洋ランギャラリー
はがき絵
Denphale
Paphiopedilum
Phalaenopsis
HISAMI PRESS
2011.7.19-23 世界自然遺産 「屋久島からのメッセージと自然芸術展」(NHKふれあいギャラリー)に友情参加
写真、文、風蘭を展示
縄文杉−風蘭−薄墨桜
21世紀洋ラン研究会
縄文杉と、雲霧林に着生するフウランは、屋久島を代表する植物である。
我が国の精神文化は、近代以降は稲作・弥生一色になってしまった。しかし、三内丸山遺跡の発掘以降は、稲作農民以外の「百姓」の存在と、縄文が豊かで多様な時代であったことに再び注目が集まっている。実はごく最近まで、米中心の生活をする人は一部で、多くの人は縄文以来の野や畑や山や海の恵みを味わい自然の中で生活してきた。縄文杉という言葉は我々の郷愁を誘う。
風蘭は樹木への着生蘭で、夏に可憐な白い花を咲かせ、夕方に快い香りを広げる。ランは最も種類が多く、赤道直下の熱帯から極北・高山まで、強い植物との争いを避けて奥地に広がり特殊な進化を遂げた、優しく賢い植物である。地面を追われて樹上に棲んだり、葉緑素のないナンバンギセルや、蘭菌なしでは発芽できないことなどがその例である。
最近、樹木についても、根と菌の共生が注目されるようになってきた。アカマツとマツタケに限らず、杉などでも菌根菌が生育に重要な役割を果たしていることが明らかにされつつある。蘭との意外なつながりが見えてきたところである。
さて、縄文杉と同様に長寿で有名なものに、岐阜県根尾の薄墨桜がある。花の時分は言うまでもないが、夏のむせかえる緑の時期は、背景となる杉の森との共演が素晴らしい。山裾の杉林に抱かれて、開けた傾斜地に枝を広げている様は、神々しいばかりである。ところで、桜は寿命が短いのが普通で、薄墨桜も弱っていたのを、樹木医が根接ぎをして蘇えらせた。今は長い枝を支柱に支えられている。支柱に使われているのも杉丸太であろう。木の柱と言えば、何と言っても諏訪大社の御柱を思い出さずにはいられない。縄文の時代から、我が国の心はアニミズムに包まれ、木は神の依り代と考えられてきた。薄墨桜が御柱のような木々に支えられているのは微笑ましい。
みはしらに うすずみさくら ささえられ
展示した風蘭の開花株のイメージ
風蘭のはがき絵なども出展されています。
2011.7.19-23 世界自然遺産 「屋久島からのメッセージと自然芸術展」(NHKふれあいギャラリー)に友情参加
2010.12.5掲載開始