洋ランの鉢


目次
初めに

1 初めに

洋ランは、プラスチック鉢、素焼き鉢、陶器鉢など色々な鉢に植えられています。また、鉢の外見は陶器などでも、中は透明ポリポットやプラスチック鉢に植えられていて二重になっていることがあります。また、鉢の大きさも色々ですが、株の大きさからみて小さい鉢に植わっていると思われることが多いです。
鉢の種類や大きさの異なる物に植えられていると、水やり後の乾き方が色々となり、一々見ないと水やりができず、しかも乾き方が異なるために、どれかが枯れたり、根腐れしたりしてうまくいきません。そこで、ここでは、鉢の中が見えて水やりしやすく根腐れしにくい透明鉢を主に使うことにしています。また、小さすぎる鉢は、水不足になって枯れることが多く、鉢の温度も熱くなったり冷たくなったりしやすく苗に負担が大きいため、最小の大きさの目安を径9cmにしました。一方、大きいと鉢の乾きが悪く根腐れの危険が増すので、上限をほぼ15cmにしています。

2 鉢の種類−透明ポリポット・ペットボトル・プラスチックコップ

生産者の都合により、苗の種類や大きさによって色々な鉢が使われています。また、コチョウランなどでは豪華に見せるため大きな陶器の鉢が、シンビジウムでは東洋ランのような細くて背の高い鉢が用いられています。
洋ランの花を自分で楽しむために、世話が易しくて根腐れしにくいことを優先するなら、透明な鉢が最適です。コチョウランの場合は初めから透明の薄くて柔らかいポットか、固いプラスチックの鉢に植えられていることが多いです。
透明なポットは、普通の園芸店やホームセンターにはないことが多く、まして大きいものとなると見かけられません。洋ラン園に出入りしているなら分けてもらうこともできるでしょう。
手に入らなくても困ることはありません。ペットボトルは代用品として最適です。
プラスチックコップも使うことができます。


透明の軟質プラスチックポットにバークを入れて水やり後数日たった処。上を除いて湿っていて鉢の内側には水滴が付いているのが分かる。小さい鉢では上から半分まで乾いている。

3 鉢の大きさ−9cmから15cmまでが世話しやすい

洋ランは大抵の種類が、苗からみると不釣り合いのような小さな鉢に植えられています。これは小さい苗から、殆ど植え替えせずに、温室の高温と多肥と大量の水やりで促成栽培され、最初の花が付いた時に出荷されるためのようです。根は鉢いっぱいになり、シンビジウムの場合は脇芽が鉢の縁にぶつかるほど窮屈になっていることが良くあります。
特にデンドロビウム、アスコフィネティア、ミニオンシジウムなどは鉢が小さすぎて、夏は乾きすぎたり高温になったりして苗が衰弱することが多いです。
一方、家庭で育てられている場合も、園芸書には異口同音に、小さい鉢を使うようにと書かれているので、ミニ洋ランは7.5cm程度の小鉢に植えられていることが多く、大抵生長不良になっています。根腐れがある程度予防できるようになったら、小さな欄でも径9cm以上にした方が生育が良くなり、枯れにくくなります。
洋ランは大きい鉢に植えられていることは少ないですが、大輪のカトレヤでは18cm以上の大鉢に植えられていることがあります。こちらは、温度の高い温室では乾いて根腐れもおきないのでしょうが、家庭の屋外の栽培では夏の高温期以外は、他の小さな鉢に比べてずっと乾きにくいので、うっかりすると根腐れしてしまいます。従って15cm位までに抑えておく方が他の鉢と似た世話ができて便利です。
ランを育てていると年々広がって、15cm鉢には納まらなくなってきます。
株分けはその時にすると良いと思います。


径7.5,9,10.5cmの透明ポットと、黒いプラスチック鉢にバークとミズゴケを、また黒いビニールポットにバークを入れて水やりし数日たった処。大きい鉢ほど植え込み材料に湿りが見られる。
2010.7.4掲載開始