はじめに
洋ランの中でもカトレヤ原種はパフィオと共に熱狂的なファンを持っています。苗は高価で一部のマニアが温室で育て、庶民には高嶺の花のようです。
でももし普通に育てて咲くなら−−−、
と思って、普及種が手に入った機会に始めました。
洋ラン学園の方法で温室もミズゴケも素焼鉢もなしで他のランと同じ世話で咲きました。
しかし、HPや本では、各種の魅力については多く書かれていますが、マニア向けの専門的な内容が多く、人気種に偏っていたりして、
一般向けな育て方、咲かせ方を見つけるのが大変です。
園芸店の店頭で手に入る種類は少ないため、「
カトレヤ原種西東京発」さんの御助言とご支援をいただいて、
多くの種類を「大学院」で実験してみることにしました。
原種の苗は高価で小苗のことが多いですが、洋ラン学園の基本は「大きな有望株を大鉢で」です。
まず種ごとの予備知識を、遺伝子系統解析による分類順に、表に、実験する種類を中心にまとめてみ ました。
「趣味の園芸」とは異なる「乱暴な方法」で、従って「きれいでなくても咲けば良い」という考え方です。
他のランと同様に「
これまでの趣味の園芸の方法ではうまくいかない人」向けの方法です。
洋ラン学園(このHP)の方針
カトレヤ原種の育て方の情報を得ようと本やHPを見ても育て方の情報は殆どありません。
育て方よりも花の良しあしなどの種の特徴にしか関心が無いためです。
一般の人には最も大事な、どの種類が丈夫で育てやすいか、も殆ど分かりません。
育て方は、温室・素焼鉢・ミズゴケ植えで、一般向きではありません。
様子が載っている場合もありますが、個別の苗の個別の環境での、開花前後の様子だけのことが多く、参考になるかどうか分かりません。いです。
洋ラン学園では次の方針で育てた情報を提供します。
(1)温室を使わず、一年の大半は屋外、冬霜の降る期間は室内
(2)花の咲いた直後などの大きくて力のある有望株を育てる
(3)高価で消耗品で頻繁な植替えの欠かせない素焼鉢・ミズゴケ・バークを使わず、プラスチック鉢に鹿沼土植えだけ
(4)丈夫で咲きやすい種類(大型種の大株)を中心に、木漏れ日下・雨ざらし、土が乾いて見えてきたら一斉にシャワーで水やり、肥料は春の置肥だけ、など全て同じかんたんな世話をして、育てやすさ・咲きやすさを比較
(5)カトレヤ、レリアなどグループ別、花期別の代表種の、株の大きさ、芽季、花芽時、花期、芽出しから開花までの生長パターンを記録
これは、洋ラン学園がほぼ全ての洋ラン(複茎種)で行っている方法で、カトレヤ原種も特別扱いは不要です
障害のほとんどは、直射日光に当てて日焼けしたり、室内にしまい忘れて冷害にあったりで、育て方そのものは殆ど問題ありません。(2014.7.24)
カトレヤ原種の年期・芽季・花芽時・花期、花芽の分化-2014年初めに
複茎種は普通は毎年脇芽が出て花が咲きますが、中には半年ごとに子芽が出て半年か1年で咲く種類があります。
洋ラン学園では前者を1年型、後者を半年型と呼び、後者は新芽の生長期間が短いために咲きそこなったり作落ちし易いことに注意するようにしています。
カトレヤにもワルケリアナのように半年型が沢山あります。
バルブを大きくして咲かせるためには、なるべく早く新芽を出させる必要がありますが、親が小さかったり、植替えしたり、冬が寒かったりすると「芽季」が遅れることがあります。
花芽が現れてくる前に、新芽の先端にはそのもとになる物ができます。「花芽の分化」も本来の時期までに新芽が所要の大きさに達していないとうまくいきません。
2014年は以上の点に注意を払って進めます。グループごとにこれらをまとめたカレンダーを作っています。2014.1.27
カトレヤ原種-丈夫な種類
「カトレヤ原種」のHPを見ると、「どの種類の花が素晴らしいか」が中心で、そのような種類が欲しくなります。
しかし「趣味でない園芸」では、「丈夫で育てやすく咲きやすい」ことが第一です。
人気のある種類の中には弱い種類、小さかったり低温に弱い種類があります。
このような種類は、経験と几帳面な世話が無いと枯れやすいですが、そのような情報が余りありません。
洋ラン学園では「
丈夫で育てやすく咲きやすい」かどうかに注意を払って、情報を集め、育てて試してみたいと思います。
「カトレヤ原種西東京発」さんのHPには、全種について「
易しい種類か難しい種類か」の表が載せられています。2014.3.30
ラビアタ系とレリアの大型種に丈夫で成長が旺盛で咲きやすい物が多いようです。
左:ラビアタ、右:マキシマ
左・右:レリア・プルプラータ
カトレヤ原種のグループ分け
カトレヤ原種は、一般に
ラビアタ系、ロディゲシー系、ワルケリアナ系、ボーリンギアナ系に分けられます。
この他に
レリア、ブラサボラ、コクシネアまでが考えられます。
産地や一枚葉か二枚葉かなどが目安になっています。
但し主な関心は花の咲き方にあり、育て易さなどの基本的な観点の説明は少ないです。
洋ラン学園の基本は下記のように考えます。上ほど易しいと言えるでしょう。
ラビアタ系:大輪で見ごたえがあり大型で丈夫な種類は育てやすい、花期が色々で育ち方も色々(南米北部とブラジル)
ロディゲシー系:細茎双葉小輪多花性で、一般に中高温性でやや寒さに弱いとされるものが多い(ブラジルなど)
グアリアンセ(ボーリンギアナ系):細茎双葉小輪多花性はロディゲシー系と同様、根が細くやや弱い(中米)
ワルケリアナ系:小型で半年型のため、やや繊細な扱いが必要で作落ちもしやすい(ブラジル南東部)
レリアの大型種はラビアタ系の一部と同程度に育てやすく咲きやすいです。(ブラジル、メキシコ)
ソフロニティスは倭性で高山植物で暑さに弱く一般的でなく一部の趣味家向きなのでとりあげません。(ブラジル南東部)(2014.7.25)
しかし、この頃は、この分け方についての詳しい説明が余り見られなくなってしまいました。
このため分かりにくくなっています。例えば、マキシマは一部の栽培書では性質からロディゲシー系に入れられていたことがありますが、産地などからはラビアタの仲間です。
各系の主な種類は近年の遺伝子系統解析が参考になります。
栽培が難しいとされている種類は二枚葉系ではロディゲシー系に多いようです。
一枚葉の
ラビアタ系では黄色系のオーレアやエルドラド、レックス、ローレンシアナ、メンデリー、ムーレアナなどややマイナーな種類が多いです。
これらは遺伝子系統解析では、aurea,warcewicziiとluteora,iricolorグループでラビアタ系の主要種とはやや離れていると言えそうです。
オーレアと近縁のワーセビッチイとルテオラは易しいとされています。
7.27
苗リストに
formaの一覧表転載、ロディゲシー系の特徴と性質の一覧表
7.24 「カトレヤ原種の育て方]検索で3位以内
4.21 素焼鉢・ミズゴケ植え新苗の植替えのレシピ、苗リストに何位の区別
3.30 カトレヤ原種-丈夫な種類、2014年経過のはじめに
3.26 新芽の記録
3.9 2014年初めに
1月26日 詳しい経過のファイルを、ラビアタ、ボーリンギアナ、ワルケリアナ、グアリアンセ、レリア、ソフロニティス・ブラサボラにグループ分け
2014年 1月前半 レリア・アンセプス開花
12月後半
デッケリ開花
12月
グァテマレンシス開花
11.25 2012年以前版を「カトレヤ」のページと「今月の洋ラン」から再掲で作成
9.15
ラビアタ・コンカラー開花、13年新苗開花カレンダー
8月後半
グァテマレンシスにシース
7月前半
レリア・アンセプスに花茎
6.19 初めて3カ月足らずで、ネット検索で5位になりました、
ルデマニアーナ、レリア・プルプラータ開花
6.11 苗リストと、最初の植え付け作業、のファイルを独立
6.5
マキシマ 開花 6.7 時期別一覧表開始
5.14 2か月足らずで50位以内に入りました
ジェンマニー開花
4.18 始めてから一月足らずで、早くも「カトレヤ原種」検索で80位以内に入りました、植替えについてKTSから転載
スキンネリ開花
重ね着鉢増しのレシピ
4.5 新苗の写真、
インターメディア開花
4.3 地域別の種の表、地域の地図再掲・追加
3.30
参考書 「図解 洋ランの栽培」 「カラーブックス・カトレヤ」
3.27 ケッペンの気候帯
2013.3.24 HP開始
(以前の経過は
カトレヤの育て方と咲かせ方、
カトレヤ開花事典のページに、
2012年2月
ワルケリアナ開花
2011年 4月ワルケリアナ開花株を入手
11年1月
トリアネー開花
11月 スキンネリにシース
9月
ラビアタ開花
2010.6月末、最初の苗の入手)