洋ラン学園
パフィオペディルム(パフィオペディラム)の育て方と咲かせ方
単茎種のような複茎種


表紙続き


2013-14版 
初めに
パフィオは、普通の複茎種のように、芽期に芽が出て花芽時までに大きくなれば咲くと言う訳にはいきません。
その代わり、「新芽が一年たっても咲かなければ終り」ではなく、咲く大きさになるまで洋ラン学園では「単茎種のような複茎種」で数年かけて育てます。
地生種なので鹿沼土植えにすると根腐れや枯れの恐れが減ります。
水やりの手間を省くtめ雨ざらしにしたいのですが、特に薄葉種はカビ病で落葉し易く、衰弱します。

開花株の大きさや芽期と葉期

種類リスト
緑葉
原種
スピセリアナム
交配種
エンザン・ブランチxキムラズ・プレゼント
ツヤ・イケダ・オーイソ
ハマナ・ドリーム
フィップス
ミラーズ・ドーター
ライム・ドーン
リーアナム
ロビン・フッド
不明種・緑色小輪
斑入り薄葉種
モーディエ?
斑入り厚葉種
原種
デレナティー
交配種
マジック・ランタン
リンレイ・クーポウィッツ
不明
開花株の大きさ
どれだけ大きくしたら咲くかの目安は、入手した時の開花株の大きさです。
園芸店で入手できる開花株は、初花・単株のことが多いです。


株数 親丈
(最長葉の長さ)
葉枚数葉最広幅脇芽丈葉枚数

緑葉原種スピセリアナム3-519cmまで3枚まで3.2cm14cm5枚まで

一次交配リーアナム316cmまで3枚まで2.7cm20cmまで6枚まで

緑葉整形エンザン・ブランチxキムラズプレゼント2株まで28.5cmまで4-8枚





ロビン・フッド
19cmまで4-5枚3.5cm18cm5枚


ツヤ・イケダ・オーイソ3株23cmまで3-4枚3.2cm16cm4枚まで


ライム・ドーン
26cm5枚3.2cm19cm5枚


ミラーズ・ドータ-
14cmまで3枚3.3cm10cm3枚


ラフ
12cm7枚まで4cm




ハマナ・ドリーム2株31cmまで3枚まで3.3cmまで20cmまで4枚まで


緑色小輪4株19cmまで5枚2.8cm17cmまで5枚まで











斑入り薄葉モーディエ・タイプ2株まで14cmまで7枚まで5.0cm8cmまで












斑入り厚葉デレナティー1株13cm7枚2.4cm




マジック・ランタン








リンレイ・クーポウィッツ5株14cm4枚4.3cm15cmまで5枚まで


葉の枚数は4枚前後が多いですが、次に咲かせるためには基の小さな葉を含めると8枚前後かかることが多いです。売られている開花株は古い小葉が無くなっていることが多いです。
下の図は育てて咲いた時の葉の未数と大きさです。


芽期葉期
葉を8枚まで増やすことを目標にすると、新しい葉はいつ出るかが気になります
月別の新芽や新葉の数
今ある脇芽の開花につながる葉の枚数を決める「葉期」は春の初めと夏から秋にかけて、一方次の花を咲かせるには「芽期」が重要です。
パフィオは芽も葉も一年中出ると言う点でも変わっています。
緑葉大輪整形種の例






新芽新葉開花
1252
223

3891
401

514

662

727

8311

936

10081
11653
1245



葉の生長と新葉の出方と開花
パフィオが咲くかどうかは、葉の生長と、新葉がどんどん出てきて生長するかで決まりますが、その様子を説明したものは見当たりません。
以下にその例を示します。詳しい経過の写真は12年版などにあります。
この他に中々咲かない苗が沢山あります。
丈夫で生長旺盛な種類で親株が元気で大きく、根が元気で、新芽の出が良くて、新葉がどんどん出るという好条件が揃っていると咲く。

生長パターン、葉の枚数と大きさ、開花まで
新葉の増え方、大きくなり方をパターン化し、開花株と比べることで、咲くかどうかが予想できます。
強健種の脇芽付きの有望株を入手して、洋ラン学園の植え方・育て方をすると、易しく良く咲きます。
斑入り厚葉リンレイ・クーポウィッツ
開花入手株に既にあった脇芽を株分けしました。最初から葉が大きかったので、芽が出てからすでに1年前後は経っていたと思います。前の年の冬に出た葉が伸びながら、9月に新葉#7がでて、夏まで引き続き大きくなると共に、5-6月に新葉#8が出ると同時に蕾が付きました。芽が出てから3年前後かかっているのではないでしょうか。
詳しくは2012年版


開花株を入手した時の葉の枚数と大きさは、次に脇芽が何時咲くかの目安になります。
右上の青い□と破線は、開花親株の葉の大きさの分布です。枯れてしまった古葉が何枚あったかは推定です。
その下の桃色の□と破線は、開花時にあった脇芽が1年後に蕾を付けた時の葉の大きさの分布です。枯れてしまった古葉が何枚あったかは推定です。
親株に近い葉の枚数と大きさになっていることが分かります。
その下の橙色の○は親株の開花後の秋に株分け・植替えをした時の、この脇芽の葉の大きさです。その後1枚増えています。
左下から中央にかけての数本の線は、株#2が咲いた後に出てきた新芽#3の生長の様子、上の図を見方を変えて示しています。ほぼ3枚で出始めた秋新芽が、10月には秋新葉を出して4枚になり、翌春には4枚目だけが大きくなると共に春新葉の5枚目が出て、夏には5枚目が大きくなると共に夏新葉の6枚目が出ました。
しかし、蕾が出るまでにはもう1-2枚新葉が必要なようです。来年の6月までにそうなれば良いと思います。


斑入り薄葉モーディエ系の例
2008年秋に脇芽(葉5枚前後)付きの開花株を入手、翌年に葉が2枚、2年目に3枚出て、秋に蕾が出ました。葉数は8-9枚と思われます。


緑葉一次交配種リーアナムの例
2011年4月に脇芽付き(#3,葉4枚+出始め)の開花株を入手しました。直ぐに夏新葉秋新葉が出て、11月にはが出てきました。


新芽の生長例
秋に新芽が出て葉が2枚、
直ぐに4枚目まで出る
3枚目からは徐々に大きくなる
翌春に春新葉5枚目、夏に夏新葉6枚目が出る、
今後も半年ごとにhが出れば、来年の夏には8枚になって、蕾が付く可能性のある大きさになる。
 
秋の新芽に翌年の新葉がまだ出ない例


2013年
その他
Enzan Branch x Kimuras Present
作落ちと凍害からの回復中


ミラーズ ドーター Paph. Miller's Daughter     (Paph. Dusty Miller x Paph. Chantal)
大きな脇芽付きの有望株です。一年で葉が冬葉夏葉と二枚出ました


斑入り厚葉
リンレイ・クーポウィッツ
鉢#2、分け株、開花株の子
11年の開花後に出た脇芽が2年でほぼ親並みに大きくなりましたが、蕾は出ませんでした。前の株の小さな葉を数え落としていると思われ、6枚では枚数がまだ足らないようです。

鉢#3、分け株、未開花単株
鉢#1の開花親株、鉢#2の分け株開花株より大きくなりましたが、夏に蕾が出ませんでした。


デレナティー
単株の大きな開花株を春に入手しました。
夏の終わりにようやく夏新芽が出ました。葉はもう4枚あります。1年に葉が2枚出るとすると親の大きさになるまで3年かかり、気の長い話です。
 

マジック・ランタン
13年新株
作落ちと回復を繰り返した株のようで、水切れ気味です。葉の枚数は多いですが不揃いで巻いています。水やりしたら夏新葉が出てきました。




有望株の入手
2013年初めの冬のシーズン(12年終りから)も、株が大きく、脇芽が出ていてしかも葉の枚数が多い苗を入手することに勤めました。


緑葉整形、
フィップス Paphiopedilum Phips, Paph. Aureum x Paph. Boltonii
大型で葉がやや厚めで、薄い縞模様があります。新芽もあって元気そうです。
上萼片は淡いクリーム色で、淡褐色の斑点


これまでに入手した内で咲きやすかったのは、緑葉(整形)薄葉小型では一次交配種のリーアナム、斑入り薄葉種ではモーディエタイプ(種名不詳)、斑入り厚葉種ではリンレイ・クーポウィッツです。
これらの種類は丈夫で、また脇芽が出やすく生長が早いので、花が比較的良く咲きます。

斑入り厚葉、
右:リンレイ・クーポウィッツ
Paph.Lynleigh Koopwitz (delenatii x malipoense)
有名な原種同士の一次交配、強健、大型、夏咲
  

洋ラン学園式の育て方と咲かせ方-緑葉有望株の入手からの経過−終り