目次
初めに
色々な根
太根・中根・細根
根の写真集
根鉢
根の四季
新根と新芽
根を育てる方法
根を入れる
土増し
鉢底近くの横穴開け
植え替え後の水やり
根鉢
新しい根と古い根
根の虫害
洋ランの根は特殊な構造をしています。他の植物と同じ根は、太くて白い根の芯に細く通っていて外からは見えません。見えるのは根を包んで水分を蓄えるスポンジのような層です。
ランは、世界中に、極北から極南まで、また熱帯雨林から砂漠まで、海岸から高山まで分布し、その結果多くの種類に進化しましたが、根の基本的な構造は大体の種類で同じです。
しかし、太さや長さなどは、種類によって異なります。また、パフィオペディルムのように、外見も他の種類と明らかに異なる種類があります。
太根・中根・細根・特殊根
問題 | 対策 | ||
太根 5mm前後 |
1シンビジウム 3カトレヤ 4コチョウラン 13バンダ |
根腐れしやすい (シンビジウムを除く) |
安全植え カトレヤはバーク(大鉢は大粒)植え コチョウランは高温期以外は雨除け バンダはバンダ・ロール(バスケット) |
中根 3mm前後 | 3+ミニカトレア、4+ミニコチョウラン | やや根腐れしやすい |
安全植え 周年20℃前後の室内・広いペットボトル |
細根 1-2mm |
2ドンドロビウム・ノビル 6オンシジウム 7エピデンドラム | 枯れやすい |
安全植え |
特殊 |
5パフィオペディルム セロジネ | 根腐れ・枯れやすい |
安全植え 鹿沼土植え |
植え替えは新根が伸び始めてから、肥料をやるのも根が元気な時になど、根の状態により、色々な世話をします。根が休眠している時に多く水やりすると根腐れが起きます。従って、季節ごとに根の状態がどのように変わるか、根はいつ生長し、いつ休眠するかを知ることは、ランを良く育てるために大事です。
植物は温度が5℃を下回ると活動が止まると言われています。12月は最低気温5℃未満の冬日が始まりますが、昼の温度は、15℃近くあり、種類によっては生長をつづけています。また、高温種のコチョウランも、室内の暖かい所にあれば、根冠が緑で活動しています。
複茎種の春の植え替えの時期は、「新芽か新根が出始めて1cm位になった時が最適」などと言われます。普通には、まず新芽が出て、その根元から新根が出、その一方で親株の根元からも新根が出るというパターンのようです。
根を育てるための目に見える方法があります。
コチョウランの根は、鉢から飛び出していることが多いです。一般には「元気な印、自生地ではむき出しなのだから放っておけば良い」と言われています。しかし、「植え込み材料が良ければコチョウランの根は植え込み材料に向かう」そうです。コチョウランは根が少なく、入手した苗は根腐れしていることが多いので、元気な根は植え込み材料の中でしっかり吸水して欲しいです。そこで、暴れている新根を少しでも植え込み材料の方に誘引して潜り込ませるようにします。ミニバンダも、新根は葉と葉の間から出るので、放っておくと空中に伸びてしまいます。そこで、鉢の縁から入っていくようにします。
植え替えは毎年必要と言うわけではありません。しかし、新根は毎年出てきます。また、高芽からの新根は植え込み材料に届きません。夏に向かって、新しい根が植え込み材料の表面を這って伸びてきます、例えばカトレヤとか、パフィオペディルムです。さらに、元気な苗では、鉢の内側に根が伸びているのが見えます。
これらをどうするかは、これまで述べられたことがありません。これらは、最も新鮮で元気であり、しかも新しく生長するために水と肥料を必要としている根です。そこで、植え込み材料で覆ってやるのが良いと思います。
高芽の新根はその周りに植え込み材料を盛り上げて、覆ってやります。すると、ナメクジの食害に遭うこともなく、早く吸水を始められて、生長が加速します。
表面の新根に対しては、同じく、覆うように、上から、新しい植え込み材料を足してやります。乾きを防ぐ位の積りです。
表面の新根が鉢の縁に届いて回り込んだり、鉢の中の根の枝が伸びてきたりして、透明容器では内側に新根が伸びてくるのが良く見えます。元気な苗では夏頃までには、根がたくさん見えるようになります。また、植え替えをしなかった鉢では、根が一杯になることがあります。このような、「片側がむき出しの根」は、若くて元気いっぱいにもかかわらず、十分に吸水できません。
透明の軟質のポリエチレンのポットでは、少し力を入れると、根と鉢の間に隙間を作ることができます。そこで、間に新しい植え込み材料を追加して、新根を覆ってやります。これにより、生長に弾みがついて、苗はますます大きくなり、高温の時期にも水切れが少なくなり夏越しが楽になります。
「水やりは、鉢底から流れるまでやって、鉢の中に新鮮な空気を入れる」と良く言われます。根を育てるのとはちょっと違いますが、柔らかい容器の柔らかさを利用すると、簡単に鉢底近くに横穴を開けられます。効果の第一は、湿りがちな鉢底近くの乾きが速まって、根腐れから解放されることです。また、第二は、上に近い速さで下まで乾くため、水やり間隔を縮められるので生長が良くなることです。しかし、第三に「底の方の根にも常に新鮮な空気が触れている」ことがあるのではないでしょうか。これらが相まって、根が健康になり、結果的には根を育てることになっています。
植え替え後は、普通は1週間たってからなどと言われます。しかし、それでは、その間の吸水は止まり、根が乾いてしまうかも知れません。
根の虫害とは、余り馴染みがありませんが、「新根の先をナメクジに食べられると1年花が咲き損なう」とも言われます。カトレヤやオンシジウムは、新しい脇芽が地上の少し高い所から出て、新根がその根元から出て空中にある時期があります。その時に柔らかい新根の先をナメクジに食われてしまうと、新芽の生長が悪くなり、花が着かないことがあります。