21世紀の洋ランの育て方と咲かせ方
第二部
U 今月のラン
二 半月ごとの様子と世話
1 冬
他の季節は別ページにあります。
冬の洋ラン
洋ランを入手するのは大抵冬から春にかけての寒い時期です。花が咲いた後、枯れてしまうのは、寒いことが関係しています。
暖かくなってから育て始めると、別の植物かと思う位、元気に育ちます。
ですから、高温の時期にうまく育ったからと言って、寒い時期になってもうまく行くわけではありません。
夏と冬の違いが最も大きく、従って、冬越しが難しいのはバンダでしょう。
洋ランは、普通冬の最低温度によって、とても丈夫なシンビジウム、デンドロビウムの低温種、カトレヤやパフィオペディルムなどの中温種、コチョウランやバンダなどの高温種に分けられます。高温種である、コチョウランとバンダは最低気温を15℃以上、できれば18℃以上に保つと良いとされています。従ってコチョウランとバンダは同じような性質と思いがちですが、かなり違います。もっとも目立つ違いは、コチョウランではかなり温度が下がっても、根が元気で、先端の茶色っぽい根冠が生き生きしているのに対し、バンダはすぐに根冠が短くなったり、茶色くなったりしてしまいます。
コチョウランは、温度さえ保てれば夏も冬も余り変化がなく、世話の仕方も基本的に変わりません。
しかし、バンダは、高温期に育てられるようになっても、低温期には別の世話の仕方を身につけなければ、育てられるようになったと言えません。
2010.10.17掲載開始
2月
2月の花
シンビジウム、デンドロビウム、デンファレなど冬咲きの強健種はたくさんの種類の花茎が伸びたり咲いたりします。中温・中光のオンシジウムやジゴペタラム、カトレヤも同様です。コチョウランも花茎を伸ばします。最低温度を18-20℃に保って「冬知らず」にすると、冬−春咲きのミニカトレアは秋芽が咲きます。
カトレヤ マクレラナラ
左:カトレアトリアナエイ。 右:オンシジウム系属間交配種のマクレラナラのパガン・ラブ・ソング
2 2月の園芸店
2月は、新年を引き継いで、種類も量も多いです。冬の定番のシンビジウム、デンドロビウムは減り始めます。余り変わらないのは、豪華なコチョウランです。他には、ミニカトレアやデンファレ、オンシ、ミニオンシ、パフィオ、エピデンなど。大きな店では、ジゴペタラム、デンドロキラム、マキシラリア、ミニバンダ、変わったデンドロなどもあります。マスデバリア、リカステ、ソフロニティス、ミニオンシのオブリザタムなどは夏の暑さに弱いです。
3 2月の各種蘭の様子
花茎の出方が一段と活発で多様になります。
シンビ・デンドロの他は室内で、今年は大株作りを目指して最低温度を20℃近くに保っているため、高温の生長期と変わらない元気さです。
冬知らずの高温で
根腐れの心配がいらない
どんどん水やりし、新芽の出が早くなり開花に有利
色々な種類が蕾を出して咲く
鉢増しや土増しして植え替えの代わりを始められる
新しく入手した鉢は、透明容器への鉢増しで、来年咲かせる
下線付き属名のリンク先に育ち方と咲き方があります。育て方と咲かせ方は全部基本的に同じにしています
。
五大属
1
シンビジウム テラスに置いて霜除けの薄いネットでは霜焼けしています。遅ればせながらビニールトンネル状に使うとされている白の厚手の不織布を被せました。
花茎がさらに伸び、蕾が顔を出します。
2
デンドロビウム シンビジウムと一緒にテラスに置いています。
花芽はまだ少ないです。
4コチョウラン 花茎はウエディング・プロムナード、リップスティック(枝)、ファーストラブなどで伸びています
4+ミニコチョウラン 花は、ミディーのアマビリスが始まりました。花茎はミディーのアマビリスや、ミニの満天紅伸びます。新葉が出たり、小さい葉が伸びたりしています。葉の間から新しい気根が出始めました。
5
パフィオペディルム 蕾は緑葉整形種の
蕾が大きくなり
開花が始まりました。小株の斑入り種の
蕾も大きくなってきました。パフィオは決まった休眠期がないらしく、冬知らずの高温にすると、葉が伸び、新芽が出て、根元から新根も伸び、生長が続きます。冬に付きものの根腐れの心配も減ります。
新五属
6オンシジウム このグループは、冬は休眠すると思われがちで、ミズゴケ植えで低温だと根腐れしますが、バーク植えで、冬知らずの温度を高くし、水やりを普通にしていると、どんどん生長します。開花はアロハ・イワナガやその子のスィートシュガーなど。シャーリー・ベイビーは例年より遅く半ばに花茎が出始めました。。
オンシジウム不定期咲のアロハイワナガは冬に開花株が良く売られています。
6+ミニオンシジウム ケイロホルムの開花株を入手しました。トゥインクルの開花が続いています。冬知らずで新芽がどんどん出ます。
イオノシジウムは新芽が伸びています。
6' ブラッシアの脇芽が伸びます。
6'
マクレラナラ(
オンシジウム属間交配種・参照)の
花が咲いています。オンシジウムに比べて花がずっと大きいです。新芽が出てきます。
9ジゴペタラム 属間交配種ジゴニシアの花が咲いています。高温で冬知らずのおかげで、新葉が出て伸び、新芽が出て伸びています。ジゴペタラム ジャンピング・ジャック ’ビッグ・ビーンズ’と、
ジゴペタラム属間交配種のジゴパブスティア メリーアンの開花株を入手しました
。
ジゴニシア ムラサキコマチの花 ジゴパブスティア メリーアン
ジゴペタラム ジャンピング・ジャック ’ビッグ・ビーンズ’
10バンダ、室内に入れて20℃以上を保ったら、根が緑色を取り戻してきました。新葉も元気です。
続五属
追加五属
16 マキシラリア やや大型のポリフィロステレは、鉢替えしてやり、外にはみ出していた新芽の根を入れたら芽がどんどん伸びます。小型の黒花のシュンケアナの開花株を入手しました。鉢が小さいので透明ポットに鉢増ししました。
東洋蘭・和蘭
一 セッコク
二 フウラン 冬知らずの高温と水やりで、ミニバンダと一緒に新根が伸びています。
三 春蘭
四 エビネ
五 報歳蘭 花は終りました。
五+ 駿河蘭
高山種
a ミルトニアは、冬は高温なら生長するそうで、冬知らずの高温のため、。
今月も、秋・冬咲きの種類の花が咲き、春咲きの種類が引き続き花茎や花芽を出してきて楽しみです。
一般の栽培法:普通は低温種も屋内に取り入れます。心配なら、取り込み前に殺菌剤・殺虫剤を散布します。
本HPでの方法:放任栽培をめざして、低温種は南向きのテラスの軒下に、風・霜除けのネットを被せて屋外で過ごさせます。一方、その他の種類の大部分は屋内の居室で、人と一緒に輻射暖房で20℃以上で過ごさせます。夜半以降も暖房を残し最低温度も20℃前後なので、バンダは12月に取り込みまで元気がありませんでしたが根が元気になりました。
シンビジウム、デンドロビウム、キンギアナム以外は全て室内に入れて、大部分は最低温度20℃近くを保ち、ほぼ5日毎に他の季節と同じように一斉に水やりしています。一部の休眠気味の種類のほかは、殆どが生長し、新しい葉を出したり、新しい芽や根を出したり、蕾を出したりしています。カトレヤもそうですが、オンシジウム、パフィオペディルム、ジゴペタラムなどが生長しています。単茎・高温種のコチョウラン、バンダも葉や花茎が伸びています。不活発なのは、セロジネ、ミルトニア、デンファレ、フォーミディブルなどです。
4 2月の世話
(1)2月の置き場所
シンビジウムとデンドロビウムはテラスに置いたまま、日除けと霜除けを兼ねたネットを被せています。東京の郊外ではそれでも、霜の害があります
これまでの方法:
一般には、室内では、高温種は最低15℃以上、中温性種は10℃以上、低温性種は5℃以上に保たねばならないと、温室で育てる場合を元に考えられているようです。
本HPの方法
シンビ・デンドロ以外は室内に取り込んでいます。温室よりも室内の方が、高温に保つのは楽です。種類ごとに温度を変えるのは却って難しいので、日当たりのよい居室で、夜を中心に輻射型で乾燥しにくい暖房を併用して、全部を18℃以上に保つ「冬知らず」にします。
日向
シンビ・デンドロは、南向きのテラスに家に近づけて並べました。遮光と霜除けを兼ねて白いネットをずっと被せています。
夜の最低温度
今年は、さらに大株作りや、バンダも活動させることを目指して、最低温度18-20℃以上を試しています。バンダは12月半ばまでは屋外で0℃近くになることもありましたが、それ以降は室内で一転して最低約20℃以上となったら、根冠が元気を回復しています。
(2)2月の水やり−冬知らずで他の季節と変わりません
冬知らずの高温栽培で最低温度を18-20℃以上にすると部屋の温度が高いので、3-4日で鉢の中まで乾きます。根腐れの心配なしに週2回か5日ごと位の水やりになります。晴れて暖かい日の午前中に、1鉢ずつ、中全体が確実に十分湿るまで水やりし、室内の日向に置いて乾かします。乾かすときだけはできれば温風暖房が良いでしょう。乾きが良ければ、午前中でなくても大丈夫です。
(3)2月の他の世話
放任・省力栽培なので、植え替え、肥料、消毒などは原則としてやりません。室内に入れて良く見ることができるようになることを活かします。一方で、根腐れやその元は冬の間に起きることに注意します。(最低温度を20℃以上にすれば根腐れしにくいので気楽です)
土増し
室内に入れた蕾付き株などで、根が表面に露出している鉢は、土増しして植え込み材料を被せると蕾の水切れ防止に役立ちます。
鉢増し・植え替え
冬知らずの高温栽培なら、新芽やその根元の新根が出始めます。また、水やりを続けていて根も活発に動いています。従って、植え替えが可能です。なるべく根をびっくりさせない鉢増しにします。ミズゴケからバークや鹿沼土への植え替えも、芽や根が元気な株から始めます。ミズゴケ植えは、低温多湿で休眠しやすく芽や根が出るのが遅れがちです。
カイガラムシ退治
洋ランで主に問題になるのはカイガラムシですが、それも、園芸店から入手する場合についているのは主にカトレヤで、それ以外の種類では少ないです。引き続き、水やりの時などに1株ずつ根元近くを調べ、ピンセットや柔らかい歯ブラシなどで取り除きます。
I 今月の洋ラン:1月
各種の蘭の様子
花茎の出方が一段と活発で多様になります。
シンビ・デンドロの他は室内で、今年は大株作りを目指して最低温度を20℃近くに保っているため、高温の生長期と変わらない元気さです。
冬知らずの高温で
根腐れの心配がいらない
どんどん水やりし、新芽の出が早くなり開花に有利
色々な種類が蕾を出して咲く
鉢増しして植え替えの代わりを始められる
五大属
1
シンビジウム 花茎がさらに伸び、蕾が顔を出します。玄関に黄色のカリオカの
花が咲いています。
2
デンドロビウム 花芽はまだ少ないです。
3カトレヤ 秋咲き種の花は終ったものがありますが、ピュアズデライトは元気を保っています。冬咲き種のトリアナエイ、マイカイマユミ、春咲きのモーニング・グローリーの蕾が大きくなってきました。が咲き始め、春咲き種の蕾が見え始めます。大小のカトレヤが新芽を出します。新芽の元からは
トリアナエの蕾が枯れたシースから出てきました マイカイ'マユミ'の花
3+ミニカトレヤ また、不定期咲の花は、ミニ・パープル、スィート・シュガー、フェアリー・ランドなどが咲き、秋咲のフリースピリット、冬咲きのサンライズ・ドール、ルビー・エースや春咲きのロホ、などのシースや蕾が大きくなっています。
4コチョウラン 花茎が出たり伸びたりです。開花株は花が元気で花茎の先端に蕾ができます。炭疽病は落ち着きました。
4+ミニコチョウラン花茎が伸びます。
5
パフィオペディルム 緑葉整形種の
蕾が大きくなり続けます。小株の斑入り種の
蕾が出てきたようで、毛が生えているのが見えます。冬知らずの高温で、新芽が出て大きくなります。
新五属
6オンシジウム このグループは、冬は休眠すると思われがちで、ミズゴケ植えで低温だと根腐れしますが、バーク植えで、冬知らずの温度を高くし、水やりを普通にしていると、どんどん生長します。
オンシジウム不定期咲のアロハイワナガは冬に開花株が良く売られています。夏の開花株の新芽に花茎が伸びます、スィートシュガー、アロハ・イワナガ
6+ミニオンシジウム トゥインクルの開花が続いています。
イオノシジウムは新芽が伸びています。
6' ブラッシアの脇芽が伸びます。
6'
マクレラナラ(
オンシジウム属間交配種・参照)の花茎が伸び続け、
蕾が大きくなり咲きます。オンシジウムに比べて花がずっと大きいです。新芽が出てきます。
7エピデンドラム 古い株は休眠、新しい子株は伸び続け、高芽が出たり古い高芽は緑色で残っています。長茎種セントラデニウムの開花株を入手しました。冬知らずの高温で、花茎に付いた高芽が元気を取り戻し、他の高芽も新しい葉を出します。
エピデンドラム・セントラデニウム
8セロジネ インターメディアとクリスタータの開花株を入手しました。手持ちの株に比べてバルブの大きさが2倍以上です。
セロジネ
インターメディア
9属間交配種ジゴニシアの新芽から出た花茎が伸び蕾が膨らみ咲きます。高温で冬知らずのおかげで大きな新芽では分かりにくいですが、一部に小さな小さな新芽が出て伸びています。属間交配種のジゴパブスティア メリーアンの開花株を入手しました。
ジゴパブスティア メリーアン
10バンダ、室内に入れて20℃以上を保ったら、根が緑色を取り戻してきました。新葉も元気です。
続五属
11 ミニバンダの根冠は元気です。ヨネザワラの花茎が出ました。
12 デンファレが、開花したり、蕾が大きくなったりしています。ミズゴケ植えは根腐れしている物があるので、バークに植え替えています。
12+フォーミディブルの茎頂部の葉の間の蕾が大きくなっています。冬知らずの高温で新しい葉を出しながら茎が伸びます。
13キンギアナムの葉の間の花芽(シース)、先端近くの葉の根元に芽。霜が降ったら、一部の葉が白くしもやけになりました。
13+大明石斛は霜が降ったら、一部の葉が白くしもやけになりました。室内に入れました。
14グラマトフィラムの新芽は枯れてしまいました。大きなバルブは大丈夫ですが葉は痛んでいます。
15デンドロキラムはまだ休眠中です。フォルモーサナム、グルマセウムの開花株を入手しました。
東洋蘭・和蘭
16 セッコク
17 フウラン
18 春蘭
19 エビネ
20 報歳蘭 花茎が伸びて蕾が大きくなりました。
20+ 駿河蘭
高山種
21 ミルトニアは変化がありません。遅くまで屋外にあったので、年が明けて暖かい室内に入れてから一部の葉が黄色になりました。
I 今月の洋ラン:12月
今月も、冬・春咲きの種類が引き続き花茎や花芽を出してきて楽しみです。
一般の栽培法:普通は中温種も屋内に取り入れます。心配なら、取り込み前に殺菌剤・殺虫剤を散布します。
本HPでの方法:放任栽培をめざして、今月も大部分を屋外で過ごさせます。日焼けの心配がなくなり、コチョウランを含めて全て日除けなしにできます。水やりもほぼ全鉢週1回とかんたんです。
12月の花
シンビジウム、デンドロビウム、デンファレなど冬咲きの強健種はたくさんの種類の花茎が伸びたり蕾が大きくなったりします。早咲き種は咲き始めます。中温・中光のオンシジウムやジゴペタラム、カトレヤも同様です。コチョウランも花茎を伸ばします。
カトレヤ バンダ
左:カトレヤ・ファビンギアナの1芽の花が終わったら、次の脇芽から咲き始めました。 右:
バンダの花、12月9日に室内に入れました
マクレラナラの花茎
オンシジウムの近縁で丈夫で大きな花が咲きます。 報歳蘭の秋芽が花芽らしくなってきました。 園芸店で:
クリスマスやお歳暮を控えて、売り場がにぎやかになってきます。一番多いのは冬の定番のシンビジウム、デンドロビウムです。他にはジゴペタラム、デンファレ、冬咲きオンシ・ミニオンシ、パフィオ、エピデンなど。ミニカトレヤ、コチョウランは波が少ないです。
今月の各種ランの様子
12月の置き場所
東京では初霜が12月14日
シンビジウムとデンドロビウムの開花株はテラスに置いたまま年越し(昨年)
これまでの方法:
一般には高温性種は最低気温15℃を目安にほぼ10月初めから、中温性種は10℃をめどに11月初めから、低温性種は5℃をめどに12月初めから屋内に入れるように勧められています。従って全ての種類が屋内に置かれることになります。
本HPの方法
生長している種類は昼の高温と日射を活用するため引き続き屋外に置いた方は良いと考えます。場所を取るため、また水やりなどが面倒になるので屋内に取り込みたくないので他の種類も一緒にします。低温種・中温種は勿論のこと、高温種の一部も引き続き日向のテラスなどで過ごさせます。
一方、秋から春にかけては多くの種類が咲きますが、屋外では寒くてせっかくの蕾が大きくならずに咲きそこなうことがあるようです。そこで、中高温性種の蕾付きの株は南向きで日の当たる部屋に入れてやると良いでしょう。上の15属で低温種以外で秋から春には余り蕾を着けない種類を除き、カトレヤ、パフィオ、オンシ、セロジネ、ジゴペタ、デンファレなどです。シンビ、デンドロは寒さに強く、グラマト、フォーミは高温性とされていますが花期ではなく、エピデンも他の季が主です。、
最低温度に重点をおくのは、蕾の付いた株や、高温性で低温が病気の原因などになるコチョウランやバンダでしょう。
また、雨ざらしは、夏の間は有効でしたが、寒くなると根腐れや病気の原因になりやすいので、原則として雨除けが安全です。ただし、野生の欄には雨除けはないのです。根腐れしない植え方、多少の病気に目をつむる育て方なら不要です。
日向
日が低く、日射が弱くなっているため、日除けなしでも日焼けしなくなっています。
植え込みの中や木漏れ日の下に置いてあった全てのランを、日向に出しました。地上では夜の冷え込みが根にそのまま伝わるので、テラスや日向の棚に並べました。急に直射日光に当てるのは少し心配なので初めは快晴の日のみ弱光種は遮光ネットを被せています。
夜の最低温度
生長中の種類は昼の日射と高温を優先しますが、一方生長はしていないが蕾が大きくなるという、秋・冬・春咲きの種類は、寒さで蕾が傷まないよう、夜の低温に気をつけることにします。ただし、場所替えや、急に温度が変わると、蕾が落ちることがあるので、徐々に慣らす必要があります。
初霜
初霜は12月には各地で始まります。最低気温が4℃前後では、地表の温度はそれより低く霜が降る恐れがあります。東京の1971〜2000年の平均では12月14日です。葉に霜が付いたら大変なので、その前に軒下などに取り込む必要があります。(東京都下の八王子では11月9日に初霜になっています。)
雨除け
シンビジウムやデンドロビウムは雨ざらしのままにしています。他の種類は雨の当たらない軒下に置くか、棚に置いて上から雨除けを被せています。
蕾付き株の置き場所
上にも書いたように、蕾の付いた株や、シースのできているカトレヤは、寒さで冬に咲きそこなったり、春咲きの蕾が冬を越せなかったりしないよう、室内に取り込むか、昼間は部屋から手の届く日向に置き夜だけ玄関などの屋内で温度の低い処にとり込むようにします。
置き場所の目安(普通よりも屋外を長くしています)
区分 | 属 | 普通の置き場所 | 本HPの置き場所 | 日除け | 雨除け |
強光・低温 | 1シンビ・2デンドロ・12キンギ・16セッコク |
屋外日だまり
(室内5℃以上) | テラス(霜除け) | 快晴日 | デンドロのみ |
中光・低温 | 18シュンラン・19エビネ | 屋外半日陰 | 半日陰(地植え可) |
|
|
中光・中温 | 3カトレヤ系・6オンシ系・8ジゴペタ・13ミニバンダ系・14グラマトフィラム・20駿河 |
室内
(10℃以上) | 南棚(初霜前に室内へ) | 木漏れ日相当 | 軒下 |
弱光・中温 | 5パフィオ・9セロジネ・15デンドロキラム | 同上 | 南棚(霜除け) | 半日陰 | 棚下 |
中光・中温・複茎・蕾付き株のみ | 3カトレヤ系・8ジゴペタ・11デンファレ(=高温系:全部)他蕾付き株 | 同上 | 室内 | カーテン内側 |
|
中弱光・高温・単茎 | 4コチョウラン・10バンダ | 室内(15℃以上) | 室内 | カーテン内側 |
|
3カトレヤ系にはカトレヤ近縁種、ミニカトレヤと7エピデンドラム、6オンシ系にはミニオンシ・ブラッシア・マクレラナラ、13ミニバンダ系には17フウランを含みます
21ミルトニアの強健種は中光・中温種と同じ
これより高温寄りにすれば冷害にならず、弱光寄りにすれば日焼けしません。屋外では遮光ネットを被せたままにしておけば、寒い日や夜の保温と
霜除けにもなります。
12月17日初霜追記
12月の水やり
水やり量を高温期には、植え込み材料(バーク、鹿沼土)の粒が芯まで濡れるまでやっていましたが、低温期には粒の表面が湿る程度にしています。テラスの日向に置いた種類は、高温になるので間隔は余り変わりません。特にシースや花茎や蕾の出た種類は水切れすると蕾が育たなかったり黄変して落ちたりするので、水やりを忘れないように注意します。オンシジウムは寒い時期に葉に冷たい水を掛けると黒点が発生しやすいと言われています。暖かい時期には、夕方などに上から水をシャワーでかけていましたが、晴れて暖かい日の午前中に暖かくなってから、鉢の縁近くにかけるようにします
晴れて暖かくても、翌日の朝が冷え込むことがあります。暖かい日が続くときに水やりするか、室内に取り込んでいる場合は水やりした日の夜は加温して乾きを早めるのが良いでしょう。
室内で暖かいと乾きが早く水切れ気味になります。水やりを忘れないようにしましょう。
12.17翌朝の冷え込み追記
12月の他の世話
放任・省力栽培なので、植え替え、肥料、消毒などは原則としてやりません。室内に入れて良く見ることができるようになることを活かします。一方で、根腐れやその元は冬の間に起きることに注意します。
土増し
室内に入れた蕾付き株などで、根が表面に露出している鉢は、土増しして植え込み材料を被せると蕾の水切れ防止に役立ちます。
元気のない株
室内では、株を一つ一つゆっくり見ることができます。芽の出方が十分でない、新芽の根元などからk鉢の表面に根が出ない、葉に艶がない、など元気のない株は、根腐れしている恐れがあります。透明容器の場合は、鉢内に新しい根が伸びていれば、元気だと分かります。慣れないうちはミズゴケ植えの方がな腐れしやすいです。元気のない株は、他とは別にして、水やりを少なめにし、なるべく暖かくして、新しい根が出るのを待ちます。
カイガラムシ退治
同じく、1株一株を良く見ていくと、株元などに、マルカイガラムシの親虫が付いているのに気が付くことがあります。上の方の葉の裏にまで小さな虫が広がっていることも有ります。気づき次第取り去ります。そのような株は暖かい日にふろ場などで、強いシャワーを株元から葉裏まで全体に掛けると、子虫ほど良く取れます。
12.17土増し、21元気のない株tカイガラムシ追記
各種の蘭の様子
12月
今月の花
他の月は別ファイルにまとめてあります。
12月
11月は秋も深まり、だんだん寒くなってきます。一般には高温種は室内に取り込む時期です。
生長は鈍ってきます。その一方で、多くのランの蕾の出方は本格化して楽しみな時です。シンビジウム、デンドロビウム、カトレヤ、コチョウラン、パフィオペディルムの五大属は揃って、早いもの、元気な充実した株から順に花茎が出始めます。新五属(普及種)のオンシ、エピデン、セロジネ、ジゴペタ、バンダは、まちまちですが、この時期は目立った動きはありません。続五属(花物)の中では、デンファレ、キンギアナムの花芽が続き、デンドロキラムは眠りから覚めますが、主に夏咲のミニバンダ、グラマトフィラムは不活発になります。
12月の各種蘭の花と様子
花茎の出方が一段と活発で多様になります。
五大属
1シンビジウム
2デンドロビウム
3カトレヤ プリズム・パレット'チョコレート・キャンデー'の開花株を入手
3+ミニカトレヤ
4コチョウラン 花茎が出たり伸びたり、屋外でも根冠は元気
4+ミニコチョウラン ビオラセア花茎
5パフィオペディルム大型緑葉 花茎が伸び続け
斑入り葉ミニ
新五属
6オンシジウム アロハイワナガなど開花中
6+ミニオンシジウム 花茎がゆっくり伸び・蕾が少しずつ大きく、ピンク・パンサーの花茎
イオノシジウムは新芽が伸びています。
6' 左:ブラッシア(
オンシジウム近縁・参照)の脇芽が伸びます。
6' 右:マクレラナラ(
オンシジウム属間交配種・参照)の花茎が伸びてきました。どちらも日だまりの棚に
7エピデンドラム 古い株は休眠、新しい子株は伸び続け、高芽が出たり古い高芽は緑色で残る
8セロジネ新芽の葉が開き始める 29日
9ジゴニシアの新芽から出た花茎
10バンダの開花続く、室内に入れて20℃以上を保ったら、一部の根冠が伸び始めました。
続五属
デンファレ
11 ミニバンダの根冠
12 デンファレの花茎が伸びたり、新しく出たりしています。高温種とされていますが、初霜が降りるまで軒下で、年末に室内に入れました。花茎の一部は蕾が無くなってしまいました。
12+フォーミディブルの茎頂部の葉の間に蕾があります。新しい脇芽が伸び、室内に入れてからは、根冠も一部が伸びています。
左:13キンギアナムの葉の間の花芽(シース)、先端近くの葉の根元に芽。霜が降ったら、一部の葉が白くしもやけになりました。
右:13+大明石斛は変化が少ないです。右の下寄りと左の上よりの新しい脇芽の葉が色が薄く一番大きいです。霜が降ったら、一部の葉が白くしもやけになりました。
14グラマトフィラムの脇芽伸び続け、屋外のまま植え込みの中。
寒さに弱く、霜に当たったら、新芽は枯れてしまいました。大きなバルブは大丈夫ですが葉は痛んでいます。
15デンドロキラム休眠中 東洋蘭・和蘭
16 セッコク
17 フウラン
18 春蘭
19 エビネ
20 報歳蘭 秋の新芽が出てきました
20+ 駿河蘭,
高山種
21 ミルトニアは新芽が出始めるころですが、変化がありません。
経過
11.30 まとめて公開開始
11月11/30
10月、10/30
7・8月分