洋ランの遮光と言うと、反射的に30パーセントとか、シートを被せると考えてしまいます。しかし、自生地のランは、大抵高い木の幹や枝に着生して、木漏れ日を浴びて育っているはずです。人工的な遮光から考えるよりも、自生状態から考える方が自然なのではないでしょうか。初めてで、日焼けを確実に防ぐには、遮光シートを被せるのが安全でしょう。しかし、少し慣れてきて、花を咲かせたいと思ったら、木漏れ日の利用が有効と思います。
遮光を、種類や季節や月によって10%刻みで変えようとするのは、生産者や趣味家が日焼けしない範囲でできるだけ日に当てて生長をよくしよう、花を咲かせようとするからでしょう。
しかし、ほどほどに生長し、なんとか花が咲けば良い家庭園芸では、そんなに神経質になることはありません。色々な種類を一緒に育てていたら、種類ごとに10%刻みで変えることはできません。また、遮光ネットを種類によって変えたり、月が変わるたびに替えたり重ねたりするのは大変です。
また、遮光ネットは、風が強いと飛ばされて、直射日光に当たって日焼けすることがあるので、危険があります。
「
日焼けしないことを優先して、なるべく日に当てる、種類ごとに細かく分けることはせず一緒に育てる」と考えれば気楽で、手間がかからず、苗が大きければ咲きます。
光の強さを、遮光ネットに頼らずに変えようとすると、何らかの陰を利用することになります。遮光ネットが風で飛ぶより安全で、確実です。
ここでは、なるべく遮光ネットを使わない方法を提案します。
春4月、屋外へ出した直後−木漏れ日か物陰・日陰
日射はそれほど強くないので、大半の種類が木漏れ日下で良いのですが、落葉樹はまだ葉が出ていないので使えません。
一方、まだ生長が盛んでないので、日光はそれほど必要としていません。家などの北の陰でも朝日や夕日だけでも当たり、その時には日焼けの心配がなければ、屋内に留め置くよりはましと思われます。
地面に直置きしたり、低いと、根が温まらず生長が鈍く根腐れの恐れがあり、ナメクジやアリの被害に遭いやすくなります。何かの代の上でなるべく高くするのが良いでしょう。
初夏、五月から梅雨入り前まで−木漏れ日
日が高く・強く、温度が上がり始める初夏には、落葉樹の葉が揃い始めて、茂った木の木漏れ日なら日焼けの心配がありません。温度が高くなって本格的に生長が始まります。
梅雨時
温度が高くなるので、水はけ良く植えてあれば、雨の恵みでぐんぐん大きくなる時期です。晴れの日には気をつけないと日焼けしますが、雲越しの日であることが多いので、助かります。
真夏−物陰・木陰
木漏れ日でもまとまって直射日光が当たっては大変です。生長が一段落するので、日光はそれほど必要ないので、木陰、物陰を利用します。木は茂り、草も伸び、日は低くなっているため、日焼けが防げます。
それでも日焼けや夏負けの恐れがあるなら、遮光ネットをさらに被せるのも有効です。
厚さ負けを防ぐために、なるべく、低く地面に近く置くと良いでしょう。
秋
寒くなるにつれて、日光不足の方が問題になるので、また、日がどんどん低くなるので、木の株元から少し離すとよいでしょう。
晩秋・初冬
屋内に取り込む前の時期は、保温と防寒・防霜が大切です。南の日当たりのよい所に置いて、日除けと霜除けを兼ねたネットを被せるのが良いでしょう。日光と高温の恵みを利用します。快晴でない日は覆いを取ってやれると良いでしょう。
シンビジウムはほぼ直射で大丈夫、ミニカトレアはシンビの陰に