洋ラン学園
スペシオキンギアナムの育て方と咲かせ方
初めに
スペシオキンギアナムはどちらもオーストラリア産のキンギアナムと大明石斛の交配種で、キンギアナムと似てやや大型です。
大明セッコクよりは咲きやすくなります。
Den. Specio-kingianum
Den. kingianum x speciosum
(どちらも オーストラリア に自生)の交配種。花径 2.5 cm の芳香のある花が群がって咲く。丈夫で繁殖力旺盛。
夏に高芽が出易いが、出たら掻き取ってやらないと花が付かない。
蘭爛(写真も)
目次
基本の育て方-洋ラン学園の苗と衣食住の4原則
最初(冬)に枯らさない方法(幼稚園年少組)
開花株を入手して1年後に咲かせる(小学校)
2年目以降も咲かせる・作落ち対策と大株作り(中学校)
旧版
基本の育て方-洋ラン学園の苗と衣食住の4原則
洋ランは枯れやすく咲きにくいと思われています。寒さに弱く、根が乾燥や過湿で枯れるためです。
洋ラン学園ではこれらを予防し、易しい方法の普及を目指しています。
詳しくはHP冒頭にありますが、要点は下記の通りでどの種類も同じです。入手してからこの方法に慣らしていきます。温室・ミズゴケ・バーク・農薬を使いません。
(1)苗は1年後に開花が期待できる丈夫な種類の大株を入手する。
(2) 植え方(衣)は枯れやすいミズゴケやバークを使わず、東洋蘭で使われている鹿沼土に植える。
(3)置き場所(住)は、冬以外は屋外、冬は屋内で防寒・防霜
(4)水やり(食)は高温期には雨ざらしで生長促進(害虫も駆除)
枯れない始め方 「洋ラン幼稚園(年少組)」-ペットボトル植え
コチョウランは普通に育てると最も枯れやすいランです。
ランはもともと木に着生して根は空中に伸びています。
鉢植えにすると根は酸欠や過湿と低温で腐りますが、それが最もひどいのがバンダとコチョウランです。
洋ラン学園では、鉢から抜いて広口の透明容器に移して根の外側をむき出しにするため根腐れが起きません。
根腐れの心配が全然いらなくなります。2019/09/28
蕾付き株を咲かせる「洋ラン幼稚園 年長組」
大抵の洋ランは2週間ほど咲くと終わってしまいます。
1年の大半は枯れないように世話をするだけです。
コチョウランは花の持ちが良く1か月以上持ちます。その上、花茎の先が伸びて蕾が出てきて、新しい花が咲きます。
従って数か月花を楽しむことができます。さらに花が終わっても花茎を残しておくと半年前後で枝が出てきて咲くことがあります。
エピデンドラムの花茎は枝が出てきます。
デンファレは半年後に同じところから花茎が出てきます。
ミニカアトレアの多くは半年型で、開花株に次の脇芽がついていて時にはすでにシースや蕾が出ています。しばらく元気に育てていると次の花が咲きます。
開花株を入手して1年後に咲かせる(小学校)
洋ラン学園では、どの種類も「開花株を入手して1年後に咲かせる」を目標にして実例を示しています。
1年目は親株が大きいので最も咲かせやすいです。
以下は種類を問わない世話の内容です
(1) 冬に入手することが多いので、室内で最低温度10℃を保つ
(2) ミズゴケ植えの苗は幅広容器に移す
(3) 春になったら最低気温10℃以上で屋外の半日陰(直射日光では日焼けして枯れる)、軒下(雨ざらしでは一部の種類がかび病で枯れる)に置く
(4) ミズゴケ植えとバーク植え共に根腐れと枯れの原因なので、一回り広い浅鉢に移し、隙間に鹿沼土を入れる(重ね着鉢増し)
(5) 同時に緩効性の化成肥料粒を表面にばらまく
(6) 梅雨入り前後から雨ざらし・半日陰において、水を切らさないようにする。
(7) 夏から初秋までは、日焼けと水切れに注意し新しい脇芽を開花親と同じ高さを目指して伸ばす。
(8) 最低気温が20℃を下回ったら(10月から)病気になりやすい種類は軒下などで雨除けする
(9) 最低気温が10℃を下回ったら(11月後半から)、新株は暖かい陽だまりなどで保温する
(10) 最低気温が5℃を下回ったら(12月から)屋内に移動する。
一般に秋に花茎が出て冬に咲きます。
以下に2019年の実例の経過を示します。下から上へ進みます。
白花
2年目以降も咲かせる・作落ち対策と大株作り(中学校)
温室育ちに比べて家庭では温度が低めなので新しい脇芽は親株より小さくなることが多いです。
新芽が早く出て親株が大きいほど新芽は大きくなります。
従って2年目以降は作落ちすることが多く咲きにくくなる傾向があります。
また種類によっては親株が小さいと新芽が出ないことすらあります。
一方年々新芽が出ていれば次第に大株になり、丈夫になります。
また株が屋外作りに慣れてきて耐寒性も増してきます。
野生の株が木の枝などに沿って大きく広がって咲くのに似てきて品評会で見るような群開も夢ではありません。
開花日記
スペシオキンギアナム生長・開花カレンダー
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| 2013 |
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| クリスタル | 赤花 |
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| 白花 |
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| ベリー・オダ |
鉢#1 |
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| 鉢#2 |
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| 株 |
| #4 | #52 |
| #54 | #8 | CL(LR) | CC | CR | RL | RR | 6(5R) |
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| -1 | -2 | 6 | 7 | -2 |
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| 2010 | 11 |
| 2012 |
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| 2012 |
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1 |
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| 初開花株入手 |
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3 |
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5 |
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| 後春新芽丈1.5 |
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6 | 末開花株入手 | 中夏新芽 |
| 前春芽丈4.5 |
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後半、
春新芽、丈10基1.3葉4枚 |
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後半、春新芽、丈12基1.4
葉枚1.5cm
| 後半、春新芽、丈4.5cm |
後半、春新芽、丈5.5cm
| 後半、春新芽、丈6基0.9 |
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| 後半、春新芽、丈3 | 後半、春新芽、丈4.5 |
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7 | 上植替 |
| 末、夏新芽丈4cm | 前春芽丈13 |
| 末、夏新芽丈16基幅1.7葉9枚#6,6cm | 末、夏新芽丈9基幅1.3葉10枚#8,2cm | 末、丈25バルブ14x1.4葉4枚10cm | 末、丈21バルブ14x1.3葉3枚 | 末、丈28バルブ17x1.5葉4枚 | 末、丈25バルブ16x1.3葉4枚 | 末、丈24バルブ15x1.4葉4枚 | 末、丈22バルブ13x1.4葉4枚 |
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| 上開花 | 末、丈7バルブ3x0.7葉2枚5.5cm | 末、丈7バルブ2x0.6葉2枚5.5cm | 末、丈12.5バルブ5x0.7葉5枚8cm | 末、丈4バルブ1.5x0.3葉4枚2cm | 末、丈14バルブ5x0.7葉3枚9cm | 末、丈11.5バルブ5x0.6葉3枚6.5cm |
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8 |
上夏新芽
中シース |
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| 前春芽丈25 |
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| #2 |
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10 |
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| 後夏新芽丈14cm茎長6.5基太0.7葉3枚8.5cm、2本 | 中春芽丈基太1.6 | 中秋新芽丈16 | 後夏芽丈21茎長9基幅1.3葉10枚#9,11cm | 後夏芽丈21茎長9基幅1.4葉13枚#10,11.5cm |
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| 後夏芽丈27茎長16基幅1.5葉4枚#,10cm |
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| 秋新芽 |
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| 後夏芽丈17茎長6基幅0.65葉4枚#10,10cm |
| 後夏芽丈14茎長6基幅0.6葉3枚#,8cm |
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11 | 末蕾 |
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| 前春芽蕾 | 中秋芽茎長10x1.1 |
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12 |
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| 後蕾0.7x2 |
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| 13.10.16記 |
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2015年
初めに
2014年は、大きくなった株を分けました。
それと冷害のため花芽は少ないですが、今年から大きく育てたいと思います。
2015年
4月前半
白
鉢#1,2,3
成株の葉の間に蕾。若株はやや伸び。
赤
冷害で休眠中
クリスタル
冷害で休眠中
2013-14年
2015年
4月前半
白
鉢#1
古株#6'の葉の間に
蕾。例年より遅いです。
3月後半
白
鉢#3
古株#6'の葉の間に
蕾。例年より遅いです。
2014年
8月後半
5月に
植え替えてから、南庭の植込みの下に置きっぱなしにしていたら、上が茂ったために
水切れだったようです。
親株が冷害で枯れたこともあり、新芽の生長が遅れています。
白花
株分け済、古株は水切れで皺、新芽葉少なくやや小さいのも水切れのせいか
鉢#1
鉢#2
鉢#3
赤花
親株は大半が凍害、新芽は残った株と凍害株から、残った株に花茎が残る
5月後半
スペシオキンギアナムの植替え・株分け・鉢増しのレシピ
鉢#白
植替え前、3株に分け、スリット鉢に植替え
![](kingianum/dscf5201t3.jpg)
右:鉢背後部の新芽
根張りが旺盛で根鉢、右:背後方向(→新鉢#白3)
![](kingianum/dscf5203ttv3.jpg)
透明な根冠はでき始めたばかり
分け株#白1
分け株#白2
分け株#白3
中央株#5-、右株の根元に新芽
3月前半
花芽が目立ってきます。
クリスタル
休眠中、冷害で幾株か枯れました。
白花
花芽の伸び、頂花と開花済株の側花、
蕾に分かれ始めています。
![](kingianum/dscf3745t3.jpg)
左:全体。中:若株#CCの
花芽が伸びて
蕾が二つ、頂花。右:左奥は開花済の古株Rの側花、右手前は未開花若株#CRの頂花。
![](kingianum/dscf3748t3.jpg)
左:未開花若株#RLの頂花。中:株Rの側花。右:開花古株#5-の側花。
赤花
凍害が最もひどく、葉は大部分が落葉し、花芽も枯れました。
2013年
12月前半
スペシオ・キンギアナム
全体に丈の伸びはほぼ止まりますが、遅く出た芽は伸びます。
花芽が目立ってきます。
クリスタル
夏芽、丈止り、バルブやや太り葉は少し伸び。
白花
丈止り、頂葉の間に
蕾、0.3-0.5cm。
全体。新芽群。開花株Rの葉の下の蕾。
![](kingianum/dscf2616ta3.jpg)
新株CC(右下)の葉の間の蕾と、開花株の葉の下の蕾(左上)。葉の下。
![](kingianum/dscf2618ta3.jpg)
株#5R。遅れて出た小さい芽
赤花
丈止り、バルブほぼ止まり、頂葉の間に
蕾、0.3-0.5cm。
![](kingianum/dscf2622ta3.jpg)
株#53の先端の蕾。新芽#の先端
ベリー・オダ
凍害から出直し中、秋新芽4cmまで。
11月前半
スペシオ・キンギアナム
全体に丈の伸びはほぼ止まりますが、葉はやや伸びbルブもやや太ります。
クリスタル
夏芽、丈止り、バルブやや太り葉は少し伸び。
白花
丈止り、頂葉の間に
蕾、0.3-0.5cm。
赤花
丈止り、バルブほぼ止まり、頂葉の間に
蕾、0.3-0.5cm。
ベリー・オダ
バルブやや太り、秋新芽4cmまで。
10月後半
スペシオ・キンギアナム
クリスタル
夏芽、ようやく出てきました。丈4cm。
7月後半
スペシオ・キンギアナム
クリスタル
夏芽、ようやく出てきました。丈4cm。
![](kingianum/dscf0929ta3.jpg)
手前中央の緑色が
夏新芽
赤花
夏芽、ようやく出てきました。丈最大16、基幅最大1.7、葉10枚まで、最長6cm。
![](kingianum/dscf0931tva3.jpg)
左:手前の白っぽいのが夏新芽、葉が開きかけ、右:鉢の裏面、最先端側の新芽
白花
春芽が伸びて丈最大28、バルブ最大17x1.5cm葉4枚まで長10cmまで。
6月後半
スペシオ・キンギアナム
白花、
春・
夏芽、新芽が出て10cm前後に伸びているのに気付きました。大きいのは春芽と思われます。5cm程の芽は夏芽と思われます。
赤花とクリスタルは、まだ出ません。
3月後半
12スペシオ・キンギアナム
花茎が伸びて蕾が大きくなります。新芽はまだ出ません。純白クリスタルの古株は作落ちしています。寒さに弱いベリーは高芽降ろしが休眠中。
赤花、旧株2本に花茎、その他は凍害、左端の昨年の新芽には花茎が出ません。
![](kingianum/dscf8275t3.jpg)
白花、赤花と比べると株が細く長いです。凍害がひどくなかったので花茎が何本も出ました。
![](kingianum/dscf8278ta3.jpg)
2月前半
12 スペシオキンギアナムの蕾
左:左奥は新葉の間から、右下は上の葉の下から 右:中央と右は昨年から伸びた新葉の間から、左下の新芽からは蕾が出ません。
1月後半
スペシオ・キンギアナムの葉の間から蕾が伸びます。葉の下からも出ることがあります。
冬芽が出始めました。
2013-14年版終り
2011年
4月中旬 白花
開花株入手
6月中旬、開花株の根元から
夏新芽が出てきました。#a-c
![](kingianum/dscf0237t3.jpg)
7月中旬 葉を出さずに新芽が伸びます、左2本右手前1本
![](kingianum/dscf0635t3.jpg)
8月中旬 新芽の丈はほぼ親の高さになり、初期の親株より太く、
シースが出てきました。
11月上旬、古株から、秋新芽が出て伸びています
その後霜害・凍害に遭い咲きませんでした。
2012年
6月上旬
白花
7月 初め
白花、新芽と高芽の伸び
6月上旬
白花新芽
赤花
2012年
6月中旬 新芽
白花'クリスタル'
脇芽を大きく
2010
6.下旬
株を入手、草丈は最高で29cm、大半が小さくなっています。新芽は6cm。
7月初め 鹿沼土で植え替えました。
8月上旬 さらに新芽が出てきました。
10.下旬 新芽は10cm近くになりました。
![](kingianum/pa2900163.jpg)
中央の白い皮をかぶって根元が太く直立しているのが今年伸びている新しい脇芽
11月下旬 葉の間から蕾が出てきました。
2011年
6月中旬 新芽が伸びています。中央の前2本と奥1本の、細くて葉が開き始めの株
右:7月中旬、左手前と右寄り奥が新芽
12月 霜害
スペシオ・キンギアナム
クリスタル
![](kingianum/dscf2611tva3.jpg)
2012年7月
白花2013年4月
赤花
左2013年3月 右12月、手前右の太い株が新芽