洋ラン学園
セロジネの育て方と咲かせ方
初めに

21世紀の洋ランの育て方と咲かせ方
これまでの方法でうまくいかない人に
どの種類も同じ世話
温室・ミズゴケ・バーク・ラン鉢・殺虫剤を使わない
苗と衣食住の4原則
洋ランは枯れやすく咲きにくいと思われています。
野生では熱帯雨林の樹幹に着生して根はむきだしです。
鉢植えにすること自体が根腐れの原因なのです。
また直射日光・雨ざらしと低温は温室育ちの苗にとって大敵です。
言い換えればこれらに対策をすれば枯れは大部分防げます。
蘭は毎年脇芽を出して大群生になり雨季に生長して乾季に咲きます。
小さな株を水切れさせていると咲きませんが、大株作りにして雨ざらしにすると咲きます。
これらのことを各種について個別に具体例で紹介します。


入門編と上級編

園芸店で売られている洋ランの鉢は一般に種をまいてから2-3年の若株で初めて花がついたものが多いです。
気候の変化や水切れなどに抵抗力が弱いため、育てて咲かせるのが大変です。
一方原産地では、樹幹に着生し年々脇芽を出して大群落になって咲いています。
ラン展で見る鉢も大鉢に群生し花が群開しています。
強健で大型の種の大株は丈夫で花も咲き易く、同じ仲間とは思えないほどです。
そこで洋ラン学園では、強健・大型種の脇芽付きの大株を優先して育てて咲かせることにしています。
そうでないものについては「上級編」で採り上げることにします。
一般に原種は小さく、園芸的に改良した交配種に比べて細やかな世話が必要です。

セロジネで園芸店で売られているのは殆どが交配種のインターメディアと原種のクリスタータで互いによく似ています。
しかし、インターメディアは生長が旺盛で咲き易いのに対して、クリスタータはバルブが小さくなる生長不良を起こしやすくやあや咲きにくいです。
そこでここではインターメディアをとりあげ、クリスタータは上級編で扱います。

上級編
クリスタータ

入門編に戻る

目次
初めに
入門編と上級編
基本の育て方-洋ラン学園の苗と衣食住の4原則
枯れない始め方 「洋ラン幼稚園(年少組)」
蕾付き株を咲かせる「洋ラン幼稚園 年長組」
開花株を入手して1年後に咲かせる 「洋ラン小学校」
2年目の洋ラン-大株と群生株作りもっと咲かせよう 「洋ラン中学校」

上級編
クリスタータ

2011/01/25 入手
2016/03/05

基本の育て方-洋ラン学園の苗と衣食住の4原則
洋ランは枯れやすく咲きにくいと思われています。寒さに弱く、根が乾燥や過湿で枯れるためです。
洋ラン学園ではこれらを予防し、易しい方法の普及を目指しています。
詳しくはHP冒頭にありますが、要点は下記の通りでどの種類も同じです。入手してからこの方法に慣らしていきます。温室・ミズゴケ・バーク・農薬を使いません。
(1)苗は1年後に開花が期待できる丈夫な種類の大株を入手する。
(2) 植え方(衣)は枯れやすいミズゴケやバークを使わず、東洋蘭で使われている鹿沼土に植える。
(3)置き場所(住)は、冬以外は屋外、冬は屋内で防寒・防霜
(4)水やり(食)は高温期には雨ざらしで生長促進(害虫も駆除)

セロジネは割に丈夫な種類ですが、バルブの生長が不十分で作落ちして咲かなくなる場合があります。
水切れが原因のことが多いので、鹿沼土で重ね着鉢増しすることが有効です。



最初(冬)に枯らさない方法(幼稚園)
洋ラン学園では、どの種類も「開花株を入手して1年後に咲かせる」を目標にして実例を示しています。
(1) 冬に入手することが多いので、室内で最低温度10℃を保つ
沖縄ではランは周年屋外で生長し咲きます。沖縄はほぼ回帰線上にありますが、その内側の熱帯では最低気温が1年を通じ10℃以上です。
(2) ミズゴケ植えの株は根腐れしやすいので、鉢から抜いて一回り広い透明容器(例:ペットボトルを横切りにしたもの)に移す
ランは木に着生し根は空中にむき出しです。ミズゴケは夏は干からび冬はじめじめで、枯れと根腐れの原因です。ミズゴケと容器の間に隙間があると、ねはほぼむき出しで、ミズゴケが乾きやすいため根腐れしません。
また中が見えるのでミズゴケの湿りや根の健康状態がいつでも見えます。
こうして元気に春を迎えたら一安心です。


生長から開花のパターンと開花の条件
シンビジウムやデンドロビウムを初めとする蘭の大半は複茎種で、主にアジアの温帯から熱帯に分布します。セッコクはデンドロビウムの一種です。
複茎種の生長と開花のパターンの基本は、毎年春に開花親株から新しい脇芽が出て、秋までに親株並みに大きく根元が太くバルブになり花芽を出して、冬に咲きます。
亜熱帯や熱帯の原産地では、乾季の終わりに咲いて脇芽が出て、雨季に伸びて根元にバルブを作ります。
日本の冬は乾季、夏は雨季に相当します。
コチョウランやバンダはアジアの主に熱帯産の単茎種です。風蘭はバンダの、名護蘭はコチョウランの一種です。
単茎蘭の生長と開花の基本パターンは、雨季に株の上から新しい葉を出し大きくなって、終わりに古い葉の間から花茎を出して咲きます。
蘭の中で最も根腐れしやすいです。
なお、パフィオペディルムは複茎種ですが、通常は新葉が出るのに時間がかかり、新芽が出始めてから2年以上たって葉の数が8枚前後になると新葉の間からシースをのぞかせて咲くという単茎種に似たパターンです。

セロジネは春の5月前半ころまでに脇芽が出ます。遅いと6月前半頃になります。
根が活発になるのが遅いのか、植え替えなどするとバルブがそのころまで皺が寄ったままです。
夏までに細く長く伸びます。
夏から秋に根元が太って9月ごろバルブが現れます。
バルブが十分な大きさがあると10月後半から11月にかけて(遅い場合は冬の初め)に花茎が出ます。
冬から春までに花が咲き、少し休みます。

これまでの開花の、花茎が出た時期と株の大きさをまとめます。
花茎日草丈バルブ長幅花茎長芽期開花
2013S#1310/20327x3.2x32.7


2014M#339/28234x3x2.343/244/10
2015L#329/58223.3x2.3x2.24


2016S15r12/31





2017








2018








2019SA#12411/2317x3.2x2.81.75/1

2020SB#3910/17357.3x3.3x2.91x0.57/9












表作成2020/10/17


開花株を入手して1年後に咲かせる
洋ラン学園ではどの種類も同じ方法で枯らさず咲かせるやり方を目指しています。
そしてどの種類も「開花株を入手して1年後に咲かせる」の実例を詳しく紹介しています。「苗と衣食住の四原則」と呼んでいます。
(1) 苗:有望株の入手:大きくて新芽の付いた花を咲かせる力のある有望株を入手する
(2) 衣:鹿沼土の重ね着鉢増し:ミズゴケ植えとバーク植えは乾きやすく根腐れしやすいので、鉢を一回り広くして周りを鹿沼土にする
(3) 住:春までの防寒など:冬に入手したら寒さに弱いので部屋で世話し、暖かくなったら外に出し遮光する
(4) 食:雨季の生長:原産地の雨季のように、梅雨入りから秋までは雨ざらしにして元気に生長させる
(5) 住:冬寒くなるまでに屋内に取り込む、寒さに強い種類も霜・雪・零下に遭わせない
以下にセロジネ・クリスタータの例を示します。2019/11/03

2014年に入手した鉢が10月後半に花茎が出ました。不慣れの為年明け後に花茎を枯らしてしまいました。
8月中までに新芽が高さ約30cmに伸び、9-10月中までに幅約3cmに太ると、10-11月に茎が出ます。
鉢#小13







33






年月日草丈基幅バルブ高葉長幅花茎
草丈基幅バルブ高葉長幅花茎
14/08/10260.9

8-19x9
9-18




230.8

9-14
10-13



9/28322.972.6 23.5x3
24.5x3




352.362.3 24.5
27.5



10/20323.273
2


353.262.5 25x2.9
28x3



11/30333.273 23x2.9
24.5x3
2.7x0.6


3435.53 25x2.9
29x2.8
7

2015/01/12




3.7










2/13




3











経過表作成2019/11/03

2015年↓
2月末

中鉢
新芽が伸びてはっきり花茎となりました
年明け前後から冬新芽が出て、春に急に伸び始め、夏の終わりに伸びが止まり始めると共に根元が太ってバルブになり始め秋の初めに脇から芽が出て少しずつ伸びていき2-3月に開花
夏に水を切らさずバルブが太ると咲くようです。



2月前半
秋新芽が伸び続けています。色は緑色かかっているので葉芽と区別がつきにくいです。伸びが例年の葉芽より速いようです。
インターメディアの花芽の伸びが速いことから、こちらも花芽ではないかと思われます。インターメディアより芽の出が早いようです。
クリスタータはバルブが丸くなると咲くと言われています。
昨年までは太りが2.5cmまでで、花芽が着きませんでした。夏から秋に「積極水やり」にして十分に太り、幅3cmに達したら花茎が出てきたようです。
鉢#小


1月前半
新芽の大半は緑でやや先細りで葉芽のようです。一つだけ茶色みを帯びて丸みがあり、インターメディアの新芽に近くて花芽らしいのがあります。
インターメディアと一緒に深軒下に置き、最低気温が約-5℃になりました。クリスタータの方だけが葉とバルブの一部が変色し、新芽が萎びています。やや寒さに弱いようです。
屋内の土間に移動しました。
2015年↑


2014年↓


11月後半
小鉢
まだ株数が少なく、これまでのバルブは大きいですが細長です。2つ出た新芽は入手当初を越える大きさになっています。一方は花芽?が出てきました。

10月後半
草丈の伸びは一部を除いて止り、バルブの太りも止り、秋新芽(花茎?)が伸びています。
昨年のバルブが太らなかったのに対して、今年は夏に太り、一株はさらに太り続けていることが分かります。
洋ラン学園では今年から「夏は積極水やり」に変えたのがすぐに効果を表しました。
伸びが遅れていることとの関連は今後の課題です。


9月後半

どの鉢のどの株も例年と違ってバルブが丸くなり、株に依っては秋新芽が出てきました。
これまではバルブが丸くならず、芽が出ませんでした。
参考資料では、新芽の生長を遅らせて、バルブの充実期を盛夏からずらすと良いとされていましたが、特殊な世話が必要になりそうです。
確かにやや生長は遅れましたが、全鉢・全株が丸くなっているのでそれだけではないようです。また夏(の終り)に丸くなっています。
洋ラン学園式の、「夏は保湿・保涼・水切れさせない」がセロジネ・クリスタータのバルブを太らせるのにも当てはまるようです。
従来は水やりを減らすことを目標にしていましたが、今年は、「夏は積極水やり」に変えました。効果てきめんのようです。
これまでと違う生長パターンなので楽しみです。

新芽の草丈の伸びとバルブの太さ

新芽の伸びが早いと、バルブの太る時期が盛夏になって大きくならないと言われています。
2014年の芽#33は伸びが前年の#32に比べて2カ月近く遅れているので、バルブが太るかもしれません。
8月の草丈の大きさが目安になります。伸びきっているとバルブが太らず花が付かないようです。2014.8.10

8月前半
新芽は伸びて、一部はバルブができ始めましたが細いです。むしろまだ伸びきらずバルブもでき始めていない株が期待できるかも知れません。期待している夏芽は出てきません。
鉢#小
根元が広く三角形で、まだバルブになり始めていません。
   
2014年↑



2年目以降も咲かせる・作落ち対策と大株作り(中学校)
温室育ちに比べて家庭では温度が低めなので新しい脇芽は親株より小さくなることが多いです。
新芽が早く出て親株が大きいほど新芽は大きくなります。
従って2年目以降は作落ちすることが多く咲きにくくなる傾向があります。
また種類によっては親株が小さいと新芽が出ないことすらあります。
一方年々新芽が出ていれば次第に大株になり、丈夫になります。
また株が屋外作りに慣れてきて耐寒性も増してきます。
野生の株が木の枝などに沿って大きく広がって咲くのに似てきて品評会で見るような群開も夢ではありません。
鉢内の移動
脇芽が出続けていると3年前後で新芽が鉢の縁にぶつかり根が鉢の外に飛び出してしまいます。
「鉢内の移動」は植え替えや株分けよりも安全な処置です。
鉢から一旦抜いて古株の方の土を落とし新芽の側に隙間ができるように位置をずらして同じ鉢に戻し、隙間にもとあった土を入れます。
ゼロエミッションの方法で、「ランに気付かれないように、植痛みなく植え替えることができます。2019/10/30
2020年の経過
2019年には春に芽が出て、9月にはバルブが出来始め、11月初めには花茎が伸び始めました。
鉢#大
株#8'



鉢#小A
株#124R'











小A













小B


草丈基幅厚バルブ高葉長幅花茎草丈基幅厚バルブ高葉長幅花茎






草丈基幅バルブ高葉長幅花茎草丈基幅バルブ高葉長幅花茎





























#38









5/17




































5/28





20.6

春芽

























6/13




































6/26




































7/9




































7/16

























8.50.75x0.5

2.5





8/13

























210.85

5x2.7





8/26





281.1x0.85
8-18x3.3















221x0.85

18x2.8





9/11





301.4x1.05
22x3.4















24.5
5.7x1.4x1.1
20x2.8バルブ
















































































































































































































































































基幅厚バルブ高葉長幅花茎草丈基幅厚バルブ高葉長幅花茎草丈基幅バルブ高葉長幅花茎草丈基幅バルブ高葉長幅花茎草丈基幅バルブ高葉長幅花茎





小A


小A






小A






小A






小B


経過表作成2020/08/26

2018-19年の経過
2019年には春に芽が出て、9月にはバルブが出来始め、11月初めには花茎が伸び始めました。




小A






小A






小A






小B















草丈基幅バルブ高葉長幅花茎草丈基幅バルブ高葉長幅花茎




































2016













122




7.5
35









6/26













40.6





7.50.8








8/8













180.7

10.5


26.50.96

16





9/10













221.15.70.9 17.5x2
18.5x2.3



2.51.25.81 22.5
23






10/17













23.52.351.9
1

353.457.93
2






































12/31


















2.5x0.6






3.7x0.7




2017
1/29



















4.3x0.7






6.8




2/5


















7x0.8






7.2
































36



























36
































1.70.65































26.51































37
































17.50.95































251.651.5 18x2.8
19x3














































































































































2019





124






1211

















2/15
































4/6





















251.84.81.8






5/1





40.65













38









7/6





150.9





80.6
















8/31





301.86.5
24.5x2.8
23.5x2.7



26.51(3.5)
22x2.7
22x2.7



231(2.3)
19.5x2.618x2.2





9/28





312.772.2 23x2.5
24.5x2.6



271.77.21.5 21x3
22.5x3



261.77
18x2.3
19.5x2.6






10/18






2.772.2











261.77
28x2.2





11/2





313.272.8
1.75x0.55

313.272.8
1.75x0.55

272.86.52.5



















































































































草丈基幅バルブ高葉長幅花茎草丈基幅バルブ高葉長幅花茎草丈基幅バルブ高葉長幅花茎






小A






小A






小A






小B


表作成2019/11/02


旧版

セロジネ・クリスタータの育て方

初めに2014
クリスタータはインターメディアに比べると咲きにくいです。
クリスタータの開花株のバルブは球形に近くて、咲かない株ではインターメディアのように細長くなっています。
趣味の園芸のHPに、春に出た芽は細いままであるのに対して、初秋に出た二番芽が秋から初冬に真ん丸に太って花が着いたとあります。また冬以降に無加温として新芽の出を6月まで遅らせても花が着いたとあります。「洋ラン学園」の言う「芽季などにより葉芽花芽がある」というのに当てはまるのではないでしょうか。
半年型、冬芽、春芽、夏芽の生長経過
冬芽は生長が遅く、春芽はやや早く、夏芽は急速に生長します。夏芽が本命(花芽)のようです。

参考
以下はみんなの趣味の園芸の「たらこ」さんの成功談を転載させていただきました。
http://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_r_detail&target_report_id=926
◆バルブを太らせるには
 セロジネ・クリスタータの花が好きで過去に何回か購入しましたが、株は枯れないものの、バルブが太ってくれず花も咲きませんでした。当時の生育パターンは、4月に新芽が出て6月までには伸びきり、バルブが太るかと思いきや、細長い状態のまま固まってしまい、クリスタータ特有の真ん丸なバルブにはならないというものでした。

 しかし、ある年、例年通り細長いままで完成していたバルブから初秋にたまたま二番芽が伸び始めたのですが、その芽は真ん丸のバルブとなったのです。バルブを形成したのは11月終わりか12月の初めだったと思います。そこで、セロジネの新芽がバルブを形成する時期に気温が高いと太ることができないのではないかと推測しました。つまり、真ん丸のバルブを形成した二番芽は、バルブ形成の時期が気温の低い初冬だったため、よく太ったのだと考えました。

 そこで、新芽が伸びきってバルブを形成する頃に気温を低くすればよいのではないかと思いましたが、セロジネの新芽は意外と成長が速く、4月に伸び始めた新芽は6月にはすっかり伸びきってしまい、バルブ形成の時期が真夏の酷暑の頃と重なってしまいます。そこで、新芽が出るのを遅らせて、バルブの形成の時期を秋にまで遅らせることを考え、次のような管理をしました。

 2月に購入したクリスタータは鑑賞中も暖かいリビングには置かず、なるべく無暖房の部屋に置きました。花が終わった後は、心を鬼にして、最低気温が氷点下になりそうな日以外は終日戸外に出しました。こうすることで、新芽が出る時期を6月初めにまで遅らせることができました。6月中旬の段階で新芽は2センチ程度でした。新芽が出た後は肥料もやり始めました。8月のお盆休みが終わった頃には新芽がだいたい伸びきったように見受けられました。8月末からだんだんと太り始め、1ヶ月ほどかけて真ん丸なバルブを完成させました。8月にうっかり葉焼けさせてしまい、親バルブを落葉させてしまったのですが、前年と同じあるいはやや大きいバルブができました。現在花芽が各バルブに1本ずつ出ています。

 以前は11月末には部屋に取り込んで、最低10度程度の部屋に置いていました。今回は心を鬼にして3度程度の無暖房の部屋に置き新芽の発生をできるだけ遅らせたのがよかったと思います。クリスタータのバルブが太らないという方はバルブが太る時期が酷暑の時期と重ならないように工夫されると解決するかもしれません。まだ試してはいませんが、他にもインターメディア等、いわゆる北方系のセロジネにはあてはまるのではないかと思います。

 まだ1シーズン試してみただけなので来年以降検証が必要ですし、また、かりに当たっているとしてもセロジネを上手に育てていらっしゃる方のあいだではすでに常識に属するようなことなのかもしれませんが、同じように悩んでいる方の参考になればと思い、投稿しました。 2011.12.18投稿


鉢小はまだ丸いバルブが出来ません。
セロジネ・クリスタータの育ち方と咲き方
新芽が伸びてはっきり花茎となりました
年明け前後から冬新芽が出て、春に急に伸び始め、夏の終わりに伸びが止まり始めると共に根元が太ってバルブになり始め、秋の初めに脇から芽が出て少しずつ伸びていき2-3月に開花
夏に水を切らさずバルブが太ると咲くようです。




2018年初めに
古苗の経過
冷害で鉢の古い側の半分は枯れました。しかし新株は順調かも知れません。
クリスタータはバルブが太りにくくて咲きにくいので以前の咲いた場合と比べていきます。
2018年↓


鉢#1


鉢S






株#421#6+#71+#3+株#15#123#41+#2+#4+


親株草丈2018子株草丈等2018子株草丈等2018子株草丈等親株#14草丈など2018子株草丈等2018子株草丈等2018子株草丈等2018子株草丈等






2015





7



丈11.5基幅0.8葉6,2.5





8



丈19基幅0.8葉12x2.5,12





9



丈23バルブ4.5x2.3葉21.5,22






#62, 2016


#15, 2016





1










2










3










4










5丈2.3x幅0.75









6丈12x幅0.9


丈5基幅0.7





7










8丈27基幅1葉15,14丈20.5基幅1厚0.95葉14,14丈21基幅1.35厚1.05葉20曲り先枯れ丈12.5上幅0.95葉9x2,8x1巻き丈18基幅0.7葉10.5丈25.5基幅0.9厚0.9葉17x3,15x1.5巻き9丈14上幅1厚0.8葉10切れ,11切れ丈10上幅0.70.8葉8.5,9丈曲り18上幅0.9葉15,16

9丈30バルブ5x1.8葉23,24.5


丈22バルブ5.7x1.1x0.9葉17.5x2,18.5x2.3





10丈30バルブ5.5x3.3x3花茎2.5


丈23.5.5バルブ5x2.3x1.9花茎1.5





11丈30バルブ5.5x3.5x3花茎3.2x0.7









12花茎4.3x0.7


花茎2x0.5x0.






2017


2017





1花茎9x0.85x0.55


花茎4.2x0.7x0.5





2



花茎7曲りx0.9x0.8





3花茎9x?長2.7









4










5#42(2015)2016









6 バルブ
6.2x3.35x2.8










7










8










8










10










11










12






































2016-17年
新苗の経過
クリスタータは、夏にバルブが丸くならないと咲かないと言われています。
親株が大きく夏に水切れさせないと、秋にバルブが大きく丸くなって花芽が出ます。
親株が小さかったり夏に水切れしたりするとバルブが大きく丸くならず、秋に葉芽が出てきてしまいます。
どちらかというと毎年作落ちしていくことが多いです。
2017年↓

2017年↑

2016年↓

10月後半
新芽の草丈は20cm前後、バルブの太さは2cm前後で、葉芽が少し伸びています。

9月前半
新芽の草丈は20cm前後、バルブの太さは2cm前後で、花芽でなく葉芽が出ています。古バルブのしわは殆どありません。植え替えた年には花芽をつけるのは難しいと思います。

6月後半
バルブのしわが浅くなりました。植え替え(鉢増し)したのに、給水が良いようです。肥料。新芽は約17cmに伸び、葉の数は10枚近くで、先は葉が長くて巻いています。根元には気根が出て長さ約1.5cm伸びて

5月後半
植え替え
バルブはしわだらけで水切れ、深鉢の中はプラ鉢で、二重、植え込み材料のバークは腐れ気味
  
根鉢を崩さないよう古バークのまま、周りに鹿沼土を加えるだけ
 





2015-16-17年経過
クリスタータは、夏にバルブが丸くならないと咲かないと言われています。
またその理由として、芽の出る時期が早すぎてもいけないと言われています。
しかし、2014年に洋ラン学園の新しい方針である「種類に依らず夏は雨季、水を切らさないようにすれば大きく生長して咲く
にした処、早速バルブが丸くなって花が咲きました。
今年は改めて芽の出方などを調べたいと思います。2015
クリスタータを長年育てていると毎年出る芽の差の方がだんだんと小さくなっていく傾向があるようです。
これも「3年たったら株を更新」が現実的な答えかも知れません。続け方の問題の例2016.11.8

2017年↓

3月前半
開花中
小株鉢
株#35は6月後半に丈7.5cm、10月半ば過ぎにバルブ高7幅4.5、12月末に花茎が出始めて3cm。花茎21cm花と蕾8個花幅6cm。
株#15は6月後半に丈5cm、8月前半に23cm、9月前半に丈28バルブ高5.5幅1.2、10月半ば過ぎに丈30バルブ高6幅2.8、12月末に花茎2.5cm。


2017年↑

2016年↓
8月前
親株の大きい鉢は順調に伸びています。(新株はバルブになり始めています)
バルブが小さくなってしまった鉢は、水切れ気味でもあったため新芽は貧弱になってしまいました。
いずれも遅れて出たりして小さい新芽は芽欠きしました。


2016年↑


2015年↓
9月後半
昨年同様に、急にバルブが出来て丸くなり、基から秋新芽が出てきました。葉は伸び続けており、バルブの上に2枚葉が出て、後から出た葉の側に新芽が出ます。います。バルブは小振りになり、新芽の色は緑色で厚みも薄いですが、昨年はその後花芽になりました。

8月前半
大株鉢
全体的に芽は小さめです。これからバルブが太り始めるかどうかが問題です。


中株鉢
新芽は小さいものが多いです。これからバルブが太くなれば花芽が着きます。


小株鉢
一番バルブが大きく、株数の少ないい鉢です。
最も大きい芽はすでにバルブが見えてきました。これまでに比べると早いです。これから順調に太れば開花が望めます。

4月前半
大株鉢
花茎の出なかったバルブ#43からは3月初めには冬新芽が出ていました。
花茎の出たバルブ#32には花が終わっていない今は新芽がまだ出ていません。
古株から出た脇芽は花茎が出た方も出ない方もまだです。

中株鉢
花茎の出なかったバルブ#33と#6からは3月初めと半ばに春新芽が出ていました。
花茎の出たバルブ#43には花が終わっていない今は新芽がまだ出ていません。

小株鉢
花茎の出たバルブ#13は花茎が枯れました。新芽はまだ出ません。



2014年経過
インターメディアより早くから芽が出て大きくなり、バルブになるのも早いですが、細いままで花が着きません
2014年は生長が遅いです。植替えの影響かもしれません。

2015年
2月末

中鉢
新芽が伸びてはっきり花茎となりました
年明け前後から冬新芽が出て、春に急に伸び始め、夏の終わりに伸びが止まり始めると共に根元が太ってバルブになり始め秋の初めに脇から芽が出て少しずつ伸びていき2-3月に開花
夏に水を切らさずバルブが太ると咲くようです。



2月前半
秋新芽が伸び続けています。色は緑色かかっているので葉芽と区別がつきにくいです。伸びが例年の葉芽より速いようです。
インターメディアの花芽の伸びが速いことから、こちらも花芽ではないかと思われます。インターメディアより芽の出が早いようです。
クリスタータはバルブが丸くなると咲くと言われています。
昨年までは太りが2.5cmまでで、花芽が着きませんでした。夏から秋に「積極水やり」にして十分に太り、幅3cmに達したら花茎が出てきたようです。
鉢#小


鉢#中


鉢#大
8月から11月までバルブが急速に太って、秋新芽が出ました。そして2月になって伸びが速くなりました。例年の葉芽より早いので、葉芽ではなく花芽と思われます。


1月前半
新芽の大半は緑でやや先細りで葉芽のようです。一つだけ茶色みを帯びて丸みがあり、インターメディアの新芽に近くて花芽らしいのがあります。
インターメディアと一緒に深軒下に置き、最低気温が約-5℃になりました。クリスタータの方だけが葉とバルブの一部が変色し、新芽が萎びています。やや寒さに弱いようです。
屋内の土間に移動しました。


11月後半

中鉢
伸びやバルブの太りは止まって、花芽?が伸びています。
バルブが昨年に比べて明らかに丸くなっています。
新芽の一部は枯れています。水切れか、バルブが小さいためと思われます。


大鉢
バルブは昨年に比べて丸いですが小さめです。昨年のバルブも「中鉢」に比べてやや小さめです。新芽は出ていますが一部は細くて緑色です。昨年の株からも出ています。1本は枯れました。

小鉢
まだ株数が少なく、これまでのバルブは大きいですが細長です。2つ出た新芽は入手当初を越える大きさになっています。一方は花芽?が出てきました。

10月後半
草丈の伸びは一部を除いて止り、バルブの太りも止り、秋新芽(花茎?)が伸びています。
昨年のバルブが太らなかったのに対して、今年は夏に太り、一株はさらに太り続けていることが分かります。
洋ラン学園では今年から「夏は積極水やり」に変えたのがすぐに効果を表しました。
伸びが遅れていることとの関連は今後の課題です。


9月後半

どの鉢のどの株も例年と違ってバルブが丸くなり、株に依っては秋新芽が出てきました。
これまではバルブが丸くならず、芽が出ませんでした。
参考資料では、新芽の生長を遅らせて、バルブの充実期を盛夏からずらすと良いとされていましたが、特殊な世話が必要になりそうです。
確かにやや生長は遅れましたが、全鉢・全株が丸くなっているのでそれだけではないようです。また夏(の終り)に丸くなっています。
洋ラン学園式の、「夏は保湿・保涼・水切れさせない」がセロジネ・クリスタータのバルブを太らせるのにも当てはまるようです。
従来は水やりを減らすことを目標にしていましたが、今年は、「夏は積極水やり」に変えました。効果てきめんのようです。
これまでと違う生長パターンなので楽しみです。

新芽の草丈の伸びとバルブの太さ

新芽の伸びが早いと、バルブの太る時期が盛夏になって大きくならないと言われています。
2014年の芽#33は伸びが前年の#32に比べて2カ月近く遅れているので、バルブが太るかもしれません。
8月の草丈の大きさが目安になります。伸びきっているとバルブが太らず花が付かないようです。2014.8.10

8月前半
新芽は伸びて、一部はバルブができ始めましたが細いです。むしろまだ伸びきらずバルブもでき始めていない株が期待できるかも知れません。期待している夏芽は出てきません。
鉢#大
茎の根元の中ほどが太くなり、上の葉の根元にはバルブの上端が見えます。バルブの出来始めです。早すぎて盛夏にかかると太れず花が咲かないと言われています。
  


まだ太り始めていない大きな芽と、出て間もなく小さい夏芽

  

鉢#中
新芽はやや小さく、バルブになり始めています。
 
  



鉢#小
根元が広く三角形で、まだバルブになり始めていません。
   



3月後半
何鉢かありますが、冬芽が出ているのは下記の一鉢で、他は休眠中です。
中鉢
冬新芽が伸びています。いずれも昨年の冬芽からほぼ1年後に出ています。セロジネクリスタータは半年型で花芽は春以降の新芽に着くような感じなので、昨年咲かなかったのは半年後に子芽が出なかったためではないかと思われます。
今年はこれらの冬芽が早く大きくなって、夏芽に出てほしいです。
  

2月初め
大鉢
冬新芽0.6-1.4cm
大株小鉢は休眠中

2
1月後半
2013年は、冬芽、春芽、夏芽が出ましたが、一部は球形になったものの、花茎らしい芽は見られませんでした。
インターメディアは冬に出る芽は殆ど花芽ですが、クリスタータは花芽と葉芽が出るようです。
今年は葉芽だけのようで、1月後半から出始めました。
#中鉢
冬新芽0.8cm
他の鉢は休眠中
2014年↑



2012-3年版
初めに
セロジネは、
増えるけれど咲かない
バルブが大きくならない
花芽と葉芽の区別がつかない
ことが多いようです。
本やネットでは花芽と葉芽の区別などの重要な情報が得られません。
開花記事が良く載せられていますが、その反面「咲かない」人も多いようです。

原種のクリスタータは芽季は半年型、花芽時は1年型、秋に花芽
交配種のインターメディアは、ほぼ半年型、晩秋に花芽


有望株
セロジネが咲かない理由の一つは売られている開花株が小さいことだと思われます。
開花株の多くは径7.5cmの鉢に植えられてバルブの径・高さが3cm程と小さいです。
一方、バルブの高さが6cm以上の群生株も売られています。大株は咲きやすいです。
 
左:バルブの小さい(径3cm未満)株    右:右はバルブの大きな大株、左は左の株の5年後

セロジネは植替えに弱い?
育て初めのころは、ぐらぐらするため毎年植え替えていたところ生育が思わしくありませんでした。
最近は鉢増しにするようにしてきました。
2011年にミズゴケ植えの小球古株をミズゴケが古くなったので完全に植え替えた処元気が無くなってしまいました。
バーク植えか、鹿沼土植えで鉢増ししていくのが良いようです。

 
左 2011年3月 ミズゴケから鹿沼土への植替え       右:植替え1年半後、凍害もあって弱っています

花芽と葉芽
「セロジネは咲かない」という人が多いです。花芽は秋に出ますが、花芽かどうか良く分からないということを良く聞きます。
下に例を示すように、葉芽は他の季節にも出るものと同じで緑色で先が円錐状に細くなっています。
一方、先に向かってやや太く枚数が密で、やや茶色がかった芽も出ます。こちらが花芽のようです。

  
左:葉芽らしい緑色で先細りの秋芽、クリスタータ       右:花芽らしいやや茶色で先太り出やや丸みのある秋芽、インターメディア  右:同じ、クリスタータ

出初めは色がわずかに違う位ですが、その後、花芽は伸びが早く先の方が平たく広くなりますが、葉芽は伸びが遅いです。花芽の葉のょうな茶色みを帯びたのは、蕾を包むさやで、広くなるのは蕾が大きくなって両側に張りだすためです。

その内、ばらけてそれぞれの蕾になります。


色々な秋芽
クリスタータ大球大株

左#3が11年開花株、その右が11年3月の春芽#4、その右が12年月の芽#41、その根元から秋芽が伸びている

インターメディア大球大株

11年9月の秋芽と、12年4月の春芽から、茶色の秋芽が出始め、12月初め

秋芽と冬芽
水切れによるバルブのシワ
秋芽が出なかった株からも冬になると芽が出ます。秋芽の出た株からさらに冬芽が出ることもあります。
左:クリスタータの冬芽、高温と水やり忘れでバルブに皺 
中:インターメディアの秋芽と冬芽、右:同拡大図
  


芽欠きと間引き
春夏秋冬どの季節にも新芽を出します。また古い株からも新芽を出すので直ぐにバルブだらけになります。
しかし、親バルブの大きさや出る季節によって、新芽のバルブの大きくなり方に差があり、全体として段々小さくなってしまうことが多いです。
冬春芽は大きくなり、子の夏芽を出します。そして秋に冬芽の方から再び出る芽が花芽のようです。
夏芽を芽欠きしたら良いのではないか