12月前半
昨年の夏芽が、
基のバルブにはさらに大きくなっています。植替えと株分けの効果と思われます。丈が低くならなくても、バルブが小さくなったりできなくなったりしたのは
作落ちでした。
小さい
秋新芽は、葉の根元から枯れています。広い意味の冷害と言えるでしょう。駿河蘭は名前に反して中国南部の暖地産ので寒さに弱いと思われます。遅く出た小さな秋新芽は大きくならず
芽欠きした方が良いので差支えはありません。選抜と芽欠きの手間が省けた位です。
左:親株、茂りすぎて細い、右:分け株
根元が太ってバルブ状に
冷害と思われる遅く出て
小さい秋新芽の枯れと、
新株の鞘の葉の枯れ
8月後半
花茎が出てきました。昨年の夏芽が、
基が太くバルブになっています。
鉢#1
株#24、12年7月以前出
夏芽、丈38
バルブ幅約1cm
花茎10cm、#29、12年7月以前出
夏芽、丈51
バルブ幅約1.2cm
花茎12cm
左2:1年前の夏芽から出た花茎、根元が丸く太っています。左側は凍害で枯れた太めのバルブ。
鉢#2、
親株枯れ?
花茎9.5cm
7月後半
春芽 伸び続けています。丈最高17cm葉10枚まで。
遅れて出た
夏芽、丈2-5cm。
左・中:鉢#1、右:鉢#2、中央手前の小さいのは遅れて出た夏芽
6月前半
春芽 伸び続けています。遅れて出た
夏芽もあるようです。親である昨年の芽は根元が丸くなってバルブになってきました。
肥料 5月後半に植替え鉢増ししたので、今回置肥します。
5月後半
春芽、鉢が一杯で新芽が見えませんでしたが、植替えのために抜いたら例年通りに出ていました。
植替え・株分け・鉢増し、
植替えをしてから数年たち、凍害で古株が枯れたりしているため「
浅広鉢・鹿沼土・薄植え・中芯入り」に、植替え・鉢増しします。
株数が多いため、株分けしました。
鉢底近くは入手した時に植わっていた泥が入っていて、古根は根腐れしています。
中央付近から二つに割りました。先が伸びて根冠になっている所もあります。
根を広げて、中央に芯を入れました。深細鉢から浅広鉢への植替えです。
赤い新芽が伸びています。鉢#1、鉢#2
目次
初めに
1 初めに
東洋蘭の大半はシンビジウムで、中国の蘭は主に
花を楽しむ春蘭(一茎に花が一つ)・一茎九花と、葉を楽しむ恵蘭・金稜辺に分けられます。また日本産は、春蘭と寒蘭に分けられます。
恵蘭はさらに
広葉系の大明蘭、中国報歳、台湾報歳蘭と、細葉系の建蘭、玉花蘭、素心蘭、焼葉蘭、古今輪蘭に分類されています。
駿河蘭は建蘭とか雄蘭とか呼ばれる仲間で、原産地は中国南部産で蘭の中では栽培の歴史が最も古いそうですが、江戸時代に福建省から入って駿河方面で普及したためにそう呼ばれていると考えられています。広葉の報歳蘭に比べると葉は細いです。なおこの他にも近年多くの中国産の蘭が導入されており、
中国奥地の蘭と総称されています。
駿河蘭は、盛夏に長い花茎に黄緑色で香りのある花を咲かせます。
冬加温すると初夏から晩秋まで
何回も咲くので四季蘭とも呼ばれています。
報歳蘭に比べると出回り方は少なく、葉も細くて頼りない感じがしますが、咲きやすく、年2回咲くことがあり、他の花のない
夏に咲くので、楽しめます。
報歳蘭は別のページにあります。
2 開花可能株の選び方
夏に開花株を入手すると、10月頃に新しい花茎が出てくることがあります。親株が大きいと新しい脇芽も大きくなりやすく花が期待できます。
新しい脇芽が大きくなっているほど有望です。
3 性質と基本的な世話
下記本から転載された下記ホームページから再転載させていただきました。
a 「山渓カラー名鑑 蘭 ラン」
唐澤耕司監修 山と渓谷社(1996) p.148 から 要約引用
b 「日本のラン 原種・園芸種280」
石田源次郎編著 NHK出版(1994) p.65 から要約引用
c 「カラー版 ホーム園芸 日本の野生ラン 自然の姿を楽しむ」
小田倉正圀著 主婦と生活社(1979) p.78 から要約引用
d 「ガーデンシリーズ 東洋ラン 栽培の楽しみ」
ガーデンライフ編 誠文堂新光社(1976) p.25
黒崎陽人執筆 「絵本 東洋ランの手ほどき」 から要約引用
e 「ガーデンシリーズ 東洋ラン 栽培の楽しみ」
ガーデンライフ編 誠文堂新光社(1976) p.137
大栄浩執筆 「その他の東洋ラン」 から要約引用
f 「ガーデンシリーズ 東洋ラン 栽培の楽しみ」
ガーデンライフ編 誠文堂新光社(1976) p.129,130
朝倉義雄執筆 「ケイランの種類」 から要約引用
http://homepage3.nifty.com/geiseki/m_hana/09suruga/suruga_9.html
<草姿>
a 球茎は小さく、線形の革質葉を3〜4枚つける。
b 葉の長さは50〜60cm、葉質はややかたくて立ち性。
c オランの別名通りに剛直強壮。葉の長さ五〇〜六〇センチ、幅二センチ程度で、つやはなく、葉質も堅く、三枚くらいが立ち上がる。
五月ごろから新芽を伸ばし、八月上旬には親と同じ大きさにまで葉を展開する。新芽基部から根を出し、基部が肥大して新バルブを作り、十一月ごろに生長は停止する。葉は三年くらい生きているが、やがて葉先から茶色く枯れ込み、落ちる。
e 葉丈五〇〜六〇cm、葉幅二cmほどの立ち葉性で、雄大な感じであり、垂れ葉性のメラン(雌蘭)に対してオラン(雄蘭)とよばれるものです。
<花>
a 花茎は直立し長さ30〜40cm、5〜10輪をつける。花径約4cmで花弁の先はやや丸い。
花色はふつう淡緑色で赤褐色の線や斑点がはいる。香りがよい。開花期は夏。
b 夏に花径約5cmの黄緑色の花を6〜8輪咲かせ、
芳香がある。花茎は高さ30〜50cm。花期は6〜8月。
c
六月ごろ、バルブ基部から花芽が顔を出し、七月になると花茎を三〇〜四〇センチ伸ばし、六〜八花を咲かせる。
スルガランは葉の茂りの中で咲くが、メランは葉の上に出て咲く。
花は径約五センチで、花弁はやや肉厚で黄緑色、唇弁は黄色に赤点が散るのが普通。
芳香があるが、暑いときに咲くため花もちは悪く、10日ぐらい。
e ふつうに培養したものは花期は七〜八月の盛夏ですが、
冬期、一〇℃ぐらいに保温して培養した大株は五〜六月より十一月の間にわたって数回、順次開花するので、四季蘭と名づけられたのでしょう。
一茎六〜七花、二〇〜三〇cmの花茎に黄緑色の可憐な花をつけ、特有の芳香があります。
夏に咲いた花は一週間ぐらいしか保ちませんが、
涼しくなって咲くと花保ちがよく、愛されるランです。
<植え方>
c 深めの鉢に、水はけよく砂植えにするのが標準であるが、水ゴケを山形に盛り上げて植えてもよい。
バルブは、やっと隠れるくらいの浅植えにする。
植え替えは三年に一回、三〜四月に行う。
花がなかなか咲かないときは、五月下旬ごろ鉢から出し、日陰に半日ほど放置して、植え替えると花芽が出やすい。
これは、悪い刺激を与えて花芽を出させる方法で、葉芽(増殖率)は悪くなる。
e 培養土は排水のよいゴロ土ならなんでもよく、スルガランの根は太く植えにくいので、植える前、半日ぐらい陰干しにして根を柔らかくしてから植えるようにします。
<置き場所>
c 午前中二時間くらい直射日光の当たる場所に置く。あまり日陰では、増殖率も開花率も悪くなる。
また、風の強い場所や鉢の倒れやすい所では、葉が折れて見苦しくなりやすい。
冬は凍結、霜、寒風の避けられるフレームか、室内に取り入れる。
温室で加温すれば、増殖率、開花率がよくなる。
d あらいよしず下程度の光線が最適で、戸外で作るときは葉が長く折れやすいので、強い風のあたらないように注意します。
うっかり強風にさらすと葉は折れ、一日で無惨な姿となってしまいます。
サンルーム等の設備があれば、一年中そこで作れます。
<管理>
b 雨を避け、冬に凍らせなければ丈夫に育ち、夏に開花する。
冬暖かく保つと6〜11月にたびたび開花する。
c じょうぶなランで、冬の凍結や降霜にあわなければ、栽培は容易。
生長期は一日一回 かん水するが、用土表面がいつも湿っているようなら回数を減らす。
冬は鉢内が完全に水ぎれにならない程度に、水管理する。
大型のランなので、春と秋に油かす、骨粉等の置き肥を少量与える。
特に目立つ病虫害はないが、まれに葉に黒い斑点が出ることがある。
このときは、ダイセン等の殺菌剤を十日おきに四回くらい散布する。
e 本来は暖地性のランですが、直接雨露にさらすことさえなければ、冬期多少凍っても越冬できる丈夫なランです。
丈夫なランですから、とくべつ注意することもありませんが、戸外で雨ざらしにすると葉に
雨ボチと称する黄色の斑点のでる病気にかかることがあります。
また多湿、多肥となったばあいには、黒斑のできる病気に侵されることがありますから、注意します。
もしこのような症状が現れたときは、ダイセン等の殺菌剤を規定の倍率にうすめて一か月に二回ぐらい、三〜四か月つづけて散布します。
f 性質も強健で採光を強くし、施肥も多めに培養します。
4 病気と害虫(注意点)
凍害
根腐れや日焼けはしにくいですが、−5℃以下では凍害に遭います。実際の温度は新聞などで知らされる最低気温よりは低いので注意します。
5 段階別開花記録
直射日光にも寒さにも強く根が丈夫です。
植え方:普通の園芸植物と同じ培養土でも作れます。ここではシンビジウムにも使い始めた
鹿沼土で植え替えました。
置き場所:日光にも強いので、3月から12月まで屋外で育てられます。真夏の真昼の直射日光では日焼けするので、この期間は日を和らげる必要があります。寒い時期は少なくとも南向きの軒下で、できるだけ暖かくして過ごします。屋内で防寒すると、春の生長開始が早くなり、株が大きくなります。
水やり:根腐れしにくい植え方がしてあれば、高温の生長期には水やりは十分にすることができます。
屋外にある間は、水はけ良い植え込み材料なら雨ざらしで大丈夫です。
5.1 脇芽を大きく(初めて・小学校)
2009年9月初め、開花株を入手しました。親株の葉は細いですが、高さは33cmあります。本などにある大きさからみると相当小さいです。
丈夫で、脇芽がどんどん出ます。
小さな鉢に植えられて、いっぱいになっていることが多く、脇芽が中々大きくなりません。
南方・暖地の台湾産で高温性であることも関係していると思われます。
茶色みを帯びた脇芽が、初夏にかなり大きくなってきました。多すぎるときは芽かきをします。
藪状になった親株と新しい脇芽
5.2 二番花(入門・中学)
夏に入手した開花株が、秋に花茎を出してくることがあります。
10月2日 花茎長さ11cm
5.3 新しい脇芽に咲く(入門・中学)
2010年
直射日光の当たる処に小さな鉢植えを置いているため、生長が良くないので、
5月22日、遅くなってしまいましたが、鉢が細く窮屈なので、鉢増ししました。鉢の縁まで株があり、根がはみ出しています。
根鉢を作って根同士がくっついているので、隙間ができるよう少しほぐし、鉢底もほぐして、少し径の大きい鉢に植え替えました。
入手してから蘭鉢に植えたまま
7月21日、まだ開花のきざしはありません。
新芽の大きさは、7/18 10cm、7/18 14cm、8/29 20cm、この調子なら、来年や、うまくすると晩秋移行に咲くかもしれません。
8月28日
開花中、昨年の芽は親より少し小さく約30cmです。親株は最高で38cm。遅れて植え替えをしたのに健気です。
急に花茎を25cm余りまで伸ばしています。花茎は4本あり、1花茎当たりの花数は7個までです。
10月17日 期待していなかったため、ほったらかしにしていたら、また
花が終わりかけていました。地味な花ですが、エライです。
11月10日 全体に細く、短くなっています。窮屈な鉢で育て、植え替えを行い根をほぐし、真夏の猛暑に直射光で日焼けさせ水も不足したので無理も有りません。株が増えすぎて咲きにくくなるのが心配です。
2011年1月31日 新芽の双葉が出ています
大株作り・冬知らず(高校)
冬は12月半ばから、2月一杯まで室内に置き、最低温度を20℃近くに保つ冬知らずにしました。
2011年4月13日 早くも新芽が出て3cm位になっています。大きな親株ほど新芽も大きいです。
開花日記(洋ランカレンダー)
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2009 |
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9 | 上旬:開花株入手 |
10 | 上旬:草丈33cm、花茎11.5cm |
2010 |
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5 | 下旬:植え替え |
7 |
中旬新芽16,10,10cm
下旬19,14,12cm |
8 | 開花 |
9 |
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10 | 開花 |
11 |
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12 | 屋内に入れる |
2011 | 冬知らずの高温 |
1 | 下旬冬芽 |
2 |
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3 | 屋外に出す |
4 | 中旬:春芽3,2,2,2,2,1.5cm |
5 | 中旬:春芽5.5,5,3.5cm |
6 |
上旬:春芽8,7,6,5cm
中旬:春芽10,10,10cm |
7 |
中旬:春芽16x3, 14x3, 11,9,7x2cm
下旬:春芽#1,2 21, #3 18, #5 17, #6 15, #7,8 13, #10 10, #11 12, #12 11, #13 9 ~#17 |
8 | 中旬:春芽#1 28cm |
9 | 上旬:春芽#1 草丈36cmバルブなし葉6枚、花茎9cm、? 草丈27cmバルブ高さ1.5cm幅0.7cm葉3枚+2枚枯れ、花茎9cm |
10 |
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11 |
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12 |
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6 咲かない理由
株が小さい
7 近縁種
最初に述べたように、恵蘭の仲間では、報歳蘭の台湾報歳蘭が一般園芸に流通しているようです。駿河蘭の方が、丈夫で、花が咲きやすく、夏咲で、香りがあり、年に2回以上咲くことがあるので、入門向きと言えるでしょう。