洋ラン学園
シンビジウムの育て方と咲かせ方
代表種の有望株の育ち方と咲き方
初めに
シンビジウムがわが国で広く栽培されるようになった初めのころは、欧米の交配種で大型で高温性の種類が中心でした。
近年は、中国原産の春蘭である金稜辺を片親とした、以前よりも小型で低温に強く家庭で花の咲きやすい種類が中心になっています。
年々新しい交配種が主に店頭に並ぶため、性質や育ち方や咲き方が良く分からず、中には育てて見ても咲きにくい種類があります。
そこで、ここでは、店頭に多く見られる種類のうち、丈夫で育ちやすく咲きやすいものの経過を紹介します。
また、徐々に性質別に分けていきたいと思います。
種類による株の大きさや生長時期の違い
あんみつ姫やマジョリカは草丈が高く、デボンオデッセーやなごみは小さめのようです。11月に一斉に花茎が出ました。
福だるま(大株)は早く、ワインシャワ−は遅く、その他は中間です。
小型下垂種
紹介するサラ・ジーン アイス・カスケードは、最も育てやすく咲きやすい部類に入るでしょう。
サラ・ジーン アイス・カスケード
新芽の伸びはほぼ9月までです。咲く株の丈は8月前半で45cm、そののち60cm前後です。
小型下垂種の代表のサラ・ジーン アイス・カスケードは草丈が60cm前後あり、上の一般種と余り差はありません。
この例では伸び盛りの7月には差がありましたが、9月には皆60cm前後で差は小さくなりました。
エンザン・スプリング ハレルヤ
大株・大鉢は育ちやすく咲きやすいです。
2012年初めに開花株を入手しました。
3株立ちで草丈は最大49cmバルブは最大高さ4.5、幅5、あつさ.5cm大きな葉が10枚まででした。
開花後母春4月に芽が出て、9月まで丈が伸び葉の枚数が増え、9月後半からはバルブが太ります。
10月には花茎が出て冬も伸び続けます。
早咲き種のようで、屋外としては早いです。
咲かせるためには大きくすることが大事で、初めは草丈の長さを目安にします。
草丈が伸びてもバルブが大きくならないと咲きません。
夏に水切れさせないこと、春に置肥をしてバルブを太らせることが大事です。
2014年↓
10月前半
早生のエンザン・スプリングハレルヤが今年も先頭を切って花茎を出しました。
3月後半
花茎の伸び
春新芽の出の続き
エンザンスプリング・ハレルヤ新6.5cm
涼風1.5cm
2014年↑
2013年↓
12月前半
一部に
花芽が出て、大きくなったり
蕾が出たりしています。全般に霜害からの回復中でバルブがまだ小さいです。
秋新芽が出ている物もあります。
秋新芽:
2012年新株:エンザンスプリング・ハレルヤ、花茎
左:全景
11月前半
親が元気な大株は10月に花芽が出て、それ以降は一休みでしたが、一月経って、小さい株にも花芽が出始めました。
'12年新株
昨年、草丈49cmまで、バルブ高さ4.5x幅5x厚さ4.5cmまで、葉10枚まで
新芽、草丈55cmまで、バルブ幅3.7x厚さ2.6cmまで、葉13枚まで長さ49cmまで
中:手前が昨年の芽、左奥が今年の新芽、右:左が昨年の芽、右側が今年の新芽
エンザン・フォレスト、マジョリカ
2012年初めにエンザン・スプリング・ハレルヤと一緒に開花株を入手しました。
2015年経過
9月後半
大きい株は草丈が60cmを越えて開花時とそん色ありませんが、基幅と葉幅が2cm前後です。幅が2cmを上回れば花茎が期待できそうです。
8月後半
一株は丈が50cm、基幅と葉幅が2cmを越えました。花茎と区別のつかない新芽が出ています。
ラッキー・グロリア・福だるま
2012年に大株を入手しました。
草丈70cm、4本立ち、バルブ高9x幅5cmです。
開花後に6月までに芽が出て、草丈は親並み、バルブ幅は4cmまでと小さいですが、10月に花茎が出てきました。
2015年↓
8月後半
バルブが太りやすい種類のようで、丈の割には太いです。これから太れば花茎が期待できそうです。
8月後半
株分けと冷害のため昨年より小さいです。大型種なのでバルブは太めです。
芽が両側から出ていたので遅ればせながら、後から出た小さい方を芽欠き
2014年↓
月後半
株分け
2月後半
花茎の伸び
冬新芽の出の続き
ラッキーグロリア・フクダルマ2cm
ファイヤービレッジ・ワインシャワー4.5cm
コウシュウサンセット・ステイゴールド2cm
1月前半
霜除けと冷害
この冬は昨冬での霜害の基本的な解明と対策を継承して、南向きのテラスで霜除けをして越冬し、改善を検討しています。
そのため、昨冬のような全面的な凍害は避けられています。
しかし12月には昨年に無かった-5.6℃という局地的な最低気温と、昨年は低温の予想には深軒下や土間へ避難させていたのを、この冬は移動していないため、まだ被害があります。
並べてある鉢の内最も外のものや、被せているビニールに密着していた葉などが枯れたり黄色くなったりしています。またそのような鉢に付いた花茎にも影響があります。
そこで、特に東西の横の隙間を無くすように囲いを少し厳重にしました。。
囲いの外寄りで葉の傷んだ若株の花茎の萎れ
2014年↑
2013年↓
12月前半
一部に
花芽が出て、大きくなったり
蕾が出たりしています。全般に霜害からの回復中でバルブがまだ小さいです。
秋新芽が出ている物もあります。
7月前半
左:中央が昨年、左に1本、右に2本の新芽、外側を芽欠き
右:右が昨年の新芽の正面、左が今年の新芽の側面
2013年↑
2012年↓
12月前半
凍害で親株が枯れたものが多いせいか、新芽の背丈は毎年とほぼ同じですが、
バルブは細く、花芽が余り出ません。特に枯れた親株から出た新芽の生育は良くありません。
フクダルマ
2本の新芽の両側に
花茎
昨年、草丈70cmまで、バルブ高さ9x幅5.5x厚さ4cmまで、葉9枚まで
新芽、草丈70cmまで、バルブ幅3.2cm厚さ2.9cmまで、葉12枚まで長さ62cmまで
内側が昨年の芽、両外側で両側に花茎の出ているのが今年の新芽
11月前半花芽と葉芽
ラッキー・グロリア '福ダルマ'
2株とも両側から
花芽が出ています
2012年↑
ファイアー・ビレッジ ’ワインシャワー’
2012年2月に2鉢株入手しました。
大きい方は草丈70cm余り、バルブ幅が5cmで、親が4株立ちで、小株も大きくなり始めています。
9月までに子の草丈は親を越えるようになりバルブは秋の終わりまで太っても幅4cmと一回り小さいですが、花茎が出ました。
翌年も草丈は親に近く、バルブ幅はさらに小さく3.5cmでしたが花茎が早く出てきました。
2014年↓
2月後半
花茎の伸び
冬新芽の出の続き
ラッキーグロリア・フクダルマ2cm
ファイヤービレッジ・ワインシャワー4.5cm
コウシュウサンセット・ステイゴールド2cm
2014年↑
2013年↓
12月前半
一部に
花芽が出て、大きくなったり
蕾が出たりしています。全般に霜害からの回復中でバルブがまだ小さいです。
秋新芽が出ている物もあります。
左:全景。中:左が親株、右が花芽の付いた子株。右:凍害で中心の葉だけになった親株と右の小さな子株
7月前半
新芽が伸び葉の枚数が増えています。まだ昨年の株が小さくバルブも小さいので、丈は基の幅は小さめですが、今年は葉の枚数が多いようです。
根元の横幅が徐々に広がり始めます。親も子も大きい株は
根元の厚みも大きくなり始めています。
各鉢の大きい芽の大きさは開花カレンダーの表に昨年と並べて示してあります。
肥料、遅れていた緩効性の化成肥料の顆粒を置肥しました。これから丈がさらに伸びバルブになっていきます。
梅雨の合間の直射日光で西日が当たる処は日焼けしています。
左は昨年のバルブの正面、右は今年の新芽の側面
2月前半
1シンビジウム 開花始まり、蕾生長中、開花株入手
ファイアービレッジの咲き始め、昨年初めに入手した大株
2013年↑
2012年↓
12月前半
凍害で親株が枯れたものが多いせいか、新芽の背丈は毎年とほぼ同じですが、
バルブは細く、花芽が余り出ません。特に枯れた親株から出た新芽の生育は良くありません。
ワイン・シャワー
花芽の一方は蕾、他方は丸いまま、葉13枚
11月前半 花芽と葉芽
ワインシャワーの
花芽、左:既に蕾が見えています 右:筆のような形をしています。