チェンジ
洋ランの放任(省力)栽培

1 初めに

洋ランの世話には色々な作業があります。
水やり、毎日、数日おき
植え替え、年1回
置き場所の移動、ほぼ毎月
遮光、
肥料、年1回の置き肥から、毎週の液肥まで
農薬散布、季節ごとや毎月など
一年草や、宿根草や、球根や、観葉植物に比べると、世話が多いです。園芸が好きでたまらなくて、時間あり余っている人はともかく、忙しい人にとっては、手間がかかる割に、大抵1年に1回しか咲かないので、効率の悪い植物ではないでしょうか。
それほど世話に手がかけられない人は、何とか減らせないかと考えるでしょう。
害のない範囲で、作業を減らしていきたいと思います。
このHPでの目安を、これまでの方法の平均と比べて表にします
作業は多さと同時に複雑なほど負担が多くなります。また、目安が分かりやすいほど楽で失敗が減ります

本HPの放任栽培とこれまでの方法の比較


本HPこれまで
水やり 最高温期週3回(7-8月)猛暑日、植込材料濡れるまで
高温期週2回(6,9-10月)真夏日・夏日植込材料粒表面湿るまで
中・低温期週1回(11-5月)
高温期毎日(6−9月)
中温期週2回(4-5,10-11月)
低温期週1回など(12-3月)
日除け 日向、木漏れ日、木陰の3段階
12-2月は原則不要
遮光率10%きざみ、月別
種類別
冬の室内取り込み期間 高温性種11-5月
中温性種12-4月
低温性種1-3月(強健種原則屋外)
高温性種10-5月、最低15℃
中温性種11-4月、最低10℃
低温性種12-3月、最低5℃
植え方 透明ポット
バーク中粒など原則1通り
素焼き鉢、プラスチック鉢、バスケット
バーク、ミズゴケ
植え替え原則鉢増し旧材料完全除去
肥料年1回置き肥、植え替え後でなく植え替え時に元肥として 毎月置き肥
各週液肥など
農薬原則なし殺菌剤・殺虫剤毎月1回など
冬の室内防寒2-3月夜間全種できれば最低15℃(輻射暖房)高温性15℃、中温性10℃、低温性5℃


2 それぞれの作業の減らし方

水やりの減らし方−週1−2回に

1初めに
日常の世話で一番多いのが水やりです。これまでの方法では、甚だしいものでは、バスケット植えのバンダや、冬の室内のコチョウランなど、1日に数回霧吹きをしなければならないとか、多くの洋ランが真夏には日に2回水やりしなければならないように、言われています。また、寒い季節を除くと毎にし水やりが半分常識のようになっています。一方、観葉植物では、年間を通じて多くても水やりは週に1回、寒い時期には1月に1回も珍しくありません。特別生長を図ることがないとか、花を咲かせるわけもない置物のようだといっても、洋ランは同じ乾燥地帯の植物なのにどうしてこんなに頻繁に水やりをしなければならないのでしょうか。以下に述べるやり方なら、暑い時期を除いては、どの種類も週1回、暑い季節でも週2回を基本にすることができます。
2010.12.7「初めに」追記

1年を通じて
鉢増し

鉢を小さめにするのも、乾きが早くなる原因で、苗にとっては負担が大きいと思います。根腐れの心配のない範囲で、鉢を一回り大きくすると、乾きを抑えられます。

植え込みの中など

これまでの育て方は、根腐れ防止に重点が置かれ、高い棚の上に置いて、遮光ネットを被せるのも、その意識が背景にあります。自生地でのランは、森林の中に生息し、雨季の雨と樹木から発する水蒸気によりいつも湿り気を浴びています。植え込みの中や木漏れ日の下など、高温期には地上に近い所に置くと、乾きが抑えられ、水やり間隔を伸ばせるだけでなく、ランに優しい環境になります。

真夏の水やり

水やりが頻繁になるのは夏の暑い盛りです。
毎日とか、朝夕やるのが良いなどと書かれています。本当に必要なのでしょうか。
1日おきにしても、苗が弱るようには見えません。
必要以上に鉢が乾かないようにすれば良いのです。
遮光を強めに
どうせ、真夏はそれほど生長しないので、短期間にいくらか遮光が強目でも、害は少ないと思います。
鹿沼土植え
一番水やり頻度が高いのはシンビジウムです。バーク植えは吸水量が少ないため、水不足になりやすいです。鉢増しの時に、根鉢の外側に鹿沼土を入れるようにします。また、表面に根が露出していたら、薄く鹿沼土を敷くようにします。鹿沼土は吸水量はミズゴケとバークの中間くらいあるので、水やり間隔を伸ばすことができます。夏でも1日おきか週2回に出来るでしょう。
鹿沼土植えの利点は、乾いても水を弾くようにならないため、一度さっと水やりするだけで済むことです。バークやミズゴケでは、全体が湿るまで何度も水やりしたり、バケツに水を這ってそれに漬けたりと手間が大変です。
雨ざらし
雨ざらしにすれば、雨の分だけ水やりをしないで済みます。バークやミズゴケ植えの場合は、乾いて水を弾くようになっている場合に回復して、その後の水やりが楽になります。

植え替えの減らし方

1年に1回は根の点検を兼ねて植え替えするのは悪いことではありませんが、植え込み材料の劣化が原因となると話は別です。
根本的には、劣化しやすい有機材料でなく、無機材料に植えることの依って劣化を遅くするのが対策です。シンビジウムなどは、鹿沼土が一つの選択肢です。他の洋ランも殆ど全て鹿沼土で育ちます。植え替え頻度が減れば、それによる生長の暮れがないのも好都合です。キンギアナムなどでは数年植え替えなくても大丈夫です。

肥料やりの減らし方

頻繁に液肥をやるような指示を良く見かけます。即効性があり、以前の有機肥料と比べると清潔でもあったのですが、シャワーでまとめて水やりするのに比べると、水やり変わり戸は言えず、手間がかかります。
この頃は、緩効性の化成肥料があり、頻繁に液肥をやるのに相当するような持続性があります。これを使えば、肥料は年1回の置き日で済みます。夏は休んで秋にやるとか、秋の花芽が出るまでには肥料分が無くなるようにするとか、言われますが、ほどほどに世話をして、それなりに咲けば良い人にとっては、それほど気にする必要はないのではないでしょうか。
年1回でも、植え替えて、日がたってから改めてやるのでは、新しく作業が必要です。いっそのこと、植え替え時に、他の植物のように元肥としてやったらどうでしょうか。

農薬散布の減らし方、無くし方

無農薬栽培の項で書いたように、なるべく強い光に当て、風通し良く、雨ざらしにすることにより、病気や害虫の発生が抑えられます。雨ざらしには、低温期には根ぐされや菌による病気の発生の問題もあるのですが、長雨に当てないなどの配慮をします。
虫のつかないキャベツのように完全を目指すのでなければ、農薬は無くても殆ど大丈夫なようです。ばらのような、農薬漬のような世話の必要な種類は、我慢して育てないという選択肢もあります。農薬がいるだけでなく、いつも病気や害虫の心配と対策が抱えないのでは、おちおち楽しめません。

12.7 本HPとこれまでの方法の比較表、水やりに「初めに」
2010.8.16 掲載開始