長生蘭
Dendrobium moniliforme

色々な長生蘭の開花、左から黄金丸、四天大同、白綾

1.初めに
我が国の山野に自生する セッコク Dendrobium moriniformeは漢方薬の材料としても知られています。
斑入り葉を中心に園芸種が古くから栽培されてきました。長生蘭と呼ばれています。
とても小さいですが、丈夫で、良く増え、冬に白い花を咲かせます。
中には茎が紅葉する、「紅小町」のような品種もあります。

2.長生蘭図鑑
大型や小型、色々な斑入り葉(茎)などが選抜されてきました。
地方によっても特徴があります。代表種や入手しやすい種類のみ示しました。
代表種

種名性質など
紅木田
べにきだ
細長い、緑
黄金色中透け
品の良い淡緑すっきりした白 金鶴の原種
丈夫
初心者にも作り易い
金鶴
きんつる
細い、緑
中透け黄金色
紅木田よりわずかに濃い
ソフトなあめ色

紅雀
べにすずめ
葉肉薄い、細葉、
葉先はやや尖り、垂れ気味
中斑浅黄色、葉によっては美しい紅色を帯びる
新葉がわずかにねじれる
渋い褐色
可憐な草姿
紅小町
べにこまち
細い長円形
中斑黄金色
新芽および新葉が美しい紅味
新しいと瑞々しい白黄色
次第に黄色が強くなる
古いと紫褐色を帯びてくる

可憐な人気種
於多賀黄覆輪
おたがきふくりん
肉厚、丸葉、光沢ある
覆輪、黄味強く鮮やか
太く短い俵形
古くなると紫褐色
大きさ5−6センチの小型

栽培が易しく初心者向き
繁殖力が強い
金牡丹
きんぼたん
長円形、厚みがある、緑葉
濃緑色や淡緑色の葉が入り混じる
覆輪、黄味が強い
新しいと淡緑色
古くなると灰褐色


銀竜
ぎんりゅう
長円形、濃緑色
覆輪、白に近い淡黄(金龍は黄金色)
初め黄緑色
古くなると淡褐色を帯びる

性質強く初心者向き
繁殖力も良い
富士丸
ふじまる
小型の長円形、光沢あり、やや波打つ
わずかに淡い黄緑色、
中透け、淡黄色か白色
新芽の時は葉脈が紅を帯びる
軸間が短い
古くなると紫褐色を帯びる

草姿に変化が多い人気種
大同縞
だいどうしま
やや丸みのある長円形
縞、黄か白黄色鮮やか、縞の変化が多い
太い、軸間やや短い
茶褐色


昭代
しょうだい
やや小型の長円形、濃緑色
覆輪、白黄色か白
細目で軸間が長い
淡紫紅色


紫宸殿
ししんでん
長円形、葉先がわずかに湾曲、時に剣葉
緑葉、
細め、あめ色、美しい
貴品のある人気種
蜀光錦
しょくこうにしき
長円形、薄葉
新芽は淡紅色で、覆輪状に紅色を帯びる
緑葉になると淡桃色のゴマ斑
細い
初め紅色、やがて紫紅色から紫褐色
中型種

可憐
天賜丸
てんしまる
丸みを帯びた長円形、やや肉厚
縞や中斑、白黄色
俵形、太く短い
初めは白色、次第に黄金色、あめ軸の代表品種
小型

繁殖力も良い
紫金城
しきんじょう
長円形、艶、やや濃い緑、無地葉 中型
紫色を帯びる珍品


黒牡丹
くろぼたん
幅広、肉厚、全体に大きく波打つ
中斑、細めの白黄色、変化に富む
あめ色を帯びた黄褐色
古くなると灰褐色


天女冠
てんにょかん
長円形、光沢、葉先がいくらか垂れる
中斑、くっきり
やや太い、小型
透明な白黄色

極めて育てやすい
繁殖力が強い
金兜
きんかぶと
小型、葉の長さ2−3センチ、濃緑
中透け、白黄色
新葉が縞状に紅色を帯びる姿が可憐
軸間短い、
淡黄色

愛らしい草姿











東洋ラン入門[やさしい栽培]若山藤吉郎 金園社1982より、2009.5.2

園芸品種普及種
紅小町 葉:やや細い長円形、芽をうばうような黄金色の中斑、新芽と新葉が美しい紅味、軸:新しいと瑞々しい白黄色、古くなると紫褐色をおびる


紅雀  葉:細葉、葉肉薄い、葉先やや尖り、垂れ気味、淡黄色中斑、葉によっては美しい紅色、新葉がわずかにねじれ、軸:渋い褐色
茶杓丸  葉に覆輪、葉形茶杓状
大同縞  葉に縞

四天大同


金山金剛  葉に縞



紅木田 葉:細長く緑、黄金色の中透けが美しい、軸:品の良い淡緑色、性質:丈夫で初心者にも作り易い、花:すっきりした白、金鶴の原種

金鶴  葉:細く緑、黄金色の中透け(紅木田よりわずかに濃い)、軸:ソフトな飴、
豆金剛  葉に縞
南京丸  葉に縞
日月覆輪  葉に覆輪
黄金丸  葉に縞



豆金剛中斑  葉に縞
囑光錦   葉に縞
天光丸  葉に縞

その他
白綾


図鑑開始09.3.23-
   種名は、秋草園、蘭(東洋蘭)図鑑と育て方より、http://www013.upp.so-net.ne.jp/akikusaen/zukan-ran.html
茶色は東洋ラン入門[やさしい栽培]若山藤吉郎 金園社1982、2009.4.16追加、5.2一覧表作成


3.長生蘭の育て方
とても丈夫で、直射日光や低温に対する抵抗力も強い。
ミズゴケ植えが普通で、古典園芸分野では、腰高の化粧鉢に、盛り上げて植えられる(中空植え)。
生育や花の咲き方はデンドロビウムと共通。
春に新芽が出て秋までに大きくなるが、花は前の年に大きくなった株に付く。
脇芽を盛んに夏過ぎまで出す種類は、脇芽を除いた方が良い。
秋まで肥料をやったり、高温だと、花芽になるはずが高芽になってしまうことがある。
高芽は根が数cmに伸びたら、外して植える。

蕾(古い茎と昨年充実した茎)と新芽 1月23日。    秋にテラスに置く、手前は西洋フウラン
 

4.長生蘭の根

2008.11.13 開設

参考資料
長生蘭の品種・写真集と栽培法は下記のセッコク・長生蘭・少名彦らん遊会のHPにあります。
http://www.geocities.jp/kusabana7/2006tyousei/tyousei1/tyousei1.htm
http://www.geocities.jp/kusabana7/uekae/1siabaitop.htm