洋ラン学園
21世紀の洋ランの始め方・花の楽しみ方・育て方・咲かせ方・花盛り・続け方
大学院
育てにくい種類:バンダ
バンダ・ロールの提案
研究

はじめに2012
バンダは特殊な育て方がされています。バスケット植えと言って根はむき出しで、そのため毎日根を湿らせるために水やりしなければなりません。とても手がかかり、旅行に行くこともできません。
「洋ラン学園」では、水やりを他の種類のように週1回にできる方法を検討しています。
「バンダ・ロール」にすることにより、初夏から秋の高温期については、根がむき出しでなくても根腐れせず、水やりを週1回程度(真夏は2回)にしても大丈夫で葉が20枚近くある大株なら咲かせることもできるようになりました。
しかしまだ冬越しがうまくいきません。そこで改良を検討中です。
バンダは特殊なので「洋ラン学園」の通常検討から外したい所ですが、バンダ類はランを代表する仲間の一つなため、「大学院」でとりあげることにします。
他の種類は、ほぼ方法が出来上がっていますが、バンダの育て方と、グラマトフィラムと大明石斛の咲かせ方だけは、未解決です。
従って、このバンダのページには「研究」の項目があります。

目次
バンダ・ロールの基本
一般の方法
ミニ・バンダ・ロール:風蘭、ミニバンダ(バンダ類と風蘭の交配種など)、バンダ小型種(アスコセンダ)用、完成済
バンダ・ロールの原形

研究
バンダ・ロールの改良(2012年-)
2012年

栽培記録要約
2012年
2011年の経過、
 新苗:巨大種の二重網、開花見込み株の出蕾と開花
 旧苗:冬越し苗の世話、2年目の維持
2010
2009
2008
2007





バンダ・ロールの基本
一般の方法:バスケット植え、家庭ではうまくいかず枯れることが多いため、それに代わる方法を提案中です。
 
バスケット植えの苗 右:化粧鉢に根を底に巻くようにして入れられていることがあります
根がむき出しなので、毎日水やりが必要とされ、現実的ではありません。実際一般家庭では、大抵しばらくすると枯れてしまいます。

バンダロール(1) 風蘭・ミニバンダ・バンダ小型種用
バンダの仲間で国産の風蘭を我が国の園芸家が育てている「中空植え」(素焼き鉢・ミズゴケ植え)を、長く引き伸ばしたことに相当します。
バンダと風蘭の交配種であるミニバンダやバンダの小型種ではとてもうまく行っています。
「根が薄着」なので根腐れせず、面倒な素焼き鉢が不要で、根が長く伸ばせるだけ、グングン成長します。
水やりその他は他の鉢と同じにできます。
 やりかたは簡単で
縦割りのペットボトルにミズゴケを敷き、
根を伸ばして並べ
ミズゴケを被せ
発泡スチロール棒を載せて芯にし、
ペットボトルを合わせて、ビニタイで縛ります。
 
ミニ・バンダ・ロールのレシピ    ミニバンダ・ロールにして根の長くなった、アスコフィネティア・ライオン・スター 右2010年7月初め

外側を鉢底網に変えた例
もっと乾きを良くしてやろうと後で述べる大型用に変えてみましたが夏には乾きすぎます。
  
左:冬に入手した、陶器鉢植えで根腐れしていたヨネザワラ・ブルースター、発泡スチロール芯入りに  右:上のライオンスターを網植えに変えた例
 
左:長くなったので、バケツに建てています。手前はバンダ小型種のアスコセンダ・プリンセス・ミカサ (10年6月) 右:アスコセンダをペットボトルに戻した処

(2) バンダ・ロール(2) 大型バンダ用
@原形
ミニバンダ・ロールを大型にするために、ペットボトルでは小さいため、網戸に使うビニール製のネットを用いることにしました。
中の芯も、発泡スチロール棒では細くて短い物しかできないので、水道管の凍結防止に使われるウレタンチューブを適当な長さに切って使いました。
少なくとも高温期にはうまく行って、根は健康を保って枝根が出て、根元からは新根が出て、葉が伸び茎が厚くなって新葉が出て、蕾付の株が咲いたり、開花見込み株から蕾が出て咲いたり、しました。
高温期についてはめどがつきつつあります。

 
左:バンダ・ロール 2010年 右:大株(葉約20枚)が出蕾、晩秋に開花
初夏から晩秋までは快調
2010,11年の詳しい経過は別ページにあります。

2011年の経過
新苗:繰り返しと巨大基根の対策
 
左:バンダ・ロール2011 右:巨大株(葉約40枚)が出蕾、開花
根元の新根は太くて横に伸びているため、外から二重に覆いました。

旧苗:冬越し苗の世話
2010年にバンダ・ロールにした苗は、初めての冬越しが余りうまく行きませんでした。
むしろ、ほったらかしにしておいて、温度が高く乾燥した条件で、根が枯れたのだと思われます。


研究
バンダ・ロールの改良 2012年

11年までの到達点−高温期にメドがついた
1かゼロかでなく、何ができたか、次にどうすれば良いかを考えると徐々に進歩します。
洋ランの状態と世話は、「高温期と低温期」でとても異なります。
従って、まず易しい高温期をうまく育てられたら、1年の半分はうまく行ったことになるのです。
そこで、低温期対策に力を集中することができます。
育て方については以上です。
次に咲かせ方ですが、
また、蕾付株や開花見込み株を無事に出蕾・開花させられました。開花株を楽しむのを一次、二番花を咲かせるのを二次、お土産花を咲かせるのを三次となずければ、0次と一次に成功したわけです。


201020112012
既存の新鮮根が健康を保つ、湿っているときは緑色で乾くと白
新根(枝根)が出る、根の先が伸びる
葉が伸びる
新葉が出る
根冠ができる
根本から新しい気根が出る
花茎が出る
(花茎付)
問題


古根が腐る

×
葉にしわがよる、黄色くなる、落葉

×
葉が伸びない

新根枝が出ない


根冠ができない



バンダの特徴・留意点(2012版)
単茎種でバルブがなく、コチョウランと違って葉が細くて薄いため、水分を溜めるのは根の役割
従って、根の本数を多く、健康に維持することが大切
根がコチョウランよりも弱く、むき出しにしておかないとすぐに腐るとされている。
根が腐るとそれに連なる葉も落葉して衰弱してしまう
方針
1 良い株が必須−丈夫で大きく葉の枚数・根の本数が多くて健康な苗
毎年同じような世話をしているが、年と苗によって、根の状態などが異なる
元気な苗ほど、新根や根冠や新葉が出てうまく行く
弱った苗では本来不要な救済策に追われ、本来の検討ができない
2 ハードとソフト、できるだけハードで解決
ハード
問題点を日常の世話によってというのは余り有効でない
問題点をハードで取り除く方が有効、植え方、置き場所
ある程度無事に育つようになってソフトの検討の条件が整い余地ができる
バンダの根は、鉢植えにすると2週間で腐りはじめ、1か月ではほぼ腐ってしまうと言われています。
他の洋ランでも、1週間過湿が続くと低温期には根腐れします。
そこで、週に2回はほぼ乾くようにすると根腐れは減ります。一方1週間水をやらずに乾いていると、蕾などは枯れてしまうことがあります。
従って週に2回乾くような環境と植え方にして、週に1回は水やりをするというのが、最低の条件と考えられます。
ソフト−これまでは世話は乱暴だった、
観察と水やり

12年目標、改良と低温期の本格検討
昨年までで、曲がりなりにも、高温期を過ごし、開花見込み株または蕾付株を咲かせることができるようになりました。蕾を出したり1かゼロかでなく、何ができたか、次にどうすれば良いかを考えると徐々に進歩します。
育て方の目標は以下の三点です。低温期に本格的に取り組みます。またその中は、屋外と室内に分かれ、室内は部屋の温度を冬知らずにするため、温度は高温期と同じで易しく、湿度を保つことが、屋外の高温期とは異なる新たな課題となります。
1 高温期の改良・確立:より根に安全な方法と、放任でない管理の導入
2 低温期の本格検討:根冠の消滅と根腐れの対策
3 最低温期・室内:冬知らずで温度は高温期と同じ、室内の乾燥が異なり、新たな課題
咲かせ方については、育て方が未完成のため未定です。

12年の計画
1 高温期の改良・確立
植込みの中で保湿

2 低温期の本格検討
高温期と低温期で世話の仕方を変える
高温期とは新根が枝を含めて出て、根冠が出ているとき、葉が伸び新葉も出る
低温期とは、根冠がない、最低温度が15℃が目安か
冬の室内は冬知らずにすれば、高温期と同じになる

高温期と低温期の季節による違い

状態の大きな変化は根冠の有無
扱いを変える
最低が20℃を下回り、15℃に近付くと根冠がなくなる
根冠があるようなら根が元気で過乾や過湿に強いのではないか

伸びが止まる、新葉が出ない

3 最低温期・室内
室内とり込み時期
生長しているなら日光のある昼(温度が高い)屋外が良い、生長の目安は?新葉の伸び
湿度を保つには遅くまで屋外
冷害を避けるには最低温度5℃が目安か、0℃以上では冷害出ず
室内での扱い
乾燥による根の枯れの防止
放置せず状態を把握

経過
新苗
植え方の改良

 
左:バンダ・ロール2012 右:蕾付きの大株(葉約30枚)が根がむき出しのままで開花
根元の新根を水につけて柔らかくして曲げました。上は根の上からもミズゴケを被せ、中は根の外にはミズゴケが無く、下は個々の根をミズゴケで包みました。



開花カレンダー
共通




12月室内取込み冬知らず最低15℃・
(冷害予防)

1月最低15℃、2・3月最低20℃
(芽出し促進)
4月屋外取出し雨除け・保温
5月雨ざらし・置肥・
6月安全植えへの植替え鉢増し・置肥・土増(生長促進)7月梅雨明け木陰・日陰・保湿・風通し・表面土増し(根保護)
暖季から寒季への切り替え、一部雨除け・日向・保温、水やり午前屋外最後の月雨除け12月室内取込み



(2012.7追記)
素焼鉢・遮光ネット・ミズゴケ・農薬・液肥・(定期植替え)不使用・
置き場所温度











10月南向高置保温






置き場所遮光




12−3

4月木陰物陰、
5月木漏れ日

梅雨明け木陰物陰
風通し
9月木漏れ日







水やり




11月定期水やり停止
12月水やり週一


4月定期水やり停止6月雨上りに水やり梅雨明け定期水やり追加週2
10月定期水やりほぼ停止、晴れ午前11月定期水やり停止




室内週一・
4-6,11月定期水やり不要
夏雨上りと4日雨なしで


20070809102011'121,2,34,567,89101112




マヌワディー
発酵バークプラ鉢
12開花


















トーキョー・ブルー株#1





2010年

6下植える 7上枝根
7下枝根・根冠
9下花茎 10中気根伸び
根冠一部枯れ
脇芽
11下開花





ウィラットxマダムラッタナ・ボーイ 



葉41枚最長27x3.3cm
6月株入手、
7末花茎開花















































































20070809102011'121,2,34,567,89101112







2011年
葉の枚数が40枚前後ある巨大株を6月に入手し、二重バンダ・ロールで育てました。
直ぐに花茎が出て咲きました。
冬は厳冬と、保湿をしなかったためうまくいきませんでした。
大きい方だけ冬越しできました。
昨年の株も一部冬越し

8月上旬、開花


7月下旬
 
花茎が出る

  
枝の根冠が伸びる、蕾が出る

2011年6月末
葉が40枚前後あり、根も多い巨大株、枝根も沢山
   

  

 
根元近くは太くて硬い根が横に伸びているため太くなってしまいます。
ネットの上にミズゴケを詰め、根の上からネットを二重に巻きました。さらに上から気根が伸びました。

V. Wirat x V. Madame Rattana 'Boy' 左 葉41枚最長27x3.3cm
ヒュークス・デライト×アネット・ジョン V. Fuch's Delight x V. Annete John 右 葉29枚最長38x3.4cm
 

2010年
11月下旬 まだ屋外、開花


10月下旬 暖かい南のブドウ棚の陰に移す、花茎が伸びて蕾が大きくなる


10月半ば 
気根はまだ伸びる、一部の根冠は枯れる、    脇芽が出る
  

9月下旬 花茎が出る

2010年7月下旬
枝根が増える
   
いずれも、上から下まで枝根が出て、根冠ができる

6月末−7月初め
枝根の出始め・根冠
 
根の先から枝根が出る

2010年6月下旬
新苗の植え付け
網戸用の厚いビニール網(長さ90cm)を適当な幅に切る
濡らしたミズゴケを1層敷く
根を並べる
ミズゴケを被せる
ウレタンチューブを芯にして巻きつける
ビニタイで縛る
   

  



栽培記録要約
2012年 
種名不明、開花株など
7月後半 バンダ・ロール 葉20余枚 11月上旬花茎
 

2011年
V. Wirat x V. Madame Rattana 'Boy' 右 葉41枚最長27x3.3cm
ヒュークス・デライト×アネット・ジョン V. Fuch's Delight x V. Annete John 右から2番目 葉29枚最長38x3.4cm 開花
6月末 バンダ・ロール、二重ネット 葉40枚余り
 

7月後半花茎  9月前半開花
 

シャバナナンxトレヴァースボーン

2010年 
5月 5株入手 トーキョー・ブルー 5月開花見込み株入手 葉20余枚 
 

苗の入手、休眠状態
Vanda Tokyo Blue No1 は丈夫で咲きやすく、、脇芽も多く出る種類だそうです。
冬を挟む低温期には、休眠することが多いです。冬の間にやや温度が低かったり、水分の供給が不十分だと、根は艶がなく、先端の根冠が茶色に変色してしわがよっています。先の方や細いものは枯れたりしています。温度が高く、根が乾きすぎないなどで、根冠が元気なまま越冬することも有ります。

バスケット植えにされた苗2株。温室育ちで、葉の枚数が多く、根は先まで元気で根冠があります。左の根元には、脇芽があります。
TOKYO BLUE No.1 (V. Chindavat x V. coerulea).
 
室内で、低温・乾燥気味で冬を越し、萎れかけた根。根冠は枯れ、先の方は白く、枯れかかっています。暖かくなるのを待って、巻き寿司植えに変えました。

巻き寿司植えに植え替え



根の活動開始、根冠の再形成
温度が高くなり、根に適度な水分が与えられていると、休眠から覚めて、活動が始まります。最初は白っぽい根のうち、元気のある緑色を帯びた所から順に、先端に、緑や茶色みを帯びた領域ができてきます。


葉の生長再開
生長点の一番小さい葉が伸び始めます。

根に枝の形成
根の所々から、短い枝が出てきます。元気な株、太い根、根元に近い場所、から順に出るようです。
 
左:太くて元気な根の、根元に近い上の方から出始めた枝、右:中ほどから出た枝
 
左:やや細い根から出始めた枝、右:根の先の方から出た枝

気根の生長再開と発生
気根がある場合は、艶がなく休眠している状態から、植え込み材料につつまれている部分が元気になって枝が出るようになると、気根にも根冠ができます。また、枝が出るなど早くから根が活発になった株からは、それよりも上の葉の間から新しい気根が出てきます。

右下向き、中央、左の葉に沿って上向きの気根がそれぞれ根冠ができて伸びています。上端では、葉の根元が割れて、新しい気根がやや左下向きに顔を出しています。

葉が広くなり、茎が厚くなる
夏になると、葉の幅が広くなってきます。また、葉と葉の重なった、いわば茎の部分が厚く(太く)なってきます。

脇芽の発生
脇芽を出しやすい種類では、葉と葉の間に脇芽が出始めます。前の大きな脇芽の上から出ました。9月20日


花茎の発生
葉と葉の間に花茎が出始めます。9月25日


葉が長く、茎は肥厚
根が元気なら、高温期間には、葉が長く、茎が厚くなります。9月25日

ブドウ棚に移す
日焼けさせずに、根は暖かくしたいので、南のテラスのブドウの陰に吊り下げました。

蕾が色づく
花茎は長く、蕾が大きくなり色づいています。夏に屋外で伸びた黄緑の葉は、それまで(の寒い時期)に温室で伸びた葉より長く幅広くなって、巻き寿司植えでうまく育っていることが分かります。

開花

11月27日 最低気温は5℃前後になることもあり、ブドウが黄葉しています。


根冠の休眠が始まる
10月16日 気根の大部分の先の根冠がなくなりました。茎の近くの根は元気なのもあります。

11月末開花



12月26日 室内に入れて、最低温度が約20℃以上を保ったら、根冠の一部が伸び始めました。
 
植え込み材料の中の根は、太くて元気なのと、細くて元気がないものがあります。

高温の冬越し
バンダは18℃以上でないと休眠するなど、色々言われています。コチョウランよりも高温でも休眠してしまいます。そこで、室内では最低温度を約20℃以上に保つことを試してみました。
6株のそれぞれの経過

最高最低気温全体の様子#0#1#2#3#4#5
6月5日25.0 16.4 巻寿司植え





6月25日31.5 18.9 根冠の形成始まり、根の枝の出始め





7月4日32.0 23.3 気根の根冠形成と出始め
新葉3.7cm

新葉7cm
7月9日27.2 21.6

気根1cm



7月20日35.5 25.8根の先から枝の始まり
気根3本



9月20日28.2,22.7新脇芽の発生





9月25日23.1,13.3

花茎が出始め



10月初め25.0 17.2根冠の休眠始まり





10月16日25.2 16.7#5などのみ気根根冠活発1cm
気根根冠1cm
気根根冠
気根根冠
11月27日14.6 7.2

開花始まる



12月9日12.7 1.6屋内取り込み





12月26日 常時約20℃以上、
湿度約35%
一部の根冠が伸びる中央根冠白1cm

中央根冠赤0.5cm



ミニバンダ・ロール(2)縦割りペットボトル・ウレタンチューブ芯
2010年7月初め
 

2009年
6月 アスコセンダ
縦割りペットボトルの「ミニバンダ・ロール」(1)発泡スチロール棒芯
11月
  

2008年
7月 葉の枚数が少ない
サンサイ・ブルー
パット・デライト
 

2007年
大型の開花見込み株の、バークたい肥植えを初夏に入手し世話を続けていたら、花茎が出て、年の暮れ近くになって開花しました。
しかし、その後の生育は思わしくありません。
マヌワディー V. Manuvadee 葉11枚
11月半ば花茎伸び                        12月初め   花茎が伸びて蕾が大きく              12月末 開花、気根も伸び