洋ラン学園・洋ラン楽園
21世紀の洋ランの始め方・育て方・咲かせ方・楽しみ方・続け方


本文はじまり
第一部から第四部まで


第一部 段階別の育て方と咲かせ方:洋ラン学園の教科書とノート・分校・楽園

構成
T 教科書 方法全般・基礎
安全に育ち・手がかからず・ランが喜び・確実に咲く方法、初めてでも開花が楽しめる方法付き
これまでの「趣味の園芸」に代る、消費者のための洋ラン学園(小・中・高・大学・大学院
屋内・屋外(全族)と周年室内

U 洋ラン合格生のノート・洋ラン学園分校 初めての人が咲かせた実例(周年室内など)
初めての人が咲かせた例、高温とペットボトル
洋ラン楽園:洋ラン学園の室内編


T 教科書

はじめに
洋ラン学園の五段階

全段階に共通のポイント
置き場所で生長に必要な日光・水・高温を確保してやれば(この方法だけは種類によりやや差があります)、あとは同じ世話でどのランも勝手に育って咲きます
日焼けを恐れて遮光して日光不足・温度不足、根腐れを恐れて水切れ・小さな鉢では植物は育たず咲きません、本末転倒の大きなお世話です
これまでのやりかたは「趣味の園芸」・「プロの園芸」で、手間と暇と危険をかけて、小さな苗を咲かせるまでの方法がもとになっています。咲いてからはミズゴケ・バーク植えでは1−2年ごとに植え替える必要があります。
大きな苗なら世話を減らしても楽に咲き、どの種類もほぼ同じ扱いで大丈夫です。鹿沼土植えなら定期植え替えなしでも開花株が安全に維持できます。


1 初めての洋ラン(冬・洋ラン小学校)−周年室内

はじめに
(0)有望株の選び方:レシピ
(1)初めての洋ラン:レシピ
(2)頂いたコチョウランの助け方:レシピ
(3)根腐れの予防・根腐れ株の見つけ方・根腐れ株の助け方
(4)花の楽しみ方:有望株の選び方:レシピ、二番花、お土産花

はじめに
洋ランの開花株を入手すると、普通は次に咲くまでに1年間無事に育てなければなりません。
しかし、洋ランとの初めての出会いは最も根腐れしやすい冬が多く、直ぐに枯れてしまって育てるどころではないというのが実情です。
従って育て方をマスターするためには、その前の、無事に始めることが不可欠です。
しかし、これまでの本やネットではその方法は考えられていません。「初めての洋ラン」という本が色々ありますが、本を読まなければならないような方法では、慣れない人にはうまくいきません。
そこで、このHPでは、とても簡単で、安全に始められる方法を提案します。

その前に、始めるには苗を手に入れなければならないので、有望株の選び方を紹介します。
野菜作りでは「苗半作」といいます。良い果実が得られるかどうかは、苗の良しあしで決まります。洋ランも、咲かせようと思ったら、それにふさわしい苗があります。
苗によって育てやすさや丈夫さは異なります。易しい苗なら少ない苦労で安全に育ちます。難しい苗は苦労が多くてしかもうまく行きません。
(0)有望株(消費者に)の選び方のレシピ
1 大きくて元気
2 花の咲いている株の根元から新芽が出ている
ことです。同じ種類でも、小さいと安く、大きいと高いですが、野菜ならだれでも大きい方を選びます。洋ランの新芽は親が大きいほど大きくなります。親が小さいと、慣れない内は新芽が花の咲く大きさまで大きくなれないため咲きません。また新芽は早く出て早く大きくなり始めた方が、開花に十分な大きさに育ちやすいので、既に芽の出ている株の方が有利です。コチョウランは単茎性なので新芽は出ませんが
3 根が元気で根腐れしておらず、葉の枚数が多い株が有望
 
 
ミニカトレア右ほど大きい株、同じ種類なら大きい方が有利 
  
左:パフィオペディルム:右は大型種・脇芽付き、左は小型種・脇芽なし、脇芽が出ていても大きくなるには2年かかることが多く、脇芽が無ければ数年かかる
右:セロジネ:右は成熟株、左はバルブの小さい株でバルブが大きくなるまでに数年


(1)初めての洋ラン@冬に始める場合
「初めてのランの始め方」参照
冬に鉢植えのまま室内に置いておくと温度が低いため、温室にある場合や夏に比べて乾きが悪く根腐れします。
そこで、鉢から抜いて、乾きやすい容れ物に移すのが良いのです。
鉢よりも広い容れ物にすると、根鉢の周りに隙間があるので乾きが良くなります。
また容器が透明だと、中が湿っているのが分かり、水やりを遅らせることができます。
これにはペットボトルが最適です。
それでも、室温が低いと乾きません、最低温度が20か15℃あれば安心です。
15℃以下だと乾きが悪く根腐れの恐れがあります

(2)置き場所:暖かい室内で直射日光の当たらない明るい机の上などに置きます。
3-4日で乾くようなら根腐れしにくいです(20℃近くで南側の窓の近く)
1週間近くも中が湿っているようだと根腐れする恐れがあります。
C春になると白先緑の根が伸びてきます。
屋外は寒いので室内で育てます。
夏になったら夏型に模様替え
もっと詳しい初めての洋ランのレシピは「洋ラン合格生のノート−ミニカトレア中学」にあります。

A夏に始める場合や夏型、屋外
初めてのランの育て方−植替え
初めての人は、種類や季節に寄らずすべて、上記の一通りでやるのが良いと思います。
上の方法は冬にも乾くための方法なので、夏には乾きすぎて週に2回以上水やりしないと水切れすることがあります。
乾きが良い部屋の場合や屋外でも使える、生長重視の方法が、初めに示した二階建てペットボトルです。抜いてそのまま移し替えても良いのですが以下に示すように、「植え替え」のようにもできます。
この方法で、無事生長するようになったら、次の段階へ進めます。
以上の方法は、根腐れしやすい「いただいたコチョウラン」を助けるのにも有効です。


2 洋ランの育て方(洋ラン中学)

枯れなくなったら、次は、大きくする段階です。
また、冬に始めた場合は現状維持が目標ですが、春暖かくなってきたら生長期に入るので、本格的に育て始めます。

導入
洋ランの始め方その2 新入生の世話 
入手した苗の最初の植替え2013

毎年花の咲く時期になると、新しい開花株を手に入れます。
自分のやり方に馴染んだ苗がうまく育つようになっても、新しい苗には別の難しさがあります。
温室で咲かせるまで促成栽培されてきた鉢をそのまま世話するとうまくいかないことが多いです。そうかといって植え替えると植え傷みしたり枯れたり翌年咲かなくなったりします。
洋ラン学園ではそのような「新入生の世話」についても考えています。基本は「始め方」「育て方」と同じです。
重ね着鉢増し
そのままにしておくと、根腐れ、作落ちして咲かなくなるので以下の処置をします。
乾きにくいプラスチック鉢植えを止めて、芯入り横穴開けにする−根腐れ予防
中の見えない鉢を止めて透明容器にする−根腐れ予防
水切れしやすい小鉢を止めて大きめの鉢にする−作落ち予防
植え傷みしないよう根に付いた植え込み材料は除かない−作落ち予防
透明容器は軟質ポリポットが基本ですが、ペットボトルやプラスチックのコップで代用できます。
ミズゴケと素焼鉢は、一般家庭では夏は乾いて枯れやすく、冬は湿って根腐れしやすいです。
植え込み材料はバークが無難ですが、経験を積んで寒い時期に気を付ければ、鹿沼土で多くの種類が育てられます。

洋ラン学園の標準の植え方
洋ラン学園のやり方は一部を除いて下記の3通りだけで全てを育てます。透明軟質ポリポットとバークだけで殆どが育てられます。

ミズゴケ植え入手株からの「浅広鉢重ね着鉢増し薄植え」のレシピ
 
カトレヤは深い素焼鉢にミズゴケで植えられていることが多いです。根腐れしていることも多いですが、根鉢の底だけほどいて「薄く」します。
  
一回り広いスリット鉢に底に発泡スチロール塊を敷き詰めて浅くします。根を底に押しつけるようにして低く置きます。周りとむき出しの根の上にバークを入れて「薄植え」の出来上がり。






室内PET 苔玉
(バーク・ミズゴケ)
2デンドロ、3ミニカト、4ミニコチ、7エピデン、8ジゴペタ、
(4コチ、6ミニオンシ、10ミニバンダ、11デンファレ、)
左記は合格者のノートで
開花実績のある種類、
()内は13年予定
屋外
根の丈夫な種類
スリットプラ鉢鹿沼土中・大粒1シンビ、2デンドロ、11デンファレ、11フォーミ、12キンギ、12大明石斛、14グラマト、16マキシ、一石斛、三春蘭、四エビネ、五報歳蘭・駿河蘭 シンビ・デンドロ系はほぼ全て
茶字は鹿沼土は経験者向き
屋外
一般
透明軟質ポリポット
平広鉢
バーク中粒
バーク大粒
3カト、3ミニカト、5パフィオ6オンシ、6ミルト、7エピデン、8ジゴペタ、9セロジネ、10ミニバ、15デンキラ 茶字は鹿沼土でも可能(洋ラン学園では全て実施)、
大株はスリット鉢

根腐れのしやすさは、バンダ、コチョウラン、カトレヤ(、エピデン)の順のようです。
バンダは特殊でバンダ・ロール
13.4.16


ここでは、大きくするための植え方や、その他もろもろの世話の仕方を紹介します。以下のことが必要です。
(1)置き場所−木漏れ日:レシピ
(2)水やり−雨任せ:レシピ
(3)土増し、新根は直ぐに覆う
(4)肥料−年1回の徐放性肥料
(5)病害虫対策−殺虫剤も殺菌剤もやりません
(6)初めての植え替え−鉢増し:レシピ
(7)本格植え替え/趣味の園芸から洋ラン学園への転校

(1)置き場所
趣味の園芸は「温室」が基本になっているので、置き場所については余り重視されていません。
しかし、「温室を使わない家庭園芸」では、植え方により根腐れを防いだら置き場所の工夫が全てを決める最も重要なことと言っても過言ではありません。
洋ランの生長に必要な日光と高温を決めるのは置き場所です。
雨ざらしなら水やりが省け害虫を押さえられます。
日焼けの原因となる直射日光を防ぐのは物陰、低温の長雨を防ぐのは軒下です。
夏負けを防ぐ涼しく湿った場所は植込みの中です。
季節や種類によって要求が異なり、また気温や日の長さ・高さや、天の頻度と量、木の茂りが変わるため、移動の繰り返しが最大の世話です。
その代り、それによって、水やりが減ったり、農薬をやめたりできます。
重要なことから二つ説明します
(1)置き場所(→洋ラン気象庁のレシピ
@屋外と室内間の移動と最低温度
置き場所の最大のポイントは屋内と室内間の移動時期です。
「趣味の園芸」では、種類を高温種、中温種、低温種に分けそれぞれ異なる最低気温に応じて出し入れするという複雑な方法です。
洋ラン学園では「単純で易しくて効果的な方法」にします。
大は小を兼ねるで、「どんな種類でも冬は高温な方が良い」ので、「冬は全て同時に室内に入れて、最低温度を15℃以上に保つ」「冬知らずにする」ことを勧めます。

趣味の園芸洋ラン学園備考

高温種・中温種・低温種に分ける全種を一斉に出し入れ12-3月が室内例外有

それぞれ最低気温が15,10,5℃を境に出し入れ 全種同じ温度で、12,1月は最低15℃、2,3月は20℃
冬知らず
例外有

A 屋外の基本
種類や月ごとに細かく考える前に重要なことがあります。それは屋外にある期間は高温期と低温期に分けられ、目標が逆になることです。
全種に共通な基本は下表のようになります。

目標基準置き場所補足
高温期(6-9月)生長 水切れ防止
保湿
日焼け防止
木陰・半物陰
地上・植込みの中
雨ざらし
猛暑日は日陰
低温期(4,5,10,11) 根腐れ防止
防寒
坊カビ病
日焼け防止
(落葉樹は葉がない)
日向・木漏れ日
乾燥・高燥
雨除け
4,11月は特に雨除け

実際のやり方は、月々の置き場所や例外的な種類がありますが、別の項目で述べます。
遮光ネットは基本的に使いません。

コチョウラン・バンダは11-4月室内、グラマトフィラムは15℃以下にしない、シンビ・デンドロは都心では周年屋外可(最悪-2℃)
コチョウランは直射日光を必ず避ける
(2)水やり
これまでの「趣味の園芸」の水やりには、経験の少ない人には難しい、いくつかの問題がありました。
根腐れを防ぐのが最も大事ですが、「対策を植え方でせずに、水やりで調節する」方法です。しかも水やりの判断が安全でありません。
@鉢の表面が乾いたら水やりする→中が湿っていて根腐れしてしまう(特に寒い時や、ミズゴケやバークが古くなったとき)
A鉢ごとに確かめて水やりするので、とても大変
B鉢が小さめで、乾きやすい素焼鉢を使うことがあり、ミズゴケは夏極端に乾きが早く、バークは含水量が少ないため、頻繁に水やりが必要(夏は毎日など)
C安全優先にすると水切れがちになり、成長が思わしくなく花も咲きにくい
21世紀の方法はこれらの問題がありません
@根腐れは水やりの調節でなく植え方で防ぐ、3-4日以内に乾いて水やりできるようにする、全鉢の乾きが良いので一斉にシャワーで水やりできる
A透明容器で中を見ながらなので、根腐れを防ぎながら、積極的な水やりができる
B乾きやすい夏には保湿するので、毎日や朝晩水やりする必要がない
C冬でも高温で冬知らずにするので、休眠せず生長し新芽が早く出て咲きやすい
 
(3)問題株の植え替え@根腐れ株、小鉢・素焼き鉢やミズゴケ植えなど
入手した苗の中には、根腐れしていたり、鉢が小さかったり素焼き鉢で乾き気味だったり、ミズゴケ植えでミズゴケが古く腐りかけて乾きが悪くなり根腐れしやすかったり、という鉢があります。
このようなのを放っておくと根腐れしたり、枯れたりするので、早急に植え替えが必要です。
一方、植え替えは苗にはとても負担で、枯れる原因の第一と言っても良いくらいです。従って、上のような場合のみ、」植え替えによって枯れることの内容に植え替えをしなければなりません。植え替えのやり方はできるだけ苗の負担にならないように問題に応じて考えます。
問題容器・材料方法
鉢が小さい
素焼き鉢
大きめの軟質透明ポリポット・バーク
ペットボトル、新しいミズゴケ化バーク
鉢増し
 根腐れ
古いミズゴケ
鉢同上、バーク植え
ペットボトル、新しいミズゴケ
植え替え


(4)肥料のレシピ
肥料についても、これまでの方法は、「秋まで肥料分が残ってはいけない、と、生長期には液肥を隔週にやる」が当たり前とされてきました。
大株ならば、肥料分が残っていても大丈夫で、液肥を頻繁にやらなくても十分に新芽が大きくなります。
冬知らずで芽出しを早く、夏も涼しく保湿して水切れ・休眠を防げば、目覚ましく生長します。
草花と同じ緩効性の化成肥料を春に説明書の半分、肥料の効果が終わるとされる3カ月後位に半分やれば大丈夫です。
洋ラン用の徐放性の粒状肥料なら年1回春にやれば後は必要ありません。

(5)病害虫対策−殺虫剤も殺菌剤もやりません→洋ラン病院
カイガラムシとハダニの天敵は雨で、雨は最高の殺虫剤です。木に着生のように風通しもあればカビ病にはなりません
一部の種類の一部の幼い新芽だけがたまに病気になっても、代りに全部の種類の全ての株が育って咲くようになるので我慢できます
「安全植え」で洋ラン栽培の最大の問題点である根腐れは激減しほぼ気にならなくなります。すると次の問題、日焼けが出てきます。
→春に外に出したばかりは確実に遮光し、夏は日陰気味にすると、日焼けが減ります。
すると、色々なカビ病が目立ってきます。
→夏以降は蒸れないように風通しを良くし、秋以降は雨ざらしを避けると、病気による新芽の枯れが減り、コチョウランの炭疽病が予防できます。
春から夏の雨ざらしによる少しの新芽の枯れは、生長と開花と安全とを引き換えに目をつぶります。

病気と対策の4段階
段階
原因症状対策・予防
1小学校内因性根腐れ・枯れ植え方・大株大鉢・水やり・置き場所
2
中学
外因性日焼け遮光・水やり
3高校菌(カビ)黒点・芽腐れ・炭疽病など雨除け、日焼け防止
4大学細菌軟腐病(異臭)高温多湿期の傷の予防、夏の植替えは注意

致命的なのは炭疽病と軟腐病だけです。コチョウランの炭疽病は低温期に雨に当てると発症します。
細菌による病気は滅多に出ません。軟腐病は柔らかい組織に高温多湿の時に発生しやすく、直ぐに全株が腐ります。細菌性の腐敗は特有の臭気を発します。夏に植え替えすると何らかの傷口から発生することがあります。

夏の病気
軟腐病
新小芽の腐れ

害虫
害虫で深刻なのは、カイガラムシ(殻のあるマルカイガラムシと、動き回るコナカイガラムシ)とハダニです。カイガラムシは生産者のところでは頻繁に殺虫剤をまいて抑えていますが、殺虫剤の効かない親虫が残っているため、家庭に来て蔓延します。しかし、幼虫は雨が天敵なので、雨ざらしにしていれば殺虫剤を撒き続けているのと同じです。あとは、親虫を見つけ次第取ることを根気よく続けていると次第に減ります。コナカイガラムシは繁殖力がそれほどでなく、大きくて見えやすい所にいるので、絶滅させることができます。これらは外来性なので一旦駆除すれば再発しませんが、新しい株を入手すると付いてくるので注意が必要です。ハダニも雨が天敵で雨ざらしにしていれば殆ど害は出ません。他にナメクジの食害、アリが鉢内に巣を作る、スリップスの食害など。

カイガラムシ退治のレシピ
ミニカトレアの蕾が大きくなるにつれて、白いものが増えてきました。カイガラムシです。
強く水を掛けても取れますが、筆で落とすことにしました。
蕾の生長と同時に成長した若くて柔らかい虫なので、筆でこするだけで全部取れます。
原因は根元の丸い硬い親虫なので、こちらは、歯ブラシなどで表面に傷をつけないようにこすり落とします。
  

(6)土増し
ネギなどの野菜作りでは、根元から新しい根が出て露出すると、土を被せて、生長に寄与するようにします(土寄せ)。ところが洋ランの「趣味の園芸」では、根は空中を喜ぶと言って放置します。温室の中や、頻繁に水やりする場合は大丈夫ですが、「消費者の週1回の水やり」では、根が枯れてしまいます。また、根は古いものより新しいものの方が活発で、新根はこれから生長する新芽の根元から出ていることが多いので、それらが水と肥料を吸うことが、最も新芽の生長と開花に大事なのです。そこで、本HPでは新しい根が出たら、鹿沼土を被せるようにしています。なお、鉢の中が見えると、根は鉢の周囲に植え込み材料の外に伸びることが分かります。そこで、鉢を押し広げて根と鉢の隙間に土を入れてやると良いのです。

土増しのレシピ
 
左:ミニカトレヤのラブノット'セルレア'の根元から、「冬知らず」で白い新根が元気に伸びています 右:鹿沼土を被せます(2012年1月下旬)
2012.2.7掲載
育て方までの基本的な世話は以上です



3−5 洋ランの咲かせ方(高校・大学・大学院)


年々新芽が大きくなって開花。

総論とあらまし
始め方、育て方が順調にできると、いよいよ、本来の目的である「咲かせ方」に力を入れられるようになります。
普通は、開花株を買ってきたら咲いてお終いと考えられています。それは「趣味の園芸では系統的な開花戦略が示されていない」ためと思われます。
洋ラン学園では下記の表のような戦略を作ってきました。
実は、洋ランは少し慣れると、何でも/毎年咲かせられるようになります。
咲かせるのが難しいのではなく、育てるのが難しいので、咲かせるための原則は種類に依らず
洋ランは大きく育てば自然に咲く」なので、
育てられるようになったら、もう咲かせられる一歩手前なのです。
(1)大抵の洋ランは、新芽が親並みに大きくなれば自然に咲きます−大株・群生株作りが確実
(2)洋ランは雨季に新芽が生長し花芽を作り・乾季に花を咲かせ新芽を出します、一年を二分したサイクル:秋冬春は暖かく乾燥、夏は涼しく保湿
こうすることにより、多くの種類が咲くようになり、しかも咲き始めればほぼ毎年咲きます。
それを4段階に分けます。ランに咲いてもらう前半は既に説明したので、ここでは、自分で咲かせる後半を取り上げます。
「初めて」から「育て方」までは、新芽をいかに大きくするかを検討してきました。
「咲かせる」では、大きく育ちにくい種類や、大きくなっても咲きにくい種類の理由を考え、対策をします。
(3)花期より年期、種類によって1年ごと、半年ごと、2年目以降に咲きます−年期別の咲き方と管理、1年・半年・2年
(4)花芽が出なければ咲きません−洋ランカレンダー−各属・各花期の、代表種標準親株の大きさ、新芽の出る時期=芽季に注意、咲くまで
詳しくは各段階で述べます。
2012.10.25作成



各段階

3 咲かせる1(高校)
大株を大鉢に植えて、低温期は冬知らず・高温期は水を切らさずで、元気に休眠しないで育つと、大抵の種類が咲きます。
売られている開花株の多くは若株で、大きくすることが開花への道です。また傷んでいる株は作落ちから回復させます。
まずは、親株の背丈を目指しましょう。それだけで、多くの種類が咲くようになります。それで咲かなければ次は株の太さです。これで大部分の種類が咲くようになります。株が増え過ぎたり鉢が小さくなって、親より余り細いと咲きません。
 
左の小株・小鉢よりも右の大株・大鉢の方が丈夫で確実に咲きます。オンシジウムは作落ちしやすいです。

4 咲かせる2(大学)
大きくなりにくい種類や大きくなっても咲きにくい一部の種類は、従来の花期よりも咲くまでの年期芽季・花芽時に注目。
開花カレンダーと開花事典を参考に、以下はカトレヤの例ですが、他にも当てはまるグループがあります。
基本は夏芽が花芽
カトレヤの開花カレンダーを見ると分かるように、花期によらず夏芽に花が着く場合が多い、です。開花までの期間が短い秋(冬)咲と、期間が長い春夏咲は一長一短です。
ラビアタを初めとする秋咲の一部は春芽が咲き、夏咲の一部は冬芽が咲きます。これらの種類は冬を暖かくして新芽の出を早めたり、新芽を早く大きくすると咲きやすくなるでしょう。
半年型の元気な株は年2回咲く」ことがあります。
「趣味の園芸」では、「花期別の咲かせ方」が強調されますが、洋ラン学園では趣味の園芸では話題にならない「年期、芽季、花芽時の方が基本的」と考えています。
(2012年は凍害で冬芽が傷み春芽が遅れたため、「夏芽が花芽」が強調されています)

ミニカトレアの冬芽と夏芽、花芽と葉芽
ミニカトレアは、夏−冬など、半年ごとに子芽を出して育つものが多いです。
その場合、「夏芽には蕾が着くが、冬芽には蕾が着かない」ことが多いです。
また「夏芽は大きく育つが、冬芽は小さめになる」ことも多いです。「冬芽が大きく育たないと、その子の夏芽も小さくなってしまう」という悪循環になり、
「年々新芽が小さく作落ちしていき咲かなくなってしまう」ことになります。
反対に「夏芽が大きくなると、冬芽もそれにつれて大きくなり、年々立派になる」のです。またそうすると
「冬芽にも蕾が着き1年に2回花が咲く」ことになります。
このことは、大型のカトレヤの「半年型」の種類にも当てはまります。
カトレヤにもミニカトレアにも他の複茎種と同じ「1年型」の種類は沢山あって、それらは作落ちしにくいです。

4 楽しむ(大学)
花を飾る
キッチン、リビング、玄関など、豪華な花が咲いて、開花中は日差しが要らず、花期の長い洋ランは、温室で楽しむだけでなく、色々なところに飾ることができます。
  
盆蘭(苔玉、懸崖作り)
はじめに
マンガ、ファッション、料理など、和風趣味は世界に広がっています。蘭の世界も西洋の真似ばかりでなく、日本の独自な美しさを楽しむと良いと思います。
蘭を最初に園芸植物にしたのは中国ではないでしょうか。
ここで初心者向けと提案している苔玉は盆栽の一種と見ることができます。
蘭は本来樹木に着生して、先の方の芽や花は垂れ下がって咲くことが多いようです。これは自然の懸崖作りですが、工夫すれば盆栽風になると思います。(2013.4.14)
  
  
コチョウランの苔玉   ミルトニアの新芽の懸崖(セロジネなども同様)    シンビジウム下垂種の花(デンドロビウムなども同様)

5 続ける(大学院)
バンダはバンダ・ロールで、毎日の水やりから解放。咲きにくい大型種大明石斛グラマトフィラムや、マニアックなカトレヤ原種にも挑戦。
 

第一部 洋ラン学園 T教科書(小学校から大学院まで) あらまし 終り




第一部 洋ラン学園−教科書とノート・分校
U 洋ラン合格生のノート・分校
合格生のノートには、初めての人が21世紀のやり方で咲かせた実例が載っています。
これまでの本やネットは、生産者や趣味家が書いています。素人がマネをしてもうまくいくかどうか分かりません。また、大抵「毎日水やり」に代表されるようにとても手間暇をかけなければならない方法です。
このHPでは「21世紀の方法」を初めての人がやっている様子を紹介しています。「水やりは週1回」に代表されるように、殆ど手がかからず、どの種類も同じ扱いで簡単なことが分かります。

  

コチョウラン ミニカトレア デンドロビウム

 

エピデンドラム ジゴペタラム

第一部 洋ラン学園 教科書とノート おわり



洋ラン学園段階別 5 続け方
洋ラン大学院(趣味でない洋ラン園芸) 

初めて(小学校)から、花の楽しみ、育て方(中学)、咲かせ方(共通:高校・性質別:大学)、までで、普通に手に入る大部分の種類を枯らさず咲かせられるようになります。
後は、育てにくかったり咲きにくい種類を咲かせる、毎年咲かせる方法と、手間を省く方法が残っています。
別ページに分けています。

目次
育てにくい種類 バンダ
咲きにくい種類 グラマトフィラム、大明石斛
毎年咲かせる(作落ち予防、開花株の維持) オンシジウムの株分け
手間を減らす(鹿沼土植え、定期水やり・定期植え替え・農薬・液肥・素焼き鉢・ラン鉢・吊り鉢・(バーク)ミズゴケなど不要、都心の周年屋外・露地植え)
間引き・懸崖作り
根を育てる

  

育てにくい種類(バンダ)     咲かせにくい種類(グラマトフィラム・大明石斛)       手間を減らす(シンビジウムの都心の露地植え)  

バンダ・ロール
バンダは、「根をむき出しのバスケット植えで、毎日水やり」が普通とされていますが、「趣味でない園芸」には全く不向きな方法です
毎日水やりができないと枯れてしまいます。
洋ラン学園ではその対策を研究中です。
ウレタンチューブを芯にし、ミズゴケを中身とし、根を一番外にして、ネットで巻く「巻き寿司植え=バンダ・ロール」を開発しました。
葉数が20枚以上の大株を選び、植え方を工夫して何とか屋外にある期間中は元気で花も咲かせられるようになりました。また、冬をどうにか越せました。
植込みの中に置いて湿度を保ち、水やりは高温期では3-4日、低温期には1週間雨が降らなかった場合だけシャワーをかけ、冬は15℃以上に保ち極端な乾燥を防ぐ良いのです。
 
  
左:「バンダ・ロール」2012年7月 中:中央の葉の間に白く見えるのが蕾、2012年11月初め         右:開花の例、2010年11月終り

カトレヤ原種
マニアが温室で育てるしかないと思っていましたが、洋ラン学園の「自然な育て方」でどこまでできるか、種類を増やして試してみることにしました。2013年3月

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