バンダの育て方と咲かせ方(2)冬越し


Vanda Manuvadee
目次
初めに

1 初めに

洋ランを入手するのは大抵冬から春にかけての寒い時期です。花が咲いた後、枯れてしまうのは、寒いことが関係しています。
暖かくなってから育て始めると、別の植物かと思う位、元気に育ちます。
ですから、高温の時期にうまく育ったからと言って、寒い時期になってもうまく行くわけではありません。
夏と冬の違いが最も大きく、従って、冬越しが難しいのはバンダでしょう。
洋ランは、普通冬の最低温度によって、とても丈夫なシンビジウムやデンドロビウムの低温種、カトレヤやパフィオペディルムなどの中温種、コチョウランやバンダなどの高温種に分けられます。
高温種である、コチョウランとバンダは最低気温を15℃以上、できれば18℃以上に保つと良いとされています。従ってコチョウランとバンダは同じような性質と思いがちですが、かなり違います。もっとも目立つ違いは、コチョウランではかなり温度が下がっても、根が元気で、先端の茶色っぽい根冠が生き生きしているのに対し、バンダはすぐに根冠が短くなったり、茶色くなったりしてしまいます。
コチョウランは、温度さえ保てれば夏も冬も変化がなく、世話の仕方も基本的に変わりません。
しかし、バンダは、高温期に育てられるようになっても、低温期には、別の世話の仕方を身につけなければ、育てられるようになったと言えません。

2 バンダの夏の根と冬の根

バンダは普通、バスケット植えで売られています。主に夏に入手することが多く、開花株は空っぽの陶器の鉢にバスケットごと根が入れられているのが一般的です。元気な苗は根も元気ですが、鉢の中で根が干からびていることも多いです。暖かい時期に鉢から取り出して、水分や湿気を十分に与えると、段々と根が生気を取り戻し、先端に根冠ができて伸び始め、ついには枝根がでてきます。
バンダを他の洋ランと同じ寒い時期に入手すると、根は細く萎びているのが普通です。乾かさないように、なるべく湿り気を保つようにしていても、段々と元気がなくなり、暖かくなる前に枯れてしまって、暖かくなっても回復せずに枯れてしまうことが多いです。

アスコフィネティアの根

バンダ系のアスコセンダと日本のフウランの交配種である、アスコフィネティアも基本は同じですが、秋遅くまで根が元気で短く、晩春に再び元気になるまで生気は無くなりますが、萎びるほどではないため、容易に根冠が再生し、生長を再開します。従ってバンダの育て方に慣れるには、まずアスコフィネティアを手掛けるのが良いと思います。

3 バンダの秋から冬越し

真夏の間は、日焼けしやすいため、木漏れ日のような処や、北寄りの場所に置くのが安全です。
真夏日(最高気温30℃以上)が終わったころからは、世話のポイントを暖かくしてやることに移すと良いでしょう。
葉には直射日光を当てないように、しかし、根には日が当たるようにするのが良いと思います。例えばブドウ棚です。

低温期の根の日記

猛暑日(最高気温35℃以上)が終わると、早くも元気さに陰りが見え始めます。葉の幅が狭まり、長く緑に伸びていた根冠が短くなったり、茶色く枯れたりします。


10月半ば

気根や根元近くの枝根に長い根冠がある株から、それらの根冠が根の先端だけになった株、根冠が茶色くなってしまった株、直根の先の方が細くて萎びた株、まで、元気さに差があります。


2010.10.17冬開始
9.25図鑑拡充、花茎発生、入手時以上早
8.3ミニバンダを別項で開始
7.26小型バンダの鉢底網巻き寿司植え写真
2010.7.13作成開始