチョウラン、ミニオンシ、アスコフィネティア(ミニバンダ)、エピデンドラムは丈夫で咲きやすい
(4)洋ランの世話のレシピ
洋ランの植え替え後の遮光、水やり
洋ランの鉢−育てやすい透明ポット、種類を少なく、根腐れしないなら大きめに
洋ランの植え込み材料、汎用・大株用のバーク、水・気を好む小型苗にミズゴケ、地生種のシンビ・パフィオなどに鹿沼土
(5)チェンジその2−これまでのやり方で枯れたり腐ったら
飛び級(高校・大学)
チェンジ
バンダの巻き寿司(恵方巻き)植え根を薄着に
パフィオペディルムの鹿沼土植え
まとめ−2度咲く、日焼け・病気からの解放、衰弱からの解放

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後半:咲かせる育て方−置き場所(日射・温度)・植え換えなど時期・肥料が重点−
3 洋ラン初級(洋ラン高校)

@段階別目標:親株の名残花、株の回復、
A群別目標:複茎・中温種を咲かせる

初めに
(1)段階別咲かせ方
B入手時の親株の力で脇芽が咲く、洋ランの二番花(苗の維持・守り)から株の充実(攻め)へ
(2)チェンジ−これまでのやり方で咲かなかったら
根腐れ・日焼け・枯れの防止優先から、日光・高温・雨の利用へ
洋ランの夏の土寄せ(上からと横から)
小鉢作りから大鉢作りへ
棚上・遮光から地上・木漏れ日へ
洋ランの冬の防寒と夜の加温
(3)群別育て方・咲かせ方:中温・中光・複茎種
B大型のカトレヤやオンシジウムなど(中光・中温・複茎種)、高校
オンシジウム、ジゴペタラム、カトレヤ、(パフィオは後回し)
(4)洋ランの世話のレシピ・咲かせるには
洋ランの芽欠き−複茎種開花のカギ
洋ランの鉢増し−大株ほど花を咲かせる力
洋ランの肥料−開花に必要、簡単な緩効性置き肥
洋ランの株分け−鉢の容量を超えたら
洋ランの高芽取り
洋ランの支柱立て
洋ランの吊り鉢
洋ランの花茎や花芽の出方
カトレヤのシース
咲かせる置き場所
(5)番外−上級編(大学)
大輪コチョウラン、バンダが咲く
まとめ−脇芽の充実と株の回復

4 洋ラン大学(中級)

@段階別目標:年々生長・毎年咲かせる
A群別目標:高温・単茎種や大輪カトレヤを咲かせる

初めに−目標:大きな脇芽、大きな葉で、毎年咲く
(1)段階別咲かせ方
C親株並みの大きな脇芽・毎年咲く
(2)チェンジ−これまでのやり方で咲かなかったら
洋ランの冬の防寒と夜の加温
(3)群別育て方・咲かせ方
C豪華なコチョウランとバンダ(高温・単茎種)、大学
(4)洋ランの世話のレシピ
高芽取りから咲かせる
洋ランの春の芽出し

番外
5 洋ラン名人(上級):未開花株から咲かせる、大株仕立て、高山種など

未開花小苗から咲かせる
小型シンビジウム、ミニカトレヤ、ミニコチョウラン、エピデンドラム、アスコフィネティアが咲きやすい
まとめ−より大きく色と形の良い花・たくさんの花数へ、咲きにくい種類へ
カトレヤ、パフィオも咲く







VI 洋ラン大学院(専攻・選択科目・名人)目次


1 初めに

洋ランの栽培書は大抵種類ごとに分かれ、中は12カ月に分けて作業を述べていることが多いです。慣れない人が、色々な種類を育てようとすると、やたらに複雑になって大変です。
さらに、「この種類はこういう特別な処理をしないと咲かない」式の注意事項が満載です。咲かないとそのせいかと悩んでしまいます。
しかし、洋ランの多くは、大きな株になり、健康であれば、このような処理をしなくてもある程度は咲きます。咲かないのは、これらの特殊な世話をしないためではなく、根腐れを恐れるあまりに水不足で生育不良、日焼けを恐れるあまりに日光不足、などが原因であることが多いのです。注意事項は、「もっとたくさん咲かせたい、毎年確実に咲かせたい」ための世話と考えても良い位です。
洋ランを咲かせるには、まず、枯らさない育て方(植え方)を身につけ、株を大きく育てる育て方に発展させることが大事です。そうすると、大抵の種類はこれまで格段に良く咲くようになります。従って、従来の栽培法に代わって、ここで提案している「標準栽培法」にすることによって、普通の人が色々な種類を一緒に扱っても花を咲かせやすくできるのです。また、初めから12カ月に分けて作業を機械的に進めるのではなく、体感できる最高気温を目安にして、夏は根腐れの心配が少なく過熱と日焼けを抑え水やりを十分にしてぐんぐん生長させ、それ以外の季節は日光と高温の恵みを生かし、水やりは根腐れに気をつける、という一年を二分した育て方の切り替えをもとにして、次は季節の変化に対応していき、さらに段々に細かい変化に合わせればよいのです。
こうして、多くの種類がこれまでよりも見違えるほど咲くようになりますが、そうすると、同じ世話では咲きにくい種類が見えてきます。種類によっては、それでも咲かなかったり、花が少なかったりということがあります。そこで、その上で、種類特有の注意をしたり「開花処理」をすることが効果的になります。例えば、「デンドロビウムは秋に寒さに合わせることが必要」、「冬にコチョウランの開花株を出荷するために夏に冷房する」などです。これは、洋ランが世界の各地に自生しており、季節の移り変わりや雨季・乾季と生長期・休眠期が異なるので、それを種類に合うように再現してやるとより良く咲くようになると考えられます。
種類ごとの世話の指南にうずもれている、種類特有の世話だけを取り出して、標準栽培法に加える部分が、「大学院」です(専攻)。きめ細かく自生地の気候を再現しようとするときりがありませんから、これまでの指南書を全て守ることは考えていません。最小限を、実現できる範囲から試してみたいと思います。ただし、対象とする種類は、特殊なものではなく、園芸店で入手できる一般的な種類だけです。
大学までの標準栽培法は、枯らさない、咲かせる、ための、基本的な世話でした(必修課目)。大学院の内容は、種類ごと、世話ごとの、特殊な内容なので、初めからやるのは無理があります。また、「そこまで手が回らない」人は必要と感じるまではやらなくても構わない、世話です。選択科目)むしろ、自分なりの標準栽培法を突き詰めて、咲きにくい種類があったら、ここで紹介する「処理」をできるところから実行して効果を確かめれば、「自分に合った必要十分な処理」を発見できると思います。

2 種類ごとの開花処理の概要(カリキュラム)

詳しくは、「各属の開花記録・大学院」に述べてあります。yorantaroさんのホームページを参考にさせていただいています。http://www.geocities.jp/yorantaro/ichiran2.htm
特別な処理・世話は、
(1)夏の暑さに弱くて秋から冬に育つ種類が多く、色々な種類に共通で、注意点は数種類のみです。
(2)シンビも含めて、新しい脇芽をできるだけ大きく育てるのが目標のようです。
(3)また、低温に遭わせて花芽の形成を促進する、葉芽になるのを防ぐことが多いです。

五大属(基本種)

1 シンビジウム: 脇芽欠き、なるべく植え替え・株分けをしない
2 デンドロビウム:秋の低温・乾燥処理、秋の雨除け
3 カトレヤ:季節咲きによる世話の違い、大輪は冬の高温
4 コチョウラン(=ファレノプシス):低温処理、冬の高温、入手株根腐れ回復
5 パフィオペディルム:庭の植え込みの木漏れ日、冬の保温、夏の通風

新五属(普及種)

6 オンシジウム:土寄せ・深植え、入手株根腐れ回復
7 エピデンドラム
8 セロジネ:晩秋に花芽が出たら急に暖かくしない、秋冬の日照、小さめの鉢・植え替えより鉢増し、小さく株分けしない、夏は涼しく
9 ジゴペタラム:初秋新芽が出て5cm位で花芽初冬に開花後休止、冬の保温・保水・保湿夏は涼しく
10 バンダ:冬の高温

続五属(花物)

11 ミニバンダ
12 デンファレ(+フォーミディブル)
 デンファレ:秋の日照冬の高温性、春の目覚め加速
 フォーミディブル:秋の植え替え・追肥・日光、初冬の低温・乾燥処理冬の高温性夏を涼しく乾き気味、春の目覚め加速
13 キンギアナム(+大明石斛):初冬の低温・乾燥処理夏は休眠・乾かし気味
14 グラマトフィラム:冬の高温、春の目覚め加速
15 デンドロキラム(セロジネ系):秋の植え替え、春から夏まで休眠・夏は涼しく、晩秋低温処理、年間を通じ半日陰

高山種(夏の暑さに弱い)

ミルトニア(オンシジウム系):秋から冬の日光、真夏は涼しく水を控えめ秋に植え替え・水やり・追肥で新芽を育てる、冬の保温・保水・生長
リカステ
オドントグロッサム(オンシジウム系)
ソフロニティス
マスデバリア

東洋蘭・和蘭

石斛(長生蘭)
風蘭(富貴蘭)
春蘭(+エビネ)
駿河蘭(+報歳蘭)、駿河蘭:四季咲き

植え込み材料について (ミズゴケは貴重な植物)、ミズゴケ・バークの問題点と鹿沼土の薦め
バークの湿りと濡れ 濡れは劣化の基
洋ランの鉢 素焼き鉢、プラスチック鉢から透明ポットへ
洋ランの鉢の大きさ 未熟株の小鉢植えから、大鉢植えで大株へ
複茎種の株のでき方、初花株、大株、群生株
新芽が出てから咲くまで、大株は何回も出るので確実に咲く
花茎の出方
根を育てる
株の維持
洋ランの観察
放任(省力)栽培

2011.1.20 レシピの目次開始、苗の選び方、透明容器への鉢替え、土増し、バンダの巻寿司植え
10.29 専攻と選択科目
2010.10.28着手


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