洋ラン学園
パフィオペディルム(パフィオペディラム)の育て方と咲かせ方
単茎種のような複茎種




洋ラン学園式の育て方と咲かせ方
2013年版
初めに-有望株の入手と開花
パフィオペディルムは複茎種ですが、売られている開花株は単茎のことが多いです。
しかも、脇芽が出てから、開花する大きさ(通常葉が8枚)になるには2年以上かかることが多いです。
従って、園芸店で開花株を求めても、2年以上咲かないことが多いです。
脇芽が出た時には葉が2-3枚あることが多いです。元気が良い脇芽は冬春秋の3回新葉が出ますが、葉が8枚になるには2年はかかります。
他の複茎種のように翌年咲かせたいと思ったら、脇芽が付いていて、その葉の枚数が6枚以上ある「有望株」を入手する必要があります。
苗の元気が良いと、春と秋に合計2枚新葉が出て、初冬にシースができて、春までに咲きます

年初めに、大株で脇芽の付いた有望株を幾つか入手しました。いずれも鹿沼土に植え替えました。
未開花脇芽が特に大きかったPhipsが蕾を着けました。

緑葉新株有望株の生長記録まとめ(12月前半)
開花の目安は「葉の枚数が延べ8枚以上で、春から秋まで(花芽時まで)に新葉が2枚出て、大きさが親の開花株並み」です。
下の図は株ごとに、横軸に葉の番号、縦軸にその葉の長さを取ったものです。
各色の折れ線は、時期ごとに、在る葉それぞれの長さを表す点を結んだものです。
右に線が伸びた時に新葉が1枚増えています。
入手した時に最初の葉は枯れて無くなっていますが、大きさから2-3枚目以降が残っていると思われます。
入手してから春に植え替えているせいか、最初の葉は夏になってから出ます。
ロビンフッド:6-7枚目から始まって夏から秋に新葉が2枚でました。
開花の条件=葉が8枚に対して、冬前にロビンフッドは延べ8枚、ツヤイケダは7枚、ライムドーンは10枚、フィップスは10枚以上になったようです。
シースは1月まで出る可能性があります。

ツヤ・イケダ::6-7枚目から始まって夏から秋に新葉が1-2枚でました。

ライム・ドーン:4-5枚目から始まって、夏から晩秋にかけて新葉が2枚出ました。
 



中型細葉種
Phips

新入手株の開花までの経過
開花株の子#2が初夏から秋にかけて葉が2枚出て、9月にシースが新葉が出るのと前後して出ました。
開花親株#1から#2の反対側に出た弟株#11も追いかけるように生長し秋に新葉を1枚出しています。
親株#1が枯れ、兄株#2と競合しているためでしょうか、新葉は1枚のみのようで花芽は出ません。
#2からは孫芽#21が出ています。これが順調に育つと毎年交互に咲くことになります。夏に出て4枚で生長が止まりました。上に引用した江尻p.49と符合しています。
10月以降は新葉も余り伸びていないことが分かります。

株#2 入手時の大きな脇芽が1年後に開花

 

2016年
9月後半
株#12? 以前記録のあった株に記録をつぎ足しました。いつ出た脇芽か分かりませんが、入手時に開花株から出ていてその後咲いた小株に近い、古葉の葉長になっています。



2014年
12月後半
株#11 入手時に既に大きかった脇芽、秋新葉が伸びています。



株#21 入手1年後に咲いた株#2~開花後の脇芽、秋新葉が伸びています。


9月前半
大きい株は夏新葉は出ないで前からある葉が伸びています。小さな株は夏新葉が出ています。夏新芽も出ました。
株#11'


株#21
新しく咲いた株から花後に出た新芽の生長です。葉はほぼ1年余りでで6枚になりました。


2014年
1月後半
開花
後続の新芽も順調に育っています


2013年
12月前半
  
左:蕾付き株#2を中心にした全景。中:新葉の間の白っぽいシース、中に蕾があり分厚い。右:株#2の左根元に後から出て旺盛な新芽#21、右側の早く出た芽は一部の葉枯れ

  
脇芽#11、左:全景、シースは出ない。中:左の株#11からは脇芽、中央に後右のシースの出た株#2の根元から出た新芽#3。右:先に左側から出た新芽#21。左の黄色い葉は古株で左根元に遅れて出た新芽。
パフィオは古株からも脇芽が出る。

9月後半
右に早くからあった脇芽#21は大きくならず、後から出た左の脇芽#3が伸びています。5月後半から6月前半の間に出た春新芽です。
左は開花株#1から#2と反対側に出た2番目の弟株の#11


9月前半
  


左:開花親株、中:新芽株#2、右:#2の子新芽株#3
  
左:開花親株、中:左は新芽株#2、右:#2の子の新芽株#3

左:子株#2の弟株#11、中:新芽株#2、右:新芽株#3


6月前半 
パフィオはカビ病にかかりやすいので、屋外に出してからは、なるべく雨のかからない場所に置いてきましたが、暖かくなってきたので、5月から雨ざらしにすることにします。直射日光には耐えられません。
手前は未開花大株#2
  
右:株#2の右手前に小さな脇芽、株#11との間の根元に#2のもう一つの子#3が見える。

 
左図:左奥は株#2、手前は#11。右図:左は株#2、右手前は弟株#11

5月前半 
パフィオはカビ病にかかりやすいので、屋外に出してからは、なるべく雨のかからない場所に置いてきましたが、暖かくなってきたので、5月から雨ざらしにすることにします。直射日光には耐えられないので、木陰、物陰です。
浅広鉢への鹿沼土重ね着鉢増しと植替え
暖かくなってきたので、雨除けをやめて雨ざらしにするとともに、新株も旧株も、乾きにくい深細鉢から乾きやすい浅広鉢に鉢増しします。
新葉 パフィオで大事な新葉が出始めます。
  
プラ鉢の中は透明軟質ポリポット植え、右は株#2の5枚目の新葉と根元の新芽#21

  
植込み材料は軽石系で鹿沼土または日向土が主なようです。根が発達してポットを押し出しています。根鉢が元気、一回り広い硬質ポリエチレンポットに、底穴が大きいので防虫網を敷きました。
左は弟株#11

   
鉢にほぼ一杯の根鉢をそっと移して周りに鹿沼土中粒を入れます。径は広く高さは変わらず底穴が増えて乾きは早くなります。
露出している根の上に鹿沼土を被せます。


2013年
1月末
開花株の入手
大型で葉がやや厚めで、薄い縞模様があります。新芽もあって元気そうです。
上萼片は淡いクリーム色で、淡褐色の斑点

未開花大株、開花株の子
株#2 葉5枚、最長22cm
古い葉が無いため、何枚目の葉か分かりませんが、大抵の種類が4枚目までが10cmを越えることはないため、最も早く考えても5枚目以降と思われます。

写真は5月の様子で、小さな5枚目の新葉は、入手した時より少し大きくなっています。


中型厚葉種
ロビン・フッド
Paphiopedilum(Paph.) Robin Hood (Paph. Bingleyense (1899) x Gaston Bultel 1986
紅紫色系の代表的古典銘花。花の幅約12cm、ドーサル幅約6cm。草姿は整った立葉種。不定期に年2回程度開花します。主に夏咲

 
脇芽の葉長が親と同じの有望株を入手しました。
鉢#1は新葉は若葉が10cm前後に伸びると出るようです。(春)夏と冬の1月に出ました。
鉢#2は新葉は若葉が15cm前後に伸びると出るようです。夏と秋に出てからは、まだ出ません。
2月には新芽の方が先に出てきました。2014.2.24

6月後半に待望のシースが8枚目の後から出てきました。洋ラン学園の予想通りです。
次の脇芽は冬に出て4枚目ですが冬までに8枚にするのは難しいので速くても1年半がかりで1年後の夏咲でしょう。
毎年咲かせるためには遅くとも1年半前に芽が出ていなければならないことになります。



2014年
12月後半
鉢#1
入手後2年近くかかって、そのときすでに葉が5枚で草丈が9cm合った脇芽からようやくシースが出ました。2年の間に葉が4枚出ました。
親株の葉は最長19cmに対して子株の葉は16.5cmと小さくなっています。
パフィオは、葉が病気になりやすく、バルブが無いため葉の病気になると衰弱して咲きにくくなります。
大型で葉の厚い種類の方が病気に強く、生長も旺盛なので咲きやすいです。
ロビンフッドは店頭に出る種類の中では大きめの方で葉が厚いです。


鉢#2
昨年夏に花が咲き、今年2月に出た冬新芽が活発に新葉を出してきましたが、それでもまだ5枚なので、夏に咲くかは微妙です。
開花時に次の芽が出ていないと毎年咲かせるのは難しいと思われます。基の厚さは6.5mm


9月前半
新葉が順調に伸び、遅い夏新芽が出てきました。冷害と日焼けで葉が傷んでいます。

鉢#1
夏新葉が出て大きくなっています。今年は春に新葉が出ません。新葉は1年に2枚です。


鉢#2
開花株#2からの脇芽#3の出と生長、夏新葉が出ました。まだ丈が親の半分以下の幼株です。半年位で葉が5枚出たことになります。
子株は冬のシースと前後して出たので、夏咲なら次の開花まで1年、そうでなければ2年かかることになります。
入手開花株#1には既に親に近い草丈の子株#2がついていたため、1年足らずでシースが出ました。
 


6月後半
鉢#1

鉢#2
春新葉の伸びと共に期待通りにシースが出てきました。
葉は冷害に遭いましたがそれに耐えて着花です。

大きい方の鉢#2に冬新芽が出てきました。秋葉が大きくなってきた株です。

2月後半
大きい方の鉢#2に冬新芽が出てきました。秋葉が大きくなってきた株です。

新葉が見えてきました。ロビンフッドは開花株が園芸店に出回るのは冬ですが、年に2回咲き、主に夏咲だそうです。この新葉がシースの出る前触れだと良いのですが。

2013年
12月後半
左:鉢#1。右:鉢#2
 

9月前半
鉢#1
 
左:親株開花株、右:子株新芽

鉢#2
 
左:親株、右:子株新芽


6月前半
鉢#1

鉢#2



5月前半
植替え

 
プラ鉢に入っていますが、中は小さい硬質ポリエチレンポットです。
  
鉢#1 根は少ないですが元気です。これまでの材料は日向土(九州産で鹿沼土より硬く保水量が少ない)と思われる火山灰主体で軽石とバークが加えてあるようです。根鉢は崩さず浅広ポットに入れてまわりに鹿沼土を足します。
春新葉

  
鉢#2 脇芽の葉の枚数5枚のやや有望株


有望株の入手
13年1月後半 黒プラ鉢径9cm、二重、丈(最長葉の長さ)19cm、葉4-5枚、葉最広3.5cm、脇芽丈18cm葉5枚



ロビンフッド記録終り