21世紀の洋ランの育て方と咲かせ方
第二部
U 今月のラン

この度の東日本大震災で被災された方々に心からお見舞い申し上げます。





二 半月ごとの様子と世話

最近の様子は別ページにあります。

あらまし
属別

2 春

他の季節は別ページにあります。
1 
2 
3 
4 


5月
生長が本格的になります、月初め・半ば・月末では大きさが違ってきます
冬知らず・4月から屋外・五月の本格的雨ざらしで、後半には春新芽が出始めます


他の月は、に分けて他のページにあります。


あらまし−

一般には、洋ランを通常言われている耐寒性で高温性、中温性、低温性に分け、それぞれ、最低気温が5、10、15℃を上回るようになってから、初めて屋外に出すとされています。これは休眠を意識した方法です。
このHPでは、生長を意識して扱います。秋にも、最低気温が5℃を下回る12月半ばまでは高温種から低温種ますべてを屋外に置き、日光と日だまりの高温で生長を維持し、霜だけを防ぐようにしました。冬は冬知らずで生長させてきたので、春も引き続き、霜の心配がなくなる4月初めから、全種を屋外に出してみます。ただし、コチョウランだけは念のために屋内に置きます。


5月の花など

シンビジウム、デンドロビウムなど春咲きの強健種は屋外で冬を越したため、やっと花茎がまた伸びだします。冬・早春咲きの中温・中光のオンシジウムとパフィオペディルムは花持ちがよく咲き続けます。また、エピデンドラムは暖かければ花茎が伸びて咲きます。カトレヤはそれほど花持ちが良くないので冬−早春咲きは終わっていますが、春咲きが準備を始めます。コチョウランも咲いています。
カトレヤ                          マクレラナラ
 

2 5月の園芸店

4月下旬から、母の日に連なり、五月中旬まで店が賑やかになります。コチョウランが中心で、ミニカトレアやミルトニアが加わる所もあります。す。

3 5月の各種蘭の様子

花茎の出方が一段と活発で多様になります。
シンビ・デンドロの他は12月後半から3月までの短期間室内で、大株作りを目指して最低温度を20℃近くに保っているため、高温の生長期と変わらない元気さでしたが、4月に入ってコチョウランとグラマトフィラムのほかは全て一斉に外に出しました。

下線付き属名のリンク先に育ち方と咲き方があります。育て方と咲かせ方は全部基本的に同じにしています。

五大属

1シンビジウム  置き場所、日だまりで、遮光兼霜除けのネットを被せて越冬させていましたが、他の種類に特等席を譲って、雨除けの透明屋根のある車庫に移動しました。午後は直射日光が当たります。大型種の方が寒さに弱いです。開花、大型種は殆ど終っていますが、だけは花茎が伸びて蕾がばらけています。しかしナメクジに食われています。花茎、小型種は霜害が浅く、下垂のサラ・ジーン'アイスカスケード'とその孫のエンザン・スカイ 'プレアデス'の花茎が長く太くなり始め、一部は蕾が見え始めました。
2デンドロビウム 置き場所、植込みの間の日向にテラスに置いています。花芽、やっと元気になりました。
下垂種の春咲きのピエラルディーの開花株を入手しました。唇弁がフリル状になっていてきれいで、低温にも強く咲きやすいそうです。

 
3カトレヤ 開花アイリン・フィニーは大きい方の株が後半に咲き始めました。。、春咲き種の遅咲き種、ファイア・キャサリンは大きい方は蕾が大きく、小さい方はシースが伸びています。新芽は先月までに出たミディー不定期のクリエイション、夏咲のトシエアオキ、秋咲きのアルマキーなどが伸びると共に、後半には冬咲きのミルドレッド・ライブス、春咲のモーニング・グローリーも出てきました。新芽の元からは根も出始めます。休眠、月初めは花の終わった秋咲のラビアタ、ファビンギアナ、ピュアズデライト、プリズムパレット、冬咲きのマイカイマユミ、ジラ・ワイルダーネス、春咲き種のスキンネリファイアキャサリン、が休眠状態です(新芽の出ている苗を除く)。秋・冬咲きの開花後の冬は休眠です。
大型種の休眠中の株、秋・は、高温で目覚めさせ、新芽を出させるため、引き続き室内に置くことにします。ミニカトレアは大半が休眠しないので、早めに外に出すことにします。

春咲きのアイリン・フィニー #2

3+ミニカトレヤ は、不定期咲や冬−春咲きは終って一段落です。冬新芽が伸び、その元からは新根も出ています。春新芽、雨ざらしの効果か、後半になって続々と出始めました。


4コチョウラン 置き場所、中旬、日が高くなって南の軒下の棚が日陰になったので、外に出し、遮光ネットで囲いました。花茎はウエディング・プロムナード、リップスティック(枝)、ファーストラブなどで伸びています。

4+ミニコチョウラン 置き場所、室内の窓辺近くです。日は入りません。 は、ミディーのアマビリスが咲き続け、ミセスブラウンやハッピーバレンタインが新たに咲いています。花茎は、伸びます。新葉が出たり、小さい葉が伸びたりしています。葉の間から新しい気根が出始めました。

ドリタエノプシス/ハッピー・バレンタインに似た花の小株

Phal. Golden Sands 'Canary', FCC/AOS '66
4" canary yellow, orange in lip overall light tan ? rust spotting. Selected plant out of Roy Fields' original cloning. This plant breeds. At the time of the original award, this plant was considered the best yellow phalaenopsis ever awarded. It is still widely sought after.
The hybrid Phal. Golden Sands was arguably the first important milestone in yellow Phalaenopsis breeding. It was registered in 1964 by Fields Orchids as Phal. Fenton Davis Avant x Phal. lueddemanniana var. ochracea. Despite the official registration, "[t]here seems to be no question that Roy Fields used a Phalaenopsis fasciata and not Phalaenopsis lueddemanniana v. ochracea to breed the cross."



5パフィオペディルム 開花、緑葉整形大輪種、斑入り薄葉種のモーディエタイプが咲き続けています。プライマリ交配種リーアナムの開花株を入手しました、冬咲きとされています。冬新芽、冬知らずの高温で早くから出た、葉や新芽が伸び、さらに春新芽が出ています。、透明ポットの中で、根冠が伸び始めました。

 
モーディエの開花、左端は、ほぼ入手時の大きさの別株。鉢を大きく、大株に育てたら、他の複茎種とは違って2年目の株が勝手に咲きました。中:鉢#1、葉最長24cm花幅10.5cm 右:鉢#5、草丈16cm、葉最長17cm花幅11cm
 
緑葉整形大輪のEnzan Branch x Kimura's present 鹿沼土植えで根が健康     リーアナム、入手株を鹿沼土で重ね着鉢増ししました

新五属

 
6オンシジウム 開花はアロハ・イワナガやその子のスィートシュガーなどが開き続け、シャーリー・ベイビーは例年より遅く2月半ばに出てやっと咲きました。新芽、どんどん伸びています。出所が高くなっている株は、高芽下ろしをしています。
6+ミニオンシジウム 、ピンク・パンサーは冬に咲きそびれています。
6' イオノシジウムオンシジウム群属間交配種・参照) 新芽、どんどん伸びています。
6' ブラッシア 新芽、どんどん伸びています。
6' マクレラナラオンシジウム群属間交配種・参照) 新芽、どんどん伸びています。
6’ コルムナラオンシジウム群属間交配種・参照) 新芽、どんどん伸びています。
6' ビーララオンシジウム群属間交配種・参照) 新芽、他の種類より開花も遅いですが、芽も遅れてやっと出てきました。スマイル・エリの開花株を入手しました。

7エピデンドラム 開花、暖かく、水切れさせないと、花茎にある高芽が伸びて咲き続けます。生長、新しい子株は伸び続け、花茎や高芽が伸びます。新芽、コロナとローズバレーは鹿沼土に植え替えたので休眠中です。開花、長茎薄葉小型種セントラデニウムは咲き終わりました。新葉は出てきません。

8セロジネ 新芽、半ば、伸び続けています。
 
  
9ジゴペタラム 置き場所、日焼けしやすいので、家の北沿いに置いてあります。生長、新葉が伸び続けています。また、中心から新しい葉が出てきます。新芽、かなり大きくなって伸びが緩やかになっています。
  

10バンダ置き場所、屋外に出して、快晴の日は北側に、そうでない日は日当たりに置いています。室内に入れて20℃以上を保ち、週1-2回の水やりで枯らさずに春を迎えることができました。他の種類と違って殆ど日が当たっていませんでした。下から落葉が進んでいます。また、中ほどが落葉した苗もあります。新しく入手した高温性の大苗は、カイガラムシが付いているようで、退治のために葉水を掛けましたが、葉元が乾かずに落葉につながったようです。


続五属

11 デンファレ 

11+フォーミディブル生長、新しい葉を出しながら茎が伸びます。根元近くの脇新芽が少しずつ伸びます。まだゆっくりです。
 
12キンギアナム 3日 開花、霜害、凍害がひどいですが、開花中。休眠状態です。鉢増しで大株になったキンギアナムは都心で無事越冬して花が増えました。さらに広浅鉢に鉢増しして緩効性化成肥料をやりました。


12+スペシオ・キンギアナム 開花、後半までには終わります。

12+大明石斛(タイミンセッコク) 新芽、伸びています。新葉、霜害がひどいせいかまだ出ません。
13 ミニバンダ 生長、鉢によってばらつきがあり、水が十分な鉢は、根に枝が出たり、根の先の根冠が発達したり、株の根元から気根が出始めたりします。新葉、根が生長し始めた株から、新葉が伸び始めます、新しく出てきます。新芽、春新芽はまだ出てきません。
14グラマトフィラムは晩秋の冷害で枯れてしまいました。
15デンドロキラム 生長:グルマセウムの大株は新芽が太くなります。
フォルモーサナムも、バルブが太くなり始めました。フォルモーサムの小株は一部に新芽が伸びていますが、元気にならない株があります。

追加五属

16 マキシラリア 新芽が伸び続けています。芽欠き、半ば、新芽がバルブの両側から出るので、小さい方を全て折取りました。。

東洋蘭・和蘭

一 セッコク 冬に入手した長生蘭/白鶴を、透明ポット・鹿沼土・芯入りで重ね着鉢増ししました。
フウラン 置き場所、ミニバンダと一緒に日だまりの棚に置き、少し遮光しています。新根が伸びています。
三 春蘭 置き場所、家の北側で、鉢植えのまま越冬させています。開花、花がずっと開いています。
四 エビネ 家の北側で、鉢植えのまま越冬させた株に、新芽が出ています。都心で南の塀の陰に地植えしているキエビネが咲きました。

報歳蘭 新芽、まだ小さいですが、伸び続けています。
五+ 駿河蘭 新芽、半ばには5cm前後に伸びています。


高山種

a ミルトニア 新芽、伸び続けています。後半には生長が早くなりました。1株の両側に出た芽も残しています。



4 5月の世話
(1)5月の置き場所

これまでの方法:

一般には、室内では、高温種は最低15℃以上、中温性種は10℃以上、低温性種は5℃以上に保たねばならないと、温室で育てる場合を元に考えられているようです。また、最低気温がその温度以上になるまでは屋外に出さないとされています。

本HPの方法

コチョウラン(とグラマトフィラム)以外は全て4月初めから屋外に出しています
最低気温が15℃以上となる5月後半からは雨ざらしにします(長雨を除く)
最低気温が15℃以下にならない5月後半から雨ざらしに
シンビとデンドロは、屋外で越冬させています。3月半ばに大明石斛・報才蘭・駿河蘭を室内から日向に出しました。
秋−初冬は、コチョウラン以外はバンダも含めて全て12月半ばまで屋外の日向に置き、昼間の日光と高温を利用しました。グラマトフィラムだけは例外で枯れましたが、他は全て生長を続け、室内に入れてからは冬知らずの高温で引き続き生長しています。11月末から最低気温は1.5℃の時もありましたが、「零下にならなければ大丈夫」と判断しました。低温になりそうな夜は、霜除け代わりに日除けのネットを被せただけです。
そこで、春も、零下にならなくなったら外に置くことを試します。東京の郊外では4月に入ると例外的な日を除いては零下にならないので、4月からコチョウランとバンダ以外は外に出すことにします。ただし、その前に、室内では日が入らなくなって、生長し始めたカトレヤなどはやや徒長気味です。そこで、後半からは晴れた日には、手間がかかりますが、日向に出してやることにします。
最初は日焼け予防を第一に遮光して
冬の間に屋内で出た新葉は特に日焼けしやすいようです。一方、4月はまだ生長の始まりで、それほど日光を必要としないと考えられます。そこで、日向の高温は利用しますが、日光については、日焼け予防を優先して、屋内よりはまし位のつもりでしっかり遮光します。遮光ネットを被せる方法は、風邪で飛ばされると直射日光を浴びる危険があります。生長は緩やかで強い日光は必要でないので、建物の北側の陰などで朝夕だけ日が当たる処があれば、大抵の種類を置くのに良いでしょう。
まだ落葉樹は葉が出ていないので、木漏れ日の利用はできません。
屋外などの置き場所の段階、大まかに分けても以下の22グループを8段階に分けています
1 シンビジウム1、デンドロビウム2、キンギアナム12・報才蘭五 1日中日だまりの直射日光では日焼けの恐れがあるので、透明な屋根の車庫や、午後は日のかげる処に置いています、車庫は午前中は直射日光が当たりません。
2 オンシジウム6・エピデンドラム7・デンファレ11・フォーミディブル・ミニバンダ13・セッコク(長生蘭)一・フウラン二 日焼けしにくい方なので日向の多段の棚に並べ、遮光ネットを前にかけます。木漏れ日の下でも大丈夫です。
3 バンダ10 日焼けしやすいので快晴の時には日除けをしますが、それ以外は半日日の当たる風通しの良い所に吊るします。
4 カトレヤ3・ミニカトレア 直射日光が少しでも当たると日焼けすることがあるので、その一方で高温に温めたいので、日向のテラスに置き、遮光ネットをしっかり被せます
5 マキシラリア16・デンドロキラム15・ミルトニアa 弱光性を含むので、植込みの根元の木漏れ日や、ブドウ棚の陰など、直射を避けた日向に置きます
6 パフィオペディルム5・ジゴペタラム8・セロジネ9 日焼けしやすいので、北の多段棚や地上に置いています。西日が間接で当たります。
7 春蘭三・エビネ四 古来の方法である、植木の根元で一年中育てています。家の北側で日が低い季節は日陰です。
8 コチョウラン4・グラマトフィラム14 室内の南の窓辺ですが、直射日光はもう入りません。室内では、引き続き暖房して、最低温度を20℃近くに保ちます。

(2)4月の水やり−本格的な植え替えはしないので、他の季節と変わりません

冬中乾き気味だったので、バーク植えは乾きが早いです。屋外では夜に冷えるので、晴れて暖かい日の午前中に水やりします。
雨の日に気温が高ければ、カビ病になりにくい種類はしばらく雨ざらしにします。植え込み材料が水を弾かなくなり良く育つと同時に、カイガラムシの幼虫が駆除できます。殺虫剤はやった時以外に繁殖した幼虫も防げないので、度々雨ざらしにする方が効果は大きいです。夜に取り込めるなら、カビ病になりやすいパフィオも雨ざらしにして夜は暖房で乾かします。

(3)4月の鉢増しなど

根に付いた植え込み材料を全部取り去る「植え替え」は、根の不活発な低温期にやると、その後の吸水が不十分で苗が弱ります。しかし、このHPで行っている大株作りや、群生株作りでは、また、鹿沼土植えで「重ね着鉢増し」なら、根の周りの植え込み材料を取り除かないので、ほぼ年中やることができます。古くなってカビたバークは取り除きます。

新しく入手した苗の「重ね着」透明ポット鉢増し(最初の世話)

ミズゴケ植えは、特に低温期に含水量が多く根が冷えるため、根腐れしたり、休眠して新芽の出が遅れたりしがちなので、バークか鹿沼土に変えています。植え替えするのは手間が大変で、植え傷みもするので、これまでの分はそのままにして、一回り広い鉢に移し、周りからバークか鹿沼土を流し込むようにしています。新しい材料を重ね着すると、春になって元気になると、新しい根が新しい材料の中に伸びます。寒さに向かう秋に、発泡スチロール芯の周りの根のない中心部のミズゴケを取り除くことにします。
  

植え替え

シンビジウム1、鹿沼土植えは2年たっていないので不要です。バーク植え
デンドロビウム
カトレヤ、昨年夏の新しい株は既に鉢増ししているので不要です。秋以降の新株を鹿沼土に植え替え鉢増し
ミニカトレア3 これまで、径7.5cmの小鉢にバークで植えてある苗を、径9cmに鉢増しし、同時に鹿沼土の重ね着にしました。

パフィオペディルム、鹿沼土植えは不要、新苗は済、追加分は暖かくなったのでバーク系から鹿沼土に植え替え、
コチョウラン、鹿沼土への植え替え分は終了
オンシジウム6、バークが古くなり、高芽になっている株もあるので、主に鹿沼土植え替えます。
エピデンドラム7、鹿沼土への植え替え分は終了
ジゴペタラム8、鹿沼土に植え替え、新苗は鹿沼土への重ね着鉢増し
セロジネ9、新苗は重ね着鉢増し終了、ミズゴケから鹿沼土へ、バーク植えは1年程度なので不要
バンダ10、昨年始めたミズゴケ巻寿司植えは傷みが少ないので、植え替え不要
デンファレ11
フォーミディブル11+、昨年バークで植え替えたので不要ですが、一鉢を鹿沼土に変えます。
キンギアナム12、鹿沼土植えは不要
ミニバンダ13、ミズゴケ芯入り植えで、ミズゴケがやや古くなってきました
グラマトフィラム14
デンドロキラム15、
セッコク一、ミズゴケ小鉢から鹿沼土に植え変え済
フウラン二
春蘭三、ビニールポット植えを庭に埋めたままで、土が少なくなっていたので、
エビネ四、同上
報才蘭五、駿河蘭五+、鹿沼土植えなので植え替え不要
ミルトニアa、秋にするように言われていますが、株が大きくて元気で、冬知らずで生長が始まっているので、春で支障はありません。

ミズゴケからバークや鹿沼土への植え替えも、芽や根が元気な株から始めます。

(4)肥料−年1回の置肥、元肥として

植え替えは余りしないので、また、冬知らずで大半がすでに新芽や根を出しているので、屋外に出すと同時に緩効性の肥料を置き肥します。説明書に書かれている量を目安にします。
機械的にやって構いません。
透明ポットに植えてあって根を見ると、元気な苗では新しい根が広がっています。また、新芽の基に新根が伸びていることがあります。このような状態の時に、元気な根の多い所には少し多めに肥料をやると効果的と思われます。


4月−屋外へ


他の月は、に分けて他のページにあります。


あらまし−全種(コチョウラン以外)を外に出します

一般には、洋ランを通常言われている耐寒性で高温性、中温性、低温性に分け、それぞれ、最低気温が5、10、15℃を上回るようになってから、初めて屋外に出すとされています。これは休眠を意識した方法です。
このHPでは、生長を意識して扱います。秋にも、最低気温が5℃を下回る12月半ばまでは高温種から低温種ますべてを屋外に置き、日光と日だまりの高温で生長を維持し、霜だけを防ぐようにしました。冬は冬知らずで生長させてきたので、春も引き続き、霜の心配がなくなる4月初めから、全種を屋外に出してみます。ただし、コチョウランだけは念のために屋内に置きます。


4月の花など

シンビジウム、デンドロビウムなど春咲きの強健種は屋外で冬を越したため、やっと花茎がまた伸びだします。冬・早春咲きの中温・中光のオンシジウムとパフィオペディルムは花持ちがよく咲き続けます。また、エピデンドラムは暖かければ花茎が伸びて咲きます。カトレヤはそれほど花持ちが良くないので冬−早春咲きは終わっていますが、春咲きが準備を始めます。コチョウランも咲いています。

パフィオ モーディエ・タイプ 

2 4月の園芸店

4月前半は、3月後半に引き続き、冬−早春物は殆ど無くなり、新しい種類は余り出てこないのでややさびしいです。余り変わらないのは、コチョウラン位です。ミニカトレア、デンファレ、オンシ、ミニオンシ、パフィオ、エピデンなど、大きな店にあった、ジゴペタラム、デンドロキラム、マキシラリア、ミニバンダ、なども少ないです。
4月下旬になると、母の日に連なり、五月中旬まで店が賑やかになります。コチョウランとミニカトレアが中心です。

3 4月の各種蘭の様子

花茎の出方が一段と活発で多様になります。
シンビ・デンドロの他は12月後半から3月までの短期間室内で、大株作りを目指して最低温度を20℃近くに保っているため、高温の生長期と変わらない元気さでしたが、4月に入ってコチョウランとグラマトフィラムのほかは全て一斉に外に出しました。

下線付き属名のリンク先に育ち方と咲き方があります。育て方と咲かせ方は全部基本的に同じにしています。

五大属

1シンビジウム  置き場所、日だまりで、遮光兼霜除けのネットを被せて越冬させていましたが、他の種類に特等席を譲って、雨除けの透明屋根のある車庫に移動しました。午後は直射日光が当たります。大型種の方が寒さに弱いです。開花、大型種は殆ど終っていますが、だけは花茎が伸びて蕾がばらけています。しかしナメクジに食われています。花茎、小型種は霜害が浅く、下垂のサラ・ジーン'アイスカスケード'とその孫のエンザン・スカイ 'プレアデス'の花茎が長く太くなり始め、一部は蕾が見え始めました。
2デンドロビウム 置き場所、植込みの間の日向にテラスに置いています。花芽、やっと元気になりました。

 
3カトレヤ 開花アイリン・フィニーは大きい方の株が後半に咲き始めました。。、春咲き種の遅咲き種、ファイア・キャサリンは大きい方は蕾が大きく、小さい方はシースが伸びています。新芽は先月までに出たミディー不定期のクリエイション、夏咲のトシエアオキ、秋咲きのアルマキーなどが伸びると共に、後半には冬咲きのミルドレッド・ライブス、春咲のモーニング・グローリーも出てきました。新芽の元からは根も出始めます。休眠、月初めは花の終わった秋咲のラビアタ、ファビンギアナ、ピュアズデライト、プリズムパレット、冬咲きのマイカイマユミ、ジラ・ワイルダーネス、春咲き種のスキンネリファイアキャサリン、が休眠状態です(新芽の出ている苗を除く)。秋・冬咲きの開花後の冬は休眠です。
大型種の休眠中の株、秋・は、高温で目覚めさせ、新芽を出させるため、引き続き室内に置くことにします。ミニカトレアは大半が休眠しないので、早めに外に出すことにします。

春咲きのアイリン・フィニー

3+ミニカトレヤ は、不定期咲や冬−早春咲きは終って一段落です。原種のワルケリアナの白花(ペンデンティブでしょうか、冬春咲き)、プライマリ交配種のワルケリンターの開花株を入手しました。スィート・シュガー、フェアリー・ランド、コスモ・アロハなど、新芽が伸び、その元からは新根も出ています。


4コチョウラン 置き場所、室内の窓辺近くです。日は入りません。花茎はウエディング・プロムナード、リップスティック(枝)、ファーストラブなどで伸びています。
一部の苗で秋までの日焼けと雨ざらしで誘発した炭疽病が完治せず、引き続き症状が出ている物があります。

4+ミニコチョウラン 置き場所、室内の窓辺近くです。日は入りません。 は、ミディーのアマビリスが咲き続け、ミセスブラウンやハッピーバレンタインが新たに咲いています。花茎は、伸びます。新葉が出たり、小さい葉が伸びたりしています。葉の間から新しい気根が出始めました。

ドリタエノプシス/ハッピー・バレンタインに似た花の小株

Phal. Golden Sands 'Canary', FCC/AOS '66
4" canary yellow, orange in lip overall light tan ? rust spotting. Selected plant out of Roy Fields' original cloning. This plant breeds. At the time of the original award, this plant was considered the best yellow phalaenopsis ever awarded. It is still widely sought after.
The hybrid Phal. Golden Sands was arguably the first important milestone in yellow Phalaenopsis breeding. It was registered in 1964 by Fields Orchids as Phal. Fenton Davis Avant x Phal. lueddemanniana var. ochracea. Despite the official registration, "[t]here seems to be no question that Roy Fields used a Phalaenopsis fasciata and not Phalaenopsis lueddemanniana v. ochracea to breed the cross."



5パフィオペディルム 開花、緑葉整形大輪種、斑入り薄葉種のモーディエタイプが咲き続けています。プライマリ交配種リーアナムの開花株を入手しました、冬咲きとされています。新芽、冬知らずの高温で早くから出た、葉や新芽が伸び、さらに新芽が出ています。、透明ポットの中で、根冠が伸び始めました。

 
モーディエの開花、左端は、ほぼ入手時の大きさの別株。鉢を大きく、大株に育てたら、他の複茎種とは違って2年目の株が勝手に咲きました。
 
緑葉整形大輪のEnzan Branch x Kimura's present 鹿沼土植えで根が健康     リーアナム、入手株を鹿沼土で重ね着鉢増ししました

新五属

 
6オンシジウム 開花はアロハ・イワナガやその子のスィートシュガーなどが開き続け、シャーリー・ベイビーは例年より遅く2月半ばに出てやっと咲きました。新芽、どんどん伸びています。出所が高くなっている株は、高芽下ろしをしています。
6+ミニオンシジウム 、ピンク・パンサーは冬に咲きそびれています。
6' イオノシジウムオンシジウム群属間交配種・参照) 新芽、どんどん伸びています。
6' ブラッシア 新芽、どんどん伸びています。
6' マクレラナラオンシジウム群属間交配種・参照) 新芽、どんどん伸びています。
6’ コルムナラオンシジウム群属間交配種・参照) 新芽、どんどん伸びています。
6' ビーララオンシジウム群属間交配種・参照) 新芽、他の種類より開花も遅いですが、芽も遅れてやっと出てきました。スマイル・エリの開花株を入手しました。

7エピデンドラム 開花、暖かく、水切れさせないと、花茎にある高芽が伸びて咲き続けます。生長、新しい子株は伸び続け、花茎や高芽が伸びます。新芽、コロナとローズバレーは鹿沼土に植え替えたので休眠中です。開花、長茎薄葉小型種セントラデニウムは咲き終わりました。新葉は出てきません。

8セロジネ 新芽、4月初めに開花・鹿沼土への重ね着鉢増し株から、やっと出てきました。古くからある小株の芽はどんどん伸びています。
 
セロジネ・クリスタータの新芽
  
9ジゴペタラム 置き場所、日焼けしやすいので昼間の直射日光は禁物です。庭の北側で朝夕に日が当たる位が安全です。生長、開花株もそうでないのも葉が伸び続けています。また、中心から新しい葉が出てきます。新芽、下旬に遅咲きだったジゴペタラムの根元から新芽が出てきました。芽枯れ、雨ざらしにすると新芽の巻いた葉に水が溜まって茶枯れが起きることがあります。
  

10バンダ置き場所、屋外に出して、快晴の日は北側に、そうでない日は日当たりに置いています。室内に入れて20℃以上を保ち、週1-2回の水やりで枯らさずに春を迎えることができました。他の種類と違って殆ど日が当たっていませんでした。下から落葉が進んでいます。また、中ほどが落葉した苗もあります。新しく入手した高温性の大苗は、カイガラムシが付いているようで、退治のために葉水を掛けましたが、葉元が乾かずに落葉につながったようです。


続五属

11 デンファレ 

11+フォーミディブル開花、終わりました。生長、新しい葉を出しながら茎が伸びます。根元近くの高芽が少しずつ伸びます。
 
12キンギアナム 開花、霜害、凍害がひどいですが、開花が始まりました。スペシオ・キンギアナムの白花の開花株を入手しました。香りが強いです。

12+大明石斛(タイミンセッコク) 新芽、下旬に出てきて3cm。霜害、凍害がひどいです。
13 ミニバンダ 生長、アスコフィネティアも、今年は冬知らずのおかげで、葉も気根も艶々と輝き、新芽も出始めています。
14グラマトフィラムの新芽は枯れてしまいました。大きなバルブは大丈夫ですが小さいバルブも凍傷です。
15デンドロキラム 生長:グルマセウムは一部の新芽は太くなりますが、変わらないものや葉が枯れるものがあります。新芽の根元のが太くなっています。フォルモーサナムは殆ど変わりません。フォルモーサムの休眠中の古株から、やっと新芽が伸びています。

追加五属

16 マキシラリア 新芽が伸びています。葉が開いてきた株もあります。

東洋蘭・和蘭

一 セッコク 冬に入手した長生蘭/白鶴を、透明ポット・鹿沼土・芯入りで重ね着鉢増ししました。
フウラン 置き場所、ミニバンダと一緒に日だまりの棚に置き、少し遮光しています。新根が伸びています。
三 春蘭 置き場所、家の北側で、鉢植えのまま越冬させています。開花、花がずっと開いています。
四 エビネ 置き場所、家の北側で、鉢植えのまま越冬させています。
報歳蘭 新芽、下旬までに全株出て伸び始めました。
五+ 駿河蘭 新芽、伸びています。


高山種

a ミルトニア 新芽、伸び続けています。後半には生長が早くなりました。1株の両側に出た芽も残しています。



4 4月の世話
(1)4月の置き場所

これまでの方法:

一般には、室内では、高温種は最低15℃以上、中温性種は10℃以上、低温性種は5℃以上に保たねばならないと、温室で育てる場合を元に考えられているようです。また、最低気温がその温度以上になるまでは屋外に出さないとされています。

本HPの方法

最低気温が0℃以下にならない4月から屋外に
シンビとデンドロは、屋外で越冬させています。3月半ばに大明石斛・報才蘭・駿河蘭を室内から日向に出しました。
秋−初冬は、コチョウラン以外はバンダも含めて全て12月半ばまで屋外の日向に置き、昼間の日光と高温を利用しました。グラマトフィラムだけは例外で枯れましたが、他は全て生長を続け、室内に入れてからは冬知らずの高温で引き続き生長しています。11月末から最低気温は1.5℃の時もありましたが、「零下にならなければ大丈夫」と判断しました。低温になりそうな夜は、霜除け代わりに日除けのネットを被せただけです。
そこで、春も、零下にならなくなったら外に置くことを試します。東京の郊外では4月に入ると例外的な日を除いては零下にならないので、4月からコチョウランとバンダ以外は外に出すことにします。ただし、その前に、室内では日が入らなくなって、生長し始めたカトレヤなどはやや徒長気味です。そこで、後半からは晴れた日には、手間がかかりますが、日向に出してやることにします。
最初は日焼け予防を第一に遮光して
冬の間に屋内で出た新葉は特に日焼けしやすいようです。一方、4月はまだ生長の始まりで、それほど日光を必要としないと考えられます。そこで、日向の高温は利用しますが、日光については、日焼け予防を優先して、屋内よりはまし位のつもりでしっかり遮光します。遮光ネットを被せる方法は、風邪で飛ばされると直射日光を浴びる危険があります。生長は緩やかで強い日光は必要でないので、建物の北側の陰などで朝夕だけ日が当たる処があれば、大抵の種類を置くのに良いでしょう。
まだ落葉樹は葉が出ていないので、木漏れ日の利用はできません。
屋外などの置き場所の段階、大まかに分けても以下の22グループを8段階に分けています
1 シンビジウム1、デンドロビウム2、キンギアナム12・報才蘭五 1日中日だまりの直射日光では日焼けの恐れがあるので、透明な屋根の車庫や、午後は日のかげる処に置いています、車庫は午前中は直射日光が当たりません。
2 オンシジウム6・エピデンドラム7・デンファレ11・フォーミディブル・ミニバンダ13・セッコク(長生蘭)一・フウラン二 日焼けしにくい方なので日向の多段の棚に並べ、遮光ネットを前にかけます。木漏れ日の下でも大丈夫です。
3 バンダ10 日焼けしやすいので快晴の時には日除けをしますが、それ以外は半日日の当たる風通しの良い所に吊るします。
4 カトレヤ3・ミニカトレア 直射日光が少しでも当たると日焼けすることがあるので、その一方で高温に温めたいので、日向のテラスに置き、遮光ネットをしっかり被せます
5 マキシラリア16・デンドロキラム15・ミルトニアa 弱光性を含むので、植込みの根元の木漏れ日や、ブドウ棚の陰など、直射を避けた日向に置きます
6 パフィオペディルム5・ジゴペタラム8・セロジネ9 日焼けしやすいので、北の多段棚や地上に置いています。西日が間接で当たります。
7 春蘭三・エビネ四 古来の方法である、植木の根元で一年中育てています。家の北側で日が低い季節は日陰です。
8 コチョウラン4・グラマトフィラム14 室内の南の窓辺ですが、直射日光はもう入りません。室内では、引き続き暖房して、最低温度を20℃近くに保ちます。

(2)4月の水やり−本格的な植え替えはしないので、他の季節と変わりません

冬中乾き気味だったので、バーク植えは乾きが早いです。屋外では夜に冷えるので、晴れて暖かい日の午前中に水やりします。
雨の日に気温が高ければ、カビ病になりにくい種類はしばらく雨ざらしにします。植え込み材料が水を弾かなくなり良く育つと同時に、カイガラムシの幼虫が駆除できます。殺虫剤はやった時以外に繁殖した幼虫も防げないので、度々雨ざらしにする方が効果は大きいです。夜に取り込めるなら、カビ病になりやすいパフィオも雨ざらしにして夜は暖房で乾かします。

(3)4月の鉢増しなど

根に付いた植え込み材料を全部取り去る「植え替え」は、根の不活発な低温期にやると、その後の吸水が不十分で苗が弱ります。しかし、このHPで行っている大株作りや、群生株作りでは、また、鹿沼土植えで「重ね着鉢増し」なら、根の周りの植え込み材料を取り除かないので、ほぼ年中やることができます。古くなってカビたバークは取り除きます。

新しく入手した苗の「重ね着」透明ポット鉢増し(最初の世話)

ミズゴケ植えは、特に低温期に含水量が多く根が冷えるため、根腐れしたり、休眠して新芽の出が遅れたりしがちなので、バークか鹿沼土に変えています。植え替えするのは手間が大変で、植え傷みもするので、これまでの分はそのままにして、一回り広い鉢に移し、周りからバークか鹿沼土を流し込むようにしています。新しい材料を重ね着すると、春になって元気になると、新しい根が新しい材料の中に伸びます。寒さに向かう秋に、発泡スチロール芯の周りの根のない中心部のミズゴケを取り除くことにします。
  

植え替え

シンビジウム1、鹿沼土植えは2年たっていないので不要です。バーク植え
デンドロビウム
カトレヤ、昨年夏の新しい株は既に鉢増ししているので不要です。秋以降の新株を鹿沼土に植え替え鉢増し
ミニカトレア3 これまで、径7.5cmの小鉢にバークで植えてある苗を、径9cmに鉢増しし、同時に鹿沼土の重ね着にしました。

パフィオペディルム、鹿沼土植えは不要、新苗は済、追加分は暖かくなったのでバーク系から鹿沼土に植え替え、
コチョウラン、鹿沼土への植え替え分は終了
オンシジウム6、バークが古くなり、高芽になっている株もあるので、主に鹿沼土植え替えます。
エピデンドラム7、鹿沼土への植え替え分は終了
ジゴペタラム8、鹿沼土に植え替え、新苗は鹿沼土への重ね着鉢増し
セロジネ9、新苗は重ね着鉢増し終了、ミズゴケから鹿沼土へ、バーク植えは1年程度なので不要
バンダ10、昨年始めたミズゴケ巻寿司植えは傷みが少ないので、植え替え不要
デンファレ11
フォーミディブル11+、昨年バークで植え替えたので不要ですが、一鉢を鹿沼土に変えます。
キンギアナム12、鹿沼土植えは不要
ミニバンダ13、ミズゴケ芯入り植えで、ミズゴケがやや古くなってきました
グラマトフィラム14
デンドロキラム15、
セッコク一、ミズゴケ小鉢から鹿沼土に植え変え済
フウラン二
春蘭三、ビニールポット植えを庭に埋めたままで、土が少なくなっていたので、
エビネ四、同上
報才蘭五、駿河蘭五+、鹿沼土植えなので植え替え不要
ミルトニアa、秋にするように言われていますが、株が大きくて元気で、冬知らずで生長が始まっているので、春で支障はありません。

ミズゴケからバークや鹿沼土への植え替えも、芽や根が元気な株から始めます。

(4)肥料−年1回の置肥、元肥として

植え替えは余りしないので、また、冬知らずで大半がすでに新芽や根を出しているので、屋外に出すと同時に緩効性の肥料を置き肥します。説明書に書かれている量を目安にします。
機械的にやって構いません。
透明ポットに植えてあって根を見ると、元気な苗では新しい根が広がっています。また、新芽の基に新根が伸びていることがあります。このような状態の時に、元気な根の多い所には少し多めに肥料をやると効果的と思われます。



3月−前半は冬の続き、後半は屋外準備

他の月は、、春、に分けて他のページにあります。


あらまし−冬知らずで秋から春になりました

この冬は、大部分の種類を12月半ばに部屋に取り込んで、南側の日差しの入る処に棚を並べ、それからは、終日輻射型暖房を弱く付けて置き、最低温度を20℃近くに保ちました。すると、どの鉢も3-4日で乾き、5日毎に水やりしても不足くらいとなりました。冬越しの心配が全くなく、花を楽しみ、新芽が早く出るのを喜んでいる内に、春になってしまいました。その間には、根腐れしやすいミズゴケ植えを、バークや鹿沼土に植え替えたりしています。
困るのは、家を長く空けていたために、水切れで一部の新芽が枯れたり、弱っていた葉が枯れたり、カイガラムシの生長が活発なことです。
いよいよ3月になったので、鉢増しや、残ったミズゴケ植えの植え替えを進めます。今月は前半と後半では、生長も世話も異なってきます。
前半:まだ冬の続きです。
後半:冬咲きなどの花が終わって、早く出た新芽は生長が本格化し、春の早咲きの種類は蕾が大きくなります。その反面、室内には日が入らなくなって、徒長気味になります。また水やりを増やす反面で温度がまだ低いので根腐れの心配があり、根腐れしている入手苗などでは衰弱します。4月からの屋外に備えるのを兼ねて晴れて暖かい日は木漏れ日のある暖かい所に出します。
最低気温5℃未満と、最高気温20℃以上は、太平洋岸の関東以南の大都会でも3月下旬になるので、それまでは、郊外ではなおさら、中・高温種を本格的に屋外に出すのはためらいます。しかし、日が高くなって、室内には入りにくくなるので、中光種以上は晴天にはできる鉢だけでも日向に出してやります。日の届かないところに置いてあるカトレヤは徒長気味になります。高温種のバンダ・コチョウランと、比較的弱光で良いとされる、パフィオ・セロジネ・ジゴペタ・ミルトニアは割を食います。カトレヤ、オンシジウム、デンファレ、フォーミディブルなどは、3月後半には、できれば晴れた日の日中は日向に出して水やりします。室内に入れてあった、大明石斛・報才蘭、駿河蘭を外へ出します。


3月の花など

シンビジウム、デンドロビウムなど春咲きの強健種は花茎が伸びたり咲いたりします。冬・早春咲きの中温・中光のオンシジウムとパフィオペディルムは花持ちがよく咲き続けます。また、エピデンドラムは暖かければ花茎が伸びて咲きます。ジゴペタラム、カトレヤはそれほど花持ちが良くないので花が終わります。コチョウランも花茎を伸ばし、咲きます。最低温度を18-20℃に保って「冬知らず」にすると、冬−春咲きのカトレヤとミニカトレアは冬咲きと春咲きの端境期に入ります。下旬になるとカトレヤの春咲き種の中にはシースから蕾がでてくるものがあります。
カトレヤ                          マクレラナラ
 

2 3月の園芸店

3月は、冬の定番のシンビジウムは見られなくなり、デンドロビウムは減ります。余り変わらないのは、豪華なコチョウランです。ミニカトレアやデンファレ、オンシ、ミニオンシ、パフィオ、エピデンなども少なくなります。大きな店に2月にあった、ジゴペタラム、デンドロキラム、マキシラリア、ミニバンダ、なども減ります。マスデバリア、リカステ、ソフロニティス、ミニオンシのオブリザタムなどは夏の暑さに弱いです。新しい種類は余り出てきません。

3 3月の各種蘭の様子

花茎の出方が一段と活発で多様になります。
シンビ・デンドロの他は室内で、今冬−春は大株作りを目指して最低温度を20℃近くに保っているため、高温の生長期と変わらない元気さです。
冬知らずの高温で
根腐れの心配がいらない
どんどん水やりし、新芽の出が早くなり開花に有利
色々な種類が蕾を出して咲く
鉢増しや土増しして植え替えの代わりを始められる
新しく入手した鉢は、透明容器への鉢増しで、来年咲かせる

下線付き属名のリンク先に育ち方と咲き方があります。育て方と咲かせ方は全部基本的に同じにしています

五大属

1シンビジウム  テラスに置いて霜除けの薄いネットでは霜焼けしています。遅ればせながらビニールトンネル状に使うとされている白の厚手の不織布を被せました。花茎がさらに伸び、蕾が顔を出します。
2デンドロビウム シンビジウムと一緒にテラスに置いています。花芽はまだ少ないです。

 
3カトレヤ 開花、春咲きの早咲き種が咲きますモーニング・グローリーなどが咲き終ります。、春咲き種の遅咲き種、アイリン・フィニーの1株はシースの中に蕾が春咲き種の蕾が見え始めました。大事な蕾がナメクジの小さい虫に食われました。予防に、花首にハエなど用の殺虫剤を噴霧しました。遠くからしないと、凍傷で枯れてしまいます。新芽が、休眠する種類を除いて伸びています。ミディー不定期のクリエイション、夏咲のトシエアオキ、秋咲きのアルマキーです。新芽の元からは根も出始めます。休眠、月初めは花の終わった秋咲のラビアタ、ファビンギアナ、ピュアズデライト、プリズムパレット、冬咲きのマイカイマユミ、ジラ・ワイルダーネス、春咲き種のアイリン・フィニー、ミルドレッド・ライブス、ファイアキャサリン、が休眠状態です(新芽の出ている苗を除く)。秋・冬咲きの開花後の冬は休眠です。
大型種の休眠中の株、秋・は、高温で目覚めさせ、新芽を出させるため、引き続き室内に置くことにします。ミニカトレアは大半が休眠しないので、早めに外に出すことにします。

3+ミニカトレヤ は、不定期咲のスィート・シュガー、フェアリー・ランド、コスモ・アロハなど、冬咲きで遅咲きのサンライズ・ドール、ルビー・エースや春咲きのロホなども咲いて終ります。
新芽が伸び、その元からは新根も出ています。日が高くなって、やや徒長気味なので、早く外に出してやる必要があります。

コスモ・アロハの花、山田蘭園のカトログから転載 

4コチョウラン 花茎はウエディング・プロムナード、リップスティック(枝)、ファーストラブなどで伸びています

4+ミニコチョウラン は、ミディーのアマビリスが咲き続け、ミセスブラウンやハッピーバレンタインが新たに咲いています。花茎は、伸びます。新葉が出たり、小さい葉が伸びたりしています。葉の間から新しい気根が出始めました。
秋までの日焼けと雨ざらしで誘発した炭疽病が完治せず、引き続き症状が出ている物があります。

ドリタエノプシス/ハッピー・バレンタインに似た花の小株

5パフィオペディルム 開花、緑葉整形大輪種、や小株の斑入り種のモーディエタイプが咲いています。デレナティーの開花株を入手しました。新芽、冬知らずの高温にすると、葉が伸び、新芽が出て、根元から新根も伸び、生長が続きます。冬に付きものの根腐れの心配も減ります。
 
緑葉整形大輪のEnzan Branch x Kimura's present     斑入り厚葉系のデレナティー

新五属

 
6オンシジウム 開花はアロハ・イワナガやその子のスィートシュガーなど。花茎、シャーリー・ベイビーは例年より遅く2月半ばに出て蕾が大きくなりました。
6+ミニオンシジウム ケイロホルムやトゥインクルのの開花株は花が終わりました。蕾は開が続いています。冬知らずで新芽がどんどん出ます。
イオノシジウムは後半に新しい芽が出始めました。
6' ブラッシアの脇芽が伸びます。 
6' マクレラナラオンシジウム属間交配種・参照)のは終りました。咲かなかった株からは新芽が伸びています。

7エピデンドラム 冬知らずの高温で水切れさせないようにすると、引き続き花が咲き生長します。長茎種で厚肉葉で頂点に毬状に咲く種類、開花、暖かく、水切れさせないと、花茎にある高芽が伸びて咲き続けます。生長、新しい子株は伸び続け、高芽が伸びます。ミズゴケ植えは、目覚めないのは、根が温まらないためと思われます。バーク植えか、鹿沼土植えへの重ね着植え替えを進めています。放っておいても根腐れしやすくなるだけです。開花、長茎薄葉小型種セントラデニウムは咲き終わりました。

8セロジネ 開花、インターメディアとクリスタータの花が終りました。生長、クリスタータは開花株も新芽が出て、花の咲かない株では新芽が伸びています。
 
セロジネ・クリスタータの新芽
  
9ジゴペタラム 開花ジゴペタラム ジャンピング・ジャック ’ビッグ・ビーンズ’と、属間交配種ジゴニシアのムラサキコマチと、ジゴパブスティア メリーアンの花が終わりかけています。新芽は高温で冬知らずのおかげで、開花株もそうでないのも葉が伸び続けていますが、日が当らないので葉の色が輝く緑色で、やや徒長気味のようです。置き場所、芽が出揃ったので月の半ばには屋外に出します。
  
ジゴニシア/ムラサキコマチの新芽

10バンダ、室内に入れて20℃以上を保ち、週1-2回の水やりで枯らさずに春を迎えることができました。他の種類と違って殆ど日が当たっていませんでした。下から落葉が進んでいます。また、中ほどが落葉した苗もあります。新しく入手した高温性の大苗は、カイガラムシが付いているようで、退治のために葉水を掛けましたが、葉元が乾かずに落葉につながったようです。


続五属

11 デンファレが、開花したり、が大きくなったりしています。ミズゴケ植えは根腐れしている物があるので、鹿沼土に植え替えています。

11+フォーミディブル開花、冬知らずの高温で、茎頂部の葉の間のが咲きました。生長、新しい葉を出しながら茎が伸びます。根元近くの高芽が少しずつ伸びます。
 
12キンギアナムの葉の間の花芽(シース)、先端近くの葉の根元に芽。霜が降ったら、一部の葉が白くしもやけになりました。
12+大明石斛(タイミンセッコク) 月初めから外に出しました。。
13 ミニバンダ 開花、冬咲きのヨネザワラ/ブルー・スターは花が終わっています。生長、アスコフィネティアも、今年は冬知らずのおかげで、葉も気根も艶々と輝き、新芽も出始めています。
14グラマトフィラムの新芽は枯れてしまいました。大きなバルブは大丈夫ですが小さいバルブも凍傷です。
15デンドロキラム 開花、大型のグルマセウムも、小型種フォルモーサナムも、終りました。生長:グルマセウムは新芽の鞘が割れてバルブが出てきました。フォルモーサナムは殆ど変わりません。、フォルモーサムの新芽の根元からが出始めました。グルマセウムの根は太くなっています。フォルモーサムのミズゴケ植えからバーク植えに植え替えた休眠中の古株から、やっと新芽が出てきました。

 
左:グルマセウムの透明ポット鉢増し後、右:フォルモーサナムは二重鉢の中は透明鉢でしたが鉢増ししました。

追加五属

16 マキシラリア 開花、やや大型のポリフィロステレや小型の黒花のシュンケアナの花が終りました。新芽が伸びています。
 

東洋蘭・和蘭

一 セッコク 冬に入手した長生蘭/白鶴を、透明ポット・鹿沼土・芯入りで重ね着鉢増ししました。
フウラン 冬知らずの高温と水やりで、ミニバンダと一緒に新根が伸びています。
三 春蘭 置き場所、家の北側で、鉢植えのまま越冬させています。花芽が出てきました。
四 エビネ 置き場所、家の北側で、鉢植えのまま越冬させています。
報歳蘭 置き場所、月初めから外に出しました。
五+ 駿河蘭 置き場所、月初めから外に出しました。


高山種

a ミルトニア 新芽はほぼ出そろい、伸び続けています。冬は高温なら生長するそうで、冬知らずの高温のため。



4 3月の世話

パフィオ モーディエ・タイプ開花


(1)3月の置き場所


これまでの方法:

一般には、室内では、高温種は最低15℃以上、中温性種は10℃以上、低温性種は5℃以上に保たねばならないと、温室で育てる場合を元に考えられているようです。また、最低気温がその温度以上になるまでは屋外に出さないとされています。

本HPの方法

シンビとデンドロは、屋外で越冬させています。3月半ばに大明石斛・報才蘭・駿河蘭を日向に出します。
秋−初冬は、コチョウラン以外はバンダも含めて全て12月半ばまで屋外の日向に置き、昼間の日光と高温を利用しました。グラマトフィラムだけは例外で枯れましたが、他は全て生長を続け、室内に入れてからは冬知らずの高温で引き続き生長しています。11月末から最低気温は1.5℃の時もありましたが、「零下にならなければ大丈夫」と判断しました。低温になりそうな夜は、霜除け代わりに日除けのネットを被せただけです。
そこで、春も、零下にならなくなったら外に置くことを試します。東京の郊外では4月に入ると例外的な日を除いては零下にならないので、4月からコチョウランとバンダ以外は外に出すことにします。
ただし、その前に、室内では日が入らなくなって、生長し始めたカトレヤなどはやや徒長気味です。そこで、後半からは晴れた日には、手間がかかりますが、日向に出してやることにします。その際、日焼けしやすいカトレヤなどはネットで完全に覆うようにし、日焼けにやや強いデンファレ、オンシジウムなどは、木漏れ日の下に置きます。バンダも吊るので風通しは良いですが、快晴以外は直射日光が当たっています。弱光種のパフィオペディルムやセロジネなどは日陰に置きます。
休眠中の種類は、日に当てる必要が少ないので、引き続き室内に置き、平均では屋外よりむしろ暖かくして、目覚めと新芽が出るのを促進します、大型カトレヤ。また、高温種の、コチョウラン、グラマトフィラムも室内です。室内では、引き続き暖房して、最低温度を20℃近くに保ちます。

(2)3月の水やり−室内では冬知らずで他の季節と変わりません

冬知らずの高温栽培で最低温度を18-20℃以上にすると部屋の温度が高いので、3-4日で鉢の中まで乾きます。根腐れの心配なしに週2回か5日ごと位の水やりになります。晴れて暖かい日の午前中に、日向に出して水やりし、屋内に戻して暖房し温風で乾かしています。

(3)3月の鉢増しなど

放任・省力栽培なので、植え替え、肥料、消毒などは原則としてやりません。室内に入れて良く見ることができるようになることを活かします。一方で、根腐れやその元は冬の間に起きることに注意します。(最低温度を20℃以上にすれば根腐れしにくいので気楽です)

新しく入手した苗の「重ね着」透明ポット鉢増し(最初の世話)

ミズゴケ植えは、特に低温期に含水量が多く根が冷えるため、根腐れしたり、休眠して新芽の出が遅れたりしがちなので、バークか鹿沼土に変えています。植え替えするのは手間が大変で、植え傷みもするので、これまでの分はそのままにして、一回り広い鉢に移し、周りからバークか鹿沼土を流し込むようにしています。新しい材料を重ね着すると、春になって元気になると、新しい根が新しい材料の中に伸びます。寒さに向かう秋に、発泡スチロール芯の周りの根のない中心部のミズゴケを取り除くことにします。
  


鉢増し・植え替え

冬知らずの高温栽培なら、新芽やその根元の新根が出始めます。また、水やりを続けていて根も活発に動いています。従って、植え替えが可能です。なるべく根をびっくりさせない鉢増しにします。ミズゴケからバークや鹿沼土への植え替えも、芽や根が元気な株から始めます。ミズゴケ植えは、低温多湿で休眠しやすく根腐れしやすく、芽や根が出るのが遅れがちです。

カイガラムシ退治

洋ランで主に問題になるのはカイガラムシですが、それも、園芸店から入手する場合についているのは主にカトレヤで、それ以外の種類では少ないです。引き続き、水やりの時などに1株ずつ根元近くを調べ、ピンセットや柔らかい歯ブラシなどで取り除きます。

2011.4.2 3月分を移行して、ファイル作成開始