洋ラン学園
(21世紀の洋ランの始め方・育て方・咲かせ方・楽しみ方・続け方)
洋ランの室内栽培(洋ラン楽園)
(ミニコチョウランのペットボトル植えなど)


左:ミディコチョウラン(アマビリス)を西向きの出窓で、カーテン越しで育てる
右:寒いヨーロッパで、コチョウランを大事に何年も室内で咲かせているようです。

まえがき 2013
洋ランが家庭の室内で一年中育って咲けば楽しいでしょう。
洋ランの原種の多くは、樹木に着生し木漏れ日で育つので、直射日光の当たらない室内でも光量は足ります。
また、亜熱帯など暖かい所が産地なので、他の季節はともかく冬は室内に入れなければならないのです。
何よりも、温室や屋外では花が咲いても見に行かなければなりませんが、居間にあればいつでも楽しめます。
洋ランの中にはコチョウランの1年中を初めとして長期間咲く種類があり、室内でこそ楽しみが増します。
これまで洋ラン学園では沢山の種類を咲かせるために、主に屋外で育ててきました。
一方洋ランgぷ隔世のノートや分校で、初めての人が室内で育てて咲かせられることを実証してきました。
特に今年になって、「洋ラン楽園」では、デンドロ、カトレヤ、コチョウラン、エピデンドラム、ジゴペタラムと、園芸店で手に入る代表的な洋ランが続々咲くようになり、室内栽培のやり方はほぼ確立できたと思います。
そこで、「洋ラン学園の本家」では、「洋ラン楽園や分校」と協力して、その他の種類、大型のコチョウランや、クール・オーキッドのソフロニティスなどに広げていきたいと思います。
また、新しい育て方、コケ玉、などにも挑戦していきたいと思います。
目次
初めに
21013年版
はじめに
大型コチョウラン
ミニコチョウラン
ミニカトレア
ミニオンシジウム
有望株
始め方−広口ペットボトルへの引越

初めに

初めに

洋ランの多くは室内で育てることができます。
中でも、易しくて、ふさわしいのがミニコチョウランです。日光が多少不足していても花が咲き、寒さに少し弱いので、たとえ屋外栽培するにしても1年の半分近くは屋内に置かねばなりません。雨ざらしでは病気にややなりやすいという点も屋内向きです。花が数カ月咲いているので、長く楽しむことができます。
この他温度が年中20℃以上ある日当たりのよい部屋であれば、店頭にある大半のランを、温室や屋外よりも、気楽に、気軽に、安全に咲かせることができます。そこでこれを「洋ラン天国」と呼んでいます。「」
温度がそれほど高くできなくても室内で洋ランを楽しみたいと言う人は多くいます。

屋内栽培の置き場所

慣れてくれば、1年中家の中でも、毎年花を咲かせますが、これから始めようと言う場合は、暑くなって、苗が元気になってからが良いでしょう。
場所は、年間を通してで考えると、南向きの窓の近くが最良ということになります。西向きの窓は、日除けさえあれば、弱光種にとっては午後の日光だけでも足りるので育てられます。


2013年
はじめに
昨年までは、屋外−室内栽培のやり方の確立に重点を置いてきたので、周年室内栽培はしていませんでした。ただし、「分校(洋ラン楽園)」では洋ランは初めての人が主にペットボトル植えで、ミニコチョウラン、ミニカトレア、デンドロビウム、エピデンドラム、ジゴペタラムの順で、「20℃以上ありさえすれば冬知らずの洋ラン天国で、根腐れ知らずで簡単に花が咲く」ことが示されました。
今年はいよいよ大型コチョウランの周年室内栽培を本格的に検討します。また、分校を中心に、上記以外の種類に広げていきます。
室内の栽培で一番重要なのは冬の高温で、20℃以上あると根腐れの心配は激減します。
以下ではまず、大型コチョウランの場合について説明します。

苔玉のレシピ ver.1

材料
ミズゴケと銅線
ミズゴケは水につけておきます。今回は入手した鉢に被せてあったものなどをreuse。
 
昨年の夏に入手したミズゴケ植えは、ぎりぎりの大きさの透明軟質ポリポットに押しこんで、表面のみミズゴケを被せました。
そこで、苔玉に変えることにしました。
ポリポット植え、鉢の上だけ被せたミズゴケは干からびています。 中の根は緑で元気です。
太い花茎と枝を二本残していたので、それぞれから枝が出て、上の枝は開花中です。下の枝は水切れ気味のため蕾が大きくなりません。
一周の1/3だけミズゴケを縦に伸ばして根に被せるように並べます
上と下で銅線を一周させて、端を互いに絡ませて止めます。
  
裏返すと、根は少し表面近くにあるだけでした。その部分だけミズゴケを被せ、上だけ銅線で止めました。
 
横の部分も根は少しだけでした。ミズゴケを被せてもう一回銅線を巻きました。出来上がり、ペットボトルに入れています。
 



大型コチョウラン

有望株
室内では、屋外に比べて、日当たりが悪い、生長期の夏の温度が低い、などの条件のため、特に大型コチョウランなどは、元気で生長する力のある株でないと、十分に生長し、花を咲かせることができません。「元気に育っているように見えるが一向に咲かない」とすれば、それは苗が小さいためであることが多いようです。
慣れない人が安全に育てて、確実に咲かせるための目安があります。
大型コチョウランなら葉が10枚あると育てやすく咲きやすいです。
2012年夏に(屋外で)始めた下記の例では、大きくて厚い葉が8-10枚あります。
  
左:蕾付きの株は開花が見られます、短い花茎も出ています。 右:花茎からもう枝が出ています
 

始める時期と苗の入手
洋ランは種類を問わず年明けからの冬の重機に最も多く色々な種類が出回ります。しかし、コチョウランに限っては、冬に始めるのは余り得策ではありません。
第一に、冬はコチョウランが、寒くて、根の周りが乾きにくいという、最も根腐れしやすいため、最も苦手な季節だからです。第二に、コチョウランは低温にすると花芽が着きますが、冬に咲かせるためには夏に低温にする必要があります。冬に咲かせたコチョウランは夏に低温処理をするため根腐れしていることが多いのです。ポット上の苗を、3株陶器の鉢などに寄せ鉢して上にミズゴケを被せて、暖かい温室から寒い店頭に移して長期間置いておくと根腐れが進行することがあります。
一方夏に売られているコチョウランは、根も葉も元気で、新葉が出ていることもあるほどで、初めてからの気候も良いためうまくいきやすいのです。
苗は、有望株を、売れ残りなどで安くなった時なら求め安いです。
冬に売られている株の例、根は腐って黒くなっていることがある 寒い時期には炭疽病が発症していることがある(黄色や茶色の葉)
 

花茎を残す
「趣味の園芸」では、「花が終わったら花茎を下から2-3節残して切ると後から枝が出て咲く、二番花を咲かせると株が弱るから咲かせない方が良い」などと言われています。後者については、慣れるまでは1年後に咲く事は稀なので、それを期待するより一度でも花を咲かせる方が現実的と思います。元気で大きな有望株ならまた咲きます。
花茎を短く切ると、水切れした場合に枯れこんでさらに短くなり咲かないことが多いです。全然切らずに長くのばしておいた方が乾きに対する抵抗力もあって、多少枯れこんでも枝が出てきます。
左:葉が少なくて花茎が長い例 右:残しておいたかけいのえだの先から蕾が大きくなって開花

 

始め方−ペットボトルへの引越(大型・小型共通)
洋ランに慣れない内は、一番の問題は根腐れです。洋ランの原種はそもそも自生地では樹木に着生し根は空中に垂れ下がってむき出しが普通です。ですから鉢植えにすると根腐れしやすいのです。言い換えれば根をむき出しに近い状態にしてやると根腐れしにくくなります。
そこで、鉢から抜いて根が片むき出しになるようにして、広めのペットボトルに移してやると良いのです。
ペットボトルは透明なので中の様子が良く分かり、やや乾いてきたときに水やりすることができます。
また、広めにして根鉢と容器の間に隙間を作ると水分が蒸発しやすくなり乾きやすくなって根腐れしにくくなります。
左:寄せ鉢を抜いて、広くて隙間のあるペットボトルに移す 右:ミディーコチョウランを元気で緑色の根鉢ごと広口ペットボトルに移す
 
右の蕾付き有望株の開花


半年後の冬の新しい花茎など
葉の枚数が多く根が元気な有望株を夏に入手して、秋までは直射日光と雨の当たらない屋外で育て、霜の降りる前に室内に取り込み、最低温度を15(洋ラン楽園)-20(洋ラン天国)に保ち、週1回程度水やりしてきました。2月までは気付かなかったのですが、3月後半になったら花茎が伸びていました。
夏に入手した有望株なら、それから新葉が2枚ほど出て、冬には新しい花茎か枝が出てきます。
日当たりが悪かったので花茎は低く横に伸びてしまっています。
白花、鉢#2             桃花
  
白花、鉢#1、花茎着かず  満天紅
  
花茎を残しておいたミズゴケ植えの中型チャン・シン・パール、枝が出て蕾が大きくなり始め



ミニ鉢株や素焼鉢などの水栽培
ミニコチョウランやデンファレなど、苗の割に小さい鉢や素焼鉢に植えられていることがあります。
温度が20℃以上あると乾きが良くなって根腐れが減るのですが、その代わり、これらの鉢は直ぐに乾いて水切れします。そもそも店頭にある時から水切れして、花や葉が萎れたりしていることがあります。
そういう場合は、鉢ごとまたは鉢から抜いて、広めのペットボトルに移し、底に水を貯めて腰水にしてやると水切れしなくなります。
むしろ、水が十分だとランは元気になって新しい根や葉を出してきます。
ミニコチョウラン
鉢が小さく水切れ気味だったので腰水(水栽培)にしたところ緑の新根が伸びてきました。


ミニカトレア、
素焼鉢植えで直ぐに乾いて花が萎れてしまいます。
根が鉢にくっついて離れにくいので鉢ごとペットボトルに移して腰水にしました。
素焼鉢は風通しが良いので根は片むき出しに近い状態です。

ソフロニティス・コクシネア
ミズゴケ植えをポットからそっと抜いて、ペットボトルに移し、底に水を貯めました。
 

ミニオンシジウム
ミニオンシジウムは、屋外の雨ざらしで育てると、バルブが腐って作落ちしやすいです。
一方、小さくて咲きやすく花期が長く香りがあるので、室内向きと言えます。
そこで、ペットボトルを使った水栽培や、ペットボトル・ミズゴケ植えで、周年室内栽培を本格的にやってみることにしました。

苗の入手

2013年1月
1月前半に入手した、トゥインクルの大株・豪華な咲き方の鉢2個は、水切れして花が落ちるため、ペットボトルで水栽培にしています。バーク植えのため根鉢の間から少しこぼれますが崩れることはありません。


2012年11月後半
開花株を入手しました。トゥインクルの’フラグランス・ファンタジー’で、葉が斑入りできれいです。バークで黒プラスチック鉢に植えられています。
水切れで花が落ちやすいので、直ぐにペットボトルに移して、底に水を貯め水栽培にしました。バーク植えで根鉢が未完成なので上の方からバークがこぼれてしまいます。う。
 



大型コチョウラン
2012年までに、多くの大型・小型種を、「透明軟質ポリポット・芯入り・鹿沼土植え」、「高温期は屋外・低温期は室内」で育て、
昨年は、例年通り直射日光に当てて日焼けし、その後雨ざらしで炭疽病になるという失敗を繰り返し、葉が激減しながらも、12月中旬に室内に入れてからは最低温度を20℃に保つ「冬知らずの洋ラン天国」によって13年にかけて新しい花茎が出てきました。
そこで13年は、引き続き室内に置いて育ててみることにしました。

3月前半
ミディーコチョウラン原種のアマビリスの花茎と蕾
花茎が伸びて、蕾も大きくなっています。
日焼けとそれをきっかけとした炭疽病で落葉してしまいましたが、鹿沼土植え屋外栽培でも良く咲きます。


花茎の出、2013年2-3月
ドリテノプシス・満天紅4倍体?
4倍体?のてっぺん葉の下から花茎が出てきました。
属間交配種ドリテノプシスは病気に強いのですが、炭疽病で落葉が続き黄や茶色の斑点はまだ進展が納まりません。
去年の夏に入手して鹿沼土に植え替えたばかりですが新根が充実しています。
  

室内取込み
12月半ばまで屋外に置き霜の降る前に室内に取り込みました。
2枚目の新葉(9月下旬)
1枚芽が出てから1月半くらいで秋になってから次の葉も出てきました。

植替えと屋外栽培
他の苗は直射日光に当てたり雨ざらしにしたりで炭疽病になってしまいましたが、新苗の一部は主に西向きの深い軒下に置いていたためひどい病気にかからずに済みました。
表面に露出している根が乾いて枯れやすくなるので、鹿沼土を被せました。
新葉の発生(8月上旬)
育て始めて一月ほどで新葉が出てきました。

苗の入手(有望株)2012年6月末
大型コチョウランの開花株は贈答用が多く、3株を寄せ鉢にしていて高価です。またポリポット植えを陶器の鉢に植えている上に、最盛期の冬に咲かせるため夏に低温処理しているので根腐れしていることが多いです。
従って、自分で咲かせることを目的として苗を入手するには冬は余り良くありません。冬は低温で根が休眠していて最も根草っしやすいときでもあります。
夏に元気な開花株を入手するのが無難です。
白花大輪 鉢#2
開花株ですが、輸送中に花茎の元から折れてしまいました。葉は9枚あり、軟質透明ポリポットにバーク植えで中は緑の元気な根で根鉢ができています。
底近くに穴を開けました。根元近くなどに粉カイガラムシが繁殖しているので、水で洗い流しました。
 
満天紅
葉は8枚あり元気で、花茎が上の方や根元近くから3本も出ています。根は白い元気な根です。
 

ミニコチョウランのペットボトル植え

洋ランは初めてという人にも室内で楽しめる、ミニコチョウランのペットボトル植えを紹介します。
だれでも簡単にできて、失敗が少なく、花を長く楽しんだり、ペットのように育てることができます。
洋ランが枯れるのは、鉢の中が見えないために、中が湿っている内に水をやるからです。透明容器に植えれば、中が乾いたことを確かめてから水をやれるので、根腐れが非常に少なくなります。また、普通は根腐れしたのが分からず手遅れになりますが、透明容器に植えてあれば、根が見えるので、万一根腐れしかけた時は、根の色が変わって築くことができます。つまり、、透明容器に植えると、根腐れを二重の意味で減らすことができるのです。
透明の植木鉢は、普通の店には売っていません。しかし、ペットボトルなら色々な大きさや形のものが簡単にタダで手に入ります。鉢に植えるといかにも植物を育てているという感じで部屋の飾りとしては面白みがありませんが、ペットボトルなら色々あるのも好都合です。
低温期ほど、乾きが悪いので、暖かい季節に始めるとよいでしょう。コチョウランは暑いときに元気になって花を咲かせます。
コチョウランは、そのままでも2カ月前後咲き続けますが、上手に育てれば、新しく蕾ができたり、花茎の枝が出たりで、もっと長期間花を楽しむことができます。もちろん、育て方に慣れてくれば、翌年にはまた改めて咲きます。高温さえあれば、光が多少弱くても花が咲くので、1年中室内にずっとおけるという意味でも室内向きです。

ミニコチョウランのペットボトル植えのレシピ

1 ミニコチョウランの花の咲いている鉢植えを買ってきます
初夏から初秋の暖かいか暑い季節に始めるのがコツ
最初は、花が終わって値下げされている物が良いでしょう
花のついた茎が元気なことに注意します
2 植わっている鉢と同じ大きさのペットボトルを用意します
径が同じか少し大きめ
底から長さ10cm位のところで上を、カッターナイフで切り取ります
3 底に水を抜くための穴をカッターナイフで開けます
カッターナイフで、一番下にV字型に切り込みを入れます、三角に切り取るか、中に押し込んで穴を作ります
 


4 苗を鉢から抜いて、ペットボトルに移します
これだけでも構いません
大抵ミズゴケ植えなので、芯(根のない処)のミズゴケを抜いて、裸の根の周りを包んでやると、もっと元気になります。
 


世話
窓辺に置いて、カーテン越しの日に当てます。
いくつかある時は名前を付けて札を立ててやるとよいでしょう。
夏は1週に2回位、中のミズゴケが乾きかけたら水をやります。
植え替えて半月くらいしたら、化成肥料の粒を適量ばらまくと元気になります。
楽しみ
花が咲いていれば、楽しめます。先の方に蕾があると、段々大きくなって咲きます。
花が終わっても、元気なら、花茎から枝が出てまた咲きます。
元気なら、葉が伸びて大きくなります。また中心から新しい葉が出てくるのを楽しめます。
元気なら、根が伸びます。また、根元から気根が出たり、根に枝が出たりします。

コチョウラン育て日記、Orchid Garden

8月3日、花の終わった、ドリテノプシス・ビビアンとドリテノプシス・ティンシンアリスを、ペットボトルに植え替えました。後の方は4株の寄せ植えだったので、合計5株です。苗の大きさに従って、ボトルの大きさが違っています。
ビビアンVivian:葉は9枚で長さは17cmもあります。花はまだ枯れ切っていません。花茎の先に蕾が一つありますが、萎びかけています。表面に伸びた根は丸々と太って、先に緑色の部分があります(根冠)。水をやった後の体重は300gです。
ドリテDoritae:丸い黄緑色の葉が5枚あり、長さは9cmです。花茎の1本は枯れましたが、小さい方は元気で、先端に一つ小さな蕾が残っています。体重は180gです。
ティンTying:葉は6枚ですが、長さは最大で8cmです。花茎の1本は枯れましたが、小さい方は元気で、先端に一つ小さな蕾が残っています。体重は200gです。
シンShin:葉は6枚ですが、長さは最大で7.5cmです。花茎は1本で途中で横に曲がっていて、
先端に一つ小さな蕾が残っています。体重は200gです。
アリスAlice:葉は3枚しかなく、長さは9cmです。花茎は1本で枯れてしまいました。体重は140gです。
8月6日、3日後の体重はそれぞれ、262(-38)、160(-20)、175(-25)、184(-16)、123(-17)で、まだ湿っているので水やりは必要ありません。根は湿っている時は黄緑色で、少し白っぽくなってから水やりするとちょうど良いです。毎週1回が大まかな目安です。




4.3 まえがき2013
3.21 大型コチョウラン夏の有望株から花茎が出るまで
2013年3月17日、はじめにを改訂、2013年版、水栽培

8.3ミニコチョウランのペットボトル植えのレシピ・日記など追加
2010.7.16掲載開始