洋ラン学園
−21世紀の洋ランの育て方と咲かせ方
洋ランカレンダー
今月の洋ラン
2013年春−屋外の季節の始まり−夏の本格生長の手前まで、5月後半から6月前半
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はじめに
春から冬の始まりまでは、屋外で育てます。屋外は日当たりが良く、低温期に保温をすれば温度を高めることもできます。
「趣味の園芸」では温室を使うのが暗黙の前提になっていますが屋外大倍の場合は、「低温種は5℃、中温種は10℃、高温種は15℃以上になったら屋外に」と言われます。しかし、何が高温種なのか、どの温度(最低温度でしょうが、突然寒くなったりもするので、目安が分かりません)なのかがあいまいで良く分からず、室内の期間が相当長くなってしまいます。
洋ラン学園では、「寒さに弱いグラマトフィラム、バンダ、コチョウラン以外は全て霜の心配が無ければ外に出す、急に霜が降りそうな日は霜除けをする」という分かりやすい目安で、しかも屋外の期間を長くとるようにしています。
屋外にすると、雨ざらしで良い種類は当分水やりがほぼ不要になります。暇ができた分を鉢増しに当て、その後の生長を盛んにして花を咲かせます。
春の屋外への移動
屋外の方が水やりなどの手間が少なくなり、昼は日当たり良く高温になって生長も良く、室内を空けられるため、なるべく早く可能なものから外へ出していきます。
旬刻みで経過を記録します。新苗は一段階高温側を目安にしています。
冬から夏への過渡期の注意
洋ラン学園では冬は室内で暖かく冬知らずで、夏は高温で、どちらも根腐れの心配がありません。
従って根腐れに一番注意が必要なのは、春と秋の屋外にある低温期です。
根が元気に生長し出す暖かい時期までは2カ月程、根腐れに注意する必要があります。
5月から−中温期で生長が活発化(6月半ばまで)
3月半ばから6月半ばまでを、前半の低温期と、後半の中温期と分けて考えることができます。
5月に入ったら、温度が高くなり、根腐れの心配が減ります。同時に、多くの種類の新芽や新根が出てきて、生長が本格化します。
苗が元気という意味でも、根腐れしにくくなりのだと考えられます。
そこで、5月からは、それまでの、「安全第一・守り」の世話から、積極的な世話に徐々に変わっていきます。
自生地のような、雨季の生長は、6月半ばに本格化します。寒さに弱いバンダの根冠が形成されたり、色々な種類の夏芽が出たりもします。これはちょうど梅雨入りの時期と一致します。
このころから温度も高くて根腐れの心配が無くなり、水切れの心配に切り替える時期でもあります。
屋外の初めの3月後半−5月前半は前のページにあります。
6月前半
あらまし
気温が上がり、梅雨の先がけの雨が降り始めます。原産地の雨季に近い気候です。
夏型種が元気になってきます。
夏芽・冬咲きが代表のカトレヤは、夏芽がどんどん出てきます。
夏に咲く国産の風蘭との交配種が主体のミニバンダは新根が出始めます。
他にも、夏芽の出る種類は沢山あって、ランの多くが本格的な生長期に入ります。
温度が高いので、雨に当てても根腐れの心配が少なく、気楽な季節です。
日が高くなって家の北側でも日が当たる一方で、落葉樹が茂って、自生地に近い木漏れ日や木陰ができます。
置き場所:全種が屋外です。コチョウランでも雨ざらしで大丈夫ですが、雨が続いたら雨除けします。
水やり:雨が降らなければ乾きに応じて水やりします。
植替えなど:一部の生長旺盛で小さくなった鉢のみ鉢増し(一部は株分けを伴う)を続けています。
新苗でミズゴケ植えの物はバークか鹿沼土に植替えします。
6月前半の各種蘭の様子
生長の目立つ種類から順に記録します。*印はグループ別記事に2013年版があるもの。
*3カトレヤ原種
新芽・新根・蕾を出し、咲いています。
マキシマの開花
4月初めに重ね着鉢増ししてからほったらかしだったマキシマが咲いていました。シースが枯れていたので期待していませんでした。重ね着鉢増しのため植え傷みが少なかったようです。咲き始めは半開です。
各種蘭ごとの詳しい様子は別ページにあります。
6月前半の各種蘭の様子
生長の目立つ種類から順に記録します。*印はグループ別記事に2013年版があるもの。
*3カトレヤ原種
新芽・新根・蕾を出し、咲いています。
マキシマの開花
4月初めに重ね着鉢増ししてからほったらかしだったマキシマが咲いていました。シースが枯れていたので期待していませんでした。重ね着鉢増しのため植え傷みが少なかったようです。咲き始めは半開です。
各種蘭ごとの詳しい様子は別ページにあります。
*3 カトレヤ
夏芽種の夏芽が出始めます。株元からは新根が出始めます。一覧表参照。
肥料 芽の出ている種類を中心に、緩効性化成肥料の顆粒を置肥します。
*10 ミニバンダ
ミニバンダ・ロール植え
葉が引き続き伸びます。
新根が出る種類と遅い種類があります。新根は根元の気根からというのが多いようです。根先や途中から枝根が出て根冠ができてきます。
鹿沼土植え
二 風蘭
ミニバンダと同様ですが、生長開始は早いです。
三春蘭
*金稜辺
春芽、出続けています。冬芽は最大5cm
肥料 5月後半に株分け鉢増ししたので、今回置肥します。
中国春蘭、集円
春芽、伸びて丈4cm
肥料 5月後半に植替え鉢増ししたので、今回置肥します。
五 報歳蘭、駿河蘭、(昨年は5月後半に春芽)
*報歳蘭
春芽、伸びは遅いです。
肥料 5月後半に株分け鉢増ししたので、今回置肥します。
*五駿河蘭
春芽、伸びています。最大6cm、夏芽、出続けているようです。昨年の株のバルブが太っています。
肥料 5月後半に株分け鉢増ししたので、今回置肥します。
1 シンビジウム
芽の伸び
開花、霜害に耐えて回復中の小型下垂種サラ・ジーン・アイス・カスケードは開花中です。
左、コチョウラン白大輪 右:デンドロビウム・フォーミディブル、デンドロビウム・イエロー・ソング・キャンディー
あらまし
春芽が出揃ってきます。多く出て生長が本格化します。
温度が高くなって根腐れの心配が徐々に減ってきます。
置き場所:全種が屋外です。雨が続いたら、パフィオ、ジゴペタは雨除けします。
水やり:雨が降らなければ乾きに応じて水やりします。
植替えなど:一部の生長旺盛で小さくなった鉢のみ鉢増し(一部は株分けを伴う)を続けています。パフィオの新旧苗の鉢増し
新苗でミズゴケ植えの物はバークか鹿沼土に植替えします。パフィオはバーク植えでも古いと根腐れしています。
肥料:前半の根の丈夫なシンビ・デンドロに引き続き、冬芽が大きくなっているジゴペタ、ミルトニア・スペクタビリス
害虫:シンビジウムの蕾やデンドロビウムの花びらを、ナメクジが食べます。見つけて駆除します。蚊が飛び始めたのは暖かくなった印です。
カトレヤの蕾の基に群がり吸汁するカメムシ
5月後半の各種蘭の様子
生長の目立つ種類から順に記録します。*印はグループ別記事に2013年版を設けたもの。
*1 シンビジウム
蕾、サラ・ジーン・アイス・カスケードはまだ蕾です。
新芽、出そろってきました。中にはバルブの両側や、鉢の内側の古バルブから出ているのがあるので、芽欠きを始めます。
植替え・鉢増し、新苗は既に済ませてあり、古株はまだ凍害からの回復中なので今年は見送ることにします。
*2 デンドロビウム
花、ほぼ終りがけです。
新芽、ほぼ出揃ってきました。一つの親から2本出ていたり、鉢の内部の者は芽欠き候補です。新芽の数だけ再来年に咲くので、今年と同数確保したいです。
植替え、新苗と古苗で鉢が小さいものは、花が終わってまだの鉢を、浅広鉢・鹿沼土に重ね着鉢増しします。
肥料、植替えしない鉢から順に置肥を続けています。
下垂種
新芽、出た株は伸びています。一部は引き続き出ています。
植替え、ロディゲシーは径7.5cmのスリット鉢にミズゴケ植えで、南の植込みの下でも乾くことがあるために、蕾が消えてしまいました。根鉢をほぐして重ね着鉢増ししました。
一 石斛
新葉、一度出た小さな葉は、乾燥で枯れてしまいました。家の北側の茂みの中に移動
12 大明石斛
蕾、残念ながら消えたり、大きくならなかったりです。
新芽はまだ出ません。(昨年は8月後半に夏芽)
12 キンギアナム・スペキン
花、終りました。
新芽はまだ出ません。(昨年は6月後半に夏芽)
4 コチョウラン
開花、白大輪が桃より遅れて始まりました。
花茎、昨夏に入手した大型で、まだ花茎の出ていなかった株が、今頃になって花茎が出てきました。
*5 パフィオペディルム
子株の生長、次の花の基が伸びています。
新芽、
植替え、新苗は鹿沼土で重ね着鉢増し・中芯入りで、古苗の深ポット鹿沼土植えは、土を再使用して、どちらも、浅広鉢に鉢増しです。
*8 ジゴペタラム
子株の生長、かなり大きくなり、根元が膨らみ、新根が出ている物もあります。例年新芽が腐るのですが、今年は雨除けしてきたせいか、無事です。
植替え、必要な鉢は済ませているため、しません。
肥料、子株の生長が盛んなので、置肥します。
*6 ミルトニア・スペクタビリス
江戸紫
鉢増ししましたが、植え傷みなく順調に生育、バルブの両側から芽が出ている場合は生育が悪ければ芽欠きします。
京紫
古小株
親に応じた大きさの芽の伸びです。一鉢は浅広ポットに植替え
ミルトニジウム
細身ですが元気に伸びています。
*11 デンドビウム・フォーミディブル
開花 ようやく咲き始めました。
植替え・鉢増し、
開花株新苗は鉢が小さく、水切れして皺が寄っていたので、雨ざらしで回復中です。
節伏せから、単茎のままで大きくして咲かせたもので、根元はミズゴケ、その周りはバーク植えですが、年数が立っているためどちらも腐って、根腐れしています。茎に皺が寄って黄色っぽいのはそのためでしょう。
作落ちの心配があり、有望株とは言えません。
古株も、深鉢植えなので、浅広鉢に鉢増しします。
*13 バンダ
バンダ・ロールが何とか根を残して冬越しできました。葉が伸びています。
小さい方が元気で、大きい方は下葉が枯れています。
元気な方の株は、長さ60cmの全長が元気です。
元気の無い方は根元近くから出た4本だけが元気で延べ22cmに渡っています。
10 ミニバンダ
白花の古株は、根冠が元気に伸び始めました。
10 ミニバンダ
ミニバンダ・ロール植え
一部は根冠が出てきました。
二 風蘭
元気な種類は根冠ができ始めました。
東出都、右は白い根の先に、左は緑の根の先に、赤みを帯びた根冠が伸びています。
二 ナゴラン
植替え 素焼鉢植えからミニ・バンダ・ロールに
店頭で干からびていましたが、家で暖かく、水切れしないようにして冬越し中に新葉が伸びました。根も鉢に付いて伸びました。
ペットボトルに根を入れて、ウレタン芯と根の間にミズゴケを入れました。根は容器の外壁に付いて、片むき出しです。
*三 春蘭
日本、新芽が出て伸びています。
中国、
*金稜辺
春芽、出続けています。
植替え・株分け・鉢増し、
花芽が惜しくも枯れたのは、鉢が小さいせいと思われます。新芽が大きくなり始めたので、「浅広鉢・鹿沼土・薄植え・中芯入り」に、植替え・鉢増しします。
根、枝根が出て、根冠が伸びています。
中国春蘭、集円
春芽、出ています。
植替え
細くて重い蘭鉢に配合℃で植えられているので、「浅広鉢・鹿沼土・薄植え・中芯入り」に、植替え・鉢増しします。
根、枝根が出て、根冠が伸びています。
四 エビネ
古葉は植替えのせいか黄葉しています。
子株の生長、かなり大きくなりました。
五 報歳蘭、駿河蘭、(昨年は5月後半に春芽)
*報歳蘭
春芽、例年通りに出てきました。
植替え・株分け・鉢増し、
数年植えたままになっているので、「浅広鉢・鹿沼土・薄植え・中芯入り」に、植替え・鉢増しします。
植替えをしてから数年たち、凍害で古株が枯れたりしているため「
浅広鉢・鹿沼土・薄植え・中芯入り」に、植替え・鉢増しします。
鉢#0
鉢の下半分は入手したっ時の泥を再使用しましたが、根が腐っています。凍害の古株などを二つにちぎりました。硬質ポリポットに中芯を入れて植えました。
根、枝根が出て、根冠が伸びています。
*五駿河蘭
春芽、鉢が一杯で新芽が見えませんでしたが、植替えのために抜いたら例年通りに出ていました。
植替え・株分け・鉢増し、
植替えをしてから数年たち、凍害で古株が枯れたりしているため「
浅広鉢・鹿沼土・薄植え・中芯入り」に、植替え・鉢増しします。
株数が多いため、株分けしました。
鉢底近くは入手した時に植わっていた泥が入っていて、古根は根腐れしています。
中央付近から二つに割りました。先が伸びて根冠になっている所もあります。
根を広げて、中央に芯を入れました。深細鉢から浅広鉢への植替えです。
赤い新芽が伸びています。鉢#1、鉢#2
*6 オンシジウム近縁属
ゴメザ クリスパ
開花後、
ビーララ
ユーロ・スター
蕾:開花株についていた花茎の蕾が大きくなっています。
スマイル・エリ
コルマナラ
ワイルドキャット
入手開花株花後の休眠中
ブラッシア
入手開花株花後の休眠中
*6 オンシジウム (昨年は6月後半に夏芽)
植替え、新株・古株共に、ミズゴケ植え、古くなったバーク植え、細深鉢鹿沼土植えを、2013年版の「
浅広鉢・鹿沼土・薄植えへの鉢増し」しています。
アロハ・イワナガ
昨年の新苗をミズゴケ植えのまま春に屋外に出した処、根腐れしてしまいました。
ゴワー・ラムゼー
新芽(
秋芽)は葉が細く長く伸び、根元は丸く厚くなります。これからバルブができて太って、7月後半頃に花茎を出すと期待されます。1年型と言えるでしょう。
秋芽の出なかった株などから
春芽。
スイート・シュガー 100万ドル
新芽(
秋芽)は葉が細く長く伸び、小さな
バルブができています。
Onc. Kutoo 'CT-Little Cherry',Taiwan Flora Seed International Co., Ltd (Chian Tzy )
作落ちしていた株を植え直しました。小さな新芽が出ています。
*6 ミルトニア・スペクタビリス
江戸紫
鉢増ししましたが、植え傷みなく順調に生育、バルブの両側から芽が出ている場合は生育が悪ければ芽欠きします。
*3 カトレヤ
春芽、盛んに出てきます。
植替え
バーク植えは、ミズゴケよりは長持ちしますが、古くなると腐り、根も腐り始めるので、定期的な植替えが必要になるという問題があります。
「
根を横に伸ばす」植え方に変えます。
深鉢・鹿沼土植えを、より安全な「
浅広鉢・バーク植え」に植替え。細根種を中心に「
浅広鉢・鹿沼土大粒植え」に植替え
一部は根冠が出てきました。
16 マキシラリア
冬咲きポリフィロステレ
芽の伸び、最大は丈16cm基幅0.8cm葉長9cm2枚。新芽がバルブの両側から出ている株は芽欠きをした方が良いです。バルブは皺が寄っています。
鉢が容易できたら、「浅広鉢・鹿沼土・根を横に伸ばす植え」に植え替えたいと思います。
根:脇芽を出している株の根元から気根が出ています。
肥料、子株の生長が盛んなので、置肥します。
夏咲シュンケアナ
春芽、引き続き出ています。バルブはまだ薄く、親に比べると徐々に小さくなっています。
肥料、子株の生長が盛んなので、置肥します。
*15 デンドロキラム
肥料、子株の生長が盛んなので、置肥します。
グルマセウム(大型6月夏芽晩秋咲き)
春芽、一部に新芽が出ました。
大株
いずれも休眠中
左・中鉢#1、右:鉢#2
中株
左:全容、中・右:シースをかぶってバルブの小さい株から出た
春芽。
フォルモーサム(小型冬咲き)
バルブが太っています。
左・中:鉢#6、若い芽は葉に艶が合って元気。右:鉢#5:休眠中
ウエンゼリー(細葉)
冬芽伸び、少しずつ葉が伸びています。
赤花、右図の両端の数字を書いた低いのが
冬芽
黄花、右図の両端の数字を書いた低いのが
冬芽
*9 セロジネ
春芽が続き最盛期です。翌年の花芽の基になります。
バルブに皺が寄っている株が多いです。
肥料、子株の生長が盛んなので、置肥します。
クリスタータ
冬芽伸びて最長14cm基幅0.7cm葉2枚
春芽続き
インターメディア
冬芽伸びて最長10cm基幅0.7cm
春芽続き
10 ミニバンダ
白花の古株は、根冠が元気に伸び始めました。
10 ミニバンダ
ミニバンダ・ロール植え
一部は根冠が出てきました。
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