洋ラン学園
カトレヤ(カトレア)の育て方と咲かせ方
カトレヤは易しい、冬を暖かく
旧版
目次
初めに−大株作りと冬暖かくでどんどん咲く
開花カレンダー−花期によって、植え替えや肥料をやる時期を変える必要はありません
I 初めてのカトレヤから標準栽培法まで
1 初めに
2 開花可能株の選び方
3 初めてのカトレヤ(小学校)−枯らさない育て方(全属共通)
4 カトレヤ(カトレア)の標準栽培法−大きくする(花を咲かせる体力をつける)育て方(全属共通)
カトレヤ合格生のノートとレシピ−カトレヤ学校読者(生徒)のレポートとレシピと質問箱
性質と基本的な世話
カトレヤの花芽と葉芽
病気
II 段階別開花の方法
種類に依る特徴
1 不定期咲
2 秋咲
3 冬咲き
4 春咲き
5 夏咲
開花処理・夏咲き(大学院)
カトレア図鑑
1 初めに−大株作りと冬暖かくでどんどん咲く
カトレヤの特徴
カトレヤはカトレヤ属や近縁属の総称です。大輪の豪華な花を咲かせ、まさに洋ランの女王です。代表的な桃色系の色はラベンダーと呼ばれています。ミニカトレアよりは難しいですが、枯れない育て方から入れば、そのうち咲かせられるようになります。
一般には難しいと思われていますが、その一方で、カトレヤは咲きやすいとの声もあります。その違いは、栽培技術と言うよりは、「
手に入りやすい小さい苗では中々咲かないが、大きな株を入手するか株を大きくすると咲きやすい」ということのようです。従って、このHPのように、枯れにくい植え方にして、のびのびと大きくすれば、経験や技術や細かい世話がなくても、良く咲くようになりますう。
カトレヤの特徴は種類によって四季のどの時期にもそれぞれ咲く種類があり、生長パターンが異なることです。秋咲は易しいとか夏咲は難しいなどと言われていますが、入手した苗がどのタイプか分からないことがあり、人に依りタイプ別の育て方がまちまちで、初心者がどのようにすれば良いかの解説は余り見られません。また、花茎や蕾が出るのではなく初めにシースができるものが多いことも特徴です。これも、株が順調に育ってさえいれば、
開花に重要な冬を暖かくするだけで、個別に難しい世話をしなくても自然に咲くようになります。
ここでは、標準栽培法を基礎に、一般の人にも分かりやすくやりやすい方法を試すことにしたいと思います。以上の二点ができれば、それまでの苦労がうそのように良く咲きます。
枯れる理由と枯らさない方法
洋ランは、森林の中の樹木の枝などに着生して、根がむき出しになっています。このことから連想されるように、根を植木鉢の中に入れると、根腐れしやすいです。鉢に植えて、普通に言われるように、表面が乾いてから水やりしていると、中は乾いていなことがあり、それが重なると、根腐れして枯れてしまうのです。
ですから、枯らさないためには、
コチョウランに普通に使われている透明の鉢に植えて、表面だけでなく中を見て、乾きかけたのを確かめてから水やりするようにすると、根腐れはずっと減ります。
また、鉢は底の方ほど乾きが悪いので、寒い時期にはどうしても底の方が湿りがちで根腐れの原因になります。
フウランで常識となっている、鉢の中心をからっぽにした空洞植えにすれば、やはり根腐れを防げます。これらのやり方は後で紹介します。
咲かない理由と咲かせる方法
@蕾を付けるまで−株を大きく
少し慣れてくると、枯らさなくなりますが、花は咲きません。その理由の大半は
苗が小さいためです。安く売るために、開花年齢に達したばかりの若い苗が売られていますが、条件が良くないと再び咲かせることは難しい大きさです。また
小さい鉢に植えられているので十分に育てません。さらに育てている時には、
枯らさないために水やりを控える傾向があるので、苗が大きくなりません。上に書いたような
枯れにくい植え方をすれば、大きめの鉢に植えて、水やりを増やすことができます。特に根腐れの心配が少なく、ぐんぐん生長する
夏を中心にして水やりを増やすと、見違えるほど大きくなって、花が咲きやすくなります。色々な「花を咲かせるコツ」が語られていますが、まずは
大きくすることで多くの種類が咲くようになります。
A着いた蕾を咲かせるまで−水切れ防止と保温
多くの洋ランは株を大きくしただけで、見違えるように良く咲くようになります。
しかし、蕾が着くようになると、次に咲かないで枯れてしまったとか、落ちてしまったという悩みを抱えることになります。
この理由も色々あるでしょうが、まずは、
蕾が着いてから咲くまでに水切れしたり、温度が低いという場合が多いです。
枯らさないとか、大きく育てるには、たまに水切れしても余り支障は出ません。しかし、花茎が伸びる時期などには大量の水分を消費するので、わずかな水切れが命取りになることがあります。
花が咲くまでの期間は水を切らさないよう、水やりを忘れて間隔を不用意に開けないようにしましょう。
なお、水切れはバークで起こりやすくミズゴケ植えでは起こりにくいです。ここに、
ミズゴケの効用があります。
また、根が健康でないと、吸水が弱く水切れしやすく、根腐れしやすいため、十分に水やりできないということが起きます。大きく育てるにも
根の健康は不可欠ですが、生育が万全でない苗は、根が健康でない恐れがあるので、一層開花が難しくなります。
低温期に開花する種類は
保温も大事です。
B咲きにくい種類−大学院、ミニカトレアで練習
以上の条件が整っても、夏咲きに代表されるように、花を咲かせにくい種類があります。これには、特に
冬の保温をして春の芽出しを早めるとか、
夏を涼しくとか、
春でなく秋に植え替えや
秋に肥料をする、などの共通した対策があるので、それを試す必要があります。いずれにせよ、大型種は脇芽の大きさが不十分になりやすいため、難しいので、
性質(開花期など)が似ているミニカトレアで練習をし、コツをつかむのが近道でしょう。
2 開花可能株の選び方
大輪の豪華な開花株は、一般の店にはコチョウランほど出ません。従って、手に入りやすい種類はとても限られています。一番多いのは「アイリン・フィニー」ではないでしょうか。コチョウランと同様に、盛りを過ぎて弱っている株があり、翌年咲かせるのは簡単ではありません。バルブが太く艶があり、葉に病虫害のないことが必要です。いずれにせよ、家庭での栽培に慣らせて地力をつけるつもりで気長に待つのが良いと思われます。
カトレヤの花芽は年に2回出る
カトレヤが幾鉢かあると、どれかから1年中新芽が出ていると言っても過言ではありません。1株についても、年に2回は出ていて、そのどれもが花芽になることは珍しくありません。春から夏の初めに出た新芽は秋までにぐんぐん大きくなって、早いものでは夏の初めからシースを出し始め、春咲きなら半年以上シースを付けています。一方、夏の終わりから秋に出た新芽は、十分大きくならない内に晩秋にはシースとは言えない小さな薄皮から、すぐに蕾がはみ出してきます。大きくて元気な苗なら、合わせて数本の花芽が出ることも有ります。従って、開花打率三割でもどれかは咲くと言った具合で、他の洋ランよりも咲きやすい位です。ただし一部の種類は花芽は一方だけということがあります。また、親株が小さいと後から出た脇芽は生育不良で咲かないということがあり得ます。
大株が断然有利
咲くかどうかは第一に株の大きさにかかっているようです。親株が大きいと、脇芽も早く大きくなり、シースがたやすく出てきます。
株が大きくて、さらに、匍匐茎が分かれて株立ちになっていると、新芽も複数出てくるので、咲く可能性がそれだけ高くなります。
また、新芽は色々な時期に出てきます。株が大きく、昨年の脇芽が沢山あると、脇芽によって新芽の出る時期がずれてきます。一つが暑さとか、タイミングの悪さで咲きそこなっても、他の新芽が咲いたりして、可能性が高まります。
やっと開花年齢に達したばかりの株を確実に咲かせようとしてもむずかしいです。慣れてきたら、大きな開花株を世話するよりは、開花前の株から育てる方が自然に咲かせられるかも知れません。
不定期咲が咲きやすい
秋咲がもっとも咲きやすいと言われており、反対に
夏咲は、脇芽の生育期間が十分にとれずに咲きにくいとされています。しかし、この常識よりも、経験では「
ミニカトレアの不定期咲きが最も咲きやすい」と思われます。種類が分かって選べるなら、不定期咲か秋咲を入手すると、慣れないうちでも開花が期待できます。
| 原種 |
交配種/
大型代表 | ミディー | ミニ | 春 | 夏 | 秋 | 冬 |
秋 | ラビアタ多色(秋)/中ラベ親 | アルマ・キー黄赤(-冬)、エミー・ワカスギ着強、デリーネイン切着、ドラムビート着盛、ゴールデンゼル、ジョージ・キング薄橙、グッド・ホープ薄桃着、ジミー・ナガタ桃4輪着、キョウト・ビルゲイト紫紅着強、プロフェシー、パピー・ラブ淡桃着(-冬)、ピュアーズ・デライト紫紅、ロナルド・ハウザーマン濃紫紅着、セプテンバー・ムーン切強(-冬)、ストラスフェアー紫紅切着強(春と二季)、ウイリアム・スチュアート黄着強 |
| Pフリー・スピリット(四季)、Lcラブ・ノット桃(冬-春)強 |
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冬 | ワルケリアナミニ淡桃赤,白、トリアナエイ桃(冬)/中ラベ・白親 | ミルドレッド・ライブズ白赤、ジラ・ウィルダニス楔(冬)、メロディー・フェア白赤、ナイス・ホリデー三色着盛、パストラル、バレザック濃赤紅冬中型 | キャンディー・タフト薄桃、エステラ・ジュエル鮮紫紅多(春)、Slcジェントル・プリンス着盛、Slcヘーゼルボイド楔、ジュエルボックス濃朱紅ミディ冬?、マイカイ桃紫点(冬)25cm強、サンライズ・ドール | ルビー・エース20cm紫紅? |
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春 |
インターメディア楔(-夏)/中高楔親、モシアエ濃紫紅/ラベ・白親
スキンネリ(初夏) | アンネット・マハン切、アイリン・フィニー桃切着、アイリン・ホルギン紫紅着切強、ファイア・キャサリン白赤、モーニング・グローリー紫、ロイ・ハウザーマン紫紅切易 | シーブリーズ淡青、ハーバー・ライト淡黄着 | ロホ朱赤・赤紅多 |
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夏 | ドゥイアナ黄赤/黄親、 | ロナルド・ハウザーマン紫紅(-秋、秋冬)、ディナー桃、トシエ・アオキ黄赤楔(-秋) | ハワイアン・ウエディング・ソング白多着盛 | エンジェル・ウォーカー |
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不定期 |
| ジョージ・バルドウィン紫紅着切、メモリア・ヘレン・ブラウン薄緑着、ポーツ・オブ・パラダイス緑、 | チェリー・ソング桃(夏)20cm、Pクリエーション桃濃条、ドロシー・オカ白赤(不定期)、Scフェアリー・ランド黄(冬)盛着、ヒロシマ・メロディー青、Pスィートシュガー黄赤(不定期)盛着 | Scビューフォート朱(不5)Pメモリアル・ゴールド黄(不定期,晩秋ー春)、Lcミニ・パープル桃-濃い紫紅(不定期) |
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不定期咲きとは、バルブが完成すると直ちに咲くもの
中:中温、低:低温
新芽、伸長、充実、シース、開花、休眠
切:切り花種、園芸店に出回ることが多い、多:多輪咲き、強:強健、盛:生長旺盛、着:着花容易
カトレヤの始め方
開花株は冬に最も多く売られます。草丈20cm前後のミニカトレアです。
径7.5cmのプラスチック鉢にミズゴケ植えが最も多いです。
室内で始めることになりますが、温度が低いため最も根腐れしやすい時期です。
初めての人
暖房完備で、最低温度が20℃近くある部屋なら、初めての人でも、根腐れさせずに育てられることが多いです。
それでも、慣れないうちは水やりなどが難しいので、鉢から抜いて、広いペットボトルに移す
洋ラン学園の「二階建てペットボトル植え」にするのが安全です。
やり方は表紙にあります。
下の写真は、温度の高い部屋で、経験者が育てているので、ミズゴケが容器一杯になっています。
置き場所は、暖かい南向きの部屋の、窓の近くのカーテン越しが良いです。
水やりは、ミズゴケが半乾きになったら、蛇口から注いで、余った水は捨てます。写真の例はデンファです。
春になったら
暖かくなってくると、乾きが早くなって、根腐れの心配が減ります。
新芽が出る
咲いた株の根元から新芽が出てきます。本当は、開花株を買う時に新芽が出ている苗を選ぶと良いのです。
根が伸びる
新芽の根元からは新根が出ます。
また、元からある苗は、世話が良いと容器の縁に沿って白い根がどんどん伸びます。先には緑色や赤色の根冠ができています。写真の例は鉢より広いペットボトルの底の側に入れた場合
カトレヤの育て方(屋外と室内の往復)
慣れないうちは、引き続き室内で、二階建てペットボトル植えで育てられます。1年後には咲くこともあります。
色々な種類を、庭などで育ててみたい場合には、「鉢植え」にします。
植え方
一番大事なのは
「根腐れしにくい植え方」です。
洋ラン学園の基本的な方法は「透明軟質ポリポット・中芯入り・底敷き・横穴開け・根を窓際でバーク植え」です。
殆どの洋ランは、わが国の野生の風蘭と同じで「
樹木に着生し根はむき出し」です。
洋ランが根腐れしやすい植物なのは、このようなランの根を他の植物と同じように鉢植えにしていることに根本的な問題があります。
洋ラン学園ではその対策として「
根を薄着」、「
根を片むき出しの窓際に」という植え方をするので、これまでの方法に比べて根腐れしにくくなっています。
下の図で、逆台形の黒い細線は鉢の断面、その内側の茶色の太い線は根、底の中心の灰色の四角形は発泡スチロールの中芯です。
一般に洋ランは小さい鉢に植えると言われていますが、洋ラン学園ではその理由を、「鉢が小さいと根がこの図のように鉢の縁について、外側には植え込み材料が無い「
片むき出し」、つまり
野生に近い状態になるため」と考えています。
その上で、乾きの遅い鉢底近くや中心の対策として、
底敷きで植え込み材料と底に残った水とを遮断
中芯で植え込み材料の層薄く、
底近くの横穴で、底近くからも水を蒸発させ、乾きを早くする
ことにより根腐れを予防するのです。
模式図 透明軟質ポリポットに底板と中芯 鉢底近くの横穴開け
バーク、袋入り
ミズゴケ
軟質ポリポットは園芸店では手に入りにくいので、鉢が少ないうちは買った鉢のものを再利用するか、透明容器で代用します
ポリポットの代用1 ペットボトル 代用2 プラスチックコップ
置き場所
洋ランの多くは、亜熱帯の森の中で、1年が雨季と乾季に分かれる場所で育っています。
二本の年の半分以上は、そのような洋ランにとっては寒いです。従って苗の生産などは温室で行われています。
しかし、一般家庭で、屋内と冬の室内とで、大部分の洋ランは十分育てられ、咲かせられます。
育つには、日光と、水と、高温が必要です。
そこで、根腐れしにくい植え方ができたら、その次に重要なのは、この三つをいかにして洋ランに与えるかで、それは「
良い置き場所」を用意することに他なりません。
(1)屋外と室内の切り替え時期
一般的には最低温度10℃以上に保つのが良いと言われていて、
11-4月は室内ということになります。
洋ラン学園では「屋内に置く期間を短くしたいため、霜の降りない期間は屋外で、室内は12-3月」にしています。慣れないうちは一般に従った方が無難でしょう。
(2)屋外の置き場所、高温期と低温期の切り替え
一般には、月ごとや種類ごとに10%刻みの遮光率が指定され、遮光ネットを使うように言われています。
また、2-3日雨が続くようなら雨除けが必要とされています。
しかしこれは他の植物に比べて手間がかかって大変です。
遮光率を変えるとは、置き場所がいつも同じことを想定していると思われます。
しかし、日射時間、日の高さは季節によって変わります。鉢植えなら、置き場所を変えることによって、遮光率だけを変えるよりもずっと良く調節できるのです。
月ごとより前に大事なのは、高温期と低温期では置き場所の目的が違うということです。
日本では多くの期間が自生地より低温なので、「
低温期間中は温度を高くして生長を促進する」ことが大事です。
一方、日本の真夏には「
猛暑日と熱帯夜」があります。これまでの洋ラン園芸では「夏は暑いので休眠してしまう」と考えられてきました。しかし、自生地では「雨季は生長期」なので、雨の多い日本の夏には「
涼しく・保湿して・水切れさせなければ夏も生長する」のです。温室なしでは温度が不足がちで春や秋の生長が十分とは言えないので、「夏は温度が高くなってしまう温室」と違う屋外の利点を生かして夏も生長させることが大事です。
低温期、南向きの乾いた処、木漏れ日
真夏:木陰や植込みの中、地面近くで涼しく保湿
水やり
これまでの水やりの仕方は。「春は3日に一回、夏は毎日」と間隔を指定したり、「鉢植え込み材料の表面を見るか触って乾いたら水やり」のどちらかです。
しかし、鉢の乾き方は決まった日数で同じように起きることは無く、また、表面は乾いても中が湿っていて、根腐れを起こすことが殆どでした。
これまでの方法は「鉢の湿りには対策をせず、水やりで対応する」方法で、やるのも難しく、根腐れを避けることも難しいです。
洋ラン学園では「
根腐れ防止は植え方でやる、水やりは根腐れの心配をせず、水切れしないようにする」方針です。
慣れないうちは、理想的には、「透明容器の中を見て一鉢ずつ乾きを確認してからやる」のは良いでしょう。
植え方が良く、乾きが良くなる置き場所にすれば、「
全ての鉢が3-4日で程良く乾く」ので、適当な間隔で下の写真のように「
一斉に水を掛けて」も大丈夫になります。
肥料
園芸書に共通するのは「数カ月おきに置肥、隔週に液肥、秋に肥料分が残ってはいけない」です。しかし、液肥を頻繁にやるのは面倒です。また、どうすれば秋に残らないようできるか良く分かりません。
これらは、「趣味家の人が、やっと手に入った珍種のまだ余り大きくない苗をどうやったら咲かせられるか、とか、品評会に出せるような立派な花を咲かせる」ためには必要ですが、一般の人が成熟した普通の種類の苗をそこそこ咲かせるためには、そんなに神経質になる必要はありません。
簡単なのは、洋ラン用とか園芸用の緩効性の化成肥料を春根が十分に張ってから、一般に言われている量を1回置肥すれば、問題はありません。
洋ラン専用の徐放性粒状肥料の例
カトレヤの咲かせ方(1)新芽を大きく育てる
育てるのに慣れて、根腐れせず、毎年出る新芽が大きく育つようになると、自然に花が咲くようになります。
カトレヤの多くの種類は、大きくなりさえすれば咲きます。
そこで咲かせる基本は「
新芽を大きく育てる」ことなのです。
(1)苗の選び方
それに一番近道なのは「大きな苗を入手する」ことです。
売られているカトレヤの苗は、写真のように、種類も大きさも色々です。
基本的には、「開花株の根元から新芽が出て、一年後までに同じ大きさになると咲く」ので、「株が大きくて、新芽がもう出ている鉢」が一番近道となります。
(2)根腐れしにくい植え方と積極的な水やり
新芽を大きく生長させるには、日光と、高温と水やりが必要です。
一般の育て方では、「鉢を小さく、日除けをして、根腐れしにくいように水は控えめ」のため、中々大きくなりません。
乾きの悪い植え方をすると、「上は乾いているのに下が乾かないので水やりができない」ために水が不足がちになります。
洋ラン学園では、「
根ぐされしにくい植え方にして積極的に水やりする」方針です。
(3)真夏には、特に鉢内を保湿して、水を切らさないよう
こうすることにより、最も高温で苗が元気な時にぐんぐん生長させることができて、新芽を大きく育てることができます。
第二部
5 性質と基本的な育て方
カトレヤの花芽と葉芽
資料
1 グループ別の特徴、原種代表種
6 咲かない理由
入手した開花株が根腐れしている
大きな陶器の鉢などに入れられて、贈答用を意識したような鉢は根腐れしていることがあります。根腐れから回復させるのが先決です。
脇芽が大きくならない
開花株はかなり大きいのが普通ですが、脇芽がそれより相当小さいようだと咲きません。大型カトレヤは、開花気が色々だったり、他の中温性ランよりバルブが生長しにくい傾向があるので、やや咲きにくいと言えるでしょう。
冬の最低気温が低いと、新芽の発生が遅くなり、大輪カトレヤには不都合が大きくなります。
生長パターンに合った世話ができていない
カトレヤには色々なグループがあり、それぞれに合わせた世話をしないと、脇芽が大きくならなかったりして咲きません。
各種の開花期と咲きやすさ
カトレヤの種類のリストや解説は大抵花色別になっています。しかし、花が咲かないことには色を楽しむこともできません。一方咲きやすさは開花期によりかなり違うことが知られています。「失敗しない洋ラン入門」(主婦の友社2003)は開花期別に紹介されています。カトレヤを咲かせるには
咲きやすい種類を選ぶことが大切そうです。
色々な情報がありますが、どのように活かしたらよいか分かりません。そこで表にまとめてみることにしました。
それらを参考に、代表種を開花期に分けて表にすると以下のようになります。赤字
着は本で着花容易とされている種類です。また赤字下線は実際に一般の園芸店で開花株を購入して、標準栽培法で同じ管理をしたときにシースが出たり花が咲いたりしやすかった種類です。このことから言えるのは、
ミニ・ミディー・カトレアの不定期咲きが、最も入手しやすく咲きやすい、
大型種でも不定期と秋(冬)咲きが、入手しやすく咲きやすいようです。(園芸店以外から入手したものは度外視しています。)これらから始めるのが良いと思います。また、枯らさないで大きくするには、これらの違いによってやり方を変える必要は余り無いのですが、花を咲かせるには、
手持ちの種類がどういうタイプかを良く把握して、それにあった育て方にする必要がありそうです。またある程度種類が増えてきたら、開花処理や季節により他のグループと違う世話をした方が良いものに付いては、
グループごとにまとめておくと良いと思います。
そこで、以下では
咲きやすい種類の育て方と咲かせ方を主にとりあげます。ミニカトレヤは別ページにしてあります。やや咲きにくい種類に付いては、季節ごとの管理(開花処理を含む)がやや異なるので、「
大学院」でとりあげることにします。図鑑も季節別が作ってあります。
ここでは、もっとも手に入りやすい交配種のアイリン・フィニー(春から初夏咲きとされ、家庭ではやや咲かせにくいです)や、カトレヤの原点である原種のラビアタ(秋咲)、冬型の例としてなど、代表種を例にしてみたいと思います。秋・冬咲きは春に出た脇芽が秋までに大きく・充実して咲きます。一般の複茎種と同様です。夏咲は
| 原種 |
交配種/
大型代表 | ミディー | ミニ |
秋 | ラビアタ多色(秋)/中ラベ親 | アルマ・キー黄赤(-冬)、エミー・ワカスギ着強、デリーネイン切着、Lcドラムビート着盛、ゴールデンゼル、ジョージ・キング薄橙、グッド・ホープ薄桃着、ジミー・ナガタ桃4輪着、キョウト・ビルゲイト紫紅着強、プロフェシー、パピー・ラブ淡桃着(-冬)、ピュアーズ・デライト紫紅、ロナルド・ハウザーマン濃紫紅着、セプテンバー・ムーン切強(-冬)、ストラスフェアー紫紅切着強(春と二季)、ウイリアム・スチュアート黄着強 |
| Pフリー・スピリット(四季)、Lcラブ・ノット桃(冬-春)強 |
冬 | ワルケリアナミニ淡桃赤,白、トリアナエイ桃(冬)/中ラベ・白親 | ミルドレッド・ライブズ白赤、Lcジラ・ウィルダニス楔(冬)、メロディー・フェア白赤、ナイス・ホリデー三色着盛、パストラル、バレザック濃赤紅冬中型、プリズム・パレット白唇弁赤楔赤主に冬、Lc.ドリーム・ライト'エルブシアン'桃。唇弁内黄 | Cキャンディー・タフト薄桃、Sc.チェリー・ビー(-春、夏)、エステラ・ジュエル鮮紫紅多(春)、Slcジェントル・プリンス着盛、Slcヘーゼルボイド楔、ジュエルボックス濃朱紅ミディ冬?、マイカイ桃紫点(冬)25cm強、サンライズ・ドール | ハワイアンスプラッシュ楔、イザベラ・ストーン、Pot.ルビー・エース20cm紫紅?、ワルケリンター |
春 |
インターメディア楔(-夏)/中高楔親、モシアエ濃紫紅/ラベ・白親
スキンネリ(初夏) | アンネット・マハン切、アイリン・フィニー桃切着、アイリン・ホルギン紫紅着切強、ファイア・キャサリン白赤、モーニング・グローリー紫、ロイ・ハウザーマン紫紅切易 | Cシーブリーズ淡青(初夏)、ハーバー・ライト淡黄着 | ロホ朱赤・赤紅多 |
夏 | ドゥイアナ黄赤/黄親、ロディゲシー | Blcロナルド・ハウザーマン紫紅(-秋、秋冬)、Cディナー桃、トシエ・アオキ黄赤楔(-秋) | Cハワイアン・ウエディング・ソング白多着、盛マジョリー・ハウザーマン白淡黄 | Cエンジェル・ウォーカー |
不定期 |
| ジョージ・バルドウィン紫紅着切、メモリア・ヘレン・ブラウン薄緑着、ポーツ・オブ・パラダイス緑、Lcドロシー・オカ白赤(不定期主に夏)、 | チェリー・ソング桃(夏)20cm、Pクリエーション桃濃条、Scフェアリー・ランド黄(冬)盛着、Lcヒロシマ・メロディー青、Pスィートシュガー黄赤(不定期)盛着、Lcリトル・オリバー | Scビューフォート朱(不5月)Pメモリアル・ゴールド黄(不定期,晩秋ー春)、Lcミニ・パープル桃-濃い紫紅(不定期)コスモアロハ |
種名に色付きは、
桃色は着蕾、
赤は開花の記録例を掲載
不定期咲きとは、バルブが完成すると直ちに咲くもの
中:中温、低:低温
新芽、伸長、充実、シース、開花、休眠
切:切り花種、園芸店に出回ることが多い、多:多輪咲き、強:強健、盛:生長旺盛、着:着花容易