洋ランの観察


目次
初めに

1 初めに

洋ランは、良く見ると、一年中何かしら変化しています。また、種類や鉢ごとに、鉢の乾き方や、芽や根の出方や、病気や害虫の様子も異なります。一方、屋外では気候は極端にいえば毎日少しずつ移り、天候や温度は変動します。変化をみるのは楽しく、また、苗の出す信号に敏感であれば、それだけ、良く育てることができます。

2 色々な観察

洋ランを毎日見ていると、生長が楽しめるばかりでなく、世話や、咲かせたりするのに役立ちます。栽培書に書かれていることも、観察しながら生かすと一層役立ちます。

2.1 鉢の中

日常の世話で一番大事なのは鉢の中の観察です。透明ポット植えはその唯一の武器です。鉢の中の乾き方が見えると、根腐れしにくい水やりができます。また、ミズゴケやバークは乾くと水がしみこまなくなり、水やりしても、苗の乾きが止まらず衰弱しますが、鉢の中が見えると、そのことが良く分かります。
鉢の中での根の健康状態や、根が伸びだしたかどうか、根詰まりして植え替える必要がないかなども分かります。春の生長開始が始まったかどうか、順調かが分かり、また、苗が元気かどうかが分かります。植え替えがうまくいっているかどうかも分かります。
高温複茎種では、入手した開花株の根は休眠状態になっていることが良くあります。コチョウランでは、鉢表面を這ったり、空中に伸びた気根は、艶がなく、先端に根冠がありません。バンダも同様です。苗に活力が残っていて、気候が良くなり、吸水を始めるなどすると、根の表面に艶が出てきて、その内新しく根冠ができ始めます。

2.2 新芽の生長

複茎種では、新芽の生長が開花にとって一番重要です。芽が出てくるかどうか、いつ出てくるか、数は適当かなどを見ます。また、新芽は病気にかかったり、ナメクジに食べられたりすることが多いので、色の変化などに注意します。芽の根元には新しい根が出ます。根が順調に植え込み材料に入っていくと脇芽の生長も良くなります。

2.3 葉

単茎種では、基本的には脇芽が出ることは無く、生長は、生長点から新しい葉が出ることです。従って、新葉が出ていれば、順調に伸びているかどうかに気をつけます。また、新しい葉が顔を出してくるようなら、苗が元気な証拠で、その内花茎が出てくるかも知れません。
その一方で、単茎種では、少ない葉が、日焼けや、病気や、低温や、風通しの悪さなどで、落葉すると被害が大きいです。予防に努めますが、異常の兆候に注意します。
複茎種でも、日焼けや病変に注意します。また、新しい脇芽の葉の長さや幅が、親並みになるかどうかは、花が咲くかどうかを決めます。

2.4 花芽と花茎

複茎種では、新しい脇芽が充実すると根元から花芽が出てきます。
単茎種では、元気であれば、根元近くの葉と葉の間から、花茎が出てきます。また、枝咲き種では、開花後に残しておいた花茎から再び枝が出てきて咲くことがあります。その前に、花茎の先端近くまで花が開くと、先端に新しく蕾が大きくなってくることがあります。

2.5 株の大きさや葉の枚数

複茎種では、知らないうちに年々脇芽が小さくなっていることが多いです。また、コチョウランやバンダの単茎種では、葉の枚数が減ることが多いです。そうすると花が咲かなくなるので、入手したときにどうだったかを記録しておくと参考になります。未開花の小株が咲くまでや、開花年齢に達したばかりの小株が咲かなくなったという場合も、標準的な開花株の大きさを知ることができれば、入手した時の大きさが参考になります。

2.6 病気や害虫

高温期から低温期に変わる時のパフィオペディルムの突然の根腐れ、うっかい直射日光が当たった時のコチョウランやバンダの日焼け、雨の日などのナメクジの食害、カイガラムシや葉ダニの繁殖などは、日ごろから苗に気をつけていると早く分かり処置ができます。

2.7 日当たりや温度

日の出日の入りの位置による朝夕の日の当たり方や、西日の当り方、真昼の日陰や木陰の長さ、などは、毎日少しずつ変わっていきます。日焼けに注意しながら、なるべく日光の恵みを生かすためには、観察が役立ちます。


7.19「株の大きさや葉の枚数、病気や害虫、日当たりや温度」追加
2010.7.18掲載開始