洋ランは、大部分の人が、枯れるとか、咲かないで苦労していますが、このHPの方法でなら、入手した株が、段々元気になり、大きくなって、花が咲くようになるまでを楽しむことができます。
しかし、努力して立派な株を作りあげると、今度は、複茎種では毎年株が入れ替わっていくため、調子のよい状態を必ずしも保てるとは限りません。単茎種の場合は、何かの拍子に葉がだめになったりして、再び小さくなってしまったり、甚だしい場合は、日焼けか何かの病気で生長点をやられて株がだめになってしまうこともあります。
枯れたり、咲かなかったりするのに比べれば贅沢な悩みですが、予防したり、対策をする必要があります。このような、贅沢な悩みについては、本でもネットでも見たことがありません。
一番多いのは、植え込み材料が古く悪くなったのに植え替えせずに、根腐れすることです。ある程度の期間(ミズゴケでは毎年、バークでも各年が目安)ごとに植え替えする必要がありますが、手間がかかったり、生長が鈍ったり、します。劣化を遅らせるには、バークの場合は、濡れるほどに水やりせず、湿らせる程度にすれば良いのですが、そうすると、水やり頻度は多くなります。その点、鹿沼土は無機質のためカビたり腐ったりというような劣化がないため、根の痛みや植え替えの必要が減ります。
複茎種で良くあるのは、オンシジウムやカトレヤの一部のように、新芽が段々と高い位置から出るようになって、根を十分に張ることができず、小さくなってしまうことです。対症療法としては、高芽は外して株分けする方法があります。
害虫で最も問題なのはカイガラムシで、特にカトレヤが被害に遭いやすいです。洋ランのカイガラムシは外来性なので、家庭で新たに被害を受けることはないのですが、入手した苗についていて農薬で抑えられていたのが、気が付かないうちに再発するか、新しく入手した苗の虫が他の苗に移るかして起きます。
特に根腐れなどで苗が弱って萎れていると被害もひどくなり、また、冬に室内に入れると暖かく、乾燥気味で一気に増えたり大きくなったりして目立ちます。カトレヤ以外の種類でも油断はできません。
カイガラムシは単為生殖で、メスだけで1回に数百の卵を産み、年に数回繰り返します。孵化したばかりの一齢幼虫は動き回り、親は根元に隠れていることが多いですが、同じ株のてっぺんまでも、また、隣の株にも移動します。また、殺虫剤が効くのは、殻をかぶっていない一齢幼虫だけで、二齢以降で動かなくなった虫には効果がありません。産卵期は一定せず、親によって分散し、いつ産卵したかは分からないため、年中殺虫剤を巻き続ける浸透性と言って、ランに根から吸収させ害虫が吸汁して効果のある薬剤を根元に播く必要がありますが、いずれも人体にも環境にも有害です。
カイガラムシは一齢の時は雨にも弱いので、雨ざらしにしておくと殆ど増えません。また、強い水を噴射すると吹き飛ばすことができるので、これらにより、殆ど駆除することができます。根元の植え込み材料に埋まっている部分とか、薄皮に覆われた処の虫は注意深く探して取り除かなければなりません。特に冬のこの作業が大事です。