ミニカトレヤ
今月のラン

濃紫桃:Lc.ミニパープル、桃・唇弁赤:Lc.ラブノット、白・唇弁赤:Lc.ラブノット、白・桃覆輪・唇弁薄黄:Sc.フェアリーランド'セーラ'、黄:Sc.ビューフォート



1.初めに
カトレヤは、洋ランの女王と呼ばれるほど華麗ですが、大きなものは一般に低温に弱く、咲かせるのがやや難しいです。
それに対して、ミニカトレアは、低温に強い種類が多く、初心者向きです。
2009.1.24-
2.ミニカトレアとは
カトレヤはカトレヤ属を中心とする群の総称です。ミニカトレヤはその中で、高さが約20cm以下の、原種や交配種を指します。30cm程度までをミディカトレアと呼ぶことがあります。

以下はへぼえんより抜粋http://heboen.hp.infoseek.co.jp/youran/c.html
株の大きさは、種類によって、手のひらサイズのミニ種から、草丈1m前後の大型種までさまざま。
普通のカトレアとミニカトレアの区別だが、厳密な線引きはなく、だいたい草丈が20cm以下なら「ミニ」と呼ぶらしい。ミニより、もう少し草丈が高いもの(30cm程度)は、「ミディー」と呼ぶ。
大型種のカトレアは、ミニカトレアに比べて、やや耐寒性が弱い傾向があり、加温設備なしでは少々やりにくい。かなり大きく育つので、置き場所に余裕のある人向き。
ミニカトレアは、寒さに比較的強く、花の咲きやすい種類が多い。株が小さいわりに、花は意外と大きく、見応えがある。株自体が小さいので、室内で場所を取らないのがうれしい。
ワルケリアナのように、株が小型で、根が特に空気を好む種類は、ヘゴ板やコルクなどに着生させたほうがよく育つ。鉢植えにする場合は、平鉢を使う。
開花期になると、まずシース(花芽を保護するサヤ)が出て、次にシースからつぼみからつぼみが現れ、開花する。なお、ミニカトレアの場合は、シースが出ず、いきなりつぼみが出てくることがよくある。

3.ミニカトレア図鑑
目次
3.1.ミニカトレアの交配親となった主な原種
3.2.交配種、花色別

原種
カトレヤ:
ルテオラ、C. luteola
http://kojimatsk.hp.infoseek.co.jp/Cattleya.htm
ブラジル、ペルー、エクアドル、ボリビアの標高100-1200、時に2000mに産する小型の中温性着生種。夏の終わりから秋にかけて花命の長い、芳香のあったりなかったりする花径 5 cmの花をいくつかつける。花色は黄緑色。生育には比較的強光を要する。生育期に肥料と水をたっぷり与える。

&¥、 nis
入門:黄色、有名な親品種、光線を弱めに,

ラビアタ系、最もカトレヤらしい形、ブラジルとベネズエラからコロンビアに産し、標高が色々。冬の最低温度は15℃が標準だが、10℃でも水を控えれば越冬。日中は25℃位を目標としなるべく積算温度を上げる。
エルドラド C. eldorado
蘭、原種図鑑、カトレア原種、http://kojimatsk.hp.infoseek.co.jp/gensyu/C~eldorado20050117Sawai.jpg
花径 17.5 cm。ブラジルのアマゾンに見られる中高温性着生種。つやのある円筒形のバルブに革質の堅い1葉をつける。夏から秋にかけて短い花茎に芳香のある1ないし数花をつける。花ははんびらきで咲いた状態である。

、&¥
ゲルミノ:園:
蘭花ギャラリー http://www.ne.jp/asahi/akahori/orchid/c25sugar.htm
、http://kojimatsk.hp.infoseek.co.jp/TopPhotos/ScBeaufortElizabeth20040626TKojima.jpg



C. eldorado v. concolor (TOF1107 TROPICAL OR.) ver.

C. eldorado v. concolor (self) ver. semi-alba nis


ワルケラナ系はブラジル産の小型カトレヤで、近縁のノビリオール、ノドサと共に、形も育て方も特異なグループ。太くて短いバルブ。葉はワルケラナは1枚、他は2枚。ワルケラナとドロサの花は、小さな花のないバルブの先端から出た花茎に咲く。栽培が難しいことがある。根が少ないので植え替えの時は大切に扱う。冬の休眠期には水を控えて乾燥気味に保つ。根は空気に触れるのを好むので木枠やへご板に植えると良くできる
ワルケリアナ、¥&$入

C. walkeriana coerulea ’Monte Azul'
ギャラリー蘭爛、特選画像

C. walkeriana s/a ‘Itzuki’  (10.5×11.0) ver

C. walkeriana s/a ‘Puanani’
入:
C. walkeriana
var. semi-alba "BAO"

C. walkeriana semi alba
蘭花ギャラリーhttp://www.ne.jp/asahi/akahori/orchid/c35.walk-semialba.htm



園:

C. walkeriana tipo

カトレヤ ワルケリアナ チポ
蘭花ギャラリーhttp://www.ne.jp/asahi/akahori/orchid/c40.walk-tipo.htm


C. walkeriana tipo  (10.0x10.0) ver

C. walkeriana f. alba ‘White Princess’ (8.0×9.0) ver

C. walkeriana f. alba ‘Pendentive’
園:
原:整形大輪・厚弁、強健、冬−春

C. walkeriana f. alba ‘Diamond Bright’
入:不定期、主に冬


 
ドロサ、&(ロディゲシーとワルケリアナの自然交配種)
C. dolosa      (9.0x10.0) ver

ノビリオール、¥
入:ワルケリアナに似た性質、乾燥によく耐える
C. nobilior tipo (Ley 17BxDom Rafael Wenzel) nis

ロディゲシー系、ブラジル産で中温でどちらかというと高目を好む。日照は多めを好む、日除けしなくてもよい位だが温度の許す限り通風を図る。。生育期の水は多めに与える。生育期間が短く急速に生育するので肥料をいつまでも与えない。冬は中温以下の温室では完全に休眠するので水やりは控えめに。根は太いが少ないので出た根が良く生育するように注意する、生育中に障害を与えるとそれ以後根は新生せず、生育を中止してしまい株の弱る原因になる。
@ブラジル産基本種
インターメディア、¥
C. intermedia v. coerulea ‘Ivo Jaques’ver 

育:中型、純白、極めて丈夫で初心者向き、春咲き
C. intermedia semialba
ギャラリー蘭爛、特選画像


C.intermedia var.alba 
蘭花ギャラリーhttp://www.ne.jp/asahi/akahori/orchid/c40.walk-tipo.htm


‘Brecken Ridge Snow’ gal

C. intermedia var.オルラッタ
育:中型唇弁縁取り美しい、寒さに強い

アクイニーはくさび花の交配親として重要 原

C. intermedia var. aquinii-vinicolor 'No.1' 入:双葉、小型、スプラッシュ系交配種の親として重要、不定期、主に春

Aブラジル産高温種
アクランデイ、&¥、花に斑点模様&、ロディゲシー系、ブラジル産で高温を好む。夏期は特に高温多湿を好む。鉢内の過湿は嫌う。冬に低温で栽培する時には日照りを多くして潅水を少なくする。 nis

シレリアーナ、&花に斑点模様 nis

園:

Bブラジル以外
オーランティアカ:カ:小輪・多輪、多輪性の交配親

レリヤ:メキシコ産で、夏は高温で日差しが強い方を好むので日本の気候に適する。冬は低温室で栽培、5-10℃が適当で、光線は強く潅水は少なく。植え替えは冬から春、休眠期間の植え替えでも余り弱らない。植え方は排水が良くなるように。
アンセプス、&
アルビダ、&
ルベッセンス、&¥
L. rubescens ( self )
( レリア ルベッセンス (セルフ) )
メキシコ〜コスタリカ、幅広く自生。15cm程度の小柄な株から20cm程度の花茎を伸ばし、5〜6cmの中輪花を10輪前後着ける。栽培容易。秋〜冬咲き。fuji

L. ルベッセンス'フラバ'
園:


(ブラジル産 のレリアは全てソフロニチス 属に移行)
ロックレリア
ブラジル内陸部高原の山上に露出する岩石地帯に産する。花が小さく弁幅も細いが、花色が、黄、黄橙、朱色の種類は花色改良に用いられている。桃・紫の種類も面白い交配種ができる。栽培法は一般のカトレヤと異なる。生育期の潅水は十分に与え、ミズゴケで良くできるが古い物を嫌う、排水は良い方を好む。休眠期の潅水はごく少なくする。湿度は好むが空気の動きが必要。夏は種類によっては夜温を低くする。冬の休眠期は7-10℃位が良い。光線は強い方を好む。肥料は少なめが無難。カイガラ虫がつきやすい。植え替え適期は春だが、丈夫な種類は冬から春まで行える。
シンナバリア(ソフロニティス)、¥大型、朱橙、冬
カ:多輪性の交配親

http://tana0013.zdap.jp/orchiddata_1/dm_orchidlist/05orch_show/05dome/05dm_cat/05dm_l/05dm_l3.htm
ブリゲリー、園&
フラバ、園&
ミレリー、園&
ルペストリス、園&
ハーポフィラ、カ:多輪性の交配親

ブラジル産
プミラ(ソフロニティス)、&¥色は桃紫色が普通で白も。水分特に湿気を好む。なるべく湿った空気が通る。潅水も極端な乾燥を避けて常にいくらかの湿気が感じられるように。日射は弱芽が良く50-80%の遮光が適当。温度は一般のカトレヤ並だが、夏はなるべく涼しく。肥料は少なめが無難。花もちが良いので株が弱らないように早めに切り花にする。
L. pumila ‘Black Diamond’ (8.5x7.7) ver 原
特に花弁の幅が広く、優良個体として有名


L. Dayana (異名;L. pumira var. dayana )
レリア ダイヤナ
蘭花ギャラリー http://www.ne.jp/asahi/akahori/orchid/c06dayana.htm
花径 5 cm
リップの縞模様が特長。1花茎に1花しか付けないが2バルブが同時に咲いた。


L. プミラ セルレア(‘Gencida’x‘Estrela’)ver

L. プレスタンス 'コクサイ'
カ:中温性、秋−冬咲き

L. lundii
レリア ルンディー(ソフロニティス)、¥、
入:丈夫で栽培容易、低温に耐え、室内栽培にも最適

、http://kojimatsk.hp.infoseek.co.jp/TopPhotos/L~lundii20040703TKojima3.jpg

蘭花ギャラリー http://www.ne.jp/asahi/akahori/orchid/cat.htm
花径 2.5cm のミニカトレヤ


L. lundii f. coerulea     (2.7x2.3) ver

L. lundii v. alba ‘Cotia’        (2.6x2.6) ver

L. lundii v. carnea ‘96-A’           (2.2x1.8) ver


シンコラーナ(ソフロニティス)
L. sincorana f. coerulea ‘Impossible Value’ (9.3×9.8) ver

L. sincorana (‘L&R’בTuakau’)  (7.0×6.5) ver


ソフロニティスブラジルに産する小型の種類で美しい花を咲かせる。花弁の幅が広く形が良いので交配親に多用され、耐冷性のミニカトレヤができた。栽培は低温室で良いが、夏季暑がる。冬期最低温度は5-10℃あれば十分で、極端な表現をすれば凍らなければ枯れないくらい耐冷性がある。屋外で注意しなければならないのは湿気を非常に好むこと。潅水も根先が乾くと弱るので多めに与える−丸バルブの種類(グランディフロラ・セルヌアなど)は少なくする。日照はコクシネアは弱い方を好むが他はカトレヤと同じ位。コンポストは新しい物を好むので毎年植え替える、そうすれば肥料は殆どいらない。
コクシネア、¥、
入:低温を好むため夏の栽培が難しい、株の割に花大きい
カトレヤ類に朱紅色を導入した重要な原種。サンパウロを中心とした海岸山脈の霧の立ち込める山上の樹木の枝に着生する。低温に強い。*#
低温を好むため夏の栽培が難しい
Sophronitis coccinea (Wild Plant) soph
ギャラリーランギャラリー蘭爛、特選画像
small world系


カ:低温性、冬咲き

マンティケィラ、&
ウィッティギアナ、&
ブレビペデュンクラータ、&
セルヌア、&
プテロカーパ、&
その他、省略

エピデンドラム:中南米から西インドにかけて分布する。全般に強健だが、高地の冷涼な所に生育している「冷涼種」は、栽培が難しい。
冷涼種、1年を通じて15-20℃位の一定温度を求める。
マリエ、¥、生育期が夏になり、冬期休眠中は潅水を少なくして温度も低めで良い。夏は涼しくしなければならないが、丈夫な種類は庭の木陰の涼しい所へ出して、できるだけ通風をよくする。koj

カ:小型、中温性、初夏咲き

ブラサボラ:中南米に産する、多くの種類の葉は灰白色の粉状を帯び独特の色彩。花の唇弁が異常に発達して大きく目立つ。花弁は細長い種類が多く量感がない。交配には花が大きくて周辺に切れ込みのあるディグビアナが殆ど用いられる。生育期には十分に潅水し、生育終了後は潅水を少なくして乾燥気味に保つ。日照は強い方を好む。棒状葉の種類は余り植え替えを好まない。丈夫な種類が多いので原種栽培入門に適する。
ノドサ:¥、入、夏−秋
B. nodosa ‘Susan Fuchs’FCC/AOS ブラサボラ・ノドサ
、http://kojimatsk.hp.infoseek.co.jp/TopPhotos/B~nodosa~SusanFuchsFCCAOS20070922TKojima.jpg
棒状葉、細長い花弁を現す交配種が多い。冬は低温室でも良い位。良い香りを持つ、特に夜に良く香る。一代交配種の唇弁はスペード形で斑点模様が出ることが多い。koj



カ:中温性、春−夏咲き

グラウカ、&
ディグビアナ、&ミディ
下垂性ミディ
アコウリス、&
コルダーダ、&
ククラータ、&
フラグランス、&
ペリニー、&

ブロートニア
サンギネア:園

交配種


4.カトレヤの育て方



5.カトレヤの花の咲き方

6.カトレヤの根
子株の元からは沢山の細くて白い根が出て、先端が緑で、特に子株の根元が空中にあるため根も盛んに空中に伸びます。

7.参考資料

カラ:保育社カラーブックス「カトレヤ」1983¥には小型のカトレヤの項があり、代表的な交配親である矮性原種が列挙されています。
入門:主婦の友・決定版・失敗しない洋ラン入門2002のミニ・洋ラン/ミニ・カトレヤの仲間の項では、下線(追加は青)の原種が挙げられています。
図解:図解 洋ランの栽培1981では、これらの原種の属する属ごとの特徴と栽培の注意が詳しく述べられています。
園芸:最新園芸教室 ミニ洋ラン1995&では、多くの種類、主に原種が紹介されています。
保育社カラーブックス「カトレヤ」¥では花色や花の形で、分けられています。ミニカトレアにもこれらの花色などがあります。
原色:原色洋ラン写真集1997掲載の古典的(外来)種類
$印は「カトレヤ 種類と作り方」1994掲載
育:園芸ライフ 洋ラン育て方 咲かせ方 江尻光一、家の光1990

交配種の系統図は、年号入りのものは主にAbiko Orchid Room交配系統図のページ ( Room Genealogy )から転載です。
http://www.orchid.or.jp/orchid/people/hashizume/kakeizu/kakeizu.htm

写真は多くのホームページに載せられている物の中から、個体名付きを初めとして資料的価値の大きいと見られる物を転載させていただきました。多くの種類を使わせていただいている所は、種名の最後に下記の略号を付けてあります。連絡のついていない掲載元の方はご容赦ください。個別の種類の転載はなるべく出典ホームページurlを写真の下に引用するようにしました。
rang:Gallery蘭爛、蘭花ギャラリー、カトレヤの仲間、http://www.ne.jp/asahi/akahori/orchid/cat.htm
abi:Abiko Orchid Room 『ミニパープルの小部屋』など、http://www.orchid.or.jp/orchid/people/hashizume/kakeizu/present/Lc_Mini_Purple/Room_Minipurple_Frame.htm
blu:Blue Orchid Room、オーキッド リスト(交配種)、http://home.n08.itscom.net/coerulea/orchidlist-hybrid.html
fuji:藤井洋ラン園、http://fujiiorchids.com/
gal:我が家で咲いた蘭の写真集、カトレヤのギャラリー、http://www.geocities.co.jp/PowderRoom-Lavender/3923/photo3.html
koj:蘭、カトレアとその近縁属、http://kojimatsk.hp.infoseek.co.jp/MyCattleya.htm
nis:カトレア原種西東京発、http://www.t-net.ne.jp/~katoreya/ka.i.ka.be.tu.htm
soph:The Genus Sophronitis、http://www.ne.jp/asahi/orchid/sophronitis/DescriptionOfTheGenus.htm
ver:ベランダオーキッドナーセリー、http://superflua.blog.ocn.ne.jp/letter/cat809371/index.html

ミニカトレアには色々な種類があり、花の咲く時期や、丈夫かどうか、寒さに対する抵抗力などが違うので、手元にある種類が何であるか、これから何を手に入れようかを考える際に、注意が必要です。
ホームセンターなどで売られている鉢には種名が付けられていない場合が良くあります。一方蘭園などで入手すると種名は分かりますが、基本的な種類とは限らず、一時的に人気のある無名種のこともあります。ランの本を見ると名前のない鉢は入手してはならないかのように書いてありますが、気楽に他の植物と同じようにランを楽しむには、一概にそうとは言えないでしょう。無名の大量に売られている苗は、一般に丈夫なことが多く、また、少し調べてみると、古典的な名品であることが多いです。
種類を調べようと思って、本を見ると、その本が出た時の一時的な人気種が載せられていることが多く、後から見ると廃れてしまっていることがあります。一方、HPを見るとたまたま作者が持っている種類が載せられていることが多く、調べたい種類や、基本的な種類が分からないことがあります。
そこで、ここでは、なるべく、基本的な種類から始めて、鑑賞や、世話に参考となることが分かるように整理してみたいと思います。
世話する上では、寒さや病気に強いかどうか、観賞上は、花色や花の咲く時期で分けるのが便利と思います。一方分類上は、属名、原種かどうか、親は何かでどんな特性を持っているか、などが重要で、これらは、鑑賞や世話の上での特徴につながります。

2009.1.25 開設
26個体写真、27各本の種転記
2.16蘭花ギャラリーより転載
2.22色別順再構成、写真転載続き