洋ラン学園
パフィオペディルム(パフィオペディラム)の育て方と咲かせ方
続き
有望株の選び方−脇芽が大きくて葉の枚数が多い(他のグループと基本的に同じ)
園芸店で売られているパフィオペディルムの苗は、大きくて何本も株立ちしている物と、小さくて1-2本しかないものと二通りあります。丈夫で早く大きくなる種類は前者で、小型で生長の遅い種類が後者です。前者は葉が緑で長く大きく、後者には葉が斑入りの小型種が含まれます。
経験が少ないうちに咲かせようと思ったら、「何株もあって、大きく、新芽の枚数が8枚に近いもの」が有望です。
右は緑葉の緒方種の大株、左は斑入り厚葉の小型種のやや小さめの株
第一段階:初めてのパフィオペディルム(他のグループと基本的に同じ)
パフィオペディルムには熱狂的な愛好家が多く、本やHPの情報は初心者向きよりは趣味家向けが多いです。
ここでは初めての人向きの、「趣味の園芸」とは異なる方法を紹介します。
@有望株の入手
緑葉で大型で脇芽が元気で大きく葉の枚数が多い株を入手しました。根は見えませんが元気と思われます。
A広口ペットボトルへ移し替え(他のグループと基本的に同じ)
パフィオペディルムに限らず、経験者でも「鉢の表面が乾いたら水やり」では、中が湿っていて根腐れする恐れが大きいです。特に開花株が出回る時期は温度が低いためなおさら危険です。
それを避けるには、中の見える容器にするのが一番です。
ペットボトルは手近にあって最適です。
中が見えても乾かなくては根腐れします。温度が低いと乾きが遅くなるので、最低温度が20℃ある冷暖房完備のオフィスなどは最も安全です。
乾きを早くするには、根鉢と容器の間に広い隙間があることが重要です。
ペットボトルの底に水が溜まっていると植え込み材料も湿ってしまいます。それを避けるにはペットボトルの底に「板」を敷いて、植え込み材料を浮かせることが有効です。発泡スチロールを底にはまる大きさに切り抜きます。「納豆のパックのふた」が便利です。
Bできるだけ温度が高い所に置く、直射日光は不可
夏以外は、室内では乾きが遅いです。最低温度が20℃有ると根腐れの心配は殆どありません。
C水やり、中が半乾きになったら
第二段階:パフィオペディルムの育て方−春から・屋外(他のグループと基本的に同じ)
初めての冬を乗り切ったら、今度は育てて大きくする番です。
霜が降る間は室内でないと、霜害・凍害で枯れてしまいます。
東京近辺では4月に入ると、屋外に出すことができます。
初めに−三つの季節
洋ランの育て方は種類によらず温度により三つの時期に分け、世話を変えます。
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冬 | 12-3月 | 室内 |
最低温度20℃が理想
「冬知らず」なら根腐れ知らずで開花促進
15℃でも可
それ以下では段々難しくなる |
開花
新芽 |
春・秋 |
4-5月
10-11月 | 屋外 |
根腐れに注意
保温と乾燥
雨除け |
芽の生長
花茎の伸び |
夏 | 6-9月 | 屋外 |
水切れに注意、ぐんぐん生長
根腐れの恐れ少ない
保冷と保湿 | 芽の伸長・充実 |
@置き場所
殆どの洋ランは、森の中の木の枝などに着生し、木漏れ日を浴びて育っています。従って、直射日光を浴びると大抵日焼けしてしまいます。パフィオはシンビやデンドロを強光種とするとそれより日射に弱い「中光種」です。慣れないうちは、直射日光が絶対に当たらないよう
確実に遮光します。
また、パフィオの中には、雨ざらしでは「カビ病」で葉に黒点が出たり、出たばかりの新芽が枯れたりするので、慣れないうちは「
雨除け」のできる場所が安全です。
植物が育つには「
日光と水と高温が不可欠」です。
冬は室内でできるだけ高温
春と秋は、庭や室内(周年室内の場合)の南向きの暖かい所で、地面から離した高い所で保温に努めます。
夏は保涼と保湿で休眠させないようにします。
A水やり・肥料など
省略
B鉢増しと土増し
広口ペットボトル植えは、隙間が広いと夏には乾きが早すぎて水切れします。隙間にバーク・ミズゴケ・鹿沼土などを足して根を覆います。
軽。5cm程度の小さな鉢や透明ポット植えで根が鉢の内側に一杯になった場合は、一回り大きい容器に変えて間にバークなどを詰めます。
また、新芽が伸びると同時に新芽の根元から新根が伸びて往々にしてむき出しになります。植え込み材料を被せて保湿し吸水できるようにすると新芽の生長が良くなります。
第三段階:咲かせ方
これまでの「趣味の園芸」では咲かせるための指針がありませんでしたが、「洋ラン学園」では、「葉を8枚前後に増やす」という指針に沿って育てれば良いのです。基本的には「咲かせ方は育て方の延長」です。
葉の枚数が約8枚に増えて蕾
左エンザンブランチxキムラズプレゼント(開花見込み株入手から毎年) 中央:モーディエ系斑入り薄葉(入手後2年目から) 右:一次交配種リーアナム(入手翌年)
斑入り厚葉リンレイ・クーポウィッツ、入手秋に蕾、株分け後
参考
鹿沼土植え
パフィオペディルムの根は乾燥に弱いためバーク植えでは根が枯れやすく、過湿に弱いため、ミズゴケでは根腐れしやすいようです。これを水やりなどで解決しようとしてもなかなかうまくいきません。一方パフィオペディルムの仲間の和蘭であるアツモリソウやクマガイソウは、山野草として、赤玉土や鹿沼土などで育てられており、パフィオも、以前は軽石で、最近は鹿沼土で植えられている物を見かけます。
パフィオペディルムを鹿沼土で植えると、根の枯れや根腐れが少なく、良く育ちます。過湿にも過乾にもならず、適度な湿りだからだと思われます。
秋から晩秋にかけて、温度が急に下がる時期に、鉢の乾きを確かめないで同じような水やりをしていると、過湿になって根腐れするので、ミズゴケや鹿沼土では注意が必要です。
2009年4月
バーク植えの大型パフィオの苗の半分を鹿沼土植えに替えてみました。
左:透明ポットにバーク植え、水やり直後で濡れている、右:鹿沼土植え、まだ表面近くを除いて湿って橙色
パフィペディラム開花カレンダー
新葉の出と出蕾
一般の複茎種は新芽の出方が重要ですが、パフィオは新芽に代って新葉が重要です
共通 |
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12月室内取込み・冬知らず最低15℃・
(冷害予防) |
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1月最低15℃、2・3月最低20℃
(芽出し促進) |
4月屋外取出し・雨除け・保温
5月雨ざらし・置肥・ | 6月安全植えへの植替え鉢増し・置肥・土増(生長促進) | 7月梅雨明け木陰・日陰・保湿・風通し・表面土増し(根保護) |
| 暖季から寒季への切り替え、一部雨除け・日向・保温、水やり午前 | 屋外最後の月・雨除け | 12月室内取込み |
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(2012.7追記)
素焼鉢・遮光ネット・ミズゴケ・農薬・液肥・(定期植替え)不使用・ |
置き場所温度 |
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| 10月南向高置保温 |
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置き場所遮光 |
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| 12−3 |
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4月木陰物陰、
5月木漏れ日 |
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梅雨明け木陰物陰
風通し | 9月木漏れ日 |
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水やり |
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11月定期水やり停止
12月水やり週一 |
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| 4月定期水やり停止 | 6月雨上りに水やり | 梅雨明け定期水やり追加週2 |
| 10月定期水やりほぼ停止、晴れ午前 | 11月定期水やり停止 |
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室内週一・
4-6,11月定期水やり不要
夏雨上りと4日雨なしで |
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| 07 | 08 | 09 | 10 | 11 | 12 | 1,2,3 | 4,5 | 6 | 7,8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
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緑葉整形
エンザンブランチxキムラズプレゼント |
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| 11月秋芽、蕾 |
7月夏芽
7,8月新葉
11月蕾 |
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緑葉一代交配
リーアナム |
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4月開花株入手葉#4,14.5cm,#5,2.5cm
8月#5,14cm、#6,8cm |
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9月#7,4.5cm
11月#7,10cm蕾 |
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斑入り薄葉
モーディエ鉢#1-2 |
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| 11後開花株入手葉#3,6cm | 12月葉#4,10cm | 4月葉#5,21cm,#6,12cm |
7月葉#7,8cm、#8,2cm
11月葉#8,5.5cm蕾 |
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1-5鉢新芽新葉 |
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6月夏芽
8月夏芽
| 11月新葉 |
1月花茎
5月春芽
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斑入り厚葉
リンレイ・クーポウィッツ鉢#2 |
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5月葉#6,10cm
9月#6,13.5cm#7,3.5cm
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| 6月#7,11cm、#8,2.2cm蕾 |
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Paph. Enzan Branch x Kimura's Presentの場合は30x4cmの葉が4枚以上で開花
斑入葉系
1 初めに
パフィオペディルムは我が国の山野草のアツモリソウの仲間で、アジア産です。日本パフィオペディルム研究会があるのを見ても分かるように、熱烈なマニアがたくさんいます。欧米では大きな袋状の唇弁から天使のスリッパと呼ばれているそうです。地生ランと着生ランとがあります。地生ランは和蘭にもアツモリソウがあります。
洋ラン全般からみると、根が過湿にも乾燥にも弱く、日焼けしやすく、葉がカビにも侵されやすいというように、五大属の一つにしては、やや気難しいです。他のランが、乾燥気味にすればなんとかなるのに対して、パフィオは異なるので、やや詳しく述べます。他のランは、大型の種類より小型の種類の方が、ミニカトレヤ、ミニコチョウランなど、育てやすく咲きやすいですが、パフィオは、大型の方が抵抗力があるのに対して、園芸店で売られている苗は一般に小型の種類や小苗が多く病気になりやすいです。初めは大型の種類や大苗の方が無難でしょう。(ミニカトレアやミニコチョウランも幼苗が売られていることが多く、大きくならず咲きにくいです)
パフィオペディルム属はいくつかの亜属に分けられているように、性質が一通りではありません。また、緑葉系と斑入り葉系に分けられて緑葉系に比べて斑入り葉系はやや育て方が難しいとされています。また、冬咲きと夏咲があり、出回っているのは易しい冬咲きだけです。
ここでは、主に、丈夫な緑葉系のやや大型のタイプの冬咲きを取り上げます。
パフィオには他の種類と違う特徴があり、知っておくと育てたり咲かせたりするのに役立ちますが、余り知られていません。
株の根元は余り太くならず、いわゆるバルブにならない
根が茶色で毛に覆われていて、少ない
新芽が1年目だけに花を付けるのでなく、生長が遅れると2年目以降に付けることがある
休眠期ははっきりせず、冬も暖かければ生長する、新しい葉も2年目以降も出続ける。
一般に小さい苗を育てていてもなかなか大きくならず咲きませんが、大株を入手できれば容易に咲き、辛抱強く大きくすると咲くようになります。
2 開花可能株の選び方
パフィオペディルムは、遮光を強くして育てられるせいか、家庭では簡単に咲いてくれません。店頭には開花年齢に達したばかりの小さい株や、小型種が多く並びますが、大きな親株で始めると、脇芽が開花に必要な大きさに達して、翌年も花を見ることができます。また、緑葉系と、斑入葉系があって、後者は日焼けもしやすいなどやや弱いとされているので、最初は緑葉系が無難です。小型のものと、長くて幅広の葉を多数つけている物とがありますが、大型のものが丈夫で扱いやすいです。中には高温性や、夏咲き種がありますが、最初は避けた方が無難でしょう。
根腐れしやすいのに他の洋ランと同じように乾燥気味の育て方をすると、大株から始めない限り、大きくならず、咲きません。
3 パフィオペディラム学園
1 初めてのパフィオペディルム(枯らさない方法・小学校、他の種類と同じ)
苗の入手
パフィオペディルムは、五大属の中では、最も園芸店で見かけることが少ないです。緑葉で割に大きく大きな白や黄色や少し茶色味の花の咲いている種類が最も多く、反対に斑入り葉で小さくて葉が厚く小ぶりで、色々な色の小さな花の咲く種類もたまに見られます。前者が丈夫で咲きやすいのでお奨めです。後者は苗が若いことが多く、慣れないうちは中々咲かないです。
冬から春に多く出回りますが、他の種類と同様に、春暖かくなってから、大きめで、新しい脇芽の付いた株を入手するのが適当です。
透明容器への鉢替え
パフィオペディルムは、最も根腐れ・根枯れが起きやすい種類と言っても過言ではありません。従って、透明容器への鉢替えも不可欠です。逆に草することによって、難しいパフィオがずっと易しく育てられるようになります。
置き場所
パフィオペディルムは、元来が日陰に育つ植物なので、日焼けも起きやすいです。直射日光は厳禁です。高温期は木陰、低温期は木漏れ日が小に合っています。室内ならカーテン越しの日当たりの場所が、鉢の乾きも良く根腐れにもなりにくいです。
水やり
パフィオペディルムは、根腐れも、根の枯れも、起きやすい種類です。鉢に表面の乾きを見て水やりすると、慣れないうちは大抵どちらかになります。透明容器植えで、バーク植えなら上から1/3が乾いた色になったころに水やりするとよいでしょう。ミズゴケ植えなら全体がやや乾き気味になった位です。
水やり後数日たっても湿ったままなら、乾きが悪く、根腐れの心配があります。芯入りに衣替えすると安心です。
芯入り衣替え
いくら、乾くのを確かめてから水やりすると言っても、乾かなければどうしようもありません。植え替えは慣れないうちや低温期などは後遺症が大きいので、根鉢を崩さずに、湿りの残りやすい植え込み材料の中心部だけを抜き取り、代わりに発泡スチロールを詰めて、我が国でセッコクやフウランで常識となっている空洞植えに倣うことにします。
2 基本栽培法(大きくし咲かせる体力を付ける・中学校、他の種類と同じ)
標準の植え方
パフィオペディルムは根が腐りやすく枯れやすいので、従来の植え方と水やり法では、大抵うまくいきません。まずは、透明ポットに鉢換え、そして芯入りに衣替えすると安心です。慣れてきたら一歩進んで植え替えをします。透明ポット、底板敷き、横穴開け、芯入り、バーク中粒という、本HPの標準の植え方にして、鉢底近くや鉢の中心の湿りを早く無くし、鉢をこれまでより少し大きくして、中の乾きを見ながら水やりすると、驚くほど根腐れ屋枯れが減り、世話が楽で、水やり間隔を短くして、過乾の期間を短くできるため、生長も良くなります。植え方は他の種類と全く同じです。
置き場所
パフィオペディルムは直射日光では日焼けするため、普通の時期はしっかり隠れた木漏れ日、真夏は木陰が理想です。また、暖かいか暑い季節には、乾燥させないよう、棚上よりは地面近くが良いです。植え込みの中などに、鉢ケースを裏返しに置いて、その上に鉢ケースを置いて並べるのが一つの方法です。
標準の水やり(他の種類と同じ)
従来の方法では、月ごと位に水やり間隔を細かく変え、間隔も暑い日は毎日と頻繁で、二重に手がかけられています。乾きすぎる場所に置かなければ、真夏はでも多くて1日おき、普通は週に二回、涼しくなったり寒くなったら週1回で大丈夫です。水やり量は鉢底から流れるまで、というのが一般的ですが、中を見ないで水やりしていると、中が乾いて素通りしていることが多いです。バークの場合なら、夏は粒が黒く濡れるまでやり、それ以外は茶色く湿るまでやるのが良いのです。水やり量を見ながら変えることにより、季節が変わっても、乾き方の差が少なくなります。
レシピ
新根を覆う土寄せ(土増し)
支柱への誘引
パフィオは茎がないので、支柱への固定が難しいです。長いビニタイで、葉の対を巻いて、支柱に誘引すると良いでしょう。新葉がさらに例えば2枚出たら、その対にビニタイを高めるといつでも直立させることができます。
段階別育て方と咲かせ方
1 開花見込み株の開花(初めて・小学校)
2007年11月
大型の開花見込み株を晩秋に入手しました。
葉長は36cm、葉の幅は6.5cm、葉数7枚もあり、脇芽が大きくなっています。初めから室内で育てます。
29日、小さな黒いポリポットにバークの小粒で植えられているので、時期外れですが、透明のポットに鉢増ししました。根鉢ができているので、中心に発泡スチロールの芯を入れました。
左:小鉢にバークの小粒植えを抜いたところ、
右:芯のバークを取り除いて発泡スチロールを詰めたところ
世話を続けていたら、花茎が出て、年の暮れ近くになってどんどん大きくなってきました。もう脇芽も立派に育っています。
左:12月10日 右:12月29日
2 脇芽付き開花株からの開花(入門・中学)
パフィオは、開花株に脇芽が着いていたからと言って、蕾が付くとは限りません。
根腐れしやすいため、脇芽が育たないことが多いです。
4月植え替え・鉢増し、脇芽が大きくなっています。
5月 開花株の翌年の姿です。
大型の開花株から出た脇芽は葉を直立させて、親よりも高く育ち、翌年も開花が期待できます。
大きめの透明ポットにバーク中粒植えで、乾きを見ながら水やりしたので、根腐れせず良く育ちました。
2008年8月
12月10日 蕾が出てきました。
3 大きな親株からの新脇芽の開花(初級・高校)
屋外栽培で年々出る脇芽は、温室で上手に育てられた親株には、葉の長さや幅ではかないません。それでも、親株が元気で、根腐れせず、脇芽が花を咲かせるに十分な大きさに育てば、花を咲かせてくれます。パフィオペディルムは根が枯れたり腐ったりしやすいので、透明ポットで元気に育て、根が元気であることも確かめられるのは好都合です。
左:2010年3月 透明ポットの鉢いっぱいに育った根 右:7月24日、大きくなってきた脇芽、元の株にはかないません
5.4 毎年開花(中級・大学)
親株は、鉢と不釣り合いな位葉が長く広かったのですが、そのため植え替えると株がぐらぐらして根付きが悪かったような気がします。現在はそれほど大きくなりません。しかし、何株価は毎年花が咲きます。どうやら、株により咲きやすかったり咲きにくかったりするようです。バークと鹿沼土植えで、透明ポットには、横穴を開けています。鹿沼土植えはとても元気ですが、肥料をバーク植えよりも多くやらないと不足するようです。
経年開花カレンダーを末尾に示します。脇芽を毎年再生産できるかどうかです。
表の左の株#10は、2009-2010に開花株から新芽を2つそのまま育てました。大きい方は咲きましたが小さい方は咲きませんでした。
2010年は、秋芽が出ません。
緑葉薄葉以外 斑入り薄葉パフィオペディルム(モーディエ・タイプ)
葉の形や大きさ・厚さは緑葉種に近くて、葉に模様がある処だけが異なっている種類です。緑葉・薄葉系に次いで育てやすい種類とされています。整形花が主流になる前の、初期に主流だった種類です。上蕚弁は縦縞で(横)花弁が長く伸び斑点があります。
緑葉整形タイプと異なり、株が小さいです。
育て方は同じで大丈夫です。鉢も小さいので、大きくして、大きく育てれば、同じように咲きます。
1 開花小株の脇芽を育てる(入門・中学校)
2008年11月
交配種の開花株を入手しました。成熟した株からみるとかなり小ぶりです。小さな鉢に軽石主体で植えられていました。
脇芽が出ています。
12月 透明ポットに植え替えました。
2009年
鹿沼土に植えて、室内の東の出窓で夏を越しました。
元気に育ちました。
新しい脇芽は、親よりも上に伸びています。
秋に日当たりが悪くなって鉢の温度が下がり急に乾きが悪くなったのに、夏までと同じ間隔で湿っていても機械的に水やりをしていたところ、根腐れしてしまいました。気を付けることにしました。秋が深まり日が当たるようになり、暖房が入って回復しました。
2010年
4月、元気にぐんぐん伸びています。新葉はまっすぐ上に伸びています。
7月半ば、バークに植え替えしました。葉の長さは入手した時よりずっと大きくなっています。根も元気です。未熟株だったことが分かります。スチロール芯入りで鉢の大きさは余り変わらず径7cm余りの深鉢です。
夏新芽が出始めまています。
脇芽が大きくなってきました。
11月2日
2 蕾を着ける、大株作り(高校)
2011年1月8日 1株の葉の間から、蕾らしいものが見えてきました。
産毛が生えていて葉とは違います。
カトレヤなど他の洋ラン一般とは異なり、新芽が出てから1年目に蕾が出なくても大丈夫なようです。
15日 他の鉢も蕾が出てきました。鉢の中では白い根が元気に伸びています。12月の半ばから室内に入れて、最低温度を20℃近くに保ち、5-7日毎に水やりをしています。
3 大株作り(高校)
ここでは、気難しいパフィオペディルムの中で、園芸店などで入手しやすく、比較的丈夫で育てやすい、やや大きめの緑葉種のみを取り上げます。小型種や小苗、斑入り葉種は別項でとりあげます
交配種・整形大型種
Paphiopedilum Enzan Branch x Kimura's Present
パフィオペディルムは、シンビジウム、コチョウラン、カトレヤほど、交配による改良は行われていませんが、丸くて大きな花が咲く「整形種」が主流です。株の大きさは色々ですが、大型種は丈夫で育てやすいようです。同じ種類・株の年を追っての開花を紹介します。
開花日記(洋ランカレンダー)
大きな開花株を入手すれば、透明鉢への鉢替え、大きめの鉢への鉢増しをして、乾きが良くて水やりをたっぷりすると、翌年も咲きます。
花後に植え替えすると、1年目は咲かないことが多いようです。芯入りへの植え替えは、1年以降に苗が落ち着いてからやりましょう。
鉢増しや植え替えで、数本株立ちの大株作りとします。
園芸店で売られている苗は大抵未熟で小さいので、2年がかりで大きくすれば咲くようになります。
整形緑葉大型と、斑入り葉薄葉の小型種は、育て方は同じで大丈夫です。
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緑葉・整形・大型
冬咲き |
斑入り葉
冬咲き |
| Enzan Branch x Kimura's Present | モーディエタイプ |
入手 | 2007年11月#10 | 2008.11開花株#1(未熟親) |
入手時大きさ |
単株、脇芽付き、花茎未だ
葉長最大36cm、葉幅最大6.5cm、葉7枚
黒ポリポット径7.5cm |
単幹、新芽付き
開花親株#1草丈12.5cm、葉長13cm葉幅4.7cm、葉7枚
新芽#2草丈8.3cm、葉長6cm |
2008.5 | 上旬植え替え径7.5cm |
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2008.12 | 半ば#3 28cm,冬新芽始まる#4 1.5cm |
上旬新芽草丈9cm、葉長6cm
下旬新芽草丈10.2cm、葉長7.2cm |
2009.1 |
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上旬新芽草丈10.8cm、葉長7.6cm新葉
下旬新芽草丈12cm |
2 | 初め19,21,12.5,8,0.5cm |
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3 | 下旬植え替え、苗重さ125g |
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6 |
| 中旬夏新芽#3 1cm |
7 | 20cm |
上旬新芽草丈21cm、葉長9cm
上旬親株草丈21cm、葉長9cm
下旬新芽草丈21cm、葉長11cm幅4.2cm
鹿沼土植え替え |
8 | 28,30,27,24cm |
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9 |
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10 | 29cm、シース |
中旬新芽草丈25cm、葉長22cm幅4.3cm,新葉3.2cm
秋新芽なし |
11 | 末新芽2cm |
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12 | 蕾長7cm |
下旬新芽#2草丈25cm、新葉葉長10cm
東出窓で乾きが悪く根腐れ |
2010.1 |
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2 |
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3 | 半ば29,9,冬新芽4cm |
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4 |
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5 |
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6 | 下旬未開花株葉29x4.8cm、 | 下旬新芽#3草丈4.5cm |
7 | 下旬11cm |
#2草丈(葉長)20cm葉幅4.4cm、6枚新葉2cm
中旬夏新芽始まる#4
バークに植え替え、やや鉢増し |
8 | 上旬30,22,19cm、下旬22,12,10cm |
上旬夏新芽#4 1cm、
下旬#4 3.5cm、夏新芽#5 土増し |
9 | 半ば未開花株葉長30cm、子株草丈23cm、孫株草丈18cm、#4曾孫株14cm | 上旬#2新株草丈13cm |
10 | #4曾孫株17cm |
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11 | 初め未開花株葉長29cm5枚、子株草丈23cm3枚、孫株草丈19cm3枚、#4曾孫株15cm4枚 |
下旬葉長24cm葉幅4.5cm、
#2新株草丈16cm葉7枚葉長13.5cm幅4.4cm,新葉5.5cm、#3草丈6.5cm葉長7,6cm、#4草丈4cm |
12 | 初め#4曾孫株17cm |
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2011.1 | 半ば草丈31cm花茎cm、蕾長4.4cm |
上旬#2葉長24cm葉幅4.3cm葉6枚、#3草丈7cm、#4草丈4cm
下旬#2新葉6cm花茎4cm、蕾長2cm
#3草丈9cm、#4草丈4.5cm |
2 | 中旬蕾長4.4cm 下旬開花 |
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3 |
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上旬花茎9cm、蕾長2.3cm
下旬#2 22.5cm葉長10.5cm幅4.4cm,新葉5.5cm、#3草丈11cm葉長8.5,6cm、#4草丈6cm, #5 2cm |
4 |
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5 |
| 下旬#2 葉長15,6cm、#3草丈12cm葉長10,2cm、#4草丈6cm葉長3.5cm, #5 3cm葉1cm, 春新芽#6 1cm葉4枚1.5,2,6.5x1.8v,7cm |
6 |
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7 |
| 中旬、重ね着鹿沼土径9cmに鉢増し |
8 |
| 上旬#1葉3枚14x3.7,14x5,12cm、#2(開花済株)草丈16cm葉5枚24x4,18x4.4,10x2.8v,13x4.5,6x2.6cm、#3(09夏新芽)草丈14cm葉4枚6.5x2.2,11x2.8.10x2.8,3cm、#4(10夏新芽)草丈8cm葉4枚1.5,5.5x1.5,6x1.9,6cm, #5 6cm葉3枚3.5,5x1.4,4cm, #6(11春新芽) 10cm葉4枚1.5,2,6.5x1.8v,7cm |
開花時株大きさ |
5株立ち、親株葉4枚、開花株葉4枚葉長30cm、鉢径12cm、鹿沼土植え
子株草丈24cm大葉5枚、孫株草丈22cm大葉2枚、#4曾孫株17cm |
5株立ち、親株葉4枚、開花株葉5枚、鉢径7.5cm、バーク植え
子株草丈10cm大葉2枚、孫株草丈4.5cm、#4曾孫株2cm |
モーディエ・タイプのある種では、入手した開花株は1本立ちで、葉長12-14cm葉幅4-5cm、葉の枚数6-7枚でした。新芽は1年目には咲きませんでしたが、2年目になって咲きました。新しい脇芽がこの大きさになれば咲きそうです。他の複茎種と違って2年目に咲くのは、バルブが無いことと関係しているかもしれません。1年では開花できる大きさに足りないためとも言えそうです。大体が夏芽ですが、2011年は春芽が早く出て、昨年の株を抜いてしまいました。冬知らずの高温、(夏に)鉢増し、夏の雨ざらしの効果でしょうか。短期間に爆発的に生長した株の方が咲きやすいかもしれません。
開花日記2011
| Enzan Branch x Kimura's Present#10 | ? |
インシグネ
| ロビン・フッド#1 | ロビン・フッド#2 | スピセリアナム |
リーアナム
| モーディエタイプ | マジック・ランタン | デレナティー | Lynleigh Koopovitz |
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| 交配、青葉、整形大輪 | 交配、青葉、整形 | 原種、青葉、冬咲き | 交配、青葉、不定期 | 交配、青葉、不定期 | 原種、青葉、中温、冬−春 | 交配、青葉、P. insigne x P. spicerianum | 交配、斑入り薄葉、Paph. callosum x lawrenceanumなど | 交配、斑入り厚葉、Paph.micranthum×delenatii | 原種、斑入り厚葉、高温、冬−春 |
夏咲
delenatii x malipoense |
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入手時大きさ |
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#1草丈cm葉枚22x2.8,21x3.3
cm |
#1草丈cm葉5枚14x3.9,16x3.4,14x3.3,17x3.2,8.5x2.7
v cm |
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鉢#2
株#1葉4枚下1枚枯れ8.5x2.7,9x2.8,9x3.1,7.5x2.9cm新葉 |
鉢#2
株#1葉5枚7x2.5,9.5x3.2,10.5x4,8.5x3.8,7.5x3.3cm |
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2007 | 11月中旬開花見込み株入手 |
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2008 | 12月蕾 |
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| 11月下旬開花株入手 |
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2009 |
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| 11月上旬開花株入手 |
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| 6月中旬夏新芽#3 1cm |
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2010.1 |
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| 中旬開花株入手 |
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6 |
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| 下旬夏新芽#2 3cm |
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7 | 上旬新芽17.5cm終19cm |
| 中旬鹿沼土からバークへ |
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8 | 初新芽21cm終26cm |
| 上旬開花株#1 草丈18cm葉長14,6.5cm | 上旬開花株#1 草丈16cm葉長11,8cm,#2 草丈12cm葉長10.5,9cm | 8月旬開花株入手、夏新芽1.5cm |
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上旬夏新芽#4 1cm、
下旬#4 3.5cm、夏新芽#5 土増し | 上旬開花株入手 |
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9 |
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| 上旬#1 草丈17cm葉長15,7cm |
| 半ば新芽4cm |
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| 上旬#2新株草丈13cm | 上旬草丈9.5cm芯葉2.5cm |
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10 |
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| 下旬新芽11,10cm |
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11 |
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上旬開花株#1 草丈21cm葉長21x4.6cm
#2 草丈19cm葉3枚12.5x3.5cm | 上旬#1 草丈15.5cm葉3枚長12x3cm,#2 草丈12.5cm葉5枚11.5,x2.6,1cm | 下旬新芽13.5,11cm |
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下旬葉長24cm葉幅4.5cm、
#2新株草丈16cm葉7枚葉長13.5cm幅4.4cm,新葉5.5cm、#3草丈6.5cm葉長7,6cm、#4草丈4cm | 下旬葉9x2.6cm、秋新芽#2 3cm,#3 2cm |
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12 |
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| 下旬新芽14x2.5,12x2.3cm |
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2011.1 | 下旬#1 31cm4枚蕾4.4cm #11 20cm葉9cm, #2 24cm葉18cm, #3 18cm葉8cm |
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上旬冬新芽#3
下旬#3 1.5cm |
| 中旬開花株入手 |
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上旬#2葉長24cm葉幅4.3cm葉6枚、#3草丈7cm、#4草丈4cm
下旬#2新葉6cm花茎4cm、蕾長2cm
#3草丈9cm、#4草丈4.5cm | 下旬秋新芽#2 3.3cm葉3枚,#3 3.3cm |
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2 |
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| 上旬開花株入手 |
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| 上旬#2 4cm葉4,2cm,#3 4cm葉3,2cm |
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3 | 上旬#10-1開花 |
| 下旬#2 葉長11.5cm#3 4.5cm葉長3cm |
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上旬花茎9cm、蕾長2.3cm
下旬#2 22.5cm葉長10.5cm幅4.4cm,新葉5.5cm、#3草丈11cm葉長8.5,6cm、#4草丈6cm, #5 2cm | 上旬#2 6.5cm葉4,3.5cm,#3 6cm葉4.5,1.5cm | 上旬開花株入手 |
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4 |
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| 中旬開花株入手 |
| 中旬#2 8cm葉5.5cm,#3 7cm葉5,1.5cm |
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5 |
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| 下旬#1 葉長11.5cm#2 17cm 葉長15,12.5cm#3 5.5cm葉長3.5cm |
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| 下旬#2 葉長15,6cm、#3草丈12cm葉長10,2cm、#4草丈6cm葉長3.5cm, #5 3cm葉1cm, 春新芽#6 1cm葉4枚1.5,2,6.5x1.8v,7cm | 下旬#2 7cm葉4cm,#3 9.5cm葉7,1.5cm | 下旬春新芽#2 0.6cm |
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6 | 上旬夏新芽3cm |
| 下旬#1 葉長12.5x2.7cm#2 18cm 葉長14,14cm#3 8cm葉長6cm |
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上旬春新芽1.7cm
中旬春新芽1.8cm新葉0.5cm |
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7 |
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| 下旬#2 葉4枚長16x3.5,14cm#3 10cm葉4枚9x2vcm |
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| 中旬、重ね着鹿沼土径9cmに鉢増し |
| 下旬春新芽4.5cm新葉3.5cm |
中旬11冬新芽? #21草丈15cm, #11草丈14cm, #-11草丈12cm
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8 | 上旬#11 26cm葉4枚, #2 24cm葉4枚, #3 17cm葉4枚 |
| 上旬#1 葉2枚19.5x4.7,12x2.7vcm#2 18cm 葉4枚10x2v,17x3.9,15x3.7,15x2.8cm#3 12.5cm葉4枚3,4,9.5x2v,11x2.6vcm | 上旬#2草丈12.5cm葉6枚7.5,12.5x3.3,12x3,13x2.6,11x2.1v,5x1.4vcm |
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| 上旬#1葉3枚14x3.7,14x5,12cm、#2(開花済株)草丈16cm葉5枚24x4,18x4.4,10x2.8v,13x4.5,6x2.6cm、#3(09夏新芽)草丈14cm葉4枚6.5x2.2,11x2.8.10x2.8,3cm、#4(10夏新芽)草丈8cm葉4枚1.5,5.5x1.5,6x1.9,6cm, #5 6cm葉3枚3.5,5x1.4,4cm, #6(11春新芽) 10cm葉4枚1.5,2,6.5x1.8v,7cm | 上旬#1葉4枚古1枚枯れ10x2.8,10.5x3.2,8x3.2,2cm、#2(10秋新芽)草丈11cm葉5枚2,5x1.7,8x1.8,9x2.5,8x2,1.5cm、#3(10秋新芽)草丈9cm葉4枚2,6x2,8x2,4.5x1.7cm | 中旬春新芽6.5cm葉1,3.5,5x2.6,2cm #1葉7.5x3.9cm | 中旬新葉#1、#2 5.5x3.4cm、#3、#4(開花済株)LS30cm10.5x3.5,1.5cm, #21(11冬新芽?)草丈14cmLS20.5cm,葉5枚11x3.6,4.5cm, #11(11冬新芽?)草丈14cm,葉6枚14x4.3,7x3cm, #-11 (11冬新芽?)草丈13cm葉5枚11x3.2,,5.5x2vcm,11夏新芽5.5cm |
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9 |
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世話のポイント
根腐れしにくい、透明ポットに、芯入り、中粒バーク植えで育てる、土増しを考えて低植えにする
元気な生長期には新根が表面に出やすいので、植え込も材料を追加して被せる、土増し
直射日光には絶対に当てない、雨ざらしも避けた方が安全
低温期は乾きの悪さによる根腐れに気を付ける
冬はなるべく暖かくて乾きのよい所に置き、生長させると、根腐れもしにくい
水やりの後は特に新芽などに水が溜まっていないよう、風通しと高温で早く乾かして、カビによる枯れを予防する
基本終り
参考
その他
原種・中型種
緑葉薄葉系でも、原種や、余り代数の進んでいない交配種は草丈も花もそれほど大きくありません。そして、成熟していない開花株では、脇芽が中々大きくならずすぐには咲いてくれません。透明ポットに根腐れしにくいように植えて、水を切らさず、適量の日光と高温を与えることに依って開花を目指します。
2010年春に、開花株を入手、その後、透明穴開きポットにバークで鉢増し
標準の植え方で、根腐れはなく順調ですが、異常な暑さもあって、葉枯れが多くなってしまいました。
11月2日、脇芽が大きくなっていますが、親株には届きません。
左:原種、インシグネ、右:交配種、ロビンフッド
斑入り厚葉ミニパフィオペディラム(パービセパラム・タイプ)の育て方と咲かせ方
緑葉の整形タイプ以外の種類は、実生からやっと開花年齢に達したばかりの苗が売られているので、緑葉整形タイプよりも育てたり花を咲かせるのがやっかいです。また、このグループでは、原種デレナティーは高温性で寒さに弱いとされています。それらの代表例として取り上げることにします。
1 開花小株の脇芽を育てる(入門・中学校)
3月、ベトナム産、高温性の原種、デレナティーの開花小株を入手しました。植え替えました。
4月3日
7月 デレナティーと、近縁の中国雲南産のミクランサムの交配種マジック・ランタンの開花済株を入手しました。小さくて、小さい鉢に植わってしかも乾燥気味です。小さな脇芽がいくつも出ています。ミクランサムは匍匐系の先端に小株を生じて繁殖するそうなので、それと似ているのでしょうか。
マジックランタンは8月に透明のポットに鉢増ししました。根は健康です。
11月2日、脇芽
左:マジック・ランタン、小さな脇芽が2つ出ている
右:デレナティ、小さな脇芽が1つ出ている
フラグミペディウムの始め方・育て方・咲かせ方
フラグミペディウム
フラグミペディウムはパフィオペディラムとよく似た形態をしていますが、自生地がパフィオペディラムのアジアに対してフラグミペディウムは中南米と異なり、生育条件も少し違っています。花は多花性の物が多く、一度に数輪咲くタイプと1輪づつ咲くものがあります。Phrag.besseae(ベッセ)が発見されるまでは比較的地味な印象の属でしたが、この緋赤の花が見つかってから俄然注目されるようになりました。
寒さには強い蘭ですから冬は7℃程度以上の室内で栽培することができます。夏はbesseae(ベッセ)などのように高山性の物で最近の日本の暑さに痛むものもありますので、出来るだけ涼しいところで風通しを良くして育てましょう。
パフィオに比べて水は多めに与えてください。乾かしてしまうと簡単に根がかれてしまいます。常に湿っていてもかまいません。特に暑い季節は毎日新鮮な水をタップリと与えましょう。どうしても乾いてしまう時は鉢皿を敷いて腰水につけても作れます。腰水の中へ根が伸びていくことがあります。腰水にする時は水を比較的頻繁に交換します。
JOGAのHPから転載
フラグミペディウム セデニー Phragmipedium Sedenii (Phragmipedium schlimii × Phragmipedium longifolium)
色は紅色を帯びるが、花色は淡く優しい雰囲気のある花。花形も整っていて性質も丈夫。
This is a terrestrial/lithophyte/epiphyte found from Mexico to Peru, Bolivia and Brazil. It is a cross between Phragmipedium longifolium and Phragmipedium schlimii. It is an intermediate grower that requires moderate shade and humidity. It can be grown in a pot with a well draining epiphyte mix, as it must be watered all the time to make up for its lack of pseudobulbs. The inflorescences bear many flowers that open in succession.
開花記録詳細
Paph. Enzan Branch x Paph. Kimura's Present
| 株#10鉢径12cm、鹿沼土 | 株#10鉢径12cm、鹿沼土 |
| 鉢径12cm、鹿沼土 |
| 株#5鉢径10cm、バーク |
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| 09秋新芽#1 | 09秋新芽#2 |
10秋新芽#1-2
開花株から |
10秋新芽#0-2
古株から |
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| 未開花株 | 未開花株子 |
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11月30日 |
29 花茎16cm
秋新芽2cm |
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| 32 | 16 |
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12月19日 | 花茎31cm蕾7cm |
|
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| 28 | 20 |
|
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|
1月3日 |
28
| 4 |
|
|
| 32 | 21 |
|
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3月13日 | 29 | 冬新芽9cm | 冬新芽4 |
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|
| 24 |
|
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6月23日 | 29 | 15 |
7 |
7 |
|
| 30 |
|
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7月11日 |
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| 24日、夏新芽 |
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7月24日 | 30cm | 21.5cm | 11 |
8新葉3cm |
| 30 | 33 |
|
|
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8月8日 | 30 |
22 | 16新葉3cm | 9新葉4cm |
| 30 | 34 | 4cm,葉2.5cm |
|
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8月22日 |
| 22 | 12、葉7cm | 10、葉5cm |
| 29 | 29 | 6.5cm、葉3.5cm |
|
|
9月15日 | 30 | 23 | 14、葉9cm | 12、葉7cm |
| 33 | 36 | 9cm、葉6,2.5cm |
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11月2日 |
29cm5枚,23、11cm
蕾2.5cm | 23cm葉16x3.3cm | 19cm14,5cm | 15cm13,5cm |
| 34 | 35 |
|
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12月14日 |
開花株
葉5枚30x4.2cm花茎15cm蕾4cm | 23cm、長葉3枚幅3.4cm、 |
草丈20cm長葉2枚幅3.3cm
| 草丈16cm長葉4枚幅2.5cm |
|
開花株
葉4枚32x4.5cm花茎15cm蕾2.7cm | 草丈36cm、葉4枚幅4.2cm | 草丈15cm長葉2枚幅2.3cm |
|
|
開花には30x4cmの葉が4枚以上必要なようです。
5 性質と基本的な世話
根が少ない
根は特殊で、過湿にも、乾燥にも弱い傾向があります。
左:軽石植えの例、根は多い方、右:斑入り葉種の例、数本しかないことがある
根が過湿にも乾燥にも弱い
根は特殊で、過湿にも、乾燥にも弱い傾向があります。
晩秋に温度が下がり乾きが悪くなった処で、多めの水やりを続けていると、それまで元気に生長していた株が急に根腐れすることがあります。
根の寿命
根が少なく寿命があり、1本枯れるごとに上の葉が枯れると言われています。また、根が枯れたり、水不足の場合は葉先から枯れます。葉の数が少なくなってしまうと咲かなくなります。
水不足で、下葉が枯れ、上の葉の葉先も枯れる
バルブがない、葉を大切に
パフィオペディルムは、シンビジウムやカトレヤのように、茎が太くなるようなことがありません。従って、葉に養分を貯めているので、根が傷んで、葉が傷むと、株が衰弱してしまいます。
植え方
透明ポット・鉢底板・発泡スチロール多芯入り・底横穴開けで、中粒のバークで植えるのが基本です。
植え替えの注意
根が少なく、1本ごとにそれぞれの葉に対応すると言われています。根を傷めると、上の葉が枯れます。元々傷んでいる根は仕方がありませんが、植え替えによる根の弱りを防ぐ必要があります。
根が鉢の上の方で伸びていた場合は、植え替え後に根の先が植え込み材料から飛び出したりしていると、弱ってしまうので、必ず土の中に入れます。また、根全体をしっかり覆うように植え込み材料を被せます。
植え替え後長期間乾かすと弱るので、できるだけ早く、過湿にならない程度に植え込み材料を湿らせておきます。
置き場所
日焼けしやすいので、直射日光は禁物です。慣れないうちは、例えば棚で最上段を避け、直射日光が当たる場合は周りを遮光シートで覆うのが安全です。ただし、余り日陰では株が充実せず、花が咲きません。
左:棚の下段で開花中のパフィオ、右:直射日光が当たる場合は、遮光シートで囲む
水やり
根が、過湿にも、乾燥にも弱い傾向があるので、透明ポットに植えて、全体が適度に乾いたら水いやりするのが有効です。
左:透明ポットにバーク植え、水やり直後で濡れている、右:鹿沼土植え、まだ表面近くを除いて湿って橙色
6 病気と害虫
過湿で根腐れしやすく、過乾で根が枯れやすいので、その予防が第一です。コチョウランと同じで、入手した時には既に根腐れしていることがあります。
根腐れ
根際の根が腐っていました。
根腐れは腐敗病の誘因になることがあります。
根枯れ
根腐れしないようにと、水やりが不足すると、根が枯れてしまいます。
健康な根
良い苗では、根がたくさん伸びています。ただし、このまま植え替えると水を吸えないので、1本ずつそっとほぐして伸ばし、植え込み材料で包むようにします。
葉枯れ
葉の病気
カビによります。
6 咲かない理由
株が小さい
パフィオペディルムの市販の開花株は一部の群生株を除き、実生で最初に花の咲いた年に出回ったものなので、小さいのが普通です。
開花株を入手しても、翌年は殆ど咲きません。温室で水と肥料を十分に与えてやっと開花年齢に達した株なので、次の脇芽を開花に足る大きさに育てる力がないのか、屋外栽培ではもっと脇芽が大きくならないと咲かないかのどちらかと思われます。なるべく大きな株を入手し、脇芽を開花に十分な大きさまで育てる必要があるでしょう。
根腐れ
高温から低温期になったのに、多めの水やりを続けるとなります。葉が減り、小さくなって咲きません。
蕾が咲かずに枯れてしまうのも根腐れが原因のことがあります。
根枯れ
高温期に、水やりが不足するとなります。葉も枯れて減り、小さくなって咲きません。
カビ病
低温期に、室内などで新しい脇芽や生長点の新葉などが茶変して枯れます。
7 主な種類
一般に丈夫な緑葉系と、やや弱い斑入り葉系と言う風に分けられることが多いです。また、原種と交配種があります。小型の種類と、大型種があります。
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